December 20, 2016

米ロサンゼルス市、低所得者住宅を対象に「屋根借り太陽光」「2030年に再エネ33%」目指し、太陽光の“砂漠地域”に照準

Published at Nikkei Online Technology ---  ハリウッド、ディズニーランドなどの数々の観光名所を擁す米カリフォルニア州南部に位置するロサンゼルス市。ハリウッドのセレブなど多くの邸宅が立ち並ぶ全米有数の高級住宅街として有名なビバリーヒルズ、ベルエアーもロサンゼルス市の一部にあたる。

「2020年に再エネ33%」に向け太陽光を促進

 しかし、約400万の人口を抱えるこの大都市は、必ずしも全てが「リッチ」ではない。

 同市で電力を供給するロサンゼルス水道電力局 (Los Angeles Department of Water and Power: LADWP)は2016年11月、低所得者を対象として「屋根借り太陽光」事業を始めると発表した。電力会社による住宅用屋根借り太陽光事業は、全米初の試みである。

Source: LADWP

 LADWPは、1909年に設立された歴史を持つ。カリフォルニア州のみならず、全米でも最大規模の公益事業者で、現在140万を超える顧客に電力を供給している。多くの地方公営事業者は主に配電事業を手掛けるが、 LADWPは発電から送電、配電事業を全て持ち、一貫サービスを提供している。

 LADWPは、「2030年に電力需要の50%を再生可能エネルギーで供給する」とのゴールを持っており、現在は中間目標の「2020年までに33%」に向けて再エネ導入を拡大している。目標を達成するため、同社は特に分散型太陽光発電の導入に力を入れている。
「ソーラー革命」から取り残された地域

 ロサンゼルス市は1995年に「ソーラー補助金制度」を開始し、現時点で導入量は177MWに達している。2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)を利用して設置された太陽光は16MWで、現在、58MWが建設中である。

 さらに、LADWPは23.5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を自ら建設した。ロサンゼルス市は2015年に全米の市別太陽光発電導入量でナンバーワンに輝き、LADWPは2015年に電力会社別の太陽光発電導入量で5位に入った。

 しかし、この「ソーラー革命」とも呼べる太陽光発電の導入拡大は、市全体に偏りなく行き渡っているわけではない。低所得者住宅地は、他の地域に比べると太陽光発電の普及が遅れているのが実態だ。

 低所得者層の多い地域ではソーラーの「砂漠化」が起こっているといわれる。LADWPとしては、「2020年に33%」の目標を達成するためには、より多くの市民の参加が必要となってくる。

 太陽光発電の普及が増え、システム価格が大幅に下がったものの、全ての家庭が手軽に買えるほどの金額ではない。依然として低所得者層には手が届きにくい。さらに、初期設置費用なしのリースやローンもあるが、クレジットチェックで比較的高い「与信能力(支払い能力)」が求められ、低所得者層の多くはこの審査に通らない。... Read More Here

December 13, 2016

「2030年に太陽光で電力の3割賄う」、米政府が目標 メガソーラーの発電コスト、3セント/kWhを目指す

Published at Nikkei Online Technology
2030年に太陽光のコストを半減

 2016年11月、米エネルギー省(Department of Energy: DOE)は、「2030年までに太陽光発電のコストを2020年から半分にする」という「2030ゴール」を発表した。
 それは、電力会社による発電事業のためのメガソーラー(大規模太陽光発電所)のコストを、「2030年には3米セント/kWhまで引き下げる」というものである。
 DOEは2011年に、太陽光発電システムのコスト削減に向けた「サンショット・イニシアティブ(SunShot Initiative)」と呼ばれる10年間に及ぶ技術開発プロジェクトを開始した。
 この「サンショット2020」の開始時のゴールは、2010年に27セント/kWhだった発電事業用のコストを、「2020年に約70%減の6セント/kWhに削減する」というものであった。ゴールの発電コストは、従来の化石燃料の発電コストに匹敵する。ちなみに、太陽光の発電コストには税額控除などの補助金は全く含まれていない。

住宅用は5セント、非住宅用は4セント/kWhに

 その後、太陽光発電産業は目覚ましく前進し、2010年には 27セント/kWhだった発電事業用のコストが現時点で7セント/kWhまで下がり、サンショット開始5年で既に2020年のゴールの約90%を達成するまで下がっている。
 この進展により、DOEはメガソーラーの均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)を2030年には、2020年時点の半分の水準でとなる「3セント/kWh」に削減する新たなゴールを設定した。
 さらに、発電事業用と同じように住宅用と非住宅用(商業用)のコスト目標も大幅に引き下げた。非住宅用の発電コストは2020年の7セント/kWhから、4セント/kWhへ、そして住宅用の発電コストは2020年の9セント/kWhから5セント/kWhに設定された。
 ちなみに、現時点での非住宅用の発電コストは13セント/kWh、そして住宅用の発電コストは18セント/kWhと、発電事業用ほどではないが、2020年のゴールの70%はすでに達成している。... Read More Here
サンショット太陽光発電コスト2030年ゴール
(出所:The Department of Energy)

November 28, 2016

米ソーラーシティ、住宅太陽光でシェア低下、テスラと組み、巻き返し? 「第3者所有」より自己所有のローンを好む傾向が顕著に

Published at Nikkei Technology Online --- テスラによるソーラーシティの買収が可決

 先週(11月17日)米テスラモーターズ株主総会において、「圧倒的な賛成で」米ソーラーシティ(SolarCity)の買収が可決された。

 テスラでCEO(最高経営責任者)を務め、ソーラーシティの代表取締役会長も務めるイーロン・マスク氏はこの買収に関わる総会で議決権を放棄したにもかかわらず、約85%が23億米ドルの買収に賛意を示した。

 マスク氏は可決後、「(テスラ株主の)確信は報われるでしょう」と、新しいエネルギー会社の統合を祝った。

 テスラの買収で報道が増えたソーラーシティだが、同社のビジネスモデルには陰りも見え始めている。

 ソーラーシティは「初期費用なし、電気料金即削減」という 「第3者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」で急成長し、2015年には米国住宅用太陽光発電市場の3分の1以上のシェアを占めた。

 しかし、ここに来て同社の市場シェアが下がり始めている。理由の一つは、成長の原動力だった 第三者所有モデルの利用が減っていることだ。

 TPOモデルは、ソーラーシティのような販売・施工とファイナンスを統合したソーラープロバイダーが、太陽光発電システムを顧客に無料で提供し、家庭の屋根に設置する。そして、太陽光発電システムから発電される電力を消費者に 従来の電力会社の電気料金単価より低い値段で販売するものだ。

「第3者所有」モデルのシェアは半分以下に

 消費者は、多額な導入費無し、修理・メインテナンスに煩わされずに、太陽光発電の恩恵を享受できる。こうした利点が受け、 2007年に登場したTPOモデルは、2014年にはなんとオーナー所有(現金、ローン購入)を大きく抜き、米国住宅用太陽光発電市場の72%を占めるまでに成長した。

米国住宅用太陽光発電市場における
第三者とオーナー所有率の比較予想
(出所:GTM Research)

しかし、米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のジーティーエム・リサーチ(GTM Research: GTM) は、「来年には第3者所有が45%までに下がる」と予測している。つまり、オーナー所有率がTPOモデルを抜き、55%を占めるというのである。その後も、TPOモデルは下降を続け、2020年には27%までに落ちると予想している...Read More here

November 14, 2016

トランプ大統領誕生、共和党でも太陽光産業は伸びる!?20万人以上の雇用を国内に創出した太陽光発電産業

Published at Nikkei Technology Online --- 「米国をグレイトにする100日計画」を公表
トータルで3回にわたった米大統領の選討論会で、トランプ氏は「太陽光発電は高すぎる」、「風力は鳥を殺す」など、再生可能エネルギーに対してネガティブなコメントを繰り返した。一方で、炭鉱関係者の失業問題を語り、国内の石油・石炭産業の生産増大と雇用拡大へのサポートを公言した。

 同氏は、「ドナルド・トランプと米国投票者との間の契約:米国を再びグレイトにする『100日計画』」を大統領選挙に勝利した後に発表した(図1)。それは同氏の選挙公約と同じで、国内の雇用拡大、景気回復・経済活性化が大きな柱となっている。
図1●ドナルド・トランプと米国投票者との間の契約
「米国を再びグレイトにする『100日計画』」

雇用を守るため、再エネより化石資源を・・・

 その計画の2番目に掲げられているのは、「米国人雇用を守る7つのアクション」。7つのうち環境・エネルギーに関連する3つのアクションは以下だ。

 「50兆米ドル分の雇用を創出できるシェールガス、石油、天然ガス、そしてクリーン石炭埋蔵を解放します」

 「オバマ・クリントン政権で阻止された(カナダからテキサス州に原油を運ぶ)『キーストーンXLパイプライン』の建設などの重要なエネルギーインフラプロジェクトを承認します」

 「地球温暖化対策の国際的な新枠組みである『パリ協定』への数十億ドルに上る支払いを止め、国内の水と環境インフラの整備に充てます」――

 トランプ氏を筆頭に、連邦議会の上院・下院ともに共和党が多数派を維持することになり、環境団体や再生可能エネルギー関係者中には、「もう、終わりだ」との嘆きもある。

 雇用を創出し、エネルギー自給を高める手段として、国内に埋まっている化石燃料の生産拡大だけが、「トランプ大統領時代」の答えになるのだろうか? 太陽光発電を含むクリーン・エネルギーは、エネルギー政策からはじき出されてしまうのだろうか?

