November 21, 2017

米入札で最安値、ネバダのメガソーラーが「3.42セント」 アップルがデータセンターを「再エネ100%」に

Published at Nikkei Technology Online ---  ネバタ州を管轄エリアとしている大手電力会社であるエヌヴィ・エネルギー社(NV Energy)がこのほど、同州の公益事業委員会にメガソーラー(大規模太陽光発電所)からの長期電力購入契約の許可を申請した。この長期契約は3つのメガソーラープロジェクトからなり、連系出力は合計で100MWに達する。

2030年目標に近づく

 3つのプロジェクトのうち2つは、同社が今年6月に発表した電力調達のための提案依頼書(RFP)の公募によるもので、契約期間25年にわたる均等化発電原価(LCOE:Levelized Cost Of Electricity)の値が、34.2米ドル/MWh(3.42米セント/kWh)となっている。
 ちなみに、米エネルギー省(DOE)は1年前、「2030年までに太陽光発電のコストを2020年比で半分にする」という「2030ゴール」を発表した。その中に、メガソーラーのコストを、「2020年には6米セント/kWhまで引き下げる」という目標が含まれているが、その目標は今年すでに達成された。さらに、「2030年には3米セント/kWhまで引き下げる」という目標も立てているが、今回のプロジェクトはこれにほぼ近い水準まで来ている。
図1●サンショット太陽光発電コスト2030年ゴール
(出所:The Department of Energy)

「米入札案件で最安値」

 エヌヴィ・エネルギー社の今回の公募では、公共事業規制政策法(PURPA:The federal Public Utility Regulatory Policies Act)によって認定された再生可能エネルギー発電所を含む「認定施設(QF)」からの 長期電力購入契約になっている。同社が選択したのは、連系出力25MWの「テクレン・ソラー3」と、同じく25MWの「テクレン・ソラー4」で、同州の公益事業委員会から認可が下りた場合、2020年9月1日までに稼働する計画である。
 2つのプロジェクトは174パワーグローバル社によるもので、 同社がネバダ州ボルダー市に現在開発中の「テクレン・ソラー1」と「テクレン・ソラー2」(計300MW)の隣接地に建設される予定である。
 174パワーグローバル社は韓国ハンファグループの発電事業に携わるハンファエナジー社の子会社で、「テクレン・ソラー3」と「テクレン・ソラー4」に設置される太陽光パネルはハンファグループの会社の1つで世界最大規模の太陽光パネルメーカーであるハンファQセルズ社が高効率単結晶パネルを提供するとみられる。この2つのメガソーラーは1軸追尾式システムを使用し、年間発電量は7万2622 MWhとなっている。
 エヌヴィ・エネルギー社で再エネとスマートインフラ部門でシニア・バイスプレジデントを務めるパット・エガン氏は、「『テクレン・ソラー3』と『テクレン・ソラー4』は米国で入札にかけられた太陽光発電の電力購入契約の中で最も低価格」とコメントしている。... Read More Here

November 8, 2017

大型ハリケーンに耐えたナイロン製「バラスト式架台」 病院の屋根に設置し、180m/sの風速でも稼働

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「マリア」直撃で米史上最大の停電

 カテゴリー5の大型ハリケーン「マリア」が9月20日、米自治領プエルトリコを直撃し、大規模な被害が発生した。被害から1カ月以上が経ったが、いまだに需要家の約8割が停電したままだ。そのうち、11月15日までには50%、12月15日までには95%の電力供給を復旧させる、とプエルトリコ知事のリカルド・ロッセロ氏は発表した。
 今回のプエルトリコの停電は、米国の歴史において最も大規模だとみられる。
 そんななか、風速180m/sの強風でビクともしなかった「バラスト式ハイブリッド架台」を使用した645kWの太陽光発電システムに注目が集まっている。同システムは9階建ての建物の屋根に設置されたものだが、まったく損害もなく100%の発電を持続しているという(図1)。

ナイロン製一体成形の架台

 同太陽光発電システムは、プエルトリコのサンホアンにある。米退役軍人管理局の運営するメディカルセンターに設置され、2015年に稼働を開始した。この病院はプエルトリコとヴァージン諸島に在住する15万人を超える米退役軍人が主に利用しており、プエルトリコとカリビアン諸島における最大規模の連邦政府による医療施設である。
 「バラスト式架台」を提供したのは、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を持つソレガ社(Sollega)だ。同社は商業用フラットルーフ(陸屋根)用架台に特化している。この架台は、プラスチック製で「ファーストラック510(FastRack510)」 と呼ばれる。
 プラスチックの種類は、ナイロン6「ウルトラミッド (Ultramid)」(独BASF製)である。この材料は強度、剛性、熱安定性に優れ、柔軟性が高いため、太陽光アレイ(パネルの設置単位)を壊すことなく、複数の方向に曲げられる。さらに、紫外線吸収剤が添加されているので、耐光性、耐久性に優れるという。
 一体成形により1つ部品からできているために現場での組み立てを必要とせず、重ねられるため、運搬や設置が容易という利点もあるという。システムの施工時間は、モジュール(パネル)1枚当たり約5分という。...Read More Here
図2●ナイロン6「ウルトラミッド (Ultramid)」の一体成形で製造された
架台「ファーストラック510 (FastRack510)」
(出所:Sollega社)

November 6, 2017

続続報・米輸入パネル問題、大統領に提出される3案が公表 関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売など盛り込まれる

Published at Nikkei Technology Online ---  今年9月、米国国際貿易委員会(米ITC) は、大量に輸入された結晶シリコン型太陽電池 (CSPV) 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定した。

4人の委員から3案公表

 米ITCはその後、原告の米サニバ社、ソーラーワールド・アメリカ社、そして貿易措置反対を代表する米国太陽エネルキ?ー産業協会(SEIA)などからの救援策の提案をもとに、独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 米ITC の4人の委員から出された3つの提案はトランプ大統領に提出される。3案は、セル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)に対する「関税」、「輸入割当制」、「輸入数量制限」、「輸入ライセンスの公売」、さらに「措置対象外の国」などが含まれている。ちなみに、日本は救済措置の対象外に入っていない。

シュミズレイン委員長の提案

 シュミズレイン委員長の提案は、「CSPVセルへの関税と割当枠」「CSPVモジュールへの関税」「貿易措置対象外の国」からなる。
 「CSPVセルへの関税と割当枠」では、CSPVセル総輸入量の0.5GW未満は、輸入価格に10%の関税率を課し、0.5GWの割当枠を超えた場合30%の関税率を課す、というもの。ちなみにこの提案は4年間に渡る措置で、割当量は年々増加し、逆に関税率は年々減少するようになっている。
 「CSPVモジュールへの関税」では、輸入価格の35%の関税率で、4年間に渡り税率は年々減少する、という内容だ(図2)。
図2●シュミズレイン委員長の「CSPVモジュールへの関税」に関する提案
(出所:ITCの公表資料をもとに筆者作成)
米SPV Market Researchの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏の解釈では、輸入総量が500MW未満の場合、セルが米国にW当たり22セントで輸入されると、関税の税率10%で税額2.2セントとなり、最終価格は24.2セントになる。モジュールの場合、仮に輸入価格がW当たり60セントだと、関税税率35%で税額21セントとなり、最終価格は81セントになる。関税のモジュールに対するインパクトは大変に大きい。...Read More Here