December 24, 2017

トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で 太陽光発電産業の「アメリカ・ファースト」計画を発表

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米太陽光団体が貿易措置に反対

 米国太陽エネルギー産業協会 (SEIA) は2017年12月4日、 「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」をトランプ大統領に提出した。2万6000人以上の雇用を創出している米国太陽光発電産業を守るため、大統領に輸入太陽電池セル(発電素子)、太陽光パネル(モジュール)に対して貿易措置を取らないように要請した。
 行動や発言が予想不可能といわれるトランプ大統領に対して、SEIAは「最後の要請」を提出した格好だ(図1
図1●「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」
出所:SEIA
 SEIAがこうした要請をするに至った発端は、2017年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC) に輸入結晶シリコン型太陽電池セルに新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したことだ。
 後に、同じく米国内で結晶シリコン型太陽電池を生産しているドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社もサニバ社の提訴に加わった。

パネルの価格が2倍に?

 これに対し、SEIA を筆頭に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパー、架台メーカーなどが、輸入セルに関税が課されたら、太陽光パネルの値段が上がり、国内市場と雇用が大きく縮小してしまうと懸念し、大々的な関税反対キャンペーンを繰り広げた。
 しかし、2017年9月に、米ITCは、 国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定して、米国の製造業を保護するため措置を取ることを決定した。その後ITCは関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売などを含む3つの救済措置提案を発表した。
 保守系シンクタンクである米ヘリテージ財団は、提案されている関税は太陽光パネルの価格を約2倍にし、サニバ社、ソーラーワールド社を含む少数の太陽光パネルメーカーに短期間の保護を与えるが、市場から低価格のオプションを奪うことで、米国太陽光発電産業と顧客は大きなダメージを受けるだろう、とコメントしている。...Read More Here

December 20, 2017

米国の州で始まった太陽光・新買取制度の「革新性」 大規模案件の入札結果に連動、農地などに「特別加算」も

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州の目標に「太陽光1.6GW」

 米国マサチューセッツ州は2017年11月、太陽光発電システムの新しい買取制度をスタートさせた。メガソーラー(大規模太陽光発電所)の入札での落札価格をもとに、小・中規模の太陽光発電の買取価格が設定される「ハイブリッド」型にしたのが特徴だ。
 同買取制度は、マサチューセッツ州が定めた再生可能エネルギーの導入目標である「Solar Massachusetts Renewable Target(SMART)」の頭文字をとって、「スマート・ソーラープログラム」と名付けられた。同州は、今後数年間で連系出力合計1.6GWの太陽光発電システムを導入する目標を掲げている。プログラムの対象となる太陽光発電システムのサイズは25kW以下の小規模案件から5MWのメガソーラーまで幅広く設定している(図1)。
図1●1.6GWの太陽光の導入目標を掲げた
(出所:Massachusetts Department of Energy Resources)

 マサチューセッツ州はこれまで、RPS(Renewable Portfolio Standard:再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準)法に基づき、太陽光発電・環境価値(Solar Renewable Energy Credit:SREC)買取制度を導入し、既に連系出力1.6GWが導入済みだ。
 しかし、SREC買取制度は株式市場のように価格変動が大きいため、太陽光発電事業者にとっては将来の収入予測が難しく、ファイナンスに課題があった。そのため今回は買取価格を長期間固定し、安定的かつ継続的な収入を確保することでビジネスリスクを下げ、資金調達を容易にする狙いがある。

200MWごとに4%ずつ低下
 スマート・ソーラープログラムの運用では、1.6GWを200MWずつの8つの「ブロック」に分け、ブロックが埋まるごとに買取価格が4%ずつ下がる。これは「逓減ブロック」と呼ばれるモデルで、需要の拡大に応じて価格が低下する仕組みである。... Read More Here

December 10, 2017

米「学校太陽光」が累積約1GWに、カーポートが人気 「TPO方式」採用で、平均サイズ300kWに拡大

Published at Nikkei Technology Online ---  米国の小学校、中学校、高等学校で太陽光発電システムの導入が加速してきた。現在、5498の学校に設置され、2014年から2倍以上に増えた。
 米ソーラーファンデーション財団 (The Solar Foundation)、米太陽エネルギー産業協会(SIEA)、米ジェネレーション180という3つの非営利団体が発表した「より明るい将来」によるもの。

全米設置容量は910MWに

 同レポートによると、全米には合計12万5000の公立・私立小中高等学校があり、太陽光発電システムを導入した学校は、そのうちの4.4%に達する。約390万人の学生が太陽光発電システムのある学校に通っていることになる。
 累積の設置容量は全米910MWで1GWに近づき、年間発電量は140万MWhになった。
 ソーラーファンデーション財団で、社長・エグゼクティブディレクターを務めるアンドレア・ルーケ氏は、「太陽光発電システムの導入によって学校は何百万ドルの電気代を削減でき、節約した資金で、 新しい教員の採用、施設の改善、教育と課外活動の質を高められる。そのうえ、学生はステム(STEM)教育(科学・技術・工学・数学の総合的学習)の実地体験を通じて、太陽からのクリーンエネルギーについて学べる」と語った。

コストアップでも「カーポート」が主流

 州別の導入量を見てみると、最も多いのはカリフォルニア州で、合計出力489MWの太陽光発電システムが1946の学校に導入された。次いで、ニュージャージー州、アリゾナ州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州がトップ5となっている。
 トップ5は全米設置量の87%を占める。トップ5以外では、ネバダ州が米国で最も高い導入率で、同州全体の23%に当たる学校に太陽光発電が導入済みである(図2)。
図2●州別の小中高等学校・太陽光発電導入容量
(累積出力・MW)(青の色が濃いほど設置容量が高い)
(出所:Solar Foundation)

 学校への太陽光発電システムが拡大した背景には、コストの低下がある。
 過去10年で学校に設置された太陽光発電システムのコストは67%下がり、2016年単年でも19%も下がった。2012年に出力200kWのシステムを導入するのにかかった同じコストで、現在は500kWのシステムを導入できるという。... Read More Here

November 21, 2017

米入札で最安値、ネバダのメガソーラーが「3.42セント」 アップルがデータセンターを「再エネ100%」に

Published at Nikkei Technology Online ---  ネバタ州を管轄エリアとしている大手電力会社であるエヌヴィ・エネルギー社(NV Energy)がこのほど、同州の公益事業委員会にメガソーラー(大規模太陽光発電所)からの長期電力購入契約の許可を申請した。この長期契約は3つのメガソーラープロジェクトからなり、連系出力は合計で100MWに達する。

