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March 8, 2021

「カーボンゼロ」に本気の米電力、「系統蓄電池」導入を加速 「資源総合計画」で上積み、蓄電池市場は「転換点」、1GW超に

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

世界最大のエネルギー貯蔵設備

 世界が温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンゼロ社会」に向けて動き出している。米カリフォルニア州では、「2045年までに電力供給の100%をゼロエミッション電源とすること」を2018年に義務付けた。これに伴い、2045年までにすべての天然ガス火力を廃棄することになっている。

 天然ガス火力の代替に太陽光発電など再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大し、温室効果ガスを排出しない電源システムへの移行が必要になるが、その成功には、エネルギー貯蔵設備の普及が重要な鍵を握っている。

 昨年12月カリフォルニア州サンフランシスコの南約200kmに位置する港町・モントレー郡で、世界最大規模のエネルギー貯蔵プロジェクトが稼働した。「モス・ランディング・エネルギー貯蔵施設」と呼ばれるこのプロジェクトの出力は300 MW、容量1200 MWhに達する。敷地内にある火力発電所用に設置されていた変電所と送電インフラに接続されるだけでなく、この発電所から送られる電力サービスも代替し、クリーンエネルギー転換に貢献する(図1)。

図1●カリフォルニア州で稼働した世界最大規模のエネルギー貯蔵設備(出力300 MW /容量1200 MWh)
(出所:Vistra)

「ビハインド」と「フロント」

 この「モス・ランディング」の導入により、米国エネルギー貯蔵市場は飛躍的に拡大した。

 米国エネルギー貯蔵協会(ESA)と再エネを含む天然資源産業のリサーチ・コンサルティングサービスを提供するウッズマッケンジーによると、2020年第4四半期(10~12月) に商業運転を開始したエネルギー貯蔵設備の設置容量は、前期比182%増の2156 MWhに達し、四半期の導入量で、過去最高となった。

 モス・ランディングがこの四半期に占める構成比は55%となる。

 米国エネルギー貯蔵市場は、太陽光発電市場と同じように、住宅用、 非住宅用(商業・産業)、そして、発電事業用の3つに分類される。さらに、電力会社の視点から、エネルギー貯蔵設備が、電力需要家側に設置される場合 「ビハインド・ザ・メーター(電力量計の後ろ側)」(需要家蓄電池)、そして、電力系統側に設置される場合 「フロント・オブ・ザ・メーター (電力量計の前側)」(系統蓄電池)との分け方もある。後者の「フロント・オブ・ザ・メーター」のほとんどは電力会社による発電事業用になる... Read More Here

January 10, 2021

「もっとソーラー、もっと安い」、電力会社も太陽光で割安料金を打ち出す 米電力大手、大規模蓄電池から「安い太陽光の電気」を供給へ

 Published at Nikkei Technology Mega Solar Business


かつては「プレミア付き」だったが…

 「太陽光発電で電気代がお得に!」「太陽光発電で家庭の電気代を削減できます!」――住宅用太陽光発電システムの販売促進では、施工会社がこうした広告で訴求するのは珍しくないが、最近ではこうした宣伝文句を、大手電力会社が打ち出している。つまり、自家消費だけではなく、電力会社の電力販売サービスのレベルでも、太陽光発電から提供する方が「お得」なのだ。

 「もっとソーラーエネルギー、もっと安い」と、顧客にアピールするのは、米ネバタ州を管轄エリアとしている大手電力会社であるNVエネルギー(NV Energy)。同社は、気候変動対策として温室効果ガス排出量の削減と再生可能エネルギーの導入拡大を進めると同時に、顧客の電気料金削減に成功している。以前だったら、電力会社からの「再エネプラン」は環境価値プレミアムが付き「割高」とされていたが、現在は、電力会社が「ソーラーエネルギーと低価格」を共に消費者に提供できるようになったのだ(図1)。

図1●「もっとソーラーエネルギー、もっと安い」と、顧客にアピールするNVエネルギー
(出所:NV Energy)

法律で「2030年・再エネ50%」

 NVエネルギーは、2013年以降、ネバダ州南部に電力を提供する石炭火力発電所の所有権を完全に手放し、ネバダ州北部に残っている同社唯一の石炭火力を2025年までに廃止する予定である。実際、同電力会社の電力需要を満たすための石炭火力利用率は、2013年の18%から2020年4%にまで減少した(図2)。

図2●左はNVエネルギー社の石炭火力発電所の所有率、右は同社の再エネ調達量の推移
(出所:NV Energy)

 さらに、NVエネルギーは、ネバダ州の「再生可能エネルギーポートフォリオ基準(RPS)」を10年連続で超えた。ちなみに、「RPS」とは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネ電源から供給することを義務付ける法律である。RPSは州レベルで法制化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 大自然のスケールと迫力を満喫できるグランドキャニオンと1日中ネオンが輝くカジノが並ぶラスベガスで有名なネバダ州は、よりクリーンで、グリーンなエネルギーの将来を目指し、2030年までに同州の電力源の50%を再エネで、そして2050年までに100%をカーボンフリー(二酸化炭素を出さない)電源で満たすことを2019年4月に法制化した。...Read More Here

June 7, 2020

ハワイ「再エネ100%」に向け、「メガソーラー+蓄電池」続々 太陽光急増による需給のミスマッチを解消へ

Published at Nikkei Technology:

