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April 26, 2021

米加州「2045年ゼロカーボン電力」、達成には太陽光100GW新設 運輸と建物の電化で電力需要は3倍を想定

Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business


すでに再エネ比率は33%超

 米カリフォルニア州は、多くのプログラムを通じて、クリーンエネルギーの未来に向けて取り組んでいる。例えば、再生可能エネルギーやエネルギー効率・省エネのほか、化石燃料資源からの脱却に必要なエネルギー貯蔵技術の促進などで、すでに大きな成果を上げている。

 2020年時点で同州の電力供給全体に占める再エネの比率は既に33%を超えており、発電に伴うCO2排出量は1990年比で43%減少している。

 クリーンエネルギーへの転換をさらに加速するため、2018年9月カリフォルニア州で「2045年までに100%ゼロカーボン電力」を目指す上院法案「100(SB100)」が可決し、法律となった(図1)。

図1●カリフォルニア州が2045年までにクリーン電力100%を達成するプロセス
(出所:CEC)


具体的に、SB100には、以下のような目標設定などの内容が盛り込まれた。

 (1)2045年までに、温室効果ガスを排出しない太陽光や風力を含む再エネとゼロカーボンの資源で、カリフォルニア州で販売されるすべての電力を賄う

 (2)2030年までに、カリフォルニア州の電力の少なくとも60%を再エネで供給することを義務付ける州の再エネポートフォリオ基準(RPS)を更新

 (3)100%クリーンな電力を達成するため、カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)、およびカリフォルニア州大気資源局(CARB)は、(各機関の)既存の法律に基づくプログラムを使用して、2021年まで、およびその後4年ごとにSB100に関する共同方針レポートを発行する

 今年3月に、SB100に基づき、CEC 、CPUC とCARB の3つの機関は、SB100を実施する際の課題と機会を評価するための第一ステップとし、「2021 SB 100合同機関レポート」を発表した。

 同レポートでは、100%クリーン電力を達成するために必要な追加的資源と資源の設置導入量の初期評価、及び関連するコストが含まれており、様々なコンディションとテクノロジーのもとで、これらの要因が分析されている。

「電化」推進で経済全体を脱炭素化

 ところで、「2045年までに100%ゼロカーボン電力」と聞くと「現在」供給されている小売電力のゼロカーボン化と思えるかもしれないが、実は、脱炭素のターゲットはそれだけに留まらない。

 同州のジェリー・ブラウン前知事は2018年に、SB100成立に加え、2045年までにカリフォルニア州の経済全体をカーボンニュートラルにする方法を検討するよう州当局に指示する州知事命令に署名した。つまり、この命令は、カリフォルニア州の電力部門だけでなく、運輸や製造業など、その他の部門でのCO2排出量を削減する変革、つまり電化への移行が考慮されるのである。..Read More Here

April 19, 2021

風力と太陽光で2035年に「1100 GW」、電力部門の脱炭素に現実味 米カーボンニュートラル戦略、変動性再エネと蓄電池を大量導入

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CO2排出量は予測値から半減

 温暖化ガス削減を目指し「カーボンフリー」「カーボンニュートラル」という言葉が、企業、市町村などの地方自治体、州、そして連邦政府で頻繁に使われるようになった。実際、バイデン新米国大統領も、「2035年までに100%カーボンフリー・エネルギー」という野心的な目標を設定し、気候変動対策に乗り出している。

 そんな中、今月米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、「ゼロまで道半ば:エネルギー(電力)部門のカーボンフリーへの進展」と題するレポートを発表した。

 タイトルから、「米国はカーボンフリーまでもう半分達成したのか?」と疑問に思い、同レポートの筆者でLBNLのシニア・サイエンティストを務めるライアン・ワイザー氏に質問してみると、「『ゼロまで道半ば』とは、2020年の(電力部門における)実際の温暖化ガス排出量が、以前に予測された2020年の排出量より52%少なかったことを意味する」との回答だった。

 ちなみにこの場合の予測値は、平常状態が惰性的に続く「なりゆき(Business As Usual=BAU)シナリオ」を採用している。

 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が発表した「2005年(米国)年次エネルギー見通し」では、2020年の電力供給からの年間CO2排出量は、BAUシナリオで3008 MMT(百万メトリックトン)になると予測されていた。しかし、実際、2020年の電力部門からのCO2排出量は1450 MMTに留まり、ワイザー氏が言ったように、予測より52%、つまり半分に減った(図1)。...Read More Here

図1●電力部門での「BAUシナリオ」によるCO2排出量予測(グレー色面)と実際のCO2排出量(薄緑色面)
(出所:LBNL)


April 5, 2021

「原発」跡地に690MWのメガソーラー建設へ、蓄電池を併設 2050年までに太陽光は原子力を上回り主要電源に

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 米アイオワ州にある、同州で唯一だった原子力発電所の跡地に出力690MWものメガソーラー(大規模太陽光発電所)開発プロジェクトが着々と進んでいる。

 米国中西部は「コーンベルト」と呼ばれ、トウモロコシが主要作物として盛んに生産されている。米西部に位置するアイオワ州は、その中心地であり、米国の燃料エタノール生産能力の4分の1を占める米国の主要なバイオエタノール生産地でもある。