 トランプ大統領の誕生で、今後の米国クリーン・エネルギー産業拡大に悲観的な見解が多いものの、来年に発足するトランプ政権の具体的なエネルギー政策については、実際のところ詳細がまた整っていない。今までの共和党主導の政権が過去に与えた太陽光発電産業への影響を振り帰ってみよう。...Read More Here

November 3, 2016

米テスラがパナソニックと太陽電池生産で提携、その真意は? 「トンネル接続」と「ヘテロ接合」、どちらを生産するか?

Published at Nikkei Technology Online --- 先月、米電気自動車(EV)大手の米テスラ・モーターズ(Tesla Motors)とパナソニックは、共同で太陽電池の生産を米国で始める検討に入ったと、発表した。

米国で「HIT太陽電池」を共同生産

 世界トップレベルの変換効率を持つパナソニックの「HIT太陽電池」(結晶シリコンと非晶質シリコンによるヘテロ接合型太陽電池)のセル製造技術を使い、2017年に太陽電池の生産開始を予定している。生産候補地は現在、米ニューヨーク州バッファローとなっている。

 テスラといえば、この夏、分散型太陽光発電システム販売・施工において米国ナンバーワンの米ソーラーシティ(SolarCity)を26億米ドルで買収すると発表したばかりである。実は、そのソーラーシティは数年前から年間1GWの生産能力を持つ「ギガファクトリー(Gigafactory)」と呼ばれる太陽電池工場を、同じニューヨーク州バッファローに建設している。

SolarCity GigaFacutry Ground Breaking in New York
Credit: State of New York

 ソーラーシティの1GWの太陽電池工場の完成が間近に迫るなか、テスラはなぜパナソニックと太陽電池生産の提携を進めようとしているのか?

「トンネル接続」型技術で効率24%を目指していたが…

 ソーラーシティは、2014年6月に米太陽電池ベンチャーであるシボレ社(Silevo)を2億米ドルで買収した。

 同ベンチャーは、アプライドマテリアズ(Applied Materials)の幹部によってカリフォルニア州シリコンバレーに設立された。結晶シリコンと薄膜のハイブリッドの太陽電池セルの開発・生産を行う会社である。「トンネル接続型」という先端技術を使用して、高効率化しつつ、製造工程を減らし低コストを達成した。同社のトリックス (Triex)と呼ばれるセルテクノロジーの変換効率は22~23%で、世界トップレベルにある。

 既に、カリフォルニア州フレモントでパイロット生産と、...Read More here

October 30, 2016

「従来の屋根材より美しい」太陽光パネル、米テスラが発表 瓦のような4タイプの「ソーラールーフ・タイル」を商品化

Published in Nikkei Technology Online ----  10月末、米テスラ・モーターズ(Tesla Motors)のCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏がまた業界を騒がす発表をした。

 発表会ではまず、テスラが現在、買収をかけているソーラーシティ(SolarCity)のCEO(最高経営責任者)でマスク氏の従兄弟にあたるリンドン・ライヴ氏がまずステージに現れた。同社は、分散型太陽光発電の販売・設置で米国ナンバーワン企業だ。

 「これから紹介するプロダクトにとてもワクワクしています。このプダクトは、テスラとソーラーシティが共同で念入りに開発したものです。このプロダクトのビジョンをより理解するために、イーロン・マスク氏を呼びましょう」と、マスク氏をステージに招いた。

 ちょっと洒落た郊外の住宅地にセッティングされたと思われるマスク氏が立っているステージは、実はカリフォルニア州ロサンゼルス郡にあるハリウッド映画スタジオとして有名な、ユニバーサル・スタジオの一部。同氏は周りの家を指し、「これらの全ての家にソーラー(太陽電池)が付いているのが、わかりますか?」と、参加者に問いかけた。

 まさしく、周りの洒落た家の「ルーフ(屋根)」が、今回の新しいプロダクトなのである。...Read More Here
Elon Musk announces new Solar Roof Tiles at Universal Studio, Credit Tesla

October 18, 2016

The Asia Super Grid – Four Countries Join Together to Maximize Renewable Energy

Published at RenewableEnergyWorld.com --- The triple-disaster of earthquake, tsunami and nuclear meltdown that hit the northeast of Japan in March 2011 was a wake-up call for many people. This was true for Masayoshi Son, a founder, chairman, and chief executive officer (CEO) of Softbank Group, a Japanese multinational telecommunications and internet corporation. Having experienced the danger of nuclear power plants in Fukushima, he felt the need to replace nuclear power with safer and cleaner renewable energy for a better future.

To accelerate the deployment of clean, safe, and affordable renewable energy, he founded the Renewable Energy Institute (REI), and in September 2011, the “Asia Super Grid (ASG)” was conceptualized. ASG goes beyond Japan and includes other Asia countries to further maximize the usage of renewable energy by taking advantage of diversity in loads and resources.

At an International Symposium this September to celebrate REI’s five-year Anniversary, Son happily announced that his “Vision of the ASG” was one step closer to materialization.

“When I announced my idea five years ago, many people said it is a crazy idea, and they also said that it is neither economically or politically feasible,” recalled Son. Despite these nay-sayers, he has been making steady progress.

The first step was to develop electricity generation plants domestically by creating SB Energy Corp. as part of the SoftBank Group in 2011. The company is now established and operating 33 utility-scaled renewable power plants nationwide, including a 48-MW wind farm in Shimane prefecture and a 111-MW solar PV farm in Hokkaido prefecture.

The company also looked outside Japan for more abundant renewable energy sources. Mongolia has vast wind resources, and to harness the potential, the company formed Clean Energy Asia LLC with Newcom LLC, a Mongolian conglomerate. The joint company has secured a land-leasing right in the Gobi Desert for the next 100 years to develop and operate 7 GW worth of wind farms. The company also formed a joint venture company called SBG Cleantech Ltd in India, with India’s Bharti Enterprises Pvt. and Taiwan’s Foxconn Technology Group, to develop a 350 MW solar PV farm in the southern state of Andhra Pradesh.

MOU Signed by Japan, China, South Korea, and Russia

Plenty of renewable energy generation has been secured and is under development. Now the question is how to move the renewable energy to Japan and throughout Asia....Read More Here
Representatives from Japan, South Korea, China, and Russia sign MOU in Beijing.
Image credit: SoftBank Group

米メガソーラーの設置コストは1.42ドル/Wに低下!追尾型の設置が全体の7割まで上昇

Published at Nikkei Technology Online ----  日本では固定価格買取制度(FIT)の買取価格が下がり、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の新規開発の規模が縮小している。一方、米国では、メガソーラーが含まれる発電事業用セグメントがさらに拡大すると期待されている。現時点で、2016年の年間導入量は10GWに達すると予想されている。今回は、このセグメントの価格とシステム動向を2つの最新レポートを照合わせて見ていく。

設置価格は前年同期比20%減

 米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL:National Renewable Energy Laboratory)が9月に2016年第1四半期における米国太陽光発電システム設置コストのベンチマークを発表した。

 それによると、同四半期における発電事業用太陽光発電所(100MW、固定型)の設置コストは1.42米ドル/W-DC・直流(1.79米ドル/W-AC・交流)で、前年同期比20%減となった(図1)。

図1●下がり続けるメガソーラーの設置コスト
(出所:NREL)


 この大幅減には、EPC(設計・調達・施工)サービス事業者、またはデベロッパーによるスケールメリット(規模の経済)の追求が大きく貢献しているという。ちなみに、このベンチマーク(基準値)は、同研究所で収集されたコストデーターをボトムアップアプローチのモデリングで算出した数値である。

