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January 25, 2018

米「太陽電池・関税」決定の波紋、どうなる太陽光設置産業? 1年目は30%、4年目に15%、関税免除の申請は可能か?

Published at Nikkei Technology Online ---

30%は10~15セント/Wに相当

 トランプ政権は1月22日、結晶シリコン型太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して30%の関税を課すことを決定した。 まず、1年目にCSPVのセル(発電素子)とパネル(モジュール)の輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率は年々5%ずつ下げる(表参照)。各年で、輸入セルの最初の2.5GWには関税は課されない。(図1)。
図1●輸入CSPVセルとモジュールへの「セーフガード」関税
(出所:筆者)
 クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティングの米GTMリサーチ社によると、30%の関税は10~15セント/Wに相当する。米ゴールドマンサックス社は、30%関税は発電事業用太陽光発電のコストを3%、住宅用太陽光発電システムのコストを7%、押し上げると試算している。
 22日時点では、米国貿易代表委員によって発表された概況報告書「ファクトシート」には、貿易措置対象外の国などの詳細は発表されていなかったが、23日に情報がアップデートされた。そこには、「貿易措置対象外の国」の項目の下、「対象外から否定」という形で、メキシコ、カナダ、韓国、そして、タイとフィリピンと書かれていた。

サニバ社は50%を要求したが・・・

 今回の措置は、昨年5月米CSPVメーカーであるサニバ社が、輸入太陽電池の急増が国内産業に重大な損害を与えているとし、関税の賦課又は輸入数量を制限する「セーフガード」と呼ばれる輸入制限措置をITC(米国際貿易委員会)に要求したのが発端である。昨年9月、 米ITC は、大量に輸入された CSPV 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定し、米ITCはその後、 独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 サニバ社が要請したのは関税50%相当だったが、トランプ政権は米ITCの推薦案の1つである30%を選択したとみられる。
 「ファクトシート」によると、現在、中国は世界の太陽電池セルの60%、モジュールの71%を生産している。2012~2016年にかけて、米国における太陽電池セルの輸入は約500%増加し、価格は急落した。 太陽電池セルやモジュールの価格は60%低下し、米国の生産者のほとんどが国内生産を中止、製造工場を他の国に移転、または破綻手続きの申請などに追い込まれた。
 2012年以降、25社が閉鎖され、2017年までに米国のCSPV製造産業はほとんど姿を消した。残ったのは、太陽電池セルとモジュールの両方を生産する米サニバ社と米ソーラーワールド・アメリカ社の2社と、輸入セルでモジュールを生産する8社のみだった。 2017年には、サニバ社が破綻手続きを申請し、国内での生産を停止する事態になった。...Read More Here
図3●「ファクトシート」で発表された「30%関税」
(出所:USTR)

December 24, 2017

トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で 太陽光発電産業の「アメリカ・ファースト」計画を発表

Published at Nikkei Technology Online ---

米太陽光団体が貿易措置に反対

 米国太陽エネルギー産業協会 (SEIA) は2017年12月4日、 「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」をトランプ大統領に提出した。2万6000人以上の雇用を創出している米国太陽光発電産業を守るため、大統領に輸入太陽電池セル(発電素子)、太陽光パネル(モジュール)に対して貿易措置を取らないように要請した。
 行動や発言が予想不可能といわれるトランプ大統領に対して、SEIAは「最後の要請」を提出した格好だ(図1
図1●「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」
出所:SEIA
 SEIAがこうした要請をするに至った発端は、2017年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC) に輸入結晶シリコン型太陽電池セルに新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したことだ。
 後に、同じく米国内で結晶シリコン型太陽電池を生産しているドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社もサニバ社の提訴に加わった。

パネルの価格が2倍に?

 これに対し、SEIA を筆頭に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパー、架台メーカーなどが、輸入セルに関税が課されたら、太陽光パネルの値段が上がり、国内市場と雇用が大きく縮小してしまうと懸念し、大々的な関税反対キャンペーンを繰り広げた。
 しかし、2017年9月に、米ITCは、 国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定して、米国の製造業を保護するため措置を取ることを決定した。その後ITCは関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売などを含む3つの救済措置提案を発表した。
 保守系シンクタンクである米ヘリテージ財団は、提案されている関税は太陽光パネルの価格を約2倍にし、サニバ社、ソーラーワールド社を含む少数の太陽光パネルメーカーに短期間の保護を与えるが、市場から低価格のオプションを奪うことで、米国太陽光発電産業と顧客は大きなダメージを受けるだろう、とコメントしている。...Read More Here

November 6, 2017

続続報・米輸入パネル問題、大統領に提出される3案が公表 関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売など盛り込まれる

Published at Nikkei Technology Online ---  今年9月、米国国際貿易委員会(米ITC) は、大量に輸入された結晶シリコン型太陽電池 (CSPV) 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定した。