3GWh分の蓄電池が落札

 先月、ハワイ電力工業(Hawaiian Electric Industries)は、昨年末に公募した入札の結果、16の「メガソーラー(大規模太陽光発電)+蓄電池」プロジェクトと、太陽光と併設しない「単設(スタンドアローン)」のエネルギー貯蔵プロジェクトを選択した、と発表した。
 今回落札されたプロジェクトの規模は、合計出力460MW(連系出力)の太陽光発電と容量約3GWhの蓄電池で、オハフ、マウイ、そしてハワイ島に導入される。これらのプロジェクトが完成し、稼働を始めると、ハワイ州における太陽光発電の発電量を50%以上増加させることになるという。島別にプロジェクト導入を見てみると以下のようになる(図1)(図2)。
図1●島別のプロジェクト導入容量
(出所:Hawaiian Electric Company, Inc.)
クリックすると拡大した画像が開きます
図2●「メガソーラー+蓄電池」と単設エネルギー貯蔵・16プロジェクトの計画地
(出所:State of Hawaii, Energy Office)
クリックすると拡大した画像が開きます
 ハワイ電力工業は、昨年8月に 900MWの太陽光発電を含む再エネ、500GWhの蓄電池、210MWのグリッドサービス調達の一般競争入札を実施した。この入札はハワイ州のみならず、米国の公益事業委員会による最大規模の入札公募であった。ちなみに、今回の公募では、75件以上の入札参加があり、そのうち16件が採択された。...Read More Here

March 4, 2020

「RE100」IT大手に押され、バージニア州でメガソーラー続々 データセンターに供給、初の「蓄電併設型」も導入へ

Published at Nikkei Mega Solar Business

IT大手のデータセンターが集積

 米バージニア州と聞くと、政策的に太陽光発電に熱心な州というイメージはないが、実際には、着々と太陽光の導入が拡大している。米国太陽エネルギー協会(SEIA)によると、同州は、太陽光発電の累積導入量ですでに全米17位(2019年第3四半期時点)とトップ3分の1に入る。
 実は、同州で今まで太陽光発電導入を牽引してきたのは、州政府ではなく、なんと、データセンターなのである。
 米IT業界のリーディング企業の拠点は、シリコンバレーと呼ばれるカリフォルニア州北部に集中しているが、それら企業のデータセンターはバージニア州北部に集積している。バージニア州で最もデータセンターの運営規模が大きいのはアマゾン ウェブ サービス(AWS)。フェイスブック、マイクロソフトも同州でデータセンターを運営している(図1)。
図1●「データセンター裏通り」とも呼ばれるバージニア州北部
(出所:Data Center Frontier)

「経済効果」を守る

 電力市場が完全に自由化されていないバージニア州で、最大規模の電力会社はドミニオン・エネルギー・パワー(以下ドミニオン)である。同社は発電から送電まで行う垂直統合型の地域独占電力会社であり、環境保護や再生可能エネルギーにはかなり遅れをとっていた。
 AWS、フェイスブックなどデータセンターを運営する企業グループは、国際イニシアチブ「RE100」に加盟するなど再エネ転換にたいへん積極的で、バージニア州の規制当局に対し、州内での再エネの選択肢を増やすことを要望してきた。
 こうした声に応える形で、ドミニオンはメガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発に乗り出した。その背景には、データセンターによる経済効果を同州に留めるためには、十分な再エネ電力を提供できる体制を整えることが不可欠という判断がある。
 実際、ドミニオンはすでにAWS向けに6基のメガソーラー (合計出力260MW)をバージニア州で稼働している。さらに、今年1月に新たに120MWのメガソーラー をAWSと同州のアーリングトン郡用に建設することを発表した...Read More Here

February 19, 2020

米エネルギー貯蔵市場、2024年までに5.4GWに拡大! 電力会社による導入計画は合計78GW

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EV市場拡大で価格低下

 米大統領による「年頭教書」は、米政治における新春の恒例行事として知られる。年の始めに、大統領が連邦の両院議会の議員を前に、その年の主な政治課題などを演説するもので、一般教書演説とも呼ばれる。今年は、これと並行して、「米国エネルギー貯蔵産業の年頭教書:2019年の回想」と題したセミナーが2月6日に行われた。
 講演者の一人であるダン・フィンフォレイ氏は、「市場は着実に拡大している」と、米国エネルギー貯蔵設備の市場トレンドを語った。同氏は、クリーンエネルギーに関する英国調査会社・ウッドマッケンジーのエネルギー貯蔵部で アナリストを務めている。
 米国エネルギー貯蔵市場をテクノロジー別に見ると、リチウムイオン蓄電池がこれまで市場をほぼ独占しており、2019年第4四半期のシェアでは、全体の99.2%に達した。
 フィンフォレイ氏によると、エネルギー貯蔵設備の価格は継続的に低下しているという。その背景について、「エネルギー貯蔵市場が、電気自動車(EV)市場に『おんぶ』されているから」という表現で説明した。つまり、エネルギー貯蔵用だけの蓄電池市場はまだ小さいが、急速に拡大するEV市場のおかげで、コスト低下の恩恵を得ているという。
 エネルギー貯蔵市場の主体は「長周期」(長時間の需給改善)向け用途に向かっており、「真の(ビジネス)機会は長周期向けにある」と語った。米国でエネルギー貯蔵市場が立ち上がった当初は、調整力市場を通じて、短時間の充放電で生み出した調整力を系統運用事業者に提供するアンシラリーサービスがメインで、同サービス用には「短周期」(短時間の需給改善)向けシステムが活用された。
 近年では、カリフォルニア州やニューヨーク州など多くの州政府がエネルギー貯蔵設備の導入を義務化し、 昼間に太陽光発電からの電力を充電し、夕方のピーク時に放電する「シフト目的」の長周期対策での使用が拡大している。さらに、供給力の確実な確保を目指す容量市場の拡大で、長周期向けエネルギー貯蔵が大きく伸びると予想されている。

