Showing posts with label EIA. Show all posts
Showing posts with label EIA. Show all posts

April 19, 2021

風力と太陽光で2035年に「1100 GW」、電力部門の脱炭素に現実味 米カーボンニュートラル戦略、変動性再エネと蓄電池を大量導入

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business


CO2排出量は予測値から半減

 温暖化ガス削減を目指し「カーボンフリー」「カーボンニュートラル」という言葉が、企業、市町村などの地方自治体、州、そして連邦政府で頻繁に使われるようになった。実際、バイデン新米国大統領も、「2035年までに100%カーボンフリー・エネルギー」という野心的な目標を設定し、気候変動対策に乗り出している。

 そんな中、今月米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、「ゼロまで道半ば:エネルギー(電力)部門のカーボンフリーへの進展」と題するレポートを発表した。

 タイトルから、「米国はカーボンフリーまでもう半分達成したのか?」と疑問に思い、同レポートの筆者でLBNLのシニア・サイエンティストを務めるライアン・ワイザー氏に質問してみると、「『ゼロまで道半ば』とは、2020年の(電力部門における)実際の温暖化ガス排出量が、以前に予測された2020年の排出量より52%少なかったことを意味する」との回答だった。

 ちなみにこの場合の予測値は、平常状態が惰性的に続く「なりゆき(Business As Usual=BAU)シナリオ」を採用している。

 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が発表した「2005年(米国)年次エネルギー見通し」では、2020年の電力供給からの年間CO2排出量は、BAUシナリオで3008 MMT(百万メトリックトン)になると予測されていた。しかし、実際、2020年の電力部門からのCO2排出量は1450 MMTに留まり、ワイザー氏が言ったように、予測より52%、つまり半分に減った(図1)。...Read More Here

図1●電力部門での「BAUシナリオ」によるCO2排出量予測(グレー色面)と実際のCO2排出量(薄緑色面)
(出所:LBNL)


February 24, 2021

加州に続きテキサスでも電力不足、異常気象で大停電 脆弱な電力網が露呈、信頼性に疑問符

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business


エネルギーの「当たり前」が崩れる

 新型コロナウイルスは、社会の根本的な価値観や行動様式、需要と消費パターンを一変させた。「当たり前のこと」が、当たり前でなくなった。

 テクノロジーと経済でリーダー的な存在の米国なら、安定した電力供給が受けられるという当然の日常も、いまでは当たり前ではなくなった。

 デジタル化が浸透し、さらに脱炭素社会の実現に向けて、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーを電源とした建物、クルマの電化への加速を、連邦政府・州政府ともに推し進めようとしている矢先、その基盤となる電力供給インフラが万全ではないという事実が、昨年にカリフォルニア州、そして、この冬、テキサス州で露呈した。

 昨年夏カリフォルニア州で記録的な猛暑が続き、電力需給が逼迫したことから、同州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)は緊急事態宣言を発動した。さらに、強風により送電線が落下して山火事となるリスクを防止するため、大規模な計画停電を実施した。それでも今年1月には同州北部で強風により配電線が落下し、数日以上に及ぶ停電となった。

エネルギー“大国”で電力不足

 さらに今年2月中旬、今度は記録的な寒波の影響によりテキサス州で400万世帯以上もの広い地域が停電に陥った。氷点下で寒さが厳しくなり、暖房利用などの電力需要が急激に増加したところに、基幹エネルギーである天然ガスパイプラインや風力発電設備が凍結し、電力供給が減少したことが原因とされている。

 つまり、需要が増加するなかで、エネルギーの供給量が下がってしまったわけだ。

 テキサス州知事は風力発電が停電の原因だと非難した。

 テキサス州と言えば石油産業で有名だ。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)によると、2019年同州の天然ガス生産量は米国全体の25%、原油生産は同41%も占める。実は、同州は原油、天然ガスだけではなく、なんと風力発電でも全米をリードしている。EIAによると昨年8月時点で、同州には累積29.1GWもの風力が設置されている。これは2位のアイオワ州の約3倍で、群を抜く風力ナンバーワン州となっている(図1)。...Read More Here