「ソフト」コストの比率が下がる

 太陽光発電の設置コストには、太陽光パネル、パワーコンディショナー(PCS)、架台、接続箱ケーブルなどを含む他の電気部品、設置工事費、EPC間接費、消費税、土地購入(貸借費)、建設許可費、系統連系費用、送電線費用、デベロッパー間接費、そしてEPC・デベロッパーの純利益が含まれている。...Read More Here

October 6, 2016

米国で地域の設置事業者が扱うパネルとパワコンメーカーのトップ5は? パネルは韓国LG、パワコンは米SolarEdge社がナンバー1

Published at Nikkei Technology Online ---  現在、米Tesla社の買収で話題の米SolarCity社は、米国住宅用太陽光発電市場の販売設置量でダントツのナンバーワンである。その次はSolarCity社のように全国展開しているVivint社とSunRun社になっている。しかし、クリーンエネルギー関連のリサーチを行う米国GTM Research社によると、トップ3社の市場シェアは下がってきているという。同社のレポートによると、2014年第3四半期には53.4%あった3社合計のシェアが、2016年第1四半期には50%を切り47.5%まで下がった。

地域の事業者によるオンラインマーケット

 この背景には、地方、または地域に根付いた販売・設置事業者が成長し、シャアを伸ばしたことを意味する。

 米EnergySage社は、ネットで飛行機のチケットを買うように、「ゴー・ソーラー(太陽光発電の購入)」を手軽に行える。具体的にいうと、複数業者から見積もりを取れる便利なオンラインマーケットを提供している。同社のサイトは米国エネルギー省(DOE)からも推奨されていて、現在、米国50州中、30州に居住する太陽光発電の購入希望者とその地元の太陽光発電販売・設置事業者をつなぐマーケットとなっている(図1)。

 EnergySage社でコミュニケーションマネジャーを務めるNick Liberati氏によると、既に2万5000人以上が、このオンラインマーケットを通じて見積もりを取ったという。同社の統計によると、一件につき平均3社から見積もりを取ることが多いようだ。同社のサイトには、厳しい審査基準をクリアした、高い実績・評判を持つ地域の販売・設置事業者350社以上が参加している。しかし、米国住宅用太陽光発電市場において全国規模でビジネスを展開しているSolarCity社、Vivint社、SunRun社などは参加していない。

 同社は半年毎に、収集した見積もりデータを分析し「ソーラー・マーケットプレイス インテリ・レポート」として発表している。ここで興味深いのは、全国レベルで展開しているSolarCity社、Vivint社、SunRun社などのデータが含まれていないので、今後成長すると期待されている地域に密着した、または地方で強い中小規模の事業者の傾向が分かることだ。...Read More Here
地域の販売・設置事業者が取り扱うトップ5パネルメーカー
(出所:EnergySage社)

September 29, 2016

米太陽光発電市場は安泰!?、パネル価格は40セント/W! 北米「ソーラー・パワー・インターナショナル2016」レポート

Published at Nikkei Technology Online ---  北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2016」(2016年9月12~14日)がネバダ州ラスベガスで開催された。

会場にマイクログリッドを設置

 スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)で共催するイベントは今年で13年目になる。今回は国内外から1万8000人以上が参加し、「ここ5年で最高の参加動員数です」と、SEPAで最高経営責任者を務めるJulia Hamm氏は語った。これは世界における米国市場への関心の高さを意味する。

 今回の総出展社数は650を超え、うち80社は蓄電池に関わる会社であった。蓄電池の出展社とセミナーの数が充実する中、今回は初めてマイクログリッドの特別展示とセミナーコースも加わった。会場外の駐車場には「ライブ(実際に稼働している)」マイクログリッドシステムが設置され、イベントの一部の電力消費量を賄った(図1)。

「Solar Power International 2016」(出所:SeaMove Media)

ITCの延長で安堵感広がる

 昨年のSPIでは、2016年末に打ち切られることになっていた「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる「再生可能エネルギー導入投資税控除(連邦政府政策)」の延長を国会に訴える活動と、「延長されなかったら?」という不安で、どことなく緊張感が漂っていた。

 SPIから3カ月後の12月に、米連邦議会がITCの5年間延長法案を可決し、米国太陽光発電産業は2017年以降、市場が冷え込むという悲観シナリオから免れ、関係者の間に安堵感が広がった。こうして迎えた今年のSPIは、昨年のような緊張感はなく、今までの大きな達成感と今後の飛躍に向けた「セレブレーション」的ムードがあった。

September 13, 2016

米リーディングカンパニー、再エネ購入量で電力会社を上回る! 「再エネ100%」目標を掲げる一般企業が続々

Published in Nikkei Technology Online ---  米国では州政府、または地方自治体レベルで「再生可能エネルギー100%」の目標を掲げることが年々増加している。ここにきて、企業レベルにもこのトレンドが飛躍的に広がっている。

米国のトップ企業の多くが「再エネ100%」を掲げる

 Google、Microsoft、HP、AdobeなどのIT関連企業、一般消費財メーカーのP&GとJohnson & Johnson、米国最大のディスカウントストアーのWal-Mart Stores、スポーツブランドのNike、コーヒーチェーン店のStarbucksなど、業界を超えた米国のリーディングカンパニーが、全ての使用電力を再生可能エネルギー100%で賄う「RE100%」を公約している。

 「100%」という目標でなくても、フォーチュン100(米国フォーチュン誌が年1回編集・発行する、総収入に基づいた全米上位100社のランキング)のなんと約3分の2、そしてフォーチュン500(全米上位500社)のおよそ50%が、再エネ購入を積極的に含む「サステイナビリティ目標」を掲げている。

これまで再エネ導入の牽引役はRPSだったが…

 今までの米国の太陽光発電を含めた再エネ導入の主要な牽引役はRPS(再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準=Renewable Portfolio Standard)だった。RPSは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネから供給することを義務付ける制度である。RPSは州レベルで法律化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く米ローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)のレポートによると、2000年から2015年の間、RPS用に57GWの再エネ(太陽光発電、風力など)が新規導入された。

 風力は今までRPSを満たすために導入された再エネの中で64%という最も大きなシェアを占めている。2010年から徐々に太陽光発電の導入が拡大した。2015年単年においては、太陽光発電はRPS用に建設された再エネの中で69%を占め、風力を抜き、群を抜くトップとなった。...Read More Here
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory
「U.S. Renewables Portfolio Standards, 2016 Annual Status Report」)

September 8, 2016

連邦政府お墨付き287MWのメガソーラー計画を自治体が否認 オオツノヒツジを守るため、建設は暗礁に?

Published at Nikkei Technology Online ---  米国カリフォルニア州サン・バーナディノ郡政執行官議会は、出力287MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設を反対多数で否決した。

オオツノヒツジを移動を妨げる?

 このメガソーラーは「ソダ・マウンテン」プロジェクトと呼ばれ、カリフォルニア州南東部に位置するジョシュア・ツリー国立公園とデスバレー国立公園の入り口付近で、米国内務省土地管理局(Bureau of Land Management:BLM)が所有・管理する約2000エーカーに及ぶ土地に計画されている。

 今回のサン・バーナディノ郡政執行官議会では、(1)カリフォルニア州政府用の環境影響評価への認定、(2)工事中に出る砂埃を抑えるためにまく水(井戸水)へのアクセスの承認を可決するものであった。同議会は、「昔のまま変わらない砂漠地帯を劣格化させるだけでなく、地元の住民には全く利点がない」と、「ソダ・マウンテン」プロジェクト用の2つの認定を拒否した。

 否認の理由には、ビッグホーンと呼ばれるオオツノヒツジ(大角羊)の保護が含まれる。国立公園内と付近には過酷な砂漠環境に適応したオオツノヒツジを含む多くの動植物が生息している。

メガソーラー計画地に生息するオオツノヒツジ
(出所:California Department of Fish and Wildlife)

 「ソダ・マウンテン」設置サイトは、オオツノヒツジが夏から冬にかけて移動するデスバレーとナバホ砂漠の間にあり、移動の小道をふさぐことは、オオツノヒツジの生息を脅かすとの指摘もある。住民の一部、環境保護団体、国立公園愛好家、生物学者、さらに付近にある商工会などから大きな反対を受けた。

連邦政府「オーケー」、地方自治体「ノー」

 連邦政府の公用地に計画されているこのメガソーラーは、最初は2557エーカーで357MWの規模が予定されていた。しかし、オオツノヒツジを含めた環境保護、そして国立公園の景観保全のため、昨年6月に、287MWに規模を縮小され、その後BLMから連邦政府用環境影響評価の認定を受け、建設にも「GO」サインが出された。