長周期向けは20%の価格低下

 エネルギー貯蔵市場は、太陽光発電市場と同じように、住宅用、 非住宅用(商業・産業)、そして、発電事業用の3つに分類される。さらに、電力会社の視点から、エネルギー貯蔵が電力需要家側に設置される場合 「ビハインド・ザ・メーター(電力量計の後側)」、そして、電力供給側に設置される場合 「フロント・オブ・ザ・メーター (電力量計の前側)」との分け方もある。後者のフロント・オブ・ザ・メーターのほとんどは電力会社による発電事業用になる。
 エネルギー貯蔵設備の価格は、容量や電力量といった技術的な特性だけでなく、設備の定格放電時間によっても異なる。主に、定格放電時間が0.5 時間未満の「短周期」、2時間までの「中周期」、そして4時間以上の「長周期」に分類される。... Read More Here

January 10, 2020

米最大「690MW太陽光+360MW蓄電池」がネバダ州で計画 州所有地に建設、トランプ政権の承認で動き出す

Published at Nikkei Mega Solar ---

州政府の所有地内に建設

 現在、米ネバダ州で、国内だけでなく、世界でも最大規模と言われる「太陽光+蓄電池」プロジェクトの開発が始まろうとしている。
 プロジェクトの正式名称は「ジェミニ・ソーラー+バッテリー(ジェミニ)」と呼ばれ、連系出力690MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に、連系出力360MW(容量1520MWh)のエネルギー貯蔵設備が併設される(図1)。
図1●「ジェミニ・ソーラー+バッテリー」計画図
(出所:Quinbrook Infrastructure Partners)
クリックすると拡大した画像が開きます
 このプロジェクトは規模だけでなく、政治的な面でもニュースになっている。それは、このプロジェクトがネバダ州連邦政府の所有地に開発される予定で、この場合、州だけではなく、連邦の各種機関より許認可を取得する必要があるからだ。...Read More Here

December 13, 2019

米エネルギー貯蔵市場、2024年には4.7GWに急拡大 カリフォルニア州と発電事業用の需要が牽引

Published at Nikkei Technology ==

米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)によると、2018年末の時点で、米国には出力862 MWの発電事業用エネルギー貯蔵施設が稼働済みである。
発電所の規模は定格出力(kW)で示されるが、エネルギー貯蔵の場合、その規模は「出力」と「容量」の2つの単位で表される。「出力」は、kWやMWが単位となり、利用可能な瞬時の最大電力の値。一方、「容量」は、1回の充放電サイクルで、充電または放電できる最大の電力量で、kWhやMWhが単位となる。
ちなみに、2018年の発電事業用エネルギー貯蔵施設の総容量は、1236 MWhで、出力と容量ともに総導入量の90%以上はリチウムイオン電池が採用された(図1)。
図1●米国発電事業用エネルギー貯蔵のタイプ(技術)別・導入出力(左図)と容量(右図)の年間推移(注:藍色=リチウムイオン電池、緑色=フロー電池、水色=塩系、黄色=ニッケル系、茶色=鉛蓄電池)
(出所:EIA)
現在、計画されているエネルギー貯蔵設備が稼働し、稼働中の容量が廃止されないと仮定すると、米国の電力事業用のエネルギー貯蔵設備の総出力は2023年までに2.5GWを超える可能性があるとEIAは予測している。

英コンサルティング会社であるウッドマッケンジーも、2020年代に米国内でエネルギー貯蔵設備の市場が急拡大すると予測している。市場拡大の背景には、電力会社による導入拡大と、米カリフォルニア州の山火事を含む大規模な災害時に必要なレジリエンス(回復力)強化に向け、エネルギー貯蔵への関心の高まりがあるという。ウッドマッケンジーでは、2024年の導入規模を実に4.7GWと予想している(図2)。
図2●米国内でのエネルギー貯蔵設備・年間導入量の予測(2012~24年・MW)(藍色:住宅用、水色:商業用、灰色:発電事業用)
(出所:Wood Makenzie Power & Renewable)
ウッドマッケンジーの予測では、カリフォルニア州で住宅・商業用などに分散型蓄電池の導入も拡大していくが、発電事業向け需要の方が、より拡大すると見ている。...Read More Here

November 19, 2019

End of the Residential FIT in Japan. Post FIT RECs go to RE100 Companies

Published at Renewable Energy World:

Prior to launching a nationwide Feed-in tariff (FIT) program in 2019, Japan implemented various solar incentive schemes, including a Surplus PV generation Purchase program from residential solar photovoltaic (PV) owners.

The Japanese government launched this program in fall 2009 and required the nation’s large investor-owned utilities (IOUs) to purchase excess electricity from PV systems (below 10 kW) owned by homeowners at a fixed, premium rate of 48 yen/kWh (~54 US cents/kWh) for the duration of 10 years.

2019 marks the end for those who enrolled in this program 10 years ago.

According to the nation’s Ministry of Economy, Trade, and Industry (METI), by the end of this year, the IOUs will stop purchasing excess electricity from 2 GW worth of PV systems owned by 530,000 homes in Japan.