 トウモロコシ由来のバイオエタノール、バイオディーゼルだけでなく、発電分野でも再生可能エネルギーの導入量が多い。実は、アイオワ州は、これまで米国でメガソーラーなどの大規模再エネ発電所の普及を牽引してきた「再生可能エネルギー・ポートフォリオ・基準(RPS)」制度の法案を全米で最初に成立させた州である。1983年のことだ。

 米エネルギー省・エネルギー情報局(EIA)によると、2019年のアイオワ州における総発電量のうち、5分の2以上は再エネで、そのほとんどが風力発電である。事実、同州はテキサス州とオクラホマ州に次ぐ米国で第3位の風力発電導入量を誇る(図1)。

図1●アイオワ州は米国の州別風力発電導入量で3番目
(出所:Iowa Farm Bureau)

太陽光では出遅れ

 しかし、太陽光発電の導入量では、大きく遅れている。米太陽光エネルギー協会(SEIA)によると、同州における2020年までの太陽光発電の累積導入量は、わずか287.8MWに過ぎない。米国における州別導入量での順位は35位に留まる。だが、2023年には太陽光の順位も飛躍するかもしれない。

 太陽光の躍進を予感させる話題の1つに、米ネクステラ・エナジーが、アイオワ州パロ郡の「デュアンアーノルド原子力発電所」跡地にメガソーラーを建設すると発表したことがある(図2)。...Read More Here

March 8, 2021

「カーボンゼロ」に本気の米電力、「系統蓄電池」導入を加速 「資源総合計画」で上積み、蓄電池市場は「転換点」、1GW超に

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世界最大のエネルギー貯蔵設備

 世界が温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンゼロ社会」に向けて動き出している。米カリフォルニア州では、「2045年までに電力供給の100%をゼロエミッション電源とすること」を2018年に義務付けた。これに伴い、2045年までにすべての天然ガス火力を廃棄することになっている。

 天然ガス火力の代替に太陽光発電など再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大し、温室効果ガスを排出しない電源システムへの移行が必要になるが、その成功には、エネルギー貯蔵設備の普及が重要な鍵を握っている。

 昨年12月カリフォルニア州サンフランシスコの南約200kmに位置する港町・モントレー郡で、世界最大規模のエネルギー貯蔵プロジェクトが稼働した。「モス・ランディング・エネルギー貯蔵施設」と呼ばれるこのプロジェクトの出力は300 MW、容量1200 MWhに達する。敷地内にある火力発電所用に設置されていた変電所と送電インフラに接続されるだけでなく、この発電所から送られる電力サービスも代替し、クリーンエネルギー転換に貢献する(図1)。

図1●カリフォルニア州で稼働した世界最大規模のエネルギー貯蔵設備(出力300 MW /容量1200 MWh)
(出所:Vistra)

「ビハインド」と「フロント」

 この「モス・ランディング」の導入により、米国エネルギー貯蔵市場は飛躍的に拡大した。

 米国エネルギー貯蔵協会(ESA)と再エネを含む天然資源産業のリサーチ・コンサルティングサービスを提供するウッズマッケンジーによると、2020年第4四半期(10~12月) に商業運転を開始したエネルギー貯蔵設備の設置容量は、前期比182%増の2156 MWhに達し、四半期の導入量で、過去最高となった。

 モス・ランディングがこの四半期に占める構成比は55%となる。

 米国エネルギー貯蔵市場は、太陽光発電市場と同じように、住宅用、 非住宅用(商業・産業)、そして、発電事業用の3つに分類される。さらに、電力会社の視点から、エネルギー貯蔵設備が、電力需要家側に設置される場合 「ビハインド・ザ・メーター(電力量計の後ろ側)」(需要家蓄電池)、そして、電力系統側に設置される場合 「フロント・オブ・ザ・メーター (電力量計の前側)」(系統蓄電池)との分け方もある。後者の「フロント・オブ・ザ・メーター」のほとんどは電力会社による発電事業用になる... Read More Here

January 10, 2021

「もっとソーラー、もっと安い」、電力会社も太陽光で割安料金を打ち出す 米電力大手、大規模蓄電池から「安い太陽光の電気」を供給へ

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かつては「プレミア付き」だったが…

 「太陽光発電で電気代がお得に!」「太陽光発電で家庭の電気代を削減できます!」――住宅用太陽光発電システムの販売促進では、施工会社がこうした広告で訴求するのは珍しくないが、最近ではこうした宣伝文句を、大手電力会社が打ち出している。つまり、自家消費だけではなく、電力会社の電力販売サービスのレベルでも、太陽光発電から提供する方が「お得」なのだ。

 「もっとソーラーエネルギー、もっと安い」と、顧客にアピールするのは、米ネバタ州を管轄エリアとしている大手電力会社であるNVエネルギー(NV Energy)。同社は、気候変動対策として温室効果ガス排出量の削減と再生可能エネルギーの導入拡大を進めると同時に、顧客の電気料金削減に成功している。以前だったら、電力会社からの「再エネプラン」は環境価値プレミアムが付き「割高」とされていたが、現在は、電力会社が「ソーラーエネルギーと低価格」を共に消費者に提供できるようになったのだ(図1)。

図1●「もっとソーラーエネルギー、もっと安い」と、顧客にアピールするNVエネルギー
(出所:NV Energy)