 このメガソーラーのプロジェクトディベロッパーは、カリフォルニア州メンロー・パークに拠点を持つRegenerate Power社である。。。。Read More Here

August 28, 2016

米加州水道局、全米最大規模の浄水場に追尾型メガソーラー 再エネ導入で持続可能な「水の供給」実現

Published at Nikkei Technology Online ---  8月6日に、米カリフォルニア州のメトロポリタン水道局(the Metropolitan Water District of Southern California)は、出力3MWの自動追尾式太陽光発電システムの運転を開始したと発表した。

 メトロポリタン水道局は、南カリフォルニアの6郡に及ぶ1900万人に1日15ガロンの水を供給する。ロサンゼルスに拠点を持つ同水道局の年間電力消費量は小さな市の消費量にも匹敵する。

 同水道局が排出する温室効果ガスは、その95%が浄水、配水、そしてオフィス運営の電力使用から排出されている。そのため温室効果ガスの削減には、同水道局の電力消費を見直すことが必須となる。太陽光発電の導入は、その大きな一歩となる。

 ラ・べルネ地区の「ウエイマウス浄水場」に、1万780枚の太陽光パネルを使って出力3MWの1軸追尾型太陽光発電システムが導入された(図1)。年間予想発電量は約650万kWhに及び、同浄水場の約半分の電力需要を賄う。ウエイマウス浄水場は1日約5億2000万ガロンの水を浄化処理する、全米で最大規模の浄水場である。...Read More Here

全米最大規模の浄水所に導入されたメガソーラー
(出所:the Metropolitan Water District of Southern California)

August 26, 2016

Japan’s First Floating Solar System with Microinverters Installed on an Irrigation Reservoir

Published at RenewableEnergyWorld.com --- On a farming reservoir in Fukuoka City, Fukuoka prefecture, 1,200 photovoltaic (PV) modules cover the water surface to generate electricity and additional revenues for the city. Many floating solar systems have been developed in Japan, but this 300-kW system, which became operational this July, is a bit different. This is the nation’s first floating solar system equipped with micro inverters.

Due to the steep topography, rivers are short in Japan; water flows out rather quickly to the sea. For this reason, a great number of reservoirs have been created for farming irrigation, specifically for rice paddies. It is estimated that there are over 190,000 reservoirs throughout Japan. Fukuoka city is not an exception. The city located on the island of Kyushu, the most southwesterly of Japan’s four main islands, has over 300 irrigation reservoirs.

Local governments maintain and operate these reservoirs, and they have been finding a way to reduce the cost of managing reservoirs. Floating solar systems can provide a viable solution: local governments can generate extra revenue by leasing the surface of reservoirs.

According to a city official at the Fukuoka City’s Department of Agriculture, Forestry, and Fisheries, last July the city issued a proposal for reuse options and a lease for a city-owned reservoir as part of a plan for effective utilization of the city’s assets....Read More Here

Japan’s first floating solar system with microinverters on Irrigation Reservoir
Credit: NEP Microinverter, Inc.

August 24, 2016

ハワイ州では「ソーラー・プラス・バッテリー」が電気料金より安い! 蓄電池を併設した分散型太陽光が米国で急成長

Published at Nikkei Technology Online ---  米Tesla社が米SolarCity社を合併するニュースが業界を騒がしている。これは、米国で今後、「ソーラー・プラス・バッテリー(分散型太陽光発電と蓄電池)」市場が大きく成長していくことを意味する。

「ビハインド」は前年比3倍に急伸

 米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のGTM Research(以下GTM) 社によると、今年第1四半期 (1~3月)における米国エネルギー貯蔵 設置容量は前年同期比127%増の18.3MWと、大きく拡大した。

 特に成長した分野は、「ビハインド・ザ・メーター(behind-the-meter)」と呼ばれる電力消費者の電気メーターの背後に設置される蓄電池である。これらの蓄電池は主に分散型太陽光発電と併設され、電力消費者サイトで発生した太陽光発電の余剰をグリットに流さずに貯め、自家消費用に使うものである。

 「ビハインド・ザ・メーター」に対する概念は「フロント・オブ・ザ・メーター (Front of the Meter)」と呼ばれ、主に電力会社などの電力供給側に設置された蓄電池を示す。GTM社によると、フロント・オブ・ザ・メーター側の設置容量は、前年同期比で2倍に拡大したが、ビハインド・ザ・メーターは前年同期から3倍とさらに大幅に成長した。これは、州政府の分散型電源の大量導入による制度改革を反映している。... Read More Here

Tesla社のパワーウォール (Powerwall)と合わせたセルフ・サプライ用システムを設置するSunrun社
(出所:Sunrun社)

August 1, 2016

分散型太陽光の拡大で「消費者が力をつける」時代に (北米「インターソーラー2016」レポート(後編))

Published at Nikkei Technology Online --- 今年で9年目を迎える太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2016年7月11~13日)が、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。
 今回のイベントでは、これからの太陽光発電と蓄電池を含む分散型電源(Distributed Energy Resources:DER)の導入拡大とグリッド(送配電網)との統合などに関する話題が多くの講演で取り上げられた。

電力の消費者がアクティブな役割を果たす

 米国の住宅用太陽光発電市場でリーディングカンパニーである米Sunrun社の創業者兼最高経営責任者(CEO) Lynn Jurich氏が、イベントのオープニングセレモニーで基調講演を行った。米Sunrun社は、住宅用のみに特化したターンキープロバイダーで、累計30億米ドル以上の住宅用太陽光発電システムを全米15州で売り上げた。リースなどのファイナンスを含めて提供している。
 Jurich氏は、「パワーセクター:電力消費者が力をつける時代」と題し、分散型電源のグリッドにおける利点について講演した。これは電力の消費者(需要家)が電力会社から電気を購入するだけの一方通行で受動的な立場から、太陽光発電、蓄電池などの分散型電源を利用して、発電や売電などもっとアクティブな役割を電力市場で果たすことを意味する。
 「消費者が自ら『決定する力を持つ』時代が到来しました。消費者は自分が購入する、または選択するサービスに対してコントロールを欲するようになり、ビジネスセクターは消費者のニーズを理解しない限り、顧客を獲得できません」と、Jurich氏は語った(図1)。
図1●北米インターソーラーのオープニングセレモニーで基調講演を行う
米Sunrun社の創業者兼最高経営責任者(CEO) Lynn Zurich氏
(出所:Solar Promotion International GmbH・July 2016)

将来膨れ上がる電力インフラへの総投資コスト


次にJurich氏は、将来膨れ上がる電力インフラへの総投資コストについて話した。米国研究機関The Brattle Groupによると、1989~2009年の20年間における電力インフラ(発電、送・配電網)に対する投資は5230億米ドルであった。これに続く20年間(2010~2030年)には、なんと約3倍の1兆5000億米ドルに膨れ上がると予想されている...Read More Here

July 21, 2016

蓄電池は太陽光の強壮剤! 分散電源が電力市場変える: 北米「インターソーラー2016」レポート

Published at Nikkei Technology Online ---  今年で9年目を迎える太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2016年7月11~13日)が、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。

蓄電池の展示会と同時開催に


 今回のイベントは、蓄電池およびエネルギー貯蔵システムの展示会である「ees (electrical energy storage) North America」と同時開催となった。背景には、太陽光発電の大量導入で論議を呼んでいるネットメータリング制度の改正・廃止など、太陽光を巡る大きな環境変化がある。

 両イベントは、3日間の専門セミナーと展示会・技術講演会で構成され、約500社が出展し、来場者数は1万8000人を上回った(図1)。

図1●カリフォルニア州、サンフランシスコで開催された北米インターソーラー。
今年はエネルギー貯蔵システムの展示会eesと同時開催
(出所:Solar Promotion International GmbH・July 2016)

 イベントのキーワードは、「Storage(蓄電池)と太陽光発電を含むDER(分散型電力資源:Distributed Energy Resource)のグリッド・インテグレーション(系統への統合化)」である。

 従来、電力会社が独占し、一方通行だった発電と電力販売のビジネスがどのように多様化していくのか。大量導入されるDERを各電力会社のグリッドに組み込んで統合し、需給バランスを維持しつつ、いかに新しいビジネスを生み出すか、こうした問題意識がディスカッションのポイントとなった。

米国蓄電池市場は2021年には9倍に拡大


 米国エネルギー貯蔵システム協会(Energy Storage Association)でディレクターを務めるJason Burwen氏は、「米国蓄電池市場は2021年には2GWを超え、2015年から9倍に拡大する」と語った。

 さらに、2021年には需要側(配電網)に設置される蓄電池は送電網側に設置される蓄電池容量に匹敵するとも言う。....Read More Here

July 19, 2016

アメリカで電力小売り自由化が人気!