And that number will increase to over 1.65 million homes (or 6.7 GW of PV systems) by 2023... Read More Here

July 29, 2019

企業だけではない、州政府でも加速する「RE100」 石炭・原子力からクリーンエネ転換を目指す動きに

Published at Nikkei Technology ---  1900年代終わりから、補助金支給など政府による普及政策で徐々に立ち上がり始めた世界の太陽光発電市場。当時、「コストが高い」との課題が付いて回っていたが、市場が拡大するにつれて、そのコストも劇的に下がり、従来の火力発電に匹敵、または下回るまでになった。
 太陽光発電の経済性が改善される一方、気温変動問題がより深刻化するなか、事業運営を100%再生可能エネルギーで賄う「再エネ100%(RE100)」を目標に掲げる企業が増加した。これらの企業は自主的に気温変動対策に取り組んでいる。米企業が世界のRE100動向をリードしているが、企業だけではなく、州政府での「再エネ100%」も一気に加速し始めた。
 米国の州レベルで今まで太陽光発電の導入に大きく貢献し、最も重要な政策は、「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(Renewable Portfolio Standard:RPS)」である。
 RPS法は州が全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネ電源から供給することを義務付ける法律だ。この仕組みは最近、始まったわけではない。最初の導入例はアイオア州で1983年に立法化し、その後1900年代終わりから2000年代初めにカリフォルニア州を含む多くの州が気候変動対策の一環で次々とRPS法を成立させた。
 しかし、RPS法が最初に導入された当時、目標値は20〜30%に留まっていた。それが、ここ数年、目標値を大きく引き上げる州が続々と増えている(図1)。
図1●各州の再エネ目標は改正ごとに引き上げられている—RPS法成立年(州名:黒色)とRPS法改正年(州名:赤色)
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)

 まず、輸入化石燃料への依存度が最も米国で高いハワイ州が2015年にRPSの「再エネ100%」を法制化した。次いで、環境政策で米国をリードするカリフォルニア州は、連邦政府のパリ協定からの離脱決定後の2018年に、「クリーンエネルギー100%転換」を実現するために、同州の電気事業者に、「2030年までに電力販売量の50%を再エネから調達すること」、さらに「2045年までに電力販売量の100%をカーボンフリー電源で調達すること」を新たに義務付けた。...Read More Here

June 27, 2019

米エネルギー貯蔵市場、2024年までに4.5GW超 老朽化した火力発電所の閉鎖を促し、新設を防ぐ

Published at Nikkei ---  
米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のウッズマッケンジーと米国エネルギー貯蔵協会(ESA)によると、2019年第1四半期(1~3月) における米国におけるエネルギー貯蔵設備の設置容量は、前期比6%増、前年同期比232%増(2.32倍)148.8MWと、大きく拡大し、新記録を更新したとしている(図1)。

図1●四半期別米国エネルギー貯蔵設置容量推移(MW)
(出所:Woods Mackenzie)
クリックすると拡大した画像が開きます
 エネルギー貯蔵設備の経済性が高くなり、太陽光発電などの変動性再生可能エネルギーの導入価格の低下に伴い、より多くの電力会社が「蓄電池プラス太陽光発電」のペア(併設)を資源総合計画(Integrated Resource Plan =IRP)に含めるようになった。
 IRPは、最もコスト効率の高い方法で顧客の信頼できるサービスを提供するため、電力需要と供給の両方のエネルギーリソース(資源)を利用して、予測されたエネルギー需要を満たすロードマップ(長期計画)である。
 電力会社は、州の電力規制を行う機関である公共事業委員会(PUC)にIRPを提出する。具体的にIRPには、資源の多様化、省エネ、輸入化石燃料への依存低減、長期的な資源調達方法などが含まれる。

 これまで電力会社のIRPには従来型の資源である石油、石炭、天然ガス、水力などが含まれていたが、ここ数年は、「蓄電池プラス太陽光発電」のペア、さらには、エネルギー貯蔵が「資源」として含まれるようになった。
 カリフォルニア州の中南部で電力小売事業を独占する米サザン・カリフォルニア・エジソン電力会社(Southern California Edison=SCE)は、エネルギー貯蔵を競争入札にかけ、今年4月に以下の6つのプロジェクトを落札した。総設置容量は181MWに達する(図2)。
図2●サザン・カリフォルニア・エジソン電力会社、2019年エネルギー貯蔵入札結果
(出所:SCE)
 落札されたプロジェクトの一つであるストラス・ソーラーの100MWのエネルギー貯蔵プロジェクトは、北米で最大規模となる。同社は2018年にノースカロライナ州に設立され、住宅用太陽光発電システムの販売・施工を手始めに、商業用、発電事業用と太陽光発電設備の規模を大きくし、さらにはエネルギー貯蔵へと事業を拡大していった。現在、同社は3GWhを超えるエネルギー貯蔵プロジェクトを開発中である。

April 10, 2019

アマゾン、「再エネ100%」データセンターの公約破る!? データセンターが集積するバージニア州の電力事情

Published at Nikkei Technology ---

「再エネ100%」データセンターで先行

 京セラグループの京セラコミュニケーションシステム(KCCS、京都市)が、北海道石狩市に「再生可能エネルギー100%」で運営する「ゼロエミッション・データセンター」を建設すると発表した。このニュースは日本ではまだ目新しく受け止められているものの、米国では、こうしたデータセンターの「再エネ100%」運営への移行はだいぶ前から始まっている。
 ただ、これに関し、先月NGO(非政府組織)の自然保護団体であるグリーンピースが興味深いレポートを発表した。それは、アマゾンのバージニア州にあるデータセンターが、「再エネ100%」公約にも関わらず、「汚い電力」で稼働されているとの指摘だ(図1)。
図1●バージニア州でデータセンターを運営する企業の電力需要量(黒色)と再エネ調達量(緑色)の比較
(出所:Green Peace)
[画像のクリックで拡大表示]
 米IT業界のリーディング企業の拠点は、シリコンバレーと呼ばれるカリフォルニア州北部に集中しているが、それら企業のデータセンターはバージニア州北部に集積している。「データセンター裏通り」とも呼ばれているバージニア州北部には100を超えるデータセンターと1000万平方フィートを超えるデータセンター用のスペースがあり、同州のラウドン郡だけでも、世界のインターネットによるトラフィック(通信量)の70%を毎日処理しているという。...Read More Here