2030年目標に近づく

 3つのプロジェクトのうち2つは、同社が今年6月に発表した電力調達のための提案依頼書(RFP)の公募によるもので、契約期間25年にわたる均等化発電原価(LCOE:Levelized Cost Of Electricity)の値が、34.2米ドル/MWh(3.42米セント/kWh)となっている。
 ちなみに、米エネルギー省(DOE)は1年前、「2030年までに太陽光発電のコストを2020年比で半分にする」という「2030ゴール」を発表した。その中に、メガソーラーのコストを、「2020年には6米セント/kWhまで引き下げる」という目標が含まれているが、その目標は今年すでに達成された。さらに、「2030年には3米セント/kWhまで引き下げる」という目標も立てているが、今回のプロジェクトはこれにほぼ近い水準まで来ている。
図1●サンショット太陽光発電コスト2030年ゴール
(出所:The Department of Energy)

「米入札案件で最安値」

 エヌヴィ・エネルギー社の今回の公募では、公共事業規制政策法(PURPA:The federal Public Utility Regulatory Policies Act)によって認定された再生可能エネルギー発電所を含む「認定施設(QF)」からの 長期電力購入契約になっている。同社が選択したのは、連系出力25MWの「テクレン・ソラー3」と、同じく25MWの「テクレン・ソラー4」で、同州の公益事業委員会から認可が下りた場合、2020年9月1日までに稼働する計画である。
 2つのプロジェクトは174パワーグローバル社によるもので、 同社がネバダ州ボルダー市に現在開発中の「テクレン・ソラー1」と「テクレン・ソラー2」(計300MW)の隣接地に建設される予定である。
 174パワーグローバル社は韓国ハンファグループの発電事業に携わるハンファエナジー社の子会社で、「テクレン・ソラー3」と「テクレン・ソラー4」に設置される太陽光パネルはハンファグループの会社の1つで世界最大規模の太陽光パネルメーカーであるハンファQセルズ社が高効率単結晶パネルを提供するとみられる。この2つのメガソーラーは1軸追尾式システムを使用し、年間発電量は7万2622 MWhとなっている。
 エヌヴィ・エネルギー社で再エネとスマートインフラ部門でシニア・バイスプレジデントを務めるパット・エガン氏は、「『テクレン・ソラー3』と『テクレン・ソラー4』は米国で入札にかけられた太陽光発電の電力購入契約の中で最も低価格」とコメントしている。... Read More Here

November 8, 2017

大型ハリケーンに耐えたナイロン製「バラスト式架台」 病院の屋根に設置し、180m/sの風速でも稼働

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「マリア」直撃で米史上最大の停電

 カテゴリー5の大型ハリケーン「マリア」が9月20日、米自治領プエルトリコを直撃し、大規模な被害が発生した。被害から1カ月以上が経ったが、いまだに需要家の約8割が停電したままだ。そのうち、11月15日までには50%、12月15日までには95%の電力供給を復旧させる、とプエルトリコ知事のリカルド・ロッセロ氏は発表した。
 今回のプエルトリコの停電は、米国の歴史において最も大規模だとみられる。
 そんななか、風速180m/sの強風でビクともしなかった「バラスト式ハイブリッド架台」を使用した645kWの太陽光発電システムに注目が集まっている。同システムは9階建ての建物の屋根に設置されたものだが、まったく損害もなく100%の発電を持続しているという(図1)。

ナイロン製一体成形の架台

 同太陽光発電システムは、プエルトリコのサンホアンにある。米退役軍人管理局の運営するメディカルセンターに設置され、2015年に稼働を開始した。この病院はプエルトリコとヴァージン諸島に在住する15万人を超える米退役軍人が主に利用しており、プエルトリコとカリビアン諸島における最大規模の連邦政府による医療施設である。
 「バラスト式架台」を提供したのは、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を持つソレガ社(Sollega)だ。同社は商業用フラットルーフ(陸屋根)用架台に特化している。この架台は、プラスチック製で「ファーストラック510(FastRack510)」 と呼ばれる。
 プラスチックの種類は、ナイロン6「ウルトラミッド (Ultramid)」(独BASF製)である。この材料は強度、剛性、熱安定性に優れ、柔軟性が高いため、太陽光アレイ(パネルの設置単位)を壊すことなく、複数の方向に曲げられる。さらに、紫外線吸収剤が添加されているので、耐光性、耐久性に優れるという。
 一体成形により1つ部品からできているために現場での組み立てを必要とせず、重ねられるため、運搬や設置が容易という利点もあるという。システムの施工時間は、モジュール(パネル)1枚当たり約5分という。...Read More Here
図2●ナイロン6「ウルトラミッド (Ultramid)」の一体成形で製造された
架台「ファーストラック510 (FastRack510)」
(出所:Sollega社)

November 6, 2017

続続報・米輸入パネル問題、大統領に提出される3案が公表 関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売など盛り込まれる

Published at Nikkei Technology Online ---  今年9月、米国国際貿易委員会(米ITC) は、大量に輸入された結晶シリコン型太陽電池 (CSPV) 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定した。

4人の委員から3案公表

 米ITCはその後、原告の米サニバ社、ソーラーワールド・アメリカ社、そして貿易措置反対を代表する米国太陽エネルキ?ー産業協会(SEIA)などからの救援策の提案をもとに、独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 米ITC の4人の委員から出された3つの提案はトランプ大統領に提出される。3案は、セル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)に対する「関税」、「輸入割当制」、「輸入数量制限」、「輸入ライセンスの公売」、さらに「措置対象外の国」などが含まれている。ちなみに、日本は救済措置の対象外に入っていない。

シュミズレイン委員長の提案

 シュミズレイン委員長の提案は、「CSPVセルへの関税と割当枠」「CSPVモジュールへの関税」「貿易措置対象外の国」からなる。
 「CSPVセルへの関税と割当枠」では、CSPVセル総輸入量の0.5GW未満は、輸入価格に10%の関税率を課し、0.5GWの割当枠を超えた場合30%の関税率を課す、というもの。ちなみにこの提案は4年間に渡る措置で、割当量は年々増加し、逆に関税率は年々減少するようになっている。
 「CSPVモジュールへの関税」では、輸入価格の35%の関税率で、4年間に渡り税率は年々減少する、という内容だ(図2)。
図2●シュミズレイン委員長の「CSPVモジュールへの関税」に関する提案
(出所:ITCの公表資料をもとに筆者作成)
米SPV Market Researchの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏の解釈では、輸入総量が500MW未満の場合、セルが米国にW当たり22セントで輸入されると、関税の税率10%で税額2.2セントとなり、最終価格は24.2セントになる。モジュールの場合、仮に輸入価格がW当たり60セントだと、関税税率35%で税額21セントとなり、最終価格は81セントになる。関税のモジュールに対するインパクトは大変に大きい。...Read More Here