Published at Solar Journal:
日本では今年4月に電力小売り全面自由化が始まったが、米国では1990年代に自由化が始まっている。開始して20年程が経つ米国では、どのようなサービスが登場し、消費者はいかに電力会社を選択しているのか。米国の現在の様子から、日本の市場の行方を見る。

州レベルで電力自由化が実施される米国

現在50州中14州およびワシントンDCで電力小売の全面自由化を実施中である。電力の規制が国レベルではなく州レベルで可決される米国では、自由化をしている州もあれば、しない州、さらにカリフォルニア州のように自由化を試みたが失敗し、自由化が「保留」になっている州も存在する。
小売り自由化されている市場で最も規模が大きいのはテキサス州で、次いでオハイオ州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州など東海岸の州がトップを占める。

太陽光100%の電力プランで地域貢献

テキサス州オースティン市に拠点を持つGreen Mountain Energy 社は、1977年より再生可能エネルギーの小売販売を始めた。
同社は現在自由化を実施しているテキサス、ペンシルベニア、ニューヨークを含む7州で電力小売り販売を行っている。
同社が提供する電力プランの中で最も人気を博しているのが、太陽光発電で作った電気だけを買うことができる、「SolarSPARC(ソーラースパーク)」というプランだ。契約者が家庭の電力消費を太陽光発電の電力で1%賄えるだけではなく、地域への太陽光発電設置の導入も促進する。
Green Mountain Energy 社はSolarSPARC の契約数ごとに、毎月4米ドルを寄付して積み立てており、その寄付金で6ヶ月ごとに、新しい太陽光発電施設を地域に設置する計画になっている。
つまり、契約者が多ければ、より多くの、またはより大きな太陽光発電施設を設置できるというわけだ。...Read More Here

July 14, 2016

分散型太陽光発電の大量導入が引き起こす「デス・スパイラル」、「ネットメータリング」改正を巡る論争の焦点に

Published at Nikkei Technology Online ---  米国では、太陽電池などのコスト低下、第3者所有者モデルを含むイノベーティブなファイナンシングオプションの普及、さらに、再生可能エネルギーの導入政策の進展により、住宅用などの分散型太陽光発電システムの導入が加速した。

 導入政策の1つが「ネットメータリング制度」で、太陽光の発電分を電力購入単価と同額で相殺し、電気料金を削減できる州レベルの制度である。この経済効果は大きく、太陽光の普及促進に重要な役割を果たしてきた。しかし、普及が進むにつれ、電気料金支払い時に生じる「経済的不公平」への懸念が、ここ数年、米国で議論されている。

ネットメータリングが生む「不公平」


 「経済的不公平」は以下のように生じる。自産自消を促進する分散型太陽光発電システムの導入が増えるにつれ、電力会社の販売する電力の総量は減っていく。電力を利用した量ごとにチャージする「電力量料金(従量料金)」収入が減る。

 ゆえに、電力量料金の一部である送配電網のメンテナンスなどを含む固定費を回収するベースが小さくなる。そこで、固定費を回収するため、電力会社が電気料金の値上げに踏み切った場合、太陽光発電を所有しない電力需要家の負担が相対的に大きくなる、というものだ。

 このような懸念から、ネットメータリング制度の改正と電気料金制度の変更が、電力会社と太陽光発電産業の間で大きな論点となっている。固定費回収のための値上げ、またはネットメータリングの買取価格を小売り同等ではなく、需要と供給に合わせた時間帯別単価を適応する、というものである。

固定費回収が引き起こす「デス・スパイラル」


 これら二つの料金制度はどのように今後の太陽光発電導入に影響するのか?

 この論点をカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く米ローレンスバークレー国立研究所(LBNL:Lawrence Berkeley National Laboratory)が定量分析で検証した。その結果は昨年、「ネットメータリングと市場フィードバックのループ:電気料金制度改正が与える分散型太陽光発電導入への影響の検討(Net Metering and Market Feedback Loops:Exploring the Impact of Retail Rate Design on Distributed PV Deployment)」と題したレポートに発表された。...Read More Here

July 1, 2016

300軒分の住宅太陽光と蓄電池で「仮想発電所」を構築, NYの大手電力が「クリーンで災害に強い」新サービス

Published at Nikkei Technology Online --- 電力大手と太陽光パネル、蓄電池メーカーが連繋

 米ニューヨーク州の大手電力会社 Consolidated Edison(以下Con Ed)社は、1500万米ドルを投じ、「仮想発電所(バーチャルパワープラント:VPP)」のパイロットプログラムを開始すると発表した。米SunPower社と米SunVerge社とのパートナーシップのもとで実施する。
 同プログラムでは、ニューヨーク州の「エネルギービジョンの改革(REV)」の一部で、同州ブルックリン市とクイーンズ市の家庭約300戸に高効率太陽光発電システムと定置型Liイオン蓄電池を設置し、Con Ed社が「仮想発電所」として制御する。
 多数の小規模太陽光発電と蓄電池をアグリゲーション(集約・統合管理)することにより、非常時のバックアップ用途だけではなく、グリッド(電力系統)の復元力、信頼性、そしてサステナビリティの改善を目指す。
 「仮想発電所」とは、送配電系統の需給に合わせ、太陽光や蓄電池などの分散電源をあたかも一つの発電所のように群制御することで、需給バランスを最適化する次世代型の電力ビジネスモデルである(関連記事)。Con Ed社では、従来のエネルギー供給モデルを補い、経済的、効率的、そしてイノベーティブな仮想発電所の提供を目指す。

需給ミスマッチを蓄電池の「放電」で最適化

 ニューヨークでは2014年の1年間で過去の累計設置容量を上回る勢いで屋根置きの太陽光が設置された。太陽光の導入拡大は温室効果ガスの削減と大気質の改善に大きく貢献することは間違いない。
 ただ、Con Ed社のサービス管轄内では、太陽光発電による電力供給のピーク時間帯と電力需要のピーク(午後5時以降)が異なっている。従って、夕方から夜にかけては、化石燃料を燃やす火力発電に依存することになり、太陽光によるクリーンな電力を送配電網の貴重な資産として最大かつ最適に活用できない(図2)。
図2●Con Ed社のサービス管轄内に設置された太陽光発電システム(白丸)と電力需要:
青色は日中の電力需要がある地域を示し、黒色は電力需要が夕方・夜に起こる地域を示す。
太陽光発電と需要ピークのミスマッチがわかる(出所:Consolidated Edison社)

June 14, 2016

米陸軍、基地内のメガソーラーで、エネルギー安全保障を強化 民間企業と連携し、再エネ主体のマイクログリッド構築

Published at Nikkei Technology Online ---  今年6月初め、米国ジョージア州西部にある米軍最大の歩兵部隊駐屯地フォートベニング(Fort Benning)基地に連系出力30MW(パネル容量42MW)のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が運転を開始した。

2025年までに1GWの再生可能エネルギー導入

 米陸軍機関は2025年までに1GWの再生可能エネルギーを導入する目標を掲げており、今回のメガソーラーはその実現に向けた取り組みの一つである。
 目標達成のため、陸軍エネルギーイニシアチブオフィス(the Office of Energy Initiatives、以下OEI)は、民間出資による10MW以上の大規模な再エネプロジェクトを開発して遂行、そして監督する。
 エネルギー確保と、その安全保障の強化は、陸軍本来のミッションを達成する能力と効率を高めるために欠かせない要素となる。そのため再エネは、陸軍のエネルギー安全保障戦略において重要な位置付けにある。OEIが現在、開発中の大規模な再エネプロジェクトは、すでに「1GWゴール」の30%以上を占める(図2)。
図2●米陸軍のメガソーラー導入状況。
緑色=運営中のメガソーラー、黄緑色=建設中、
黄色=契約・同意、青色=評価中、そして、灰色=高潜在度プロジェクトを示す
(出所:the Army Office of Energy Initiatives)
民間企業が基地内のメガソーラーを所有し運営も担う