February 12, 2019

「メガソーラー+蓄電池」でも、売電単価8セント以下! 「蓄電池併設型太陽光」で世界をリードするハワイ

Published at Nikkei Technology ---

世界最大の「蓄電池併設型」

 米AESは、再生可能エネルギーのデベロッパーで発電事業も手掛けている。2019年1月、同社は、米ハワイ州に世界最大規模の蓄電池併設型太陽光発電所「太陽光+(プラス)蓄電池・プロジェクト」の稼働を開始した。
 この事業は、「ラワイプロジェクト」とも呼ばれ、太陽光パネル出力28MW、連系出力20MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に、出力20MW・容量100MWhの蓄電池を併設している。蓄電池は需要ピーク時に最長で5時間、放電できる仕様になっている。
 ハワイ諸島の最北端に位置するカウアイ島をサービス管轄に持つ電力会社カウアイ島公益事業社(KIUC)はAESとの間で25年に渡る長期電力購入契約を結び、kWhあたり11.08米セントで電力を購入する。
 このプロジェクトで導入した太陽光発電設備は、カウアイ島におけるピーク電力需要の約11%を賄える。その結果、島全体の再エネ比率は50%以上に高まり、同電力会社の目標である「2030年までに再エネ比率70%」の達成に大きく貢献するという。
 AESの子会社であるAES・ディストリビューティッド・エネルギーで社長を務めるウッディー・ロビン氏は、ラワイプロジェクトについて、「(カウアイ島は太陽光発電の普及率がすでに高いので)系統網への再エネ電源の接続では、太陽光発電はすでにパンパンの状態です。ハワイ州の島々は昼間に新規の太陽光を受け入れるには限りがあります。大型蓄電池を併設することで、上手に電力需要をシフトしたり、ピーク需要を削減できます。さらに5時間という長い放電時間で大量の(日中に蓄えた)太陽光をシフトできます」と、米国エネルギー貯蔵協会(ESA)の会合で語った。
 ちなみに、ラワイプロジェクトには1万3000もの韓国サムソン SDIのリチウムイオン電池モジュールが使用された(図1)。...Read More Here
図1●カウアイ島の設置された世界最大規模の「太陽光+蓄電池」プロジェクト
(出所:AES)
[画像のクリックで拡大表示]

April 23, 2018

近道をしない「RE100」達成への道(前半) 「環境価値」に頼らず、再エネ新設と化石発電の廃止に貢献

Published at Nikkei Tech:
 米アップルは4月9日、同グループの全世界の事業運営で消費する電力に関し、再生可能エネルギー100%を達成したと発表した。

各地域で再エネ投資を拡大

 同社の凄さは、「RE100」(再エネ100%)を「目標」とする企業がようやく増える中、すでに自国内でのRE100を達成し、同社本社のある米国だけでなく、43カ国にわたるグローバルレベルで達成したことだ。
 この達成にあたり同社は、環境価値を外部から購入するのではなく、同社の拠点がある地域で太陽光発電所などの再エネ発電設備を建設し、そこからの電力を直接調達するなど、再エネ投資を拡大させた(図1)。
図1●アップルがアリゾナ州に持つデータセンター向けに設置されたメガソーラー(連系出力50 MW)( 出所:アップル)
 RE100を達成するには、(1)自社の敷地内に再エネ発電設備を導入し、発電分を自家消費にあてる(オンサイト発電)、(2)電力会社から「グリーン電力」プランの電力を購入する、(3) 再エネ発電事業者(独立発電事業者など)とPPA(電力購入契約)を結んで電力を調達する、(4)環境価値(グリーン証書など)を購入するーーなどの方法がある。
 RE100を目標とする企業は、これらの方法を組み合わせて達成することが多かった。
 しかし、最近では、環境負荷低減に貢献する「真のRE100達成」とは、「顧客の拠点があって電力需要のある現場、または顧客の拠点が電力供給を受けている送配電網と同じ系統に接続している再エネ設備からの電力調達」、「再エネの新増設への投資促進」、「グリーン電力から『環境価値』と『電力』を一括調達すること」などと見られている。これにより、既存の化石燃料による火力発電所の新増設を抑制する効果があることが評価される。

「環境価値」購入だけでは再エネは増えない

 これに対し、「環境価値の購入だけでRE100を達成する方法は、新規の再エネ投資を創出しない」と、国際的な環境保護団体であるグリーンピースは主張している。
 再エネ設備などからのクリーンな電力は、「電気そのものの価値」とCO2排出削減などの「環境価値」の二つからなる。電気そのものと切り離された環境価値を購入することで、購入者は、「再エネ電力を使用している」とみなされる。
 米国では、環境価値と電力の価値を一括して購入することを「バンドル」、環境価値のみを買うことを「アンバンドル」と表現する。
 米国では各州で発電事業者、または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネから供給することを義務付けるRPS(Renewable portfolio standard:再生可能エネルギーポートフォリオ基準)が導入されている。発電事業者や小売事業者は、義務量を達成するために、RPSで認められた環境価値であるREC(Renewable Energy Certificate:再生可能エネルギー証書)を購入するケースが増え、その取引が活発化した。
 最近では、再エネの拡大と共に、コスト削減が進み、導入が加速した。その結果、取引される環境価値の量が急増し、供給過剰となっている。企業がこれらの「余った」環境価値を購入することでRE100を達成しても再エネの新増設につながらず、化石燃料を使った既存の発電所を減らす契機にもならない、という批判が高まってきたのである。..Read More Here

February 7, 2018

「再エネ後進州」アラバマに72MWのメガソーラー稼働のワケ ウォルマート社の「再エネ100%」向けに建設、トヨタも続くか?