October 24, 2017

米加州、太陽光普及で電気料金は「昼が安く、夜に高い」に ピーク時間帯を「16~21時」に変更、太陽光の「電力価値」が低下

Published at Nikkei Technology Online ---  太陽光発電の導入量が全米で1位のカリフォルニア州で電気料金メニューに大きな変化が起ころうとしている。
 カリフォルニア州南部に位置するサンディエゴでは、住宅用太陽光発電システムの所有者向け料金メニューが、昨年から、季節別・時間帯別電気料金(TOU)に移行した。

新TOUでピーク時間帯が昼から夕方に移行

 この際のTOUのピーク時間帯設定では、昼間の電力を高く売れたため太陽光発電システムの所有者にとってはメリットがあったが、サンディエゴで電力・ガスの独占販売をするサンディエゴ・ガス&エレクトリック(SDG&E)社は、2017年12月1日から新TOUでのピーク時間帯を夕方に移行する。
 SDG&E社の現在の夏季ピーク時間帯は午前11時から午後6時までだが、今年8月にカリフォルニア州公益事業局(CPUC)は、同電力会社の夏季ピーク時間帯を午後4時から夜9時に移行する申請に承認した(図1)。
図1●SDG&E社のピーク時間帯シフト
(上:現在の時間帯別料金、下:今年12月からの時間帯料金)
(出所:SDG&E社)

「ダックカーブ」の緩和に役立つ

 CPUCによると、TOUは、ピーク時間帯の消費量の一部を電気料金の安いオフピークの時間帯にシフトするインセンティブを電力消費者に与える手段で、長い目で見ると、時間帯別料金の実施は系統網の安定化と、より低い電気料金を消費者にもたらす、としている。
 新しいTOUは、電気料金を電力コストとより緊密に合わせ、カリフォルニア州で深刻化しつつある需要カーブの急激な増減現象である「ダックカーブ」を緩和するのに役立つ、というのが電力会社側の主張である。...Read More Here

October 20, 2017

続報・米国の輸入パネル関税問題、メーカー間で賛否が割れる 課税で恩恵を得るのはファースト・ソーラーとテスラ、痛いのはサンパワー

Published at Nikkei Technology Online ---  米国に輸入される太陽光パネルに関税を課すかどうかで、米国の太陽光発電産業が揺れている(関連記事)。
 これまで、関税が課されたら、太陽光パネルの値段が上がり、国内市場と雇用が大きく収縮してしまう、と懸念する企業が多く、それに沿った報道も多かった。一方で、関税を求めている国内メーカー以外にも、関税で「恩恵」を受ける企業が関税賛成の声を上げ始め、両者による議論が白熱してきた。

ファースト・ソーラーが「関税賛成」を表明

 先月、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC)は、大量に輸入された低価格な結晶シリコン型太陽電池で国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定した。
 この決定に対して、米国太陽光発電産業は一団となるどころか、分裂してしまった。 米ITCに貿易救済措置を懇願した結晶シリコン型太陽電池メーカーの米サニバ社と、同じく米国内で結晶シリコン型太陽電池を生産しているドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカの2社以外の全ては、関税「反対派」にまわってしまったのである。
 しかし、米ITCの損害認定の発表により、今まで沈黙を保っていた米国のビックプレーヤーが「賛成派」につくことを表明した。
 薄膜(CdTe 型)太陽光パネルメーカーの米ファースト・ソーラー社である。同社は薄膜太陽電池において世界トップのシェアを持ち、太陽電池全体の市場でも昨年トップ6位にランクされた。さらに同社は、EPC(設計・調達・施工)サービス事業者としても、世界シェアで首位に立っている(図1)。
図1●電力事業用の大規模太陽光発電所開発で
世界トップのファースト・ソーラー
Credit: First Solar


サンパワーが「反対」に回った理由

 ファースト・ソーラー社は、いち早く電力事業用大規模太陽光発電所向けの市場開拓に成功し、太陽光パネル製造販売だけでなく、大規模システム向けのEPCとO&M(運用・保守)サービスに展開した。それが、結晶シリコン型が95%を占める世界の太陽光パネル市場での生き残り策だった。
 ファースト・ソーラー社の最高経営責任者(CEO)であるマーク・ウイドマー氏は「米国太陽電池メーカーは海外メーカーとの不公平な競争に直面している。公平かつ効果的な支援策の必要性を強調する」と、ITC宛の手紙に書いて、支援措置に賛成の意を示した。
 一方で、米太陽エネルギー産業協会(SEIA)が反対派の旗振りとなり、安い輸入結晶シリコン型太陽光パネルの恩恵を受けていた輸入会社、施工会社、プロジェクトデベロッパーなどが関税反対のキャンペーンに加わった。SEIAと共に公的な場で反対を唱えるのは、結晶シリコン型太陽電池メーカーの米サンパワー社である。
 サンパワー社は、世界最高の変換効率を誇ったバックコンタクト方式の結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子)・パネルの製造・供給で知られる世界的メーカーで、太陽光発電所のEPCサービスやO&Mサービスも手掛けている。...Read More Here

October 13, 2017

Time-of-Use Rates Will Turn the Tables for Energy Storage

Published at Renewable Energy World --- It is not always good to be first. Last June, San Diego Gas & Electric (SDG&E) was the first utility in California to hit its net-metering cap and move to Net Energy Metering 2.0 (NEM 2.0). Now, SDG&E will again be the first utility to start the shift to time-of-use (TOU) period, effective on Dec. 1, 2017.
Under California Public Utilities Commission (CPUC) approval on August 24, SDG&E will shift its summer peak time to 4 p.m. to 9 p.m. from the current 11 a.m. to 6 p.m.
The new TOU periods are supposed to help align rates more closely with the cost of service as well as help mitigate the infamous Duck Curve. According to the CPUC, the implementation of TOU rates should provide customers with the incentives to shift some of their peak usage to off-peak times of day when it will be cheaper to do so. This should result in a more efficient grid and lower bills in the long run.
Will solar customers be able to lower bills too?
Moving from “Buy Low, Sell High” to “Buy High, Sell Low”
As part of the transition to NEM 2.0, solar customers are moved from a tiered-rate structure to a TOU rate structure. At that time, some regarded TOU rates as opportunities since customers get compensated higher credits during solar peak production....Read More here

October 5, 2017

「貿易救済措置」に揺れる米国、太陽光市場の行方に悲観と楽観 輸入太陽電池による米国内製造業への損害を認定

Published at Nikkei Technology Online ---

輸入太陽電池に関税や最低価格も

 米国の太陽光発電市場は貿易論争の真っただ中にある。
 9月22日に、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC)は、大量に輸入された低価格な結晶シリコン太陽電池で国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定した。これにより、関税など貿易救済措置によって、今後、米国内に流通する太陽電池の価格が上る可能性が出てきた。
 こうした事態のなか、「米太陽光市場は、今後落ち込むだろう」と、悲観的な意見が米国内外で飛び交う一方で、「2017年は持ちこたえそう」という見方も出てきた。
 ことの発端は、今年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米ITC に輸入結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子) に新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したこと。これは、中国、東南アジアなどから安値で輸入される太陽電池セル・パネルから米国の製造業を保護するためである。
 ITCの決定は、この提訴を概ね認めたものだ。この一件の評価を巡り、米太陽光発電産業では賛否が分かれている。
 関税による国内産業保護への賛成者は、当事者であるサニバ社とドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社。反対派は、主に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパーが含まれている。

5年間に47GW以上の設置量を失う?