法律で「2030年・再エネ50%」

 NVエネルギーは、2013年以降、ネバダ州南部に電力を提供する石炭火力発電所の所有権を完全に手放し、ネバダ州北部に残っている同社唯一の石炭火力を2025年までに廃止する予定である。実際、同電力会社の電力需要を満たすための石炭火力利用率は、2013年の18%から2020年4%にまで減少した(図2)。

図2●左はNVエネルギー社の石炭火力発電所の所有率、右は同社の再エネ調達量の推移
(出所:NV Energy)

 さらに、NVエネルギーは、ネバダ州の「再生可能エネルギーポートフォリオ基準(RPS)」を10年連続で超えた。ちなみに、「RPS」とは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネ電源から供給することを義務付ける法律である。RPSは州レベルで法制化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 大自然のスケールと迫力を満喫できるグランドキャニオンと1日中ネオンが輝くカジノが並ぶラスベガスで有名なネバダ州は、よりクリーンで、グリーンなエネルギーの将来を目指し、2030年までに同州の電力源の50%を再エネで、そして2050年までに100%をカーボンフリー(二酸化炭素を出さない)電源で満たすことを2019年4月に法制化した。...Read More Here

December 28, 2020

太陽光「過剰設備」と「出力抑制」で発電コスト削減!? 「暗黙のストレージ」で、蓄電池の容量を減らす

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「再エネ100%」実現戦略を分析

 「過剰な設置と出力抑制でクリーン電力100%を達成する」という、何ともショッキングなタイトルのウエビナー(WEB 上でのセミナー)が今月中に15日間、開催された。主催者は、クリーン・エネルギーを推進する非営利連合である米クリーン・エネルギー・ステイツ・アライアンス(CESA)である。

 電力会社では、必要以上の「過剰な発電所」は無駄な投資であり、太陽光を含む発電事業者にとって「出力抑制」は収入の減少を意味する。「過剰な設備と出力抑制」を推奨するようなセミナータイトルには、誰しも違和感を持つだろう。

 この発表は、電力需要を100%再生可能エネルギーで賄うための研究活動の一環になる。具体的には、クリーン・エネルギーに関するリサーチを行う米クリーン・パワー・リサーチ(Clean Power Research)が、米中西部の地域送電機関(RTO)であるミッドコンティネント独立システムオペレーター(MISO)のサービス地域全体で再エネ100%を模索する研究・調査分析の一部である。

 この分析の結果としてMISO地域において、太陽光と風力発電の「過剰な建設と出力抑制」が最も費用対効果の高い「再エネ100%」実現戦略であることを示した。 

 「再エネの拡大と迅速な送電」を効果的に実現することを目指し、発電設備のテクノロジーと最適な導入量、そして需給バランスを調整するテクノロジーを見出すため、シナリオ分析が行われた。クリーン・パワー・リサーチでリード・アナリストを務めるマーク・ペレズ氏がそれぞれのシナリオと分析結果を発表した。

なぜ「暗黙のストレージ」なのか?

 まず、(1) 発電設備のテクノロジーには、太陽光と風力発電、(2) 需給バランスを調整するテクノロジーには、リチウムイオン蓄電池などの電力貯蔵、そして「暗黙のストレージ(貯蔵)」との位置づけで「過剰な発電設備」とその「出力抑制」を考慮した。どうして「暗黙」と呼ぶのかという質問にペレズ氏は、「過剰な発電設備と出力抑制は、事実上、需給バランスを調整する機能を持っているから」と答えた。

 シナリオでは、太陽光と風力発電、さらに電力貯蔵のコストを大きく左右するテクノロジーの発展度合いを、2025年に「高いケース」「低いケース」、そして2050年に「高いケース」「低いケース」の4つのシナリオも加えた。...Read More Here


October 26, 2020

地域新電力8社、共同で500MWのエネルギー貯蔵を設置へ 「長周期」需給変動に対応、再エネ大量導入とレジリエンス強化

 Published at Nikkei Technology


「長周期」対応の重要性が増す

 米国では今年8月に起こった大規模な山火事、猛暑などで大停電が起こり、カリフォルニア州の電力システム(グリッド=電力系統)の信頼性とレジリエンスがまた大きく見直しされている。太陽光発電を含む再生可能エネルギーの導入量では他州を引き離してダントツのカリフォルニア州だが、再エネを効率良くグリッドに統合しつつ、信頼性を高め、災害などに対するレジリエンスを強化するには、電力を長期間、放電できる「長周期」エネルギー貯蔵調達が必要になってくる。

 カリフォルニア州では、大手電力会社だけではなく、地方自治体による地域新電力も長周期エネルギー貯蔵の調達へ乗り出した。

 今月(10月)カリフォルニア州の8つの米国コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(CCA)が共同で出力500MWもの長周期エネルギー貯蔵の提案依頼書(RFP)の公募を出した(図1)。

図1●8つのCCA共同での長周期エネルギー貯蔵のRFP(出所:Silicon Valley Clean Energy)