4人の委員から3案公表

 米ITCはその後、原告の米サニバ社、ソーラーワールド・アメリカ社、そして貿易措置反対を代表する米国太陽エネルキ?ー産業協会(SEIA)などからの救援策の提案をもとに、独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 米ITC の4人の委員から出された3つの提案はトランプ大統領に提出される。3案は、セル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)に対する「関税」、「輸入割当制」、「輸入数量制限」、「輸入ライセンスの公売」、さらに「措置対象外の国」などが含まれている。ちなみに、日本は救済措置の対象外に入っていない。

シュミズレイン委員長の提案

 シュミズレイン委員長の提案は、「CSPVセルへの関税と割当枠」「CSPVモジュールへの関税」「貿易措置対象外の国」からなる。
 「CSPVセルへの関税と割当枠」では、CSPVセル総輸入量の0.5GW未満は、輸入価格に10%の関税率を課し、0.5GWの割当枠を超えた場合30%の関税率を課す、というもの。ちなみにこの提案は4年間に渡る措置で、割当量は年々増加し、逆に関税率は年々減少するようになっている。
 「CSPVモジュールへの関税」では、輸入価格の35%の関税率で、4年間に渡り税率は年々減少する、という内容だ(図2)。
図2●シュミズレイン委員長の「CSPVモジュールへの関税」に関する提案
(出所:ITCの公表資料をもとに筆者作成)
米SPV Market Researchの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏の解釈では、輸入総量が500MW未満の場合、セルが米国にW当たり22セントで輸入されると、関税の税率10%で税額2.2セントとなり、最終価格は24.2セントになる。モジュールの場合、仮に輸入価格がW当たり60セントだと、関税税率35%で税額21セントとなり、最終価格は81セントになる。関税のモジュールに対するインパクトは大変に大きい。...Read More Here

October 5, 2017

「貿易救済措置」に揺れる米国、太陽光市場の行方に悲観と楽観 輸入太陽電池による米国内製造業への損害を認定

Published at Nikkei Technology Online ---

輸入太陽電池に関税や最低価格も

 米国の太陽光発電市場は貿易論争の真っただ中にある。
 9月22日に、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC)は、大量に輸入された低価格な結晶シリコン太陽電池で国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定した。これにより、関税など貿易救済措置によって、今後、米国内に流通する太陽電池の価格が上る可能性が出てきた。
 こうした事態のなか、「米太陽光市場は、今後落ち込むだろう」と、悲観的な意見が米国内外で飛び交う一方で、「2017年は持ちこたえそう」という見方も出てきた。
 ことの発端は、今年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米ITC に輸入結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子) に新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したこと。これは、中国、東南アジアなどから安値で輸入される太陽電池セル・パネルから米国の製造業を保護するためである。
 ITCの決定は、この提訴を概ね認めたものだ。この一件の評価を巡り、米太陽光発電産業では賛否が分かれている。
 関税による国内産業保護への賛成者は、当事者であるサニバ社とドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社。反対派は、主に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパーが含まれている。

5年間に47GW以上の設置量を失う?

 ちなみに、太陽電池メーカー大手のサンパワー社も反対派の一社だ。同社は米企業であるが、結晶シリコン型太陽電池のセル・パネルを国外のフィリピン、マレーシアで製造している。このため、国内保護政策は、同社にとってマイナスの影響を与える。
 反対派の旗振りをしているのは、米太陽エネルギー産業協会(SEIA)。同協会は、「この救済措置により太陽電池の価格が上がり、 太陽光発電を利用する消費者に大きなしわ寄せがいく。国内市場と雇用が大きく収縮してしまう」と、主張している。SEIAは、「8万8000人の国内雇用が失われる」と、救済申請に対する反対キャンペーンを繰り広げた(図1)。..Read Here More
図1●米国太陽エネルギー産業協会と共にサニバ社の貿易保護の
反対キャンペーンに参加する企業の一部
Credit: SEIA

September 28, 2017

US Solar Market Can Remain Strong in 2017, Even with the ITC Ruling

Published at Renewable Energy World --- Last Friday, the U.S. International Trade Commission (ITC) ruled in favor of Suniva and SolarWorld, having found that they suffered injury from the flood of cheap imports. Will this ruling dreadfully affect the U.S. PV market this year?

“There is enough inventory in the channel to keep projects going for a while,” Paula Mints, founder and chief analyst of SPV Market Research, said, implying that the U.S. market will most likely grow, instead of shrink. In fact, the “Global Analysis for the Markets for Solar Products and Five-Year Forecast 2016-20121” published by SPV Market Research shows upward trends in two scenarios.

For the Five-Year Forecast, there are three scenarios — low, conservative, and accelerated. According to Mints, for the low forecast, the impact of the decision including a significant increase in module and cell prices and low inventory was weighted more heavily, therefore showing a slight year-over-year decline.

Both conservative and accelerated scenarios for 2017, however, show an annual market growth of 36 percent and 46 percent, respectively. In these scenarios, available inventory in the channel and some panicked buying caused by the “tariff scare” were taken into consideration.

“Right now, there is still inventory in the channel. It will be worked off quickly for smaller participants and more slowly for large project participants,” Mints said.... Read More Here

Credit: SPV Market Research