 現在、陸軍基地に導入されているメガソーラーは、アリゾナ州フォートフアチュカ (Fort Huachuca) 基地内にある。地元の電力会社Tucson Electric Power(TEP)社が開発・運営する連系出力18MWの発電設備で、2014年の12月に完成した。メガソーラーはこの基地の約25%の電力需要を賄っている。陸軍はTEP社と30年間の電力購入契約を結んでいる。
 フォートベニング基地に竣工したばかりの連系出力30MW(パネル容量42MW)のメガソーラー、さらに同じジョージア州に建設中の2カ所の連系出力30MWのメガソーラー(フォートゴードンとフォートスチュアート)も、陸軍基地内に設置する。...Read More Here

June 9, 2016

米ラスベガス市、2017年に電力需要を「再エネ100%」に 目標達成に向け100MWのメガソーラー建設、街頭や市庁舎などに活用

Published at Nikkei Technology Online ---  ブラックジャック、ポーカー、ルーレット、そしてスロットマシーンと、夜も昼も24時間、カジノは休むことを知らない。巨大なカジノホテルは広大なテーマパークを備え、まばゆいばかりのネオンでライトアップされている。

 「常にきらびやかな不夜城では、どんなに電気が消費されるのか?」と、疑問に思わずにはいられない。周り一帯は乾燥地域で、「砂漠のオアシス」のようなラスベガス。そんなラスベガス市が実は再生可能エネルギー100%を目指しているのだ。

 今年4月に米Environment California Research & Policy CenterとFrontier Centerが共同で制作した「2016年:輝く市(Shining Cities 2016)」というレポートが発表された。そのレポートには2015年における米国太陽光発電の導入量の大都市(メトリポリタン)別ランキングが取り上げられている。ラスベガス市は、何とカリフォルニア州のサンフランシスコ市を抜き10位にランキングされていた。

Credit: the City of Las Vegas
都市別太陽光発電導入量でトップ10入り

 同レポートによると、ラスベガス市は公共用建物、コミュニティセンター、消防署、公園などの市所有の建物に合計6.2MW分の太陽光発電を導入済みである。 さらに(市内における)一人当たりの太陽光発電平均導入量は94Wで7位にランキングされている。ちなみに、1位はハワイ州ホノルル市の417Wになっている。

 昨年11月にラスベガス市は、「電力を再エネ100%で賄う」という目標を立て、2017年1月までに移行する予定であると発表した。同市が再エネで賄おうとする電力は、街路灯、公園、公共センター、消防署、作業所と、同市が所有する公共建物になる。今年の3月16日のアースデイ(地球の日)には市役所を含む公共建物の電源を一斉に切り、同市のサステイナビリティに対する大きな貢献を示した。

 今年初めに同市は、ネバダ州の地域独占電力NV Energy社とパートナーシップを組み、さらなる再エネ導入を目指す。このパートナーシップとは、同市の運営に関わる電力の一部を地元の太陽光発電で賄うというものだ。この太陽光発電とNV Energy社で供給される再エネ電力を合わせると、同市の消費する電力の100%を再エネで賄える。Read More Here

May 30, 2016

米大手電力、世界最大のデータセンター向けに「100%再エネ」プラン 環境目標を掲げる大規模需要家の“離脱”を阻止

Published at Nikkei Technology Online --- ネバダ州と言えば、広大な自然からなるグランドキャニオンとカジノの「眠らない街」ラスベガスの2つの観光スポットで有名である。そんなネバタ州をサービス管轄にする大手電力会社NV Energy社が、「100%再生可能エネルギー」電力プランの提供を開始した。背景には、地球温暖化対策と持続可能な社会の構築を目標に掲げる大規模電力需要家に対し、二酸化炭素の削減目標をサポートする狙いがある。


 家具世界大手のイケアを始め、ナイキ、グーグル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スターバックス、ウォルマートなど、世界的なリーディングカンパニーは地球温暖化対策の1つとし、全ての事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標と掲げている。これらの企業は目標を達成するために、屋根置き太陽光発電などの分散型発電をオフィス、または工場などに設置したり、メガソーラー(大規模太陽光発電所)のディベロッパーと長期電力購入契約を結んだりするケースがある。
 米国ネバダ州ラスベガスに拠点を持つSwitch社も例外ではない。同社はSUPERNAPと呼ばれるデータセンターの開発・運営とコロケーションなどのサービスも提供している。膨大な電力を使用し、1000以上のクライアントのミッションクリティカルなビジネスをサポートする。
ネバタ州レノに計画中のSwitch社のSUPERNAPデータセンター(出所:Switch社)

データセンターの電気を再エネ100%に
 同社は現在、ラスベガスで9つのデータセンターキャンパスを運営しており、総面積151万926平方フィートになる。さらに3つのデータセンターを建設している(総面積119万8348平方フィート)。また、ネバタ州北部に位置するレノではデータセンターキャンパスを建設中(総面積120万947平方フィート)で、さらに6つのデータセンターキャンパス(総面積528万6294平方フィート)の建設を予定している。
 レノのデータセンターが完成すると、世界最大のデータセンターになる(図2)。ちなみに、出品・販売・輸出できるオンラインマーケットプレイスを提供する米EBay社はレノのデータセンターの新顧客である。..Read More Here

May 11, 2016

サンフランシスコ市、米大都市初の「新築にソーラー設置」を義務化 2020年までに再エネ100%を達成するためのステップ

Published at Nikkei Technology Online ---  4月19日、サンフランシスコ市管理人委員会(The San Francisco Public Utilities Commission)は、10階以下の新築の住宅用と産業用建物にソーラー(太陽光発電または太陽熱温水器)を設置することを義務付ける条令を可決した。

 太陽光発電導入量で米国ナンバーワンのカリフォルニア州では2つの市(ランキャスターとセバストポリ)が類似した条令を既に定めているが、メトロポリタン(大都市)レベルでは、サンフランシスコ市が米国で最初になる。

 この新しい条令は、同市の「電力消費量の100%を2020年までに再生可能エネルギーで賄う」という目標を達成するための、1つのステップとも言える。



「設置スペースの準備」から「設置義務」に

 カリフォルニア州では既に、10階以下の新築の住宅用と産業用建物に対して、建物の屋根の15%はソーラー設置用に準備を整えておくこと、という州条例が定められている。つまり、新しい建物を建築する時に、将来ソーラーが設置できるように、屋根の少なくとも15%のスペースは影や障害物をなくし、太陽光が十分にあたるようにしなくてはならない。

 サンフランシスコ市の新しい条令は、これから一歩前進して、準備を整えた屋根のスペースに初めからソーラーを設置しなければならない。この条令は、2017年1月から施行されることになる。

 この条例を提案した同市管理人委員会の一員であるScott Wiener氏は、「ソーラーの導入をさらに拡大することで、サンフランシスコ市は、地球温暖化防止と化石燃料の消費削減対策でまた全米を一歩リードすることができます。十分に活用されていない屋根のスペースを活用することは、ソーラーの導入を促進し、我々の環境を改善する、スマートで効率の良い方法です」と、条令可決の場で語った。。。Read More Here

 同自治体は「新築へのソーラー設置義務付け」に加え、再生エネ導入を拡大するために、市民が環境に優しい再エネ電力を購入できる電力小売事業も展開している。

April 24, 2016

日本メーカーが消えた、2015年太陽電池セル世界トップ10 上位10社で総出荷量50GWの半分以上を占める

Published at Nikkei Technology --- 世界ナンバーワンは2年連続でトリナ・ソーラー

 米国太陽光発電市場リサーチ・コンサルティング会社SPV Market Researchの最新レポート(The Photovoltaic Manufacturer Shipment Report:太陽電池メーカー出荷量レポート)によると、2015年の太陽電池セル(発電素子)の世界出荷量は前年比29%増の50.8GWであった。トップ10メーカーの総出荷量は全体の53%を占めた(図1)。

図1●太陽電池セルの世界出荷量推移(2010~2015年)
(出所:SPV Market Research「Annual Photovoltaic Manufacturer Shipment report」)
メーカー別に見ると、ナンバーワンは中国トリナ・ソーラー(Trina Solar)で2015年の太陽電池セル出荷量は3.63GW。首位を2年連続維持し、2015年の同社の世界シェアは7%であった。同社は今年初めにオランダの太陽電池メーカーであるソランド・ソーラー(Solland Solar)から、太陽電池製造工場など全ての資産買収を完了したばかりである。

 トリナ・ソーラーの背後に迫るのは中国JAソーラー (JA Solar)。2015年のセル出荷量は3.62GWでトリナ・ソーラーとの差はわずか14MWという僅差だった。同社はセル出荷量を2014年から29%増やし、トリナ・ソーラーとの差を縮めている。Read More Here.