Published at Nikkei Technology Online ---  米国南部に位置するアラバマ州は、先月トヨタ自動車とマツダが合併新工場の建設を発表したことで、ようやく日本でも知られるようになったが、太陽光発電に関して全米でも遅れた「再エネ・後進州」と見られている。
 アラバマ州は気候変動対策の取り組みや、再生可能エネルギー導入の普及政策もほとんどない。実際、カリフォルニア、ノースカロライナ、アリゾナ州など太陽光発電の導入が活発な州では通常、発電用太陽光発電所の導入を促進する再エネ導入基準(RPS法)と分散型太陽光発電用のネットメータリング制度を整備しているが、アラバマ州にはどちらもない。さらに、同州では、太陽光発電を電力会社の送配電網に接続する際の系統連系も標準化されていない。
 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)のデータによると、2017年9月末までに累積49.3GWの太陽光発電が全米で導入されている。そのうち、カリフォルニア州は40%強の20.1GWを占め、一方、アラバマ州はわずか約0.2%で128MWにすぎない。
 そんな中、2017年末アラバマ州で連系出力72MW (太陽光パネル容量111 MW)のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働を始めた(図1)。
図1●ウォルマート社の再エネ調達で設置された連系出力72MWのメガソーラー
(出所:Swinerton Renewable Energy)

再エネ「利用」に5つの選択肢

 RPS法もなく、ネットメータリング制度もないアラバマ州でメガソーラーが設置された理由は、「再エネ100%」を目標に掲げる企業の「再エネ・ニーズ」に対し、地元の電力会社が応えなければならなかったからだ。...Read More Here

November 21, 2017

米入札で最安値、ネバダのメガソーラーが「3.42セント」 アップルがデータセンターを「再エネ100%」に

Published at Nikkei Technology Online ---  ネバタ州を管轄エリアとしている大手電力会社であるエヌヴィ・エネルギー社(NV Energy)がこのほど、同州の公益事業委員会にメガソーラー(大規模太陽光発電所)からの長期電力購入契約の許可を申請した。この長期契約は3つのメガソーラープロジェクトからなり、連系出力は合計で100MWに達する。

2030年目標に近づく

 3つのプロジェクトのうち2つは、同社が今年6月に発表した電力調達のための提案依頼書(RFP)の公募によるもので、契約期間25年にわたる均等化発電原価(LCOE:Levelized Cost Of Electricity)の値が、34.2米ドル/MWh(3.42米セント/kWh)となっている。
 ちなみに、米エネルギー省(DOE)は1年前、「2030年までに太陽光発電のコストを2020年比で半分にする」という「2030ゴール」を発表した。その中に、メガソーラーのコストを、「2020年には6米セント/kWhまで引き下げる」という目標が含まれているが、その目標は今年すでに達成された。さらに、「2030年には3米セント/kWhまで引き下げる」という目標も立てているが、今回のプロジェクトはこれにほぼ近い水準まで来ている。
図1●サンショット太陽光発電コスト2030年ゴール
(出所:The Department of Energy)

「米入札案件で最安値」

 エヌヴィ・エネルギー社の今回の公募では、公共事業規制政策法(PURPA:The federal Public Utility Regulatory Policies Act)によって認定された再生可能エネルギー発電所を含む「認定施設(QF)」からの 長期電力購入契約になっている。同社が選択したのは、連系出力25MWの「テクレン・ソラー3」と、同じく25MWの「テクレン・ソラー4」で、同州の公益事業委員会から認可が下りた場合、2020年9月1日までに稼働する計画である。
 2つのプロジェクトは174パワーグローバル社によるもので、 同社がネバダ州ボルダー市に現在開発中の「テクレン・ソラー1」と「テクレン・ソラー2」(計300MW)の隣接地に建設される予定である。
 174パワーグローバル社は韓国ハンファグループの発電事業に携わるハンファエナジー社の子会社で、「テクレン・ソラー3」と「テクレン・ソラー4」に設置される太陽光パネルはハンファグループの会社の1つで世界最大規模の太陽光パネルメーカーであるハンファQセルズ社が高効率単結晶パネルを提供するとみられる。この2つのメガソーラーは1軸追尾式システムを使用し、年間発電量は7万2622 MWhとなっている。
 エヌヴィ・エネルギー社で再エネとスマートインフラ部門でシニア・バイスプレジデントを務めるパット・エガン氏は、「『テクレン・ソラー3』と『テクレン・ソラー4』は米国で入札にかけられた太陽光発電の電力購入契約の中で最も低価格」とコメントしている。... Read More Here

October 24, 2017

米加州、太陽光普及で電気料金は「昼が安く、夜に高い」に ピーク時間帯を「16~21時」に変更、太陽光の「電力価値」が低下

Published at Nikkei Technology Online ---  太陽光発電の導入量が全米で1位のカリフォルニア州で電気料金メニューに大きな変化が起ころうとしている。
 カリフォルニア州南部に位置するサンディエゴでは、住宅用太陽光発電システムの所有者向け料金メニューが、昨年から、季節別・時間帯別電気料金(TOU)に移行した。

