米ニューヨーク州の大手電力会社 Consolidated Edison(以下Con Ed)社は、1500万米ドルを投じ、「仮想発電所(バーチャルパワープラント:VPP)」のパイロットプログラムを開始すると発表した。米SunPower社と米SunVerge社とのパートナーシップのもとで実施する。
同プログラムでは、ニューヨーク州の「エネルギービジョンの改革(REV)」の一部で、同州ブルックリン市とクイーンズ市の家庭約300戸に高効率太陽光発電システムと定置型Liイオン蓄電池を設置し、Con Ed社が「仮想発電所」として制御する。
多数の小規模太陽光発電と蓄電池をアグリゲーション(集約・統合管理)することにより、非常時のバックアップ用途だけではなく、グリッド(電力系統)の復元力、信頼性、そしてサステナビリティの改善を目指す。
「仮想発電所」とは、送配電系統の需給に合わせ、太陽光や蓄電池などの分散電源をあたかも一つの発電所のように群制御することで、需給バランスを最適化する次世代型の電力ビジネスモデルである(関連記事)。Con Ed社では、従来のエネルギー供給モデルを補い、経済的、効率的、そしてイノベーティブな仮想発電所の提供を目指す。
需給ミスマッチを蓄電池の「放電」で最適化
ニューヨークでは2014年の1年間で過去の累計設置容量を上回る勢いで屋根置きの太陽光が設置された。太陽光の導入拡大は温室効果ガスの削減と大気質の改善に大きく貢献することは間違いない。
ただ、Con Ed社のサービス管轄内では、太陽光発電による電力供給のピーク時間帯と電力需要のピーク(午後5時以降)が異なっている。従って、夕方から夜にかけては、化石燃料を燃やす火力発電に依存することになり、太陽光によるクリーンな電力を送配電網の貴重な資産として最大かつ最適に活用できない(図2)。
図2●Con Ed社のサービス管轄内に設置された太陽光発電システム(白丸)と電力需要: 青色は日中の電力需要がある地域を示し、黒色は電力需要が夕方・夜に起こる地域を示す。 太陽光発電と需要ピークのミスマッチがわかる(出所:Consolidated Edison社) |