April 12, 2016

「第3者所有モデル」で急成長した米ソーラーシティ社 「太陽光発電を無料で設置!」は日本で成功するか?

Published at Nikkei Technology Online ---  日本で太陽光発電のリーディングカンパニーである日本エコシステムがついに「あのサービス」を立ち上げた。「あの」とは、太陽光発電を手持ち資金なしで設置でき、自分の屋根で発電した電気を自分で使える電力小売りモデルである。

 「じぶん電力」と名付けたこの新サービスは、米国で2008年から急速に普及し始めた「第三者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」の仕組みとほぼ同じである。

 米国には、自宅に太陽光発電設備を設置して、電気料金を削減し、地球温暖化防止に貢献したいと思うものの、システムの高額な導入費と長期間に渡るシステムメインテナンスを考えると一歩踏み出せない、という電力消費者が多い。そんな消費者の要望に応えるように、太陽光発電を手軽に活用できる方法として、TPOモデルが登場した。

ニューヨーク州での「TPOモデル」浸透率は90%

 従来は、インストーラーがシステムを販売して設置し、電力消費者がシステムを(現金、またはローンで)購入、所有していた。TPOモデルの場合、デベロッパーが第三者から資金を調達して電力消費者の自宅の屋根に太陽光発電を設置し、さらに、システムから発電される電力を消費者に販売するものだ。

 消費者は大きな導入費無し、修理・メインテナンスに煩わされずに、太陽光発電の恩恵を享受できる。このモデルはシステムのリースと違い、電力売買を伴うので、電力購入契約(Power Purchase Agreement:PPA)とつなげて、TPOPPAと呼ばれることもある。

Residential PV TPO Penetration Rates by Key States, Credit: NREL

 「導入費なし」が受け、TPOはオーナー所有(現金、ローン購入)をぐんぐん抜き、2014年には米国住宅用太陽光発電市場のなんと72%を占めるまでに成長した。その設置容量は890MWに達する。TPOの貢献は大きく、米国住宅用太陽光発電市場は過去4年連続で50%の成長率を続け、2014年から非住宅用(産業・商業)市場規模を上回るまでになった。Read More Here

March 29, 2016

「ダックカーブ」改善法、大量導入した太陽光を「水、熱、氷」で蓄える 日中に電力需要をシフトし、再エネの出力抑制を回避

Published at Nikkei Technology Online ---  分散型太陽光発電システムの大量導入で、日中の電力消費量を発電量が上回り、さらに夕方の太陽光の発電が止まる頃、電力需要が急激に上昇するという現象が指摘されている。近い将来、こうした大きな需給ギャップを埋めるのが困難になるのでは、という懸念が数年前、カリフォルニア州で指摘され始めた。

ピーク需要は夕方から夜

 この現象は「ダックカーブ」と呼ばれる。2013年から2020年にかけてのカリフォルニア州における時間別「実質電力需要」と「供給量」のグラフの変化に、その現象が表れている(図1)。この場合の「供給量」とは、電力会社の大規模・集中型発電所から供給される電力量。「実質電力需要」とは、全体の電力消費量から、消費者側の配電網に接続された分散型太陽光・風力発電などの発電量を差し引いたものである。
 元々電力需要を示すグラフは朝から昼にかけ緩やかに上がる。アヒルのしっぽから背中のような曲線を表す。しかし、分散型太陽光発電の導入量の増加につれて、アヒルの背中がお腹へと逆の曲線に変わっていく。太陽光発電などの分散型発電を導入すると、家庭の電力需要は太陽光の電力で賄われるようになり、電力会社から購入する電力量が減る。つまり、分散型太陽光発電の大量導入で、昼間の「実質電力需要」が大きく下がり、この時、電力会社から供給される電力が過剰になる恐れが心配され始めた。

アヒルに飛び方を教える

 問題の一つは、太陽光発電の出力ピークが需要ピークからずれていることである。カリフォルニア州において、太陽光発電システムの発電量は、正午から午後2時にかけてピークを迎える。一方で、ピーク需要は夕方5時から夜8時ごろと、午後のもっと遅い時間に発生する。つまり、供給と需要にギャップが生じるのである。
 もう一つの問題は、需要ピークが急激に上昇することだ。昼間は太陽光発電で実質需要が最低レベルまで下がるものの、太陽光発電からの出力がなくなる夕方には、「本当の」電力需要のピークが訪れる。2020年には約13GWもの需要を、わずか3時間で急速に埋めなければならないと予想されている。

New Report by Regulatory Assistance Project

 ダックカーブ現象により、本来なら調整力として使わないベース電源による供給量を日中に減らさなければならなくなりそうだ。さらに、夕方より大きな需要の差を埋めるために、火力発電設備などの既存設備を待機しておき、出力を急激に上げるという制御が必要になる可能性がある。...See More Here

March 15, 2016

米加州の大手電力会社が「地域太陽光100%」プランを開始 メガソーラーから272MW分を調達、4万軒に供給へ

Published at Nikkei Technology Online ---  米国では電力自由化は国一斉ではなく、州レベルで実施される。カリフォルニア州は電力小売自由化を試みたものも頓挫し、同州の電力需要は主に3つの地域大手電力会社で独占されている。カリフォルニア州北部地域をサービス管轄とする大手電力会社の1つであるPacific Gas & Electric(PG&E)は、今年度の初めに、「Solar Choice(ソーラーチョイス)プログラム」と呼ばれる電気料金プランを開始した。同プランでは、購入する電気の100%が、地元の太陽光発電で発電した電力となる。
"Solar Choice Program" by PG&E
PG&Eは米国内で最大規模のエネルギー供給会社で、電力と天然ガスの両方を提供する。電力で540万軒、ガスで430万軒の契約数を持っている。サービスエリアは、カリフォルニア州の北部と中部地域となる。

 同社は太陽光発電の導入に積極的で、米国の多くの電力会社が加盟しているSEPA(Solar Electric Power Association:米国太陽発電電力協会)のデータによると、2014年の太陽光発電の年間導入量、累計導入量、年間系統連系接続数、累計系統連系接続数などで、米国でトップである(図1)。ちなみに、2014年までに同社の太陽光発電設備の累積導入量は4.6GWを超える。さらに、現時点で21万5000軒以上の分散型太陽光発電システムが同社のサービスエリア内に系統連係されている。Read More Here

March 11, 2016

Japan at the Electricity Crossroads: Nuclear Power to Lower Electricity Bills or Solar Power to Create Resiliency?

Published at Renewable Energy World --- March 11, 2016 marks the five-year anniversary of the 2011 Tohoku earthquake and tsunami, which caused catastrophic meltdowns at three reactors in the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant complex in Fukushima Prefecture. This devastating event resulted in a major change to the nation’s electricity supply market. It led to the introduction of the national feed-in tariff (FIT) program in July 2012 and historical liberalization of the retail electricity market, which will commence in April.

PV plus Storage Installed at a School, Credit: Minamisyna City

In regards to the upcoming deregulated electricity market, 210 companies have currently registered as retail electricity providers to compete against the 10 incumbent utilities, which had enjoyed the regional monopolies for several decades.

As fierce competition is anticipated, the incumbent utilities have restarted or plan to restart nuclear reactors to be cost-competitive. In fact, last year Kyushu Power Electric Company, located in the Kyushu region, restarted two nuclear reactors in Kagoshima Prefecture and, last month, Kansai Electric Power Corporation, the nation’s second largest electric provider, has restarted two reactors at Takahama Nuclear Plant in Fukui Prefecture to provide “lower rates” than those offered by new competitors.