 ちなみに、太陽電池メーカー大手のサンパワー社も反対派の一社だ。同社は米企業であるが、結晶シリコン型太陽電池のセル・パネルを国外のフィリピン、マレーシアで製造している。このため、国内保護政策は、同社にとってマイナスの影響を与える。
 反対派の旗振りをしているのは、米太陽エネルギー産業協会(SEIA)。同協会は、「この救済措置により太陽電池の価格が上がり、 太陽光発電を利用する消費者に大きなしわ寄せがいく。国内市場と雇用が大きく収縮してしまう」と、主張している。SEIAは、「8万8000人の国内雇用が失われる」と、救済申請に対する反対キャンペーンを繰り広げた(図1)。..Read Here More
図1●米国太陽エネルギー産業協会と共にサニバ社の貿易保護の
反対キャンペーンに参加する企業の一部
Credit: SEIA

September 28, 2017

US Solar Market Can Remain Strong in 2017, Even with the ITC Ruling

Published at Renewable Energy World --- Last Friday, the U.S. International Trade Commission (ITC) ruled in favor of Suniva and SolarWorld, having found that they suffered injury from the flood of cheap imports. Will this ruling dreadfully affect the U.S. PV market this year?

“There is enough inventory in the channel to keep projects going for a while,” Paula Mints, founder and chief analyst of SPV Market Research, said, implying that the U.S. market will most likely grow, instead of shrink. In fact, the “Global Analysis for the Markets for Solar Products and Five-Year Forecast 2016-20121” published by SPV Market Research shows upward trends in two scenarios.

For the Five-Year Forecast, there are three scenarios — low, conservative, and accelerated. According to Mints, for the low forecast, the impact of the decision including a significant increase in module and cell prices and low inventory was weighted more heavily, therefore showing a slight year-over-year decline.

Both conservative and accelerated scenarios for 2017, however, show an annual market growth of 36 percent and 46 percent, respectively. In these scenarios, available inventory in the channel and some panicked buying caused by the “tariff scare” were taken into consideration.

“Right now, there is still inventory in the channel. It will be worked off quickly for smaller participants and more slowly for large project participants,” Mints said.... Read More Here

Credit: SPV Market Research

September 26, 2017

米電力会社が系統・需要側の双方で「蓄電池導入プラン」 蓄電池市場は327MWから2020年に2.5GWに急拡大へ

Published at Nikkei Technology Online ---

2017年に207MWの蓄電池を接続

 電力需給のバランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など多彩な機能・利点をもつ「電力貯蔵システム」の導入が、米国で拡大し始めている。発電所や変電所に併設される大規模蓄電池だけでなく、家庭や事業所、工場など需要家側の中小規模の蓄電池システムの導入も増え始めている。
 「まだ小規模ですが、蓄電池市場の成長は加速しています」――。電力会社で構成される米スマート・エレクトリック・パワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は、9月中旬に開催された北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」で、こう語った。実際、SEPAによると、昨年出力207MW(容量257MWh)の蓄電池が電力系統に接続された。
 SEPAは電力会社を対象に実施したアンケートをもとに、「2017年電力会社電力貯蔵市場概念」というレポートをSPI開催に先駆けて発表した。全米の115電力会社がこの調査に参加した。ちなみに、米国には約1億3000万の需要家(顧客口座)がおり、民営・公営など3000以上の電気事業者が電気を供給している。アンケートに参加した電力会社の契約顧客数は、7500万以上に達し、全米の電力需要家の58%を占める。
 この調査結果によると、2016年末時点で累計622MW(661MWh)の蓄電池が設置されている。つまり、2016年だけで累積容量の39%が導入されたことになる。ここにきて、いかに急速に蓄電池が普及し始めたかが分かる(図1)。
図1●州別累積電力貯蔵システム導入容量(MWh)
(出所:SEPA)

カリフォルニア州が半分以上を占める

 2016年の蓄電池導入データを州別に見てみると、太陽光発電と同様に、カリフォルニア州が120.5 MW(176.6 MWh)と、群を抜くナンバーワンで、出力で58%、容量で69%を占めた。2位はインディアナ州の22 MW( 20.8 MWh)、2位はオハイオ州の16.1 MW(16.2 MWh)となっている。
 カリフォルニア州では蓄電池に対する政府の推進策と助成制度が充実している。同州は、2010年に州の民間電力会社3社に対し、2020年までに1.3GWの電力貯蔵システムを導入することを義務付けた。1.3GWのうち50%は電力会社所有となっている。...Read More Here

September 20, 2017

米展示会レポート、 太陽光市場の成長は蓄電池が担う! EV普及で定置型蓄電池の低コスト化が加速との見方

Published at Nikkei Technology Online -- 北米最大の太陽光関連展示会に2万人来場

 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」(2017年9月10~13日)がネバダ州ラスベガスで開催された。今年も昨年と同様、北米最大のエネルギー貯蔵関係の国際展示会「エネルギー・ストレージ・インターナショナル(Energy Storage International = ESI)との併催となった。今年で14年目を迎えるSPIは 2万人を超える参加者を動員し、大きな賑わいを見せた。

 ちなみに、今回の会場となったマンダレイベイ・ホテル&カジノのコンベンションセンターの屋根には出力6.4MWの太陽光発電システムが設置されている。2年前に稼働したこの発電システムは、ホテルそしてカジノのピーク需要の20%を賄っているという。

太陽光と蓄電池の統合がトピックに

 さて、今回のSPIでの大きなトピックの1つは「太陽光発電の大量導入による蓄電池の統合」であった。これまでのSPIでは、太陽光発電の導入を拡大するため、コスト削減や政府の普及政策などのトピックが多くを占めた。

 従来、太陽光発電はRPS法(再生可能エネルギー導入義務制度)など、公的な政策主導で導入が拡大してきた。しかし、低価格化が急速に進み、発電コストが従来の電源に匹敵、または勝るようになってきた。そのため、政策・規制による促進だけでなく、「経済的に」メリットが生じ、企業や電力会社による電力事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発が加速した。実際、2016年に電力事業用セグメントの設置容量は10GWを超えた。