ちなみに、CCAは日本の地域新電力に似ていて、市や郡などの地方自治体が設立し、自ら発電所を開発、または発電事業者から電力調達し、 既存の大手電力会社が所有する送配電網を利用し需要家に電力を供給する 電気小売り事業を展開している。カリフォルニア州では、電力小売りが全面自由化しておらず、3つの大手電力会社が電力の送配電と供給を地域独占しているが、2002年に成立し法律で、地方自治体がCCAを設立することにより、地域の需要家に電力供給先の選べるようになった。特にCCAは、既存の大手電力会社との差別化として、再エネの比率がより高いプランを提供し、その再エネも「地産地消」型で調達している。...Read More Here

October 6, 2020

加州の山火事、太陽光発電にも影響、発電量が半減! 「オレンジ色の空」と「灰」で日射量が大幅に低下

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不気味なオレンジ色の正体

 「バリバリバリ、ドッカーン」――。けたたましい雷鳴と同時に、窓から見える、夜明け前の暗い空に、いく筋もの眩しい光が横に走った。米カリフォルニア州の乾燥した天候の中でこんなに激しい稲光は、今までに見たことがない。

 8月16日の朝、カリフォルニア州北部全体で異常に激しい雷に見舞われた。その際に発生した稲妻の数はなんと4000近くだったという。地上にまで及んだ落雷は、その後同州北部と中部で大規模な山火事を引き起こした。

 至る所で起こった山火事で、空は不気味なオレンジ色に染まり、さらに空からは雪のように白い灰が降ってきた。

 実は、この「オレンジ色」の空は、同州に導入済みの数kWの屋根置き太陽光発電システムから数百MW級のメガソーラー (大規模太陽光発電所)にまで、「ネガティブ」な結果をもたらした。

 空一面がオレンジ色に染まるという現象は、山火事による煙、そして灰が太陽の光を遮って反射したために発生した(図1)。

図1●大規模山火事で空だけでなく、地上までオレンジ色に染めた


「PM2.5」で太陽光が散乱

 カリフォルニア 州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)によると、CAISOの電力系統には同州に導入された発電事業用メガソーラーの90%が接続されているが、2020年9月最初の2週間における平均的な発電量を見ると、大規模な山火事のため、2020年7月の平均から30%近くも減少したという。

 山火事の煙には、「PM2.5」と呼ばれる、2.5μm(マイクロメートル)以下の小さな浮遊粒子状物質が含まれている。ちなみに、PM2.5は、大気汚染物質の1つである。

 一般的にPM2.5の濃度が高まると空に霞みがかる。これはPM2.5が太陽光を散乱させて生じるといわれる。この現象が起きると、太陽光が地上まで十分に届かなくなる。つまり、山火事による煙は、太陽光パネルに到達する日射量を減らし、その結果、発電量が減ることになる(図2)...Read More Here

(出所:US Energy Information AdministrationがCAISOとCalifornia Air Resources Boardのデータを元に作成)

September 27, 2020

加州「太陽光・蓄電池マイクログリッド」、地域の担い手が連携 非常時は空港・沿岸警備に電力供給し、レジリエンス強化

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送電網の末端に位置

 米カリフォルニア州北部にあるサンフランシスコ市から北に約200マイルに位置するハンボルト郡は、同州で2番目に大きな自然の入り江であるハンボルト湾に隣接していて、さらに、レッドウッドからなる国立公園や海岸山脈もある。

 同郡は、他のコミュニティから孤立した農村で、送電網の末端に位置する。さらに、津波、地震、土砂崩れ、洪水、そして山火事などの自然災害を受けやすく、「エネルギー・レジリエンス」はこのコミュニティにとって重要な課題となっている。

 そんなハンボルト郡で、「レッドウッド・コースト・空港・マイクログリッド(RCAM)」というプロジェクトが立ち上がった。このマイクログリッドは、出力2.2MWの太陽光発電に、容量8.8MWh(連系出力2.2MW)の蓄電池といった分散型電源から構成される(図1)。


テスラが太陽光と蓄電池

 レッドウッド・コーストのエネルギー・オーソーリティ(RCA)でエグゼクティブ・ディレクターを務めるマシュー・マーシャル氏は、「RCAMは、レジリエンス対応へ必要性、大手電力会社の持続可能なスマートグリッドへの転換、そして地方自治体の発電所とエネルギー貯蔵所有への関心の高まりという背景があります」と話す。ちなみに、RCAは、コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation: CCA)の1つで、日本の地域新電力にとても似ている。地方自治体の関与した電力小売事業者で、地域を独占する大手電力に対して、より高い再エネ比率で、地元に換言しながら地産地消を目指している。

 このプロジェクトに関与するプレーヤーは、以下になる。

●ハンボルト州立大学のシュアツ・エネルギー・リサーチセンター:主任コントラクター兼テクノロジーインテグレーター

●パシフィックガス&エレクトリック(PG&E):カリフォルニア州北部地域をサービス管轄とする大手電力会社で、地元の配送電網を運営

●RCA:地元のCCAで、RCAMの分散エネルギー資源(DER)の所有者兼事業の投資家(600万米ドルを投資)

●ハンボルト郡:分散型電源が設置される空港の所有者・運営者

●カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC):地域マイクログリッド構築支援事業として、プロジェクトコストの約半分(500万米ドル)を補助金として支給