新TOUでピーク時間帯が昼から夕方に移行

 この際のTOUのピーク時間帯設定では、昼間の電力を高く売れたため太陽光発電システムの所有者にとってはメリットがあったが、サンディエゴで電力・ガスの独占販売をするサンディエゴ・ガス&エレクトリック(SDG&E)社は、2017年12月1日から新TOUでのピーク時間帯を夕方に移行する。
 SDG&E社の現在の夏季ピーク時間帯は午前11時から午後6時までだが、今年8月にカリフォルニア州公益事業局(CPUC)は、同電力会社の夏季ピーク時間帯を午後4時から夜9時に移行する申請に承認した(図1)。
図1●SDG&E社のピーク時間帯シフト
(上:現在の時間帯別料金、下:今年12月からの時間帯料金)
(出所:SDG&E社)

「ダックカーブ」の緩和に役立つ

 CPUCによると、TOUは、ピーク時間帯の消費量の一部を電気料金の安いオフピークの時間帯にシフトするインセンティブを電力消費者に与える手段で、長い目で見ると、時間帯別料金の実施は系統網の安定化と、より低い電気料金を消費者にもたらす、としている。
 新しいTOUは、電気料金を電力コストとより緊密に合わせ、カリフォルニア州で深刻化しつつある需要カーブの急激な増減現象である「ダックカーブ」を緩和するのに役立つ、というのが電力会社側の主張である。...Read More Here

September 26, 2017

米電力会社が系統・需要側の双方で「蓄電池導入プラン」 蓄電池市場は327MWから2020年に2.5GWに急拡大へ

Published at Nikkei Technology Online ---

2017年に207MWの蓄電池を接続

 電力需給のバランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など多彩な機能・利点をもつ「電力貯蔵システム」の導入が、米国で拡大し始めている。発電所や変電所に併設される大規模蓄電池だけでなく、家庭や事業所、工場など需要家側の中小規模の蓄電池システムの導入も増え始めている。
 「まだ小規模ですが、蓄電池市場の成長は加速しています」――。電力会社で構成される米スマート・エレクトリック・パワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は、9月中旬に開催された北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」で、こう語った。実際、SEPAによると、昨年出力207MW(容量257MWh)の蓄電池が電力系統に接続された。
 SEPAは電力会社を対象に実施したアンケートをもとに、「2017年電力会社電力貯蔵市場概念」というレポートをSPI開催に先駆けて発表した。全米の115電力会社がこの調査に参加した。ちなみに、米国には約1億3000万の需要家(顧客口座)がおり、民営・公営など3000以上の電気事業者が電気を供給している。アンケートに参加した電力会社の契約顧客数は、7500万以上に達し、全米の電力需要家の58%を占める。
 この調査結果によると、2016年末時点で累計622MW(661MWh)の蓄電池が設置されている。つまり、2016年だけで累積容量の39%が導入されたことになる。ここにきて、いかに急速に蓄電池が普及し始めたかが分かる(図1)。
図1●州別累積電力貯蔵システム導入容量(MWh)
(出所:SEPA)

カリフォルニア州が半分以上を占める

 2016年の蓄電池導入データを州別に見てみると、太陽光発電と同様に、カリフォルニア州が120.5 MW(176.6 MWh)と、群を抜くナンバーワンで、出力で58%、容量で69%を占めた。2位はインディアナ州の22 MW( 20.8 MWh)、2位はオハイオ州の16.1 MW(16.2 MWh)となっている。
 カリフォルニア州では蓄電池に対する政府の推進策と助成制度が充実している。同州は、2010年に州の民間電力会社3社に対し、2020年までに1.3GWの電力貯蔵システムを導入することを義務付けた。1.3GWのうち50%は電力会社所有となっている。...Read More Here

September 8, 2017

続報・米「皆既日食」、市場を使い、太陽光の出力抑制は1%に 広域ネットワークで再エネの変動を機敏に調整

Published at Nikkei Technology Online ---  8月21日、米国全土では1979年以来38年ぶりとなる皆既日食が見られた。午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州まで、壮大な天体ショーが観測された。

電力の広域市場をフル活用

 カリフォルニア州は、米国で太陽光発電の導入量ナンバーワンで、日食の影響も大きいことが予想された。同州では、日食の際、起動と調整力で柔軟性に優れた電源である州内の水力発電と天然ガス火力で、太陽光発電の出力急変に対応し、グリッドの信頼性を保つことに成功した。これは8月22日に公開したこのコラムでもレポートした(関連記事)。

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っていた。部分日食といえども同州の送電網には約10GWの発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が接続されていて、ピーク需要の30〜40%を賄うまでになった。さらに、同州の配電網には5.8GWの屋根置きを含む分散型太陽光発電も接続されている。

 カリフォルニア州の系統運用を担うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を補うために、州内で発電所を稼働させると同時に、日食が地域を横切って移動し、異なる時間に異なる場所で太陽光発電に影響を与えることを利用し、西部電力システムネットワーク上での広域インバランス市場を活用した(図1)。
図 1●2017年8月21日におけるCAISO管轄内の電源別電力供給
(黄線:太陽光発電、赤線:火力発電、紫線:輸入)
(出所:CAISO)


インバランス市場の活用で再エネ統合
 CAISOはカリフォルニア州を管轄エリアとする送電事業と電力需要調整事業を担っている。さらに、前日市場と最終的な需給の差(インバランス)を調整するインバランス市場を運営している。

 米国西部諸州に拡大される再生可能エネルギーのグリッドへの連系、グリッドの信頼性と発電コスト削減を促進するため、CAISOは、同州で運営するインバランス市場の運営エリアを拡張し、2014年に西部エネルギーインバランス市場 (Western Energy Imbalance Market: EIM) の運営を開始した。