 カリフォルニア州やハワイ州では太陽光発電の大量導入に伴い、日中に需要を上回る太陽光発電の余剰供給が発生し、系統の安定的な運用を脅かすと同時に、今後のさらなる太陽光の導入拡大の壁となっている。

 SPIでは、太陽光発電が昼間に生み出す「過剰」電力量に対応するため 、さまざま手法が議論された。例えば、自産自消モデルを促進するネットメータリング制度の改定、時間帯別電気料金プランの導入、デマンドチャージの導入、マイクログリッド、電力会社による分散型電源の統括計画など蓄電池を併用する政策、そして、新たなビジネルモデルなどを通じた「次世代のグリッド」などがテーマとなった(図2)。
図2●電力会社などの幹部が集まり、太陽光発電の大量導入に対する
グリッドへの対応が話し合われた
(出所:J. Movellan)
電力会社が蓄電の導入を加速

 太陽光パネルは大量生産によってすでに低価格化したが、蓄電池の市場は一体どうなっているのだろうか? 12日に行われた「ソーラーと蓄電池の交差点」と題する基調講演で、電力会社で構成される米スマートエレクトリックパワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は...Read More Here

September 8, 2017

続報・米「皆既日食」、市場を使い、太陽光の出力抑制は1%に 広域ネットワークで再エネの変動を機敏に調整

Published at Nikkei Technology Online ---  8月21日、米国全土では1979年以来38年ぶりとなる皆既日食が見られた。午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州まで、壮大な天体ショーが観測された。

電力の広域市場をフル活用

 カリフォルニア州は、米国で太陽光発電の導入量ナンバーワンで、日食の影響も大きいことが予想された。同州では、日食の際、起動と調整力で柔軟性に優れた電源である州内の水力発電と天然ガス火力で、太陽光発電の出力急変に対応し、グリッドの信頼性を保つことに成功した。これは8月22日に公開したこのコラムでもレポートした(関連記事)。

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っていた。部分日食といえども同州の送電網には約10GWの発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が接続されていて、ピーク需要の30〜40%を賄うまでになった。さらに、同州の配電網には5.8GWの屋根置きを含む分散型太陽光発電も接続されている。

 カリフォルニア州の系統運用を担うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を補うために、州内で発電所を稼働させると同時に、日食が地域を横切って移動し、異なる時間に異なる場所で太陽光発電に影響を与えることを利用し、西部電力システムネットワーク上での広域インバランス市場を活用した(図1)。
図 1●2017年8月21日におけるCAISO管轄内の電源別電力供給
(黄線:太陽光発電、赤線:火力発電、紫線:輸入)
(出所:CAISO)


インバランス市場の活用で再エネ統合
 CAISOはカリフォルニア州を管轄エリアとする送電事業と電力需要調整事業を担っている。さらに、前日市場と最終的な需給の差(インバランス)を調整するインバランス市場を運営している。

 米国西部諸州に拡大される再生可能エネルギーのグリッドへの連系、グリッドの信頼性と発電コスト削減を促進するため、CAISOは、同州で運営するインバランス市場の運営エリアを拡張し、2014年に西部エネルギーインバランス市場 (Western Energy Imbalance Market: EIM) の運営を開始した。

 西部EIMには 現在、カリフォルニア、オレゴン、ネバダ、ワシントン、アリゾナ、ユタ、コロラド、ワイオミングの8州に管轄エリアを持つ電力事業者が参加している。これらの州の電力事業者・発電事業者はCAISOのリアルタイム・グリッド・マネッジメント・システムにアクセスし、再エネの系統統合、系統安定化、発電コスト抑制に活用できる...Read More Here

September 4, 2017

2020年には「メガソーラー+蓄電池」がお得に!? 米NREL、太陽光普及後の経済性を単独設置と比較

Published at Nikkei Technology Online --- 浸透率6%では「太陽光単独」が有利だが…

 米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)は、2020年には「大規模太陽光発電(メガソーラー)+大規模蓄電池」システムがメガソーラー単独のシステムより経済メリットが高まる、とするレポートを発表した。

 蓄電池システムのコストは下がってきてはいるものの、依然高いレベルにある。発電事業用の「メガソーラー+大規模蓄電池」とメガソーラー単独のシステムについて、発電所の設計、建設から運営、廃止までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)で比べた場合、「メガソーラー+大規模蓄電池」の方が常に高くなる。

 これに対し、今回のNRELのレポートは、コストだけではなく、蓄電池が加わったことにより創出される価値を考慮し、便益(B=ベネフィット)と費用(C=コスト)の比率(B/C)で見る費用便益分析が行われた。具体的には、蓄電池設置による年間エネルギー収入と容量の価値(便益)を年間資本と運営コストで割ったものを比べた。

 現在の太陽光の浸透率は6%だが、このケースではメガソーラー単独のシステムの方が、「メガソーラー+大規模蓄電池」のシステムより費用便益分析で優れるが、太陽光の浸透率が上がると分析結果が大きく変わる結果となった。

2020年におけるメガソーラー単独と
「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。
Credit: NREL

メガソーラーと蓄電池の接続形態に4タイプ

 同費用便益分析では、太陽光パネルの設置容量65MW-DCのメガソーラーをモデルとして使い、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力は50MW-AC、蓄電池の出力は30MW-AC、容量は120MWh-ACである。

 さらに、蓄電池とメガソーラーの接続タイプ、太陽光の浸透率ごとに結果がどのように変わるかを検討している。

 接続(リンク)のタイプは、「独立」、「交流(AC)リンク」、「直流(DC)リンク・双方向」、「直流(DC)リンク・一方向」の4タイプに分けられる。

 「独立」タイプは、メガソーラーと蓄電池システムを物理的に同じ場所に設置しておらず、制御機能なども共有されていないケースである。蓄電池はメガソーラーとは独立して稼働し、ピーク容量、ピークシフト、アンシラリーサービスなど系統網全体の安定化に対応する。さらに、1つの電源に接続していないことから、系統網上のどの電源からでも充電できる...Read More Here

August 22, 2017

米「皆既日食」、 太陽光の出力急変にグリッドが見事に対応! 周到な準備で、天体イベントの課した「信頼性試験」に合格

Published at Nikkei Technology Online --- 全米が壮大な天体ショーに沸く

 「グレイト・アメリカン・エクリプス(全米横断皆既日食)」――米国全土はこの日沸いた。皆既日食は、8月21日の午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州で観測された。