 さらに、システムのハードは、米テスラが太陽光発電と蓄電池、そして、コントローラーは米SEL社が提供する。...Read More Here

May 14, 2020

米住宅太陽光市場、新型コロナでどんな影響が? レジリエンス向上や光熱費削減で評価する消費者も

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見積もり会社がアンケート調査

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染防止対策とパンデミック(世界的な流行)による景気後退は、多くの産業で企業業績を悪化させている。だが、業種によっては、必ずしも負の側面ばかりではない。住宅太陽光の分野も、そうした業種の1つといえそうだ(図1)。
図1●COVID-19パンデミックによって米経済は大きく停滞している
(出所:ジョンズ・ホプキンズ大学のシステム科学工学センター)
今年5月に入り、「COVID-19時代における(住宅太陽光の)利用者と設置者の意識」と題するアンケート調査の結果を米エネルギーセイジ(EnergySage)がスペシャル版として発表した。
 この調査は、住宅用太陽光発電を導入する予定の消費者と住宅太陽光の施工事業者を対象としている。調査エリアは全米で、COVID-19のパンデミックが米住宅用太陽光市場にどのように影響を与え、消費者と施工者はどのように対応しているか、という点が調査の目的になっている。米エネルギーセイジは、オンラインによる太陽光発電システムの見積もりサービスを提供している会社である。
 この調査では以下の3つ傾向が明らかになった。
(1)COVID-19により、太陽光発電に興味が高まった。
(2)太陽光発電設備の購入・設置を延期、または、既存の契約をキャンセルする顧客はあまり多くはない。
(3)太陽光発電設備の営業がオンラインに移行し、いくつかのメリットが現れ出した。...Read More Here

April 16, 2020

自治体のコロナ対策でリスク回避、米の太陽光建設業 「非接触申請許可」と「遠隔立ち合い検査」を導入

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建設業は「必要不可欠」

 米カリフォルニア州では新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止に向け実質的な外出禁止令が3月中旬に発令され、それに伴い非必須(ノンエッセンシャル)事業の停止と従業員の在宅勤務が義務付けとなった。一方、必要不可欠(エッセンシャル)とみなされた社会生活インフラである商業や事業は営業の継続が認められている。連邦政府、さらに多くの州政府は、「建築」をエッセンシャルとみなした。
 建築物の施工や完工には、公的な許認可や検査が必要なものが多く、地方自治体レベルで運営される建設局・建設課が、こうした業務を立ち合いで行ってきた。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される状況のもと、建築業が円滑に継続されるため、こうした手続きをどのように行い、建築事業者をサポートするかが大きな課題となった。
 これには大きな困難も予想されたが、幸いなことに、課の職員の感染リスクを抑制しながら、設備の安全な設置を保証できる選択肢があるのだ。それは、「非接触(非対面)申請許可」とリアルタイムで行われる「リモート(遠隔)・バーチャル立ち合い検査」である(図1)。
図1●遠隔ビデオによる検査(出所:NFPA)

太陽光の建設には許可と点検

 4月6日、「COVID-19の中、どのように安全な許可・検査を継続するか」と題するセミナーが、サステイナブル・エネルギー・アクション・コミッティ(SEAC)とインタースタイト・リニューアブル・エネルギー・カウンセル(IREC) の共催で行われた。SEACは、ネット・ ゼロエネルギー・コミュニティへの移行を安全かつ効率的にサポートするための情報を提供し、IRECはクリーンエネルギーの普及・推進を目的として1982年に設立された非営利組織である。
 セミナーには主にカリフォルニア州の市役所の建設課で太陽光発電の許可と検査に従事する職員が各局でのCOVID-19前と後の対応方法の違いを語った。
 太陽光発電システムを設置するには電気と建設工事が必要になり、この種の作業には安全性の懸念が伴うため、地方自治体は各太陽光発電が稼働を開始する前に、設置が電気及び建築基準に適応していることを確認する必要がある。
 設置許可申請と点検は官僚的ではあるが、必須なプロセスであり、主に施工業者がサービスの一環として、このプロセスを処理する。...Read More Here

January 21, 2020

2020年・全米新設電源の32%が太陽光発電! 合計284GWの発電事業用太陽光が計画中

太陽光と風力で76%

 今月発表された米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の分析によると、2020年に42GWもの新設発電所が稼働を始める。そのうち、太陽光発電は32%、風力は44%と、なんと太陽光発電と風力で全体の76%(32GW)も占める。これらに続くのは、天然ガス火力でシェアは22%(9.31GW)で、残りの2%は水力とエネルギー貯蔵となっている。
 2020年に稼働を開始するとEIAが予測する発電事業用の太陽光は13.48GW。これは、2016年に実際に導入された8GWを大きく超えることになる。導入容量を州別に見ると、テキサスが22%、カリフォルニア 15%、フロリダ11%、そしてサウスカロライナが10%、と4州で半分以上の発電事業用太陽光の導入が行われる。
 ちなみに、EIAによると、42GWが新設される一方で、2020年に11GWの発電所が廃炉される予定である。廃炉される発電所を電源別にみると、石炭火力が51%、天然ガス33%、原子力が14%となっている(図1)。
図1●2020年に稼働予定の電源別発電容量の構成比
(出所:U.S. Energy Information Administration)

284GWもの太陽光が計画中

 EIAのデータは2020年内に稼働予定となっている発電事業用太陽光だけの出力であるが、DOEの研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)は、2018年末時点で系統連系申請中の発電事業用太陽光の計画導入量を発表した。それは、なんと交流(AC)ベースの連系出力で284GWに達する(図2)。...Read More Here
図2●2018年末時点で開発中の発電事業用電源の導入容量
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)