図1●米国における稼働済み・稼働計画中の風力発電・州別ランキング(青緑:2020年8月までに稼働済み、深緑:2020年9月から11月までに稼働計画、緑:2020年12月に稼働計画)
(出所:EIA)

August 26, 2019

米では大規模エネルギー貯蔵設備が「新たな電源」に 2023年に累積「3GW」まで急拡大へ

Published at Nikkei "Mega Solar Business" ---

 米国では大規模なエネルギー貯蔵設備が新しい「電力源」になりつつある。ここ数年、発電事業用の大規模エネルギー貯蔵の導入が急速に進んでいる。
 米エネルギー省(DOE) ・エネルギー情報局(EIA)によると、現在稼働中のエネルギー貯蔵に、2019年5月時点で明らかになっている計画中のエネルギー貯蔵設備が加わると、 2023年までに約3GWの大規模エネルギー貯蔵が米国の電力源として運用されるという。ちなみにEIAの「大規模」の定義は出力1MW以上となっている(図1)。
図1●米国における大規模エネルギー貯蔵設備の累積導入容量(MW)(注:2019年5月末時点。2019年以降は計画導入容量)
(出所:米国DOE EIA) 
 2011年には100MWに満たなかった大規模エネルギー貯蔵設備の累積導入量は、すでに2019年5月には10倍の約1GWまで拡大している。

 この急拡大の背景には、州レベルの積極的な普及政策と、連邦政府の大規模エネルギー貯蔵導入に向けた規制的手法がある。米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)は昨年2月に、系統運用機関にエネルギー貯蔵の容量市場、エネルギー市場、及びアンシラリーサービス市場の参加を阻む障壁の取り除くことを義務付ける画期的な「オーダー841」を発行した。
 「オーダー841」の目的は、すべての卸電力市場で適用されるエネルギー貯蔵の明確な法的枠組みを作成し、電力システムのニーズを満たすために競合できるソリューションの範囲を拡大することを意図している。
 さらに、太陽光発電などの変動性再生可能エネルギーの導入拡大、そして導入価格の低下に伴い、より多くの電力会社が「蓄電池+太陽光発電」のペア(併設)を資源総合計画(Integrated Resource Plan =IRP)に含めるようになった。
 これまで電力会社のIRPには従来型の資源である石油、石炭、天然ガス、水力などが含まれていたが、ここ数年は、「蓄電池+太陽光発電」のペア、さらには、エネルギー貯蔵が「資源」として含まれるようになった。...Read More Here

March 12, 2019

米の発電市場を支える「1~5MW」のメガソーラー 「コミュニティソーラー」による地産地消が背景に

Published at Nikkei Technology ---

発電事業用が30GW以上に

 米国では2010年ごろから、発電事業用の太陽光発電設備が急速に増え始め、2018年末で累積30GW以上の発電事業用メガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働している(図1)。
図1●米国における発電事業用の太陽光発電設備・年間導入量推移
(出所:DOE EIA)
[画像のクリックで拡大表示]
 日本や欧州と比べ、広大な土地と日照に恵まれているカリフォルニア州を含む米国西部では、これまでに世界最大級のメガソーラーが建設されてきた。
 米国で発電事業用の太陽光市場を引っ張ってきたのは、こうした何百MWサイズもの巨大なメガソーラーというイメージがある。だが今回、この市場を支えているのは、むしろ5MW以下のメガソーラーであることがわかった。
 日本では数MWでも「大規模」というイメージがあるが、米国では比較的、小規模なプロジェクトという位置づけになる。