 「一生に一度」のイベントとし、皆既帯に位置する町々には全米、世界の至る所から人が集まった。NASA(米航空宇宙局)を始め、テレビ、ネットでは、ほぼ3分刻みで起こる太陽が月で完全に塞がれる「完璧な闇」と太陽を取り巻く外層大気である「コロナ」のライブストリーミングを行った。

 その壮大な天体ショーを相手に、米国のグリッドは信頼性を保つことに見事に成功した。これは、電力会社、送電系統管理機関、発電事業者などの綿密な計画を立て、十分に準備が整っていたことによるだろう。

太陽光出力の減少幅は予想超える

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っている。部分日食といえども、米国で太陽光発電の設置容量で50%以上を占める同州は日食で、電力供給で最も大きな影響を受けるとされていた。

 カリフォルニア州の広域系統運用を行うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)によると、日食により、4.2GWの発電事業用メガソーラーと1.3GWの分散型太陽光発電が一時的に出力を失うと予想されていた。CAISOはこのイベントに備え、 起動、調整力と柔軟性に優れた発電源である水力発電と天然ガスを燃料とした火力発電、そして蓄電池を確保した。

 さらに同州の各電力会社は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を和らげるため、電力需要者に、電気自動車(EV)の充電や洗濯機・食器洗浄機の使用を控えるなどの省エネを呼びかけた。

 当日、日食の始まる午前9時すぎから、日食中心時刻の10時20分の約1時間に、発電事業用メガソーラーの出力は約6400MW(6.4GW)から3000MW(3GW)に減少した。これはCAISOによる前日予測の4600MW(4.6GW)を下回り、減少幅は3400MW(3.4GW)に達した。日食中心時刻後に出力は回復し、太陽が最も高く上がる午後1時には9600MW(9.6GW)を超えた(図2)。... Read More Here
図2●上:2017年8月21日、カリフォルニア州の太陽光発電出力量(黄色線)
下:カリフォルニア州ロサンゼルスにおける部分日食の様子、10時21分が日食中心時刻
(出所・上:CAISO、下:Griffith Observatory)

August 16, 2017

8月21日の米横断「皆既日食」、試されるグリッドの信頼性 太陽光の出力急変に備え、水力・火力で迅速な調整を準備

Published at Nikkei Technology Online --- 米本土で38年ぶりの皆既日食

 2017年8月21日 は、米国本土で1979年以来38年ぶりとなる西から東へと横断する皆既日食を見ることができる 。 オレゴン・アイダホ・ワイオミング・ネブラスカ・カンザス・ミズーリ・イリノイ・ケンタッキー・テネシー・ノースカロライナ・ジョージア・サウスカロライナの計14州で月が太陽の前を完全に塞ぐ皆既日食の観測が見込まれている。その時間は約90分。このイベントにより、全米の太陽光発電は一時的に出力減少、または停止するとされている。

 米国エネルギー省・エネルギー情報局(EIA)によると、日食は21GWに及ぶ電力事業用メガソーラー(大規模太陽光発電所)に影響を与えるという。太陽が100%月で塞がれる皆既日食の影響を受けるのは主にオレゴン州で稼働する0.07GW、90%以上の部分食は4.01GW、80%は2.20GW, 70%は3.94GW, 60%は9.79GW, そして50%の部分日食で出力に影響が出るのは1.65GWとなっている(図1)。
図1●2017年8月21日の皆既日食の米国経路地図と事業用メガソーラーの位置とサイズ
(出所:Energy Information Administration)

カリフォルニア州は「部分日食」だが…

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っている。部分日食といえども、米国で太陽光発電の設置容量で50%以上を占めるカリフォルニア州は日食で最も大きな影響を受けるとされている(図2)。

 前回、全米を横断する皆既日食が起こったのは1979年。当時、カリフォルニア州の送電網に接続されていた太陽光発電は、ほぼゼロ。現在、同州の送電網には約10GWの太陽光発電が接続されていて、ピーク需要の30〜40%を賄うまでになった。さらに、同州の配電網には5.8GWの屋根置きを含む分散型太陽光発電も接続されている。

 カリフォルニア州の広域系統運用を行うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)によると、日食により、4.194GWの発電事業用メガソーラーと1.365GWの分散型太陽光発電が一時的に出力を失うと予想されている。..Read More Here

August 7, 2017

米家庭用蓄電池、主導権を狙い有力企業が合従連衡 テスラ、LG化学、メルセデスが全米トップ3の施工業者と提携

Published at Nikkei Technology Online --- テスラのソーラーシティ買収が引き金

 米国で家庭向けに太陽光発電システムと蓄電池システムを併用する市場が立ち上がってきた。こうしたなか、蓄電池メーカーが太陽光発電システムの大手インストーラー(施工業者)との合従連衡を進める動きが激化してきた。

 急先鋒は電気自動車 (EV) と蓄電池メーカーの米テスラである。同社は2016年、米国住宅用市場でシェア1位の米ソーラーシティ(SolarCity)を買収し、定置型蓄電池の販売ルートを太陽光発電市場へ拡大した。ソーラーシティは、「初期費用なし、電気料金即削減」という 「第3者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」で急成長していた。

 この買収により、米国太陽光発電市場における提携関係に変化が起こった。

 これまで米国の住宅向け太陽光発電システムのインストーラーは、コスト削減と供給確保のため複数の太陽光パネルメーカーと契約を結んできた。

 だが、蓄電池に関しては「独占契約」を選択し始めたのである。ナンバー1のソーラーシティがテスラと独占契約したのに続き、ナンバー2の米サンラン(Sunrun)は韓国のLG化学(LG Chem)と、ナンバー3のビビントソーラー(Vivint Solar)はドイツのメルセデス・ベンツと提携した(図1)。

図1●米国住宅用太陽光発電市場における蓄電池で競争を繰り広げる
テスラ(左)、LG化学 中央)、メルセデス(右)の製品
(出所:テスラ、LG化学、メルセデス・ベンツ)


政策の変わり目がビジネスチャンス

 太陽光発電システムと蓄電池システムの併用が脚光を浴びるようになった背景には、政府の政策の変化がある。

 これまで、ネットメータリング(余剰電力買取制度)などの再生可能エネルギーを拡大するための政策によって太陽光市場は飛躍的に拡大した。しかし、太陽光の大量導入により、電力会社は系統網の電圧や周波数が不安定化する問題に直面することになった。

 さらに、電力会社は、「ネットメータリング制度による余剰電力買取の増加で、太陽光を所有しない電力需要家の負担金額が増え不公平が生じている」と主張し、同制度の大幅な改正に乗り出した。その結果、電力会社の系統網に連系する太陽光の経済メリットが下がり、蓄電池の併用による「自己消費モデル」への移行が模索され始めた。