January 10, 2020

米最大「690MW太陽光+360MW蓄電池」がネバダ州で計画 州所有地に建設、トランプ政権の承認で動き出す

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州政府の所有地内に建設

 現在、米ネバダ州で、国内だけでなく、世界でも最大規模と言われる「太陽光+蓄電池」プロジェクトの開発が始まろうとしている。
 プロジェクトの正式名称は「ジェミニ・ソーラー+バッテリー(ジェミニ)」と呼ばれ、連系出力690MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に、連系出力360MW(容量1520MWh)のエネルギー貯蔵設備が併設される(図1)。
図1●「ジェミニ・ソーラー+バッテリー」計画図
(出所:Quinbrook Infrastructure Partners)
クリックすると拡大した画像が開きます
 このプロジェクトは規模だけでなく、政治的な面でもニュースになっている。それは、このプロジェクトがネバダ州連邦政府の所有地に開発される予定で、この場合、州だけではなく、連邦の各種機関より許認可を取得する必要があるからだ。...Read More Here

December 23, 2019

米加州、電源の100%ゼロエミに向け、大規模エネルギー貯蔵が続々 天然ガス火力を代替し、再エネの主力電力源化を支える

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 米カリフォルニア州でエネルギー貯蔵の導入政策を支援するカリフォルニア・エネルギー貯蔵同盟(CESA)によると、同州の温室効果ガス(GHG) 排出フリー電源システムへの移行には、エネルギー貯蔵の普及が欠かせないとしている。
 2018年にカリフォルニア州議会は、「ゼロエミッション電力目標を設定する上院法案100(SB100)」を可決した。「SB100」では、2030年までに電源構成の60%を太陽光発電など再生可能エネルギーからの供給に転換し、2045年までに電力供給の100%をゼロエミッション電源とすることを義務付けた。
 CESAでは、エネルギー貯蔵は同州のエネルギー・環境問題など、多くの課題を解決するのに役立つことから、早急な導入を促している。「同州の直面している課題」とは、天然ガス火力の廃炉、電気自動車(EV)の需要拡大、高い電気料金の抑制、そして太陽光発電の大量導入に伴う系統(グリッド)への統合などがある。

 カリフォルニア州では2045年までにすべての天然ガス火力が廃棄されることになっている。現在同州で発電される電力の43%は天然ガス火力によるものであり、エネルギー貯蔵は、天然ガス火力の代替に再エネを増やしていく上で重要な役割を果たすとされている。
 実際、すでにエネルギー貯蔵による火力発電所の代替は始まっている。象徴的なのが、アリソ・キャニオンとモス・ランディングにおける蓄電池プロジェクトだ。それぞれ、99.5MWと567.5MWという大規模なエネルギー貯蔵設備になる。...Read More Here

August 26, 2019

米では大規模エネルギー貯蔵設備が「新たな電源」に 2023年に累積「3GW」まで急拡大へ

Published at Nikkei "Mega Solar Business" ---

 米国では大規模なエネルギー貯蔵設備が新しい「電力源」になりつつある。ここ数年、発電事業用の大規模エネルギー貯蔵の導入が急速に進んでいる。
 米エネルギー省(DOE) ・エネルギー情報局(EIA)によると、現在稼働中のエネルギー貯蔵に、2019年5月時点で明らかになっている計画中のエネルギー貯蔵設備が加わると、 2023年までに約3GWの大規模エネルギー貯蔵が米国の電力源として運用されるという。ちなみにEIAの「大規模」の定義は出力1MW以上となっている(図1)。
図1●米国における大規模エネルギー貯蔵設備の累積導入容量(MW)(注:2019年5月末時点。2019年以降は計画導入容量)
(出所:米国DOE EIA) 
 2011年には100MWに満たなかった大規模エネルギー貯蔵設備の累積導入量は、すでに2019年5月には10倍の約1GWまで拡大している。

 この急拡大の背景には、州レベルの積極的な普及政策と、連邦政府の大規模エネルギー貯蔵導入に向けた規制的手法がある。米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)は昨年2月に、系統運用機関にエネルギー貯蔵の容量市場、エネルギー市場、及びアンシラリーサービス市場の参加を阻む障壁の取り除くことを義務付ける画期的な「オーダー841」を発行した。
 「オーダー841」の目的は、すべての卸電力市場で適用されるエネルギー貯蔵の明確な法的枠組みを作成し、電力システムのニーズを満たすために競合できるソリューションの範囲を拡大することを意図している。
 さらに、太陽光発電などの変動性再生可能エネルギーの導入拡大、そして導入価格の低下に伴い、より多くの電力会社が「蓄電池+太陽光発電」のペア(併設)を資源総合計画(Integrated Resource Plan =IRP)に含めるようになった。
 これまで電力会社のIRPには従来型の資源である石油、石炭、天然ガス、水力などが含まれていたが、ここ数年は、「蓄電池+太陽光発電」のペア、さらには、エネルギー貯蔵が「資源」として含まれるようになった。...Read More Here

June 7, 2019

米太陽光市場、2030年までに「累積500GW」、SEIAが目標 国内総発電量で20%を占め、新たな基幹電源に

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電力の太陽光比率は2.3%に

 米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)は、再生可能エネルギーが米国の総発電量に占める比率が2008年からの10年間で2倍に増えたと発表した。
 この急拡大は、風力と太陽光発電が大きく貢献していて、EIAのデータによると、太陽光の発電量は、2008年の200万MWhから2018年には9600万MWhに急増し、国内総発電量の2.3%を占めるまでに成長したという(図1)。
図1●米国における太陽光発電量の推移
(出所:U.S. Energy Information Administration)
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累積導入件数が200万件突破!