加州では「500MW超」3基

 米国で太陽光発電の導入量でトップのカリフォルニア州には、連系出力500MWを超える巨大なメガソーラーがすでに3基稼働している。
 現在、米国で最大規模となるのは、2015年に稼働開始した「ソーラースター」と呼ばれる連系出力579MW(太陽光パネル出力747.3 MW)のメガソーラーである。高効率で有名な米サンパワー製の単結晶シリコン型パネルが約170万枚、使用され、年間発電量は一般世帯約25万5000世帯の消費電力に相当する。
 サンパワーは、パネルの提供だけではなく、EPC(設計・調達・施工)サービス、 さらにO&M(運営・保守)も手がけている(図2)。
図2●米国で最大級のメガソーラー(連系出力579MW)
(出所:SunPower)
[画像のクリックで拡大表示]
 次に、 「デサートサンライトソーラー」と「トパーズソーラー」が続く。これらは共に連系出力550MWとなる。
 ちなみに、この2基は、サンパワーのライバル企業である米ファーストソーラーが開発・建設した。ファーストソーラーは、カドミウムテルル(CdTe) 型化合物系太陽電池を生産し、薄膜タイプのパネル製造・販売で世界最大手のメーカーであり、EPCサービス事業者としても世界トップに立っている。

発電事業を支える「1~5MW」

 米エネルギー省・エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA)が昨年12月までに集計したデータによると、累計2600以上の発電事業用の太陽光発電設備が米国で稼働している。連系出力で30GWを超える規模になる。ちなみに、EIAの「発電事業用設備」の定義は、総発電出力が1MW以上(連系ベース)のものとしている。
 米国では、このような数百MWの「半GW」級メガソーラーが次々と稼働し、話題になるため、発電事業では数百MW規模のメガソーラーが主流のようにも思える。...Read More Here

March 15, 2018

米エネルギーストレージ市場が「1GWh」越え 太陽光の自家消費向け市場が成長を牽引

Published at Nikkei Tech:

「ビハインド・ザ・メーター」が増加

 米国市場におけるクリーンエネルギーの調査・コンサルティング事業を手掛けるGTMリサーチ(GTM Research)と米エネルギー貯蔵協会(Energy Storage Association: ESA)は、2013~17年の5年間で系統連系型のエネルギーストレージ設備の累積導入容量が1000MWh(1GWh)を超えた、と発表した。
 2017年単年には全米で431MWhの系統連系型エネルギーストレージ設備が導入され、同年第4四半期(9〜12月)には100MWhが導入された。
 GTMリサーチの予測によると、2018年単年で1233MWh(1.233GWh)の系統連系型エネルギーストレージが導入され、今年だけで2017年までの累積導入容量を超えることになる(図1)。
図1●米エネルギーストレージ市場予測(MWh)(濃青:住宅用、青:非住宅用、薄青:電力供給側用)
(出所:GTM/ESA)
[画像のクリックで拡大表示]
 2017年の米エネルギーストレージ市場は前2016年比で27%拡大したが、特に成長した分野は、「ビハインド・ザ・メーター(Behind the meter)」と呼ばれる需要家サイドに設置される蓄電池で、2016年比で79%増加した。これらの蓄電池は主に分散型太陽光と併設され、太陽光発電の余剰を系統網に流さずに貯蔵して自家消費する。

「フロント・オブ・ザ・メーター」は減少

 「ビハインド・ザ・メーター」に対して、主に電力会社などの電力系統側に設置された蓄電池を「フロント・オブ・ザ・メーター (Front of the Meter)」と呼ぶ。フロント・オブ・ザ・メーターとしての蓄電池は、2017年に総導入量の65%を占めるものの、2016年と比べると構成比率は14%減となった(図2)。
図2●米国エネルギーストレージ市場2016/2017比較
(出所:GTM/ESA)
[画像のクリックで拡大表示]
 今回の発表によると、フロント・オブ・ザ・メーター市場では平均放電時間が長い蓄電池の導入が増えている。これは、長周期対策向けの蓄電池市場が成長していることを意味している。
 蓄電池の性能は、瞬時にどれだけの電力を流せるかを表す瞬時最大電力である「出力(単位:W)」と、どれだけの電気を充電または放電できるかを示す「容量(単位:Wh)」の2つがあり、用途によってどちらを重視するかが異なってくる。

PJM管内ではアンシラリー向け急増

 米エネルギー省・エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA)によると、2016年に米国に導入されたフロント・オブ・ザ・メーター向けの大型蓄電池は、地域によって用途が異なり、重視する性能も違ってくる。..Read More Here