 ハワイ州では、2015年10月にネットメータリング制度が廃止され、それに代わって、「自己供給」と「グリッド供給」という系統接続オプションが導入された。

 「自己供給」とは、太陽光の全発電量を自家消費するもので、蓄電池が必須になる。「グリッド供給」は余剰分を系統網に流せるものの、買取量に制限があり、これまでの小売価格よりかなり低い価格で買い取られることになった。

 サンランは2016年5月、ハワイ州を皮切りに「ブライトボックス(BrightBox)」という太陽光・蓄電池の併設サービスを開始した。同サービスは、月単位で支払うリース(20年)、事前に支払うプリペイドリース(20年)、購入・ローンという3種類の支払いオプションを用意している。...Read More Here

July 27, 2017

米国で増えるRE100企業 再エネ導入で経費削減効果

Published at Solar Journal: 全ての事業運営を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100」。参加する米国企業は31社。増加の理由はサステナビリティ戦略だけではなく、経費削減につながるという点も大きいようだ。

名だたる企業が続々参加
CSR戦略以外にもメリット

IT企業のアップル、グーグル、フェイスブック、大手食品会社(M&M’Sのチョコレートなど)のマース、スポーティンググッズのナイキ、コーヒーフランチャイズのスターバックス、大規模小売店のウォルマート、日用消費財メーカーのピーアンドジー、そして自動車会社のゼネラルモーターズ。これらの多様な業種に渡る米国企業に共通するものは?


それは、全ての事業運営を100%再生可能エネルギーで賄うという「RE100(再エネ100%)」の目標を持ち、積極的に再エネを導入しているという点だ。

再エネ導入は、CSR(企業の社会的責任)の一部としての温暖化問題への対策だけではない。太陽光発電や風力は運転に燃料費が不要であるため、化石燃料のコスト変動・高騰を回避し、自社の電力コストを安定化、さらに削減することができる。つまり、自社の社会的責任を果たすだけではなく、自社の経費削減による経営改善にもなる。

太陽光発電コストが
化石燃料のコストを下回る

「経費削減」ができる理由の一つには、近年の太陽光発電の導入コストが大きく低下し、発電コストが火力や原子力よりも低くなってきたことがある。そのため従来の化石燃料の電力を購入するより、再エネを導入した方が、経済的メリットが出るようになってきたのだ。実際、全世界での事業を再エネ100%で賄う目標を2017年中に達成するグーグル社は、再エネの価格低下により「再エネの電力は最も低コストな選択肢になってきた」と、再エネ導入拡大の加速を説明した。

米ファイナンシャル会社のラザード社によって昨年末に発表された発電源別均等化発電原価(LCOE)の分析によると、2016年における大規模太陽光発電所の発電コストは前年比11%減、2009年からは85%減と大きく下がっている。実際、シリコン系モジュールによる大規模太陽光発電所の発電コストは49〜61ドル/MWh、薄膜シリコン系モジュールは46〜56ドル/MWhと報告されている。

つまり、kW時だと5セント〜6セントということだ。石炭火力の発電コストは、60〜143ドル/ MWh、天然ガス火力発電コストは48〜78 ドル/MWhであった。これは、太陽光発電の発電コストが、従来の化石燃料の発電コストに匹敵、さらに下回るまでの低コスト化が進んでいることを意味する。..Read More Here

July 25, 2017

「高密度実装モジュール」で成長する米ソラリア社の戦略 米国で太陽電池メーカーは生き残れるのか

Published at Nikkei Technology Online ---  米国を代表する太陽光パネルメーカーとしては、高変換効率の結晶系太陽電池で世界をリードしてきたサンパワー (SunPower) と、テルル化カドミウム (CdTe)を使った化合物型太陽光パネルのトップメーカーであるファーストソーラー(First Solar)の2社が挙げられる。この2社に続いて、独自技術を武器に存在感を示し始めたベンチャー企業が登場した。

「短冊」を瓦のように重ねる

 はんだ付けでなくセル(発電素子)を直接、接続するタイプの「高密度実装モジュール」を開発・販売しているソラリア(Solaria)である。同社は、カリフォルニア州フレモントに拠点と、セルの生産工場を構えている。ちなみにテスラ社の電気自動車(EV)工場は、ここから10分ほどの距離にある。

 同社は当初、集光型太陽光発電(CPV)に特化したスタートアップ企業として2000年に設立された。その過程で100件以上の 基板材料、工程、応用、製品、製造機械、自動化などの特許を取得した。 
 そうした技術蓄積をベースに、高密度実装モジュール「PowerXT」を開発した。PowerXTは、単結晶PERC(Passivated Emitter and Rear Cell:裏面不動態型セル)を用いた住宅用太陽光パネル(320~330W/枚)で、変換効率は19%以上である(330W/枚タイプの変換効率は19.3%)。通常の ウエハーを短冊形にカットしたもの(ストリップと呼ばれる)を17枚、瓦のように重ね直接接続して1枚の「PowerXTセル」を製造する(図1)。
図1●ソラリア社の高密度実装モジュール「PowerXT」
Credit: Solaria


リボンとはんだ付けが不要に

 ソラリア社の最高経営責任者 (CEO) であるスビ・シャルマ氏によると、「PowerXT」は、バスバーとストリングリボンの接続がなく、20枚のセルから構成されている。

 同社が独自に開発した工程で17枚のストリップを直接接続する。1枚のウエハー(幅156mm)からは5枚のストリップが取れる。つまり、ストリングリボンとバスバー不要のセル間直接接続プロセスで、セル間のスペースを削減し、パネル(モジュール)の受光面積と美観を改善させたのである。高度なセル相互接続、およびパネル製造プロセスは同社独自の技術と製造機械を使用しているという。

 さらに同氏は、「PowerXT」は従来の太陽光パネルと比べ、20%発電量が多いという。1枚のパネルの発電量が多いことから、使用するパネルの数を減らせ、トータルコストを下げられるとしている。

 また、ストリングを並列に接続しているため、影による出力低下の影響が下がり、「ストリングリボン不要」「はんだ付け不要」という特徴によりシステムの耐久性と信頼性が高まるという...。Read More Here
図2●効率性や耐久性、信頼性の点で利点が多いというCredit: Solaria

July 18, 2017

米で主役に躍り出る蓄電池、2025年までに35GW目指す: 北米「インターソーラー・電気エネルギー貯蔵2017」報告

Published at Nikkei Technology Online --- 太陽光導入のカギは蓄電池

 太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2017年7月10~13日)が、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。

 同展示会は、今年で10年目を迎えるが、昨年に続き今年も、蓄電池およびエネルギー貯蔵システムの展示会である「ees North America(北米電気エネルギー貯蔵)」と同時開催となった。