 西部EIMには 現在、カリフォルニア、オレゴン、ネバダ、ワシントン、アリゾナ、ユタ、コロラド、ワイオミングの8州に管轄エリアを持つ電力事業者が参加している。これらの州の電力事業者・発電事業者はCAISOのリアルタイム・グリッド・マネッジメント・システムにアクセスし、再エネの系統統合、系統安定化、発電コスト抑制に活用できる...Read More Here

August 22, 2017

米「皆既日食」、 太陽光の出力急変にグリッドが見事に対応! 周到な準備で、天体イベントの課した「信頼性試験」に合格

Published at Nikkei Technology Online --- 全米が壮大な天体ショーに沸く

 「グレイト・アメリカン・エクリプス(全米横断皆既日食)」――米国全土はこの日沸いた。皆既日食は、8月21日の午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州で観測された。

 「一生に一度」のイベントとし、皆既帯に位置する町々には全米、世界の至る所から人が集まった。NASA(米航空宇宙局)を始め、テレビ、ネットでは、ほぼ3分刻みで起こる太陽が月で完全に塞がれる「完璧な闇」と太陽を取り巻く外層大気である「コロナ」のライブストリーミングを行った。

 その壮大な天体ショーを相手に、米国のグリッドは信頼性を保つことに見事に成功した。これは、電力会社、送電系統管理機関、発電事業者などの綿密な計画を立て、十分に準備が整っていたことによるだろう。

太陽光出力の減少幅は予想超える

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っている。部分日食といえども、米国で太陽光発電の設置容量で50%以上を占める同州は日食で、電力供給で最も大きな影響を受けるとされていた。

 カリフォルニア州の広域系統運用を行うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)によると、日食により、4.2GWの発電事業用メガソーラーと1.3GWの分散型太陽光発電が一時的に出力を失うと予想されていた。CAISOはこのイベントに備え、 起動、調整力と柔軟性に優れた発電源である水力発電と天然ガスを燃料とした火力発電、そして蓄電池を確保した。

 さらに同州の各電力会社は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を和らげるため、電力需要者に、電気自動車(EV)の充電や洗濯機・食器洗浄機の使用を控えるなどの省エネを呼びかけた。

 当日、日食の始まる午前9時すぎから、日食中心時刻の10時20分の約1時間に、発電事業用メガソーラーの出力は約6400MW(6.4GW)から3000MW(3GW)に減少した。これはCAISOによる前日予測の4600MW(4.6GW)を下回り、減少幅は3400MW(3.4GW)に達した。日食中心時刻後に出力は回復し、太陽が最も高く上がる午後1時には9600MW(9.6GW)を超えた(図2)。... Read More Here
図2●上:2017年8月21日、カリフォルニア州の太陽光発電出力量(黄色線)
下:カリフォルニア州ロサンゼルスにおける部分日食の様子、10時21分が日食中心時刻
(出所・上:CAISO、下:Griffith Observatory)

March 22, 2017

米ランカスター市、初の「ネットゼロエネルギーシティ」に 全ての新築住宅に「ネットゼロエネルギー規制」

Published at Nikkei Technology Online --- 「温暖化対策は地方自治体が決める」

 米国カリフォルニア州サンディエゴ市で開催された「コミュニティチョイスエネルギー・フォーラム」で、同州ランカスター市のレックス・パリス市長は、トランプ米大統領の顔写真を指差し、こう言い放った。

 「我々は(温暖化対策を実施するにあたり)連邦政府のサポートは必要ありません。なんと言っても建物の許可が出せるのは私ですから。(温暖化対策の)決断はローカルが出すのです」―ー

 この発言は、地方自治体が温暖化対策に大きな役割を果たすことを意味する。実際、同市は、どの地方自治体、州政府、そして連邦政府よりも、革新的、そして包括的なCO2 削減対策を促進している(図1)。

図1●「ネットゼロエネルギーシティ」に向けての
取り組みについて語る加州ランカスター市長(出所:Climate Action Campaign





ランカスター市は、ロスアンゼルスの北のアンテロープ・バレーと呼ばれるモハベ砂漠の西端に跨るバレー(低地)に位置し、年間300日以上が晴れという太陽光発電に大変恵まれた地域にある。

 そんなランカスター市は、2011年に米国初の「ネットゼロエネルギー (ZNE) シティ」と「世界の代替エネルギーの首都」になるという意欲的な目標を掲げた。「消費する電力量より、太陽光発電などの発電量が上回る。それは私たちとって、もうそこまで来ています。実際、2017年には(ネットゼロエネルギーを)達成します」と、パリス市長は語った。

中国BYD社が太陽電池と蓄電池を供給

 そして、この目標を達成するための同市による数々の環境条例、促進事業の説明を行った。

 パリス市長によると、ZNEホームは、従来から存在していたが、高価なものばかりだったという。市長のビジョンは、「一般の家庭が購入できる」ZNEホームを同市に建築することだった。

 「多くに人が、『それは無理だ』と言いましたが、私は、『どうすれば可能になりますか』と問い返しました。また、官僚的な煩雑な手続きのため、『建物の許可を取るのに時間がかかる』と言われました」。パリス市長は、こう振り返る。

 そこで、まず「その手続きのプロセスを短縮化しました。さらに、太陽光発電の導入手続きも簡素化しました。従来なら数週間以上かかってしまう申請や許可などの手続きを、申請に訪れた時に完了できるよう20分程度に短縮しました」。パリス市長は、市の受け入れ態勢を大幅に改正したことについて語った。

 パリス市長は中国に行き、蓄電池メーカー大手BYD社(比亜迪)と交渉しつつ、ホームビルダーである米KB Home社とパートナーシップを組み、「未来のホーム」を作った..Read More Here