Turning Nuclear Contaminated Town into Denuclearized Town with Renewable Energy

“I am very furious,” commented Katsunobu Sakurai, the mayor of Minamisoma City, at a press conference for the Foreign Correspondents’ Club of Japan. He is angry and frustrated that the utilities have restarted nuclear reactors since Minamisoma City, located less than 20 kilometers (12.4 miles) northwest of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, has not yet fully recovered. The city was heavily affected by the disasters which displaced 14,000 residents after the accident. It has been five years since the nuclear meltdown, however, residents of certain areas of the city have not been allowed to return since the national government has not yet lifted evacuation orders....Read More Here

February 23, 2016

誰にでも太陽光の恩恵を! 米加州が貧困層向けに300MWを設置支援

Published at Nikkei Business Online ---  ここ数年、太陽光発電システムの価格が大幅に低下したが、米国ではいまだに太陽光発電は「お金に余裕のある家庭用のもの」とされている。そんなイメージがカリフォルニア州で変わろうとしている。

 昨年10月、カリフォルニア州のJerry Brown知事は低所得世帯に太陽光発電(PV)導入を促進する米国最大規模の法律案(低所得者向け賃貸集合住宅用にソーラープログラム)に署名し、同法を成立させた。このプログラムの年間予算は1億米ドルで、10年間の実施が予定されている。

 カリフォルニア州太陽光発電産業協会(CALSEIA)でエグゼクティブディレクターを務めるBernadette Del Chiaro氏は、「この法律はカリフォルニア州にとっても重要な新しいプログラムです。なぜなら、賃貸を含めた全ての電力消費者が、汚染を出さない太陽光発電の恩恵を、住んでいる場所、または働いている場所で得られるようになります」と、語った。

Credit: Everyday Energy
このプログラムを通し、同州は、少なくとも300MWの太陽光発電システムを低所得者向け賃貸集合住宅に導入する目標を掲げている。「最低300MWです。我々はどちらかというと500MWを目指しています」と、米Everyday Energy社でCEO(最高経営責任者)を務めるScott Sarem氏は語った。同社は、カリフォルニア州サンディエゴ市に本社を置き、同州において、低所得者向け賃貸集合住宅用への太陽光発電システムの設置量でナンバーワンであり、さらにこの法律の提案書作りにも大きく貢献した。

 「このプログラムは『必要性』から生まれました」と、Sarem氏は続けた。カリフォルニア州の太陽光発電設置導入量は米国で最も多く、低所得者向けアパート用太陽光発電の補助金制度に関しても、実は前から取り入れていた。しかし、幅広く利用されず、成功を収めたとは言えなかった。.. Read More Here

February 2, 2016

California Bridges the Green Divide with Nation’s Biggest Solar Program for Low-income Renters

Published at Renewable Energy World --- Solar is not just for homeowners. The advent of community solar is now enabling those who don’t own a home to go solar and enjoy all of its benefits. But regardless of whether someone decides to own or rent, solar still seems to be for those who have a disposal income. That is, until now.

Last October, California Gov. Jerry Brown signed the nation’s largest solar bill for low-income renters. The Multifamily Affordable Housing Solar Roofs Program was created under AB693, which will dedicate about $100 million per year over a period of ten years.

“AB 693 is a very important new program for California because now, all consumers, including renters can enjoy the benefits of pollution free solar electricity generated right where we live and work,” Bernadette Del Chiaro, executive director of California Solar Energy Industries Association (CALSEIA), said.

The new program has the goal to install at least 300 MW of rooftop solar PV on multifamily affordable housing projects.

464 kW PV system on “Park Villas” Multifamily Affordable housing with 268 tenants. Credit: Everyday Energy
“[The] minimum [is] 300 MW,” Scott Sarem, CEO and Co-founder of Everyday Energy, said. “We are targeting more like 500 MW.”

Everyday Energy is a California-based solar project developer for multifamily affordable housing. The company has worked closely with CALSEIA, the California Environmental Justice Alliance (CALEJA) and Assemblymember Susan Eggman, who is the author of AB693.

“This program was born out of necessity,” Sarem said.

Although California is the largest solar state in the U.S. and has a track record of implementing solar on multifamily affordable housing, the existing program has failed to reach out to low-income renters and disadvantaged communities in California....Read More Here


January 26, 2016

The 2016 Global PV Outlook: US, Asian Markets Strengthened by Policies to Reduce CO2

Published at RenewableEnergyWorld.com --- Global solar installations will reach 64.7 GW in 2016 according to Mercom Capital Group, a clean energy communications and research firm based in Texas. “The top 3 countries will be China, U.S., and Japan and they will account for about two thirds of the global market,” said Raj Prabhu, CEO and co-founder of Mercom.

Although China is expected to continue leading the global PV market, the U.S. will show the most robust growth in 2016, due to the anticipation of the federal Investment Tax Credit (ITC) expiration, which developers and EPC had already factored into their business plans for 2016, prior to the five-year extension received at the end of 2015.

In 2016, the U.S. is set to overtake Japan as the second largest solar market, exceeding the much-anticipated 10-GW mark. Another notable shift will see India move up to the No. 4 position, pushing down the former European leaders, U.K. and Germany.

China: Remains No. 1 Market with Some Trouble Ahead

China is expected to install approximately 19.5 GW in 2016, a rise of 14.7 percent over 2015, Mercom predicts. “The country is strongly committed [to solar] because of the pollution problems. Air pollution continues to drive China’s environmental policies, of which clean power generation is a big part,” said Prabhu.

Officials from China’s National Energy Administration (NEA) are considering raising the 2020 target from 100 GW to 150 GW, which will bring about 21 GW of annual installation between 2016 through 2020. China also has pledged to reach an ‘emissions peak’ around 2030 with non-fossil fuels making up 20 percent of the nation’s energy generation mix. “All of these factors have made renewable forms of energy a vital component of the Chinese economy for years to come,” stated Prabhu.

The rapid PV deployment, however, has caused growing grid congestion problems. In addition, the nation’s economic conditions also deteriorated in 2015. “Production curtailment and subsidies continue to be the biggest challenges facing the Chinese solar industry.  Subsidy payment delays up to 18 months have been reported by solar project developers causing cash flow problems.  Some companies have reported selling out projects and stopping further project development activities as they are unable to sustain without timely subsidy payments,” said Prabhu....Read More Here

米テキサス州の電力会社が「地元の太陽光100%プラン」 地元のメガソーラーから「環境価値」を購入

Published at Nikkei Technology Online ---   日本では4月から電力小売りが全面自由化され、一般家庭の電気利用者が初めて電力を「選択」できるようになる。米国では電力自由化は国レベルではなく、州レベルで決められ実行される。米国の中で最も電力自由化が進むといわれるテキサス州で、地域の太陽光発電を100%使った地産地消を促進する電力料金プランが、初めてお見えした。

 テキサス州は電力の消費量が全米で最も多く、約378TWhに達する。この需要規模は、英国やスペインに匹敵する。同州はその消費量を賄うため発電量も多く、石油・ガス火力、さらに風力発電でも全米ナンバーワンを誇る。

 こうした巨大な電力市場を持つテキサス州では、2002年に電力自由化が実施に移された。同州の自由化は、日本でこれから行われる自由化と似ている。従来、発電と送配電設備を所有していた大手電力会社を分割し、発電会社と送配電会社に分離した。電力小売りの自由化が進むなか、送配電事業は引き続き規制の下に置かれている。

 現在、テキサス州では115社にも達する小売電気事業(REPと呼ばれる)が家庭、商業、産業向けに電力を販売している。これらの小売電気事業者は、送配電設備を所有する電力会社(全5社)の送配電ネットワークを利用して電力を供給する。...Read More Here

January 12, 2016

米加州の「ネットメータリング」制度が改正へ 再エネの普及拡大と消費者の負担、バランスはどこに?

Published at Nikkei Technology Online --- 米国市場は2015年の年末ぎりぎりに連邦政府の「再生可能エネルギー導入投資税控除(ITC)」政策延長が可決され、さらなる太陽光発電市場の成長に明るい見通しが立った。しかし、米国の太陽光発電市場をリードするカリフォルニア州において、同州の太陽光発電市場の将来を左右する重要な州レベルの制度が未解決のまま年を超えた。

 それは同州で分散型太陽光発電分野の普及を支えてきた「ネットメータリング(net-metering)」と呼ばれる制度である。「ネットメータリング」とは、分散型発電設備の所有者に対する電力料金の算定手法だ。住宅用などの分散型太陽光発電システムの発電量から、電力消費量を差し引いて余剰電力量が発生した場合、余剰分を次の月に繰り越せる、つまり、消費量を発電量で「相殺」する仕組みである(図1)。

図1●ネットメータリング制度を利用する住宅用システム。出力7.6kW(出所:Sullivan Solar Power)
この制度では、ネットメータリングの総設置容量に関し、法律で上限を定めている。上限は、「キャップ(CAP)」とも呼ばれる。ネットメータリングを活用する分散型太陽光発電システムの総設置容量が、キャップに達すると、電力会社は同システムの設置を基本的に拒否できるようになる。カリフォルニア州ではこの上限に近づいており、2015年に電力会社と太陽光発電を推進する企業やサポーター(支持者)間で同制度をめぐる論争が一段と激しくなった。

 現在のネットメータリング制度は、発電量1kWhは電力購入の小売価格と同等で取り扱われていたが、カリフォルニア州の大手電力会社は「余剰電力買い上げ価格を下げる」、または「太陽光発電システムの所有者に特別の料金を課す」との方針を申請した。...Read More Here