 両イベントは、3日間の専門セミナーと展示会・技術講演会で構成される。今後太陽光発電の導入を拡大するには、蓄電池が大きなカギを握ると共に、技術革新が相次いでいることから、蓄電池が主役のイベントとなった(図1)。
図1●サンフランシスコで同時開催された
「ees North America(北米電気エネルギー貯蔵)」
(出所:Solar Promotion International GmbH・2017年7月)

「ベーコン」と「スイスアーミーナイフ」

 今回の展示会を取材して印象的だったのは、蓄電池の代名詞として、食材の「ベーコン」と「スイスアーミーナイフ」いう言葉を頻繁に耳にしたことである。

 「ベーコン」は、卵、サンドイッチからチョコレート、アイスクリーム、そしてカクテルのマティーニまで合う食材。「スイスアーミーナイフ」は、ナイフとしてだけでなく、缶切り、ドライバーなど多くの機能を備えた道具である。

 カリフォルニア・エネルギー貯蔵協会の共同創立者でストラージェン・コンサルティング社のチーフテクノロジーオフィサーを務めるジャニス・リン氏は、「エネルギー貯蔵は、ベーコンのようで、何とでも合わせやすい」と語る。

 中でも蓄電池は、太陽光、風力、ガスタービンなど異なる発電所と併設でき、発電から配電段階まですべてのプロセスに対応できる。さらに、バックアップ電源、周波数調整、再エネ導入拡大、ピークカット、インバランス調整、送配電網の増強、送配電網の投資抑制など多様な機能や役割を期待できる。

 ees North Americaの展示会場で開かれた「エクザクティブ討論」では、蓄電池産業からの4人のエキスパートが参加して将来の蓄電池市場について討論した。中でも、蓄電池市場が今後拡大するための要因として、「高い再生エネ普及率」、「電気料金制度の変更」、「補助金制度」について活発な議論が交わされた。...Read More Here
図2●「北米電気エネルギー貯蔵」の展示場ステージでの
「エクザクティブ討論」
(出所:Junko Movellan)

July 7, 2017

太陽光パネルの評価結果に波紋、品質と生産規模の関係に一石 22社の「トップパフォーマー」の持つ意味

Published at Nikkei Technology Online ---  太陽光パネル価格は2010年から2016年の間に約80%下落し、直近の2016年初めから2017年半にかけても約35~50%も下がった。こうした価格低下は太陽光発電産業の成長を加速したのも事実だが、一方で太陽光パネルメーカーの一部は、品質改善を犠牲にしてコスト削減を進めて規模拡大に走ったのではないかという見方も広まっている。

5項目の加速試験で評価

 このほど、そうした品質と規模の関係に一石を投じる報告書がノルウェーの第三者調査機関であるDNV GL社から発表された。

 太陽光パネルの信頼性調査結果をまとめた報告書「PVモジュール信頼性スコアカード」の2017年版がそれで、22社のパネルのメーカーを品質の高い「トップパフォーマー」として選択している。DNV GL社は各社のパネルについて、温度サイクル、動的機械加重、高温高湿、結露凍結、PID(Potential Induced Degradation)という5項目の加速試験を実施し、スコアをつけた。づけをした。

 同報告書の結果について、一部のメディアは、「トップパフォーマーは必ずしもトップ生産者ではない」、「メーカーの規模の大きさは品質の良さと必ずしも比例しない」と報道したが、果たしてこの見方は妥当なのかどうかを検討してみたい(図1)。
図1●DNV GL社によって発表されたトップパフォーマーと
テストに使用されたパネルモデル数

参加25社のうち22社が「トップパフォーマー」

 一方、太陽光発電市場リサーチ・コンサルティング会社である米SPV Market Researchの最新レポート (Photovoltaic Manufacturer Capacity, Shipments, Price & Revenues 2016/2017:2016・2017年 太陽電池メーカー生産容量、出荷量、価格と収入)によると、2016年のトップ10太陽電池パネルルメーカーは以下のようになる(図2)。


図2●トップ10太陽電池パネルメーカー,
Credit: SPV Market Research


 DNV GL社の調査でトップパフォーマーに入っている、トップ10メーカーは、Trina Solar、Hanwha Q-Cells、Jinko Solar、Longi Lerriと、Yingli Solarの5社である。そうなると、トップパフォーマーに入らなかった、他のトップ10メーカーのパネルの品質、信頼性は低いということになるが、果たしてそれは本当だろうか。

 DNV GL社のジェンヤ・メイドブライ氏によると、この報告書用の試験に参加したのは25のパネルメーカー、そしてそのメーカーから提出された50のパネルが実際にテストされた。さらに、試験されたパネルは全て結晶系のみで、薄膜型や他のタイプは含まれていない。つまり、トップ10メーカーに入っている米First Solar社のパネルはもともと試験の対象外というわけだ。...Read More Here

June 26, 2017

CSP Eyes Strong Growth with Thermal Energy Storage to Compete Against PV

Published at Renewable Energy World: Concentrating solar power (CSP) has existed since 1866, but for the last couple of decades, photovoltaic (PV) has been the dominant solar technology. Now with technological advancements and energy storage, CSP is poised to make a significant comeback. Cleanergy AB, a Stirling CSP technology provider based in Sweden, has signed an agreement to deploy a 200-MW CSP project in China. Datang Holdings New Energy Technologies Ltd in China will secure government approvals and financing for this CSP project.

The project will be built in two phases: 50 MW in 2018 and 150 MW with latent heat storage. There are three forms to store heat: latent, sensible, and thermochemical. The latent heat storage uses the process of melting or crystallizing a material known as Phase Change Material (PCM). Cleanergy believes that it will be essential for all renewable technologies to be equipped with energy storage as penetration of renewable energy increases in the grid. “For CSP specifically, the competitiveness against PV hinges on a more efficient solution for delivery of dispatched energy,” commented Jonas Eklind, president and CEO of Cleanergy.

Credit: Cleanergy

Aalborg CSP, another CSP provider, made a joint development agreement with SaltX Technology to offer cost-effective, fully-scalable, and dispatchable renewable energy solutions. Based in Sweden, SaltX has invented a patented technology to store thermal energy with salt.

“EnerStore, SaltX’s large-scale storage, is a thermochemical storage, which chemically holds the thermal energy in the salt so that the temperature 500 degree Celsius can be taken out at the same level without maintenance heating and with no or marginal heat losses,” explained Karl Bohman, CEO of SaltX Technology. “In addition, the EnerStore material, with the nano-coating, does not corrode as opposed to molten salt. It is non-toxic and can be recycled at the end of its life cycle.”

Eklind’s comment echoed this. “In order to compete with PV, the storage component in CSP is critical,” he said...Read More Here