 さらに、先月、米国太陽光産業協会 (SEIA)は、 米国における太陽光発電設備の累計導入数が200万を超えたと発表し、米太陽光発電市場における「大きな節目」と位置づけている。
 これは、SEIAと、クリーンエネルギーに関する調査・コンサルティング会社であるウッドマッケンジー・パワー&リニューアブルの共同で制作されたデータによるもので、この200万件には住宅用太陽光発電システムだけではなく、商業・産業用、さらに数百MW規模の発電事業用太陽光発電所も含まれている。ちなみに200万件の太陽光発電設備の総出力容量は70GWを超え、これは、1200万軒に及ぶ米一般家庭の年間電力消費量に匹敵する(図2)。
図2●米太陽光発電設備導入数推移(四半期別・青、累積・赤)
(出所:Solar Energy Industries Association and Wood Mackenzie Power & Renewables)
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 SEIAによると、「最初の100万件」を達成するのに40年もかかったが、200万件に達する「次の100万件」は3年足らずで達成された。
 SEIAで最高経営責任者(CEO)兼社長を務めるアビゲイル・ホッパー氏は、「現在170億ドル規模のこの(太陽光発電)産業は、5年後にさらに2倍に成長すると予想されている。2020年代は、太陽光が新たな基幹電源に飛躍する10年間になると信じている」と語った。
 ウッドマッケンジー・パワー&リニューアブルは、米国における累積太陽光発電設備導入数は2021年には300万件、そして2023年には400万件を超え、今後も導入数が加速すると予想している。さらに、同社のアナリストによると、2010年には10分間毎に平均1件の太陽光発電システムが設置されていたものの、2024年までには、1分間に平均1システムの設置ペースとなると予想されている...Read More Here

April 22, 2019

米住宅太陽光市場で、パナソニックのシェアが急伸 変換効率の高い単結晶モジュールが人気に

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500社以上と契約する「一括見積り」サイト

 米エネルギーセイジの最新レポートによると、パナソニックが米国の住宅用太陽光発電市場でシェアを大きく伸ばしている。
 インターネットによる太陽光発電見積もりサービスを提供するエネルギーセイジは、同社の審査基準をクリアした500社以上の太陽光発電販売施工会社との提携を通して、太陽光発電システム、さらに、蓄電池と太陽光発電の併設導入を検討している顧客に対し、一括見積り比較の場を提供する。同社は、1日あたり100万を超える米太陽光発電市場の動向に関するデータを収集しているという。
 エネルギーセイジは、4月に2018年前期と後期の米住宅太陽光市場の動向をまとめた「マーケットインテル」レポートを発表した。同レポートによると、パナソニックと韓国LGの2社を合わせると、全体の50%以上のシェアを占めた。
 こうした勢力図になったのは、エネルギーセイジが4年前に「マーケットインテル」レポートを発行し始めて以来、初めて。さらに、パナソニックのモジュール(太陽光パネル)は、2018年に太陽光販売会社が「最も多く見積もったブランド」として挙げられている(図1)。
図1●エネルギーセイジの半期別トップモジュールメーカー調査結果(藍色:パナソニック、オレンジ色:LG、黄色:ハンファQセルズ)
(出所:EnergySage)
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パナソニック、LGとパートナーシップ

 エネルギーセイジでコミュニケーション・マネジャーを務めるニック・リベラティ氏は、「LGとパナソニックのモジュールは、双方とも(同社が収集するモジュールの設置価格の)価格帯の上限に位置する。両社は、高品質の機器、堅実な保証を提供し、一般消費者から認知度の高いブランドになっている」と言う。
 ただ、エネルギーセイジの公表するシェア情報に関しては、同社がパナソニック、LGとパートナーシップを結んでいることが影響している可能性もある。
 エネルギーセイジが提供する見積もりプラットフォーム「ソーラーマーケットプライス」では、見積もり後に同プラットフォームを通じてパナソニックとLGの太陽光発電システム製品を購入・設置する場合、特別割引が適用される。具体的には、250米ドルの割引となる。...Read More Here

April 10, 2019

アマゾン、「再エネ100%」データセンターの公約破る!? データセンターが集積するバージニア州の電力事情

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「再エネ100%」データセンターで先行

 京セラグループの京セラコミュニケーションシステム(KCCS、京都市)が、北海道石狩市に「再生可能エネルギー100%」で運営する「ゼロエミッション・データセンター」を建設すると発表した。このニュースは日本ではまだ目新しく受け止められているものの、米国では、こうしたデータセンターの「再エネ100%」運営への移行はだいぶ前から始まっている。
 ただ、これに関し、先月NGO(非政府組織)の自然保護団体であるグリーンピースが興味深いレポートを発表した。それは、アマゾンのバージニア州にあるデータセンターが、「再エネ100%」公約にも関わらず、「汚い電力」で稼働されているとの指摘だ(図1)。
図1●バージニア州でデータセンターを運営する企業の電力需要量(黒色)と再エネ調達量(緑色)の比較
(出所:Green Peace)
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 米IT業界のリーディング企業の拠点は、シリコンバレーと呼ばれるカリフォルニア州北部に集中しているが、それら企業のデータセンターはバージニア州北部に集積している。「データセンター裏通り」とも呼ばれているバージニア州北部には100を超えるデータセンターと1000万平方フィートを超えるデータセンター用のスペースがあり、同州のラウドン郡だけでも、世界のインターネットによるトラフィック(通信量)の70%を毎日処理しているという。...Read More Here

February 12, 2019

「メガソーラー+蓄電池」でも、売電単価8セント以下! 「蓄電池併設型太陽光」で世界をリードするハワイ

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世界最大の「蓄電池併設型」

 米AESは、再生可能エネルギーのデベロッパーで発電事業も手掛けている。2019年1月、同社は、米ハワイ州に世界最大規模の蓄電池併設型太陽光発電所「太陽光+(プラス)蓄電池・プロジェクト」の稼働を開始した。
 この事業は、「ラワイプロジェクト」とも呼ばれ、太陽光パネル出力28MW、連系出力20MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に、出力20MW・容量100MWhの蓄電池を併設している。蓄電池は需要ピーク時に最長で5時間、放電できる仕様になっている。
 ハワイ諸島の最北端に位置するカウアイ島をサービス管轄に持つ電力会社カウアイ島公益事業社(KIUC)はAESとの間で25年に渡る長期電力購入契約を結び、kWhあたり11.08米セントで電力を購入する。
 このプロジェクトで導入した太陽光発電設備は、カウアイ島におけるピーク電力需要の約11%を賄える。その結果、島全体の再エネ比率は50%以上に高まり、同電力会社の目標である「2030年までに再エネ比率70%」の達成に大きく貢献するという。
 AESの子会社であるAES・ディストリビューティッド・エネルギーで社長を務めるウッディー・ロビン氏は、ラワイプロジェクトについて、「(カウアイ島は太陽光発電の普及率がすでに高いので)系統網への再エネ電源の接続では、太陽光発電はすでにパンパンの状態です。ハワイ州の島々は昼間に新規の太陽光を受け入れるには限りがあります。大型蓄電池を併設することで、上手に電力需要をシフトしたり、ピーク需要を削減できます。さらに5時間という長い放電時間で大量の(日中に蓄えた)太陽光をシフトできます」と、米国エネルギー貯蔵協会(ESA)の会合で語った。
 ちなみに、ラワイプロジェクトには1万3000もの韓国サムソン SDIのリチウムイオン電池モジュールが使用された(図1)。...Read More Here
図1●カウアイ島の設置された世界最大規模の「太陽光+蓄電池」プロジェクト
(出所:AES)
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October 17, 2018

米加州、蓄電池向け補助金を強化、 総額10億ドルに! 「貯めて使う」ことで、高い電気の購入を避ける

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総容量は366MWに

 先月末、米カリフォルニア州のブラウン州知事は分散型エネルギーを貯蔵するシステムの導入を奨励するプログラムに関し、さらに5年間延長する法律に調印した。このプログラムに対し、追加的に投入される予算は総額8億3000万米ドルに達し、大半の約7億米ドルは家庭・商業用の蓄電池に当てられると予想されている。
 このプログラムは「セルフ・ジェン」または「SGIP(Self-Generation Incentive Program)」と呼ばれる、自家発電設備の導入支援補助プログラムで、2000 年夏から2001年にかけて起きたカリフォルニアでの大停電を契機にスタートした。同州は、同プログラムを電力需要と温室効果ガス(GHG)の排出削減策として位置づけている。
 補助対象の自家発電設備には、コンバインドサイクル発電、風力発電、燃料電池などが含まれる。ちなみに太陽光発電もこのプログラムに含まれていたが、2007年に太陽光発電用の「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれるプログラムが新設されたのに合わせて、SGIPの補助対象から外れている。分散型エネルギーの貯蔵システムに関しては2008年からSGIP の補助対象になった。
 実は同州は昨年5月に2017~19年の3年間を対象に5億6669万ドルの予算を投じたばかりである。この時には、総予算の79%となる4億4819万ドルがエネルギー貯蔵システムに割り当てられた。
 ちなみに、現時点での補助金申請データを分析してみると、設備導入済み・補助金交付済みの分散型エネルギー貯蔵は92MWで、支払われた補助金の総額は1億5100万ドルになる。補助金認定済みのエネルギー貯蔵は、導入済みの2倍以上の238MWであるが、支払われる補助金総額は約1億6200万ドルで、市場拡大に合わせて補助金額が引き下げられるのがわかる。ここに、補助金申請済みで認定待ちのエネルギー貯蔵を含めると、総容量は366MWに達し、補助金総額は3億3700万ドルとなる(図1)。
図1●カリフォルニア州SGIPエネルギー貯蔵補助金申請ステイタス
(2018年10月2日付)
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 これに近日、法案の可決された7億ドルを加えると、総額10億ドルを超えることになる。...https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/column/15/286991/101600094/?n_cid=nbpnxt_mled_dm