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January 18, 2021

世界最大「ギガソーラー+蓄電池」プロジェクトが米加州に着工! スターバックスや大手電力、地域新電力がPPAを締結

 Published at Nikkei Technology Mega Solar Business

「大規模太陽光の首都」に建設

 米カリフォルニア州で、ギガワット(GW=1000MW)を超える巨大な太陽光発電と大規模なエネルギー貯蔵プロジェクトの建設が始まろうとしている。

 「エドワーズ&サンボーン・ソーラー・エネルギー貯蔵」と呼ばれるこのプロジェクトは、米再エネ・プロジェクト・ディベロッパーであるテラジェン(Terra-Gen)社が開発した。同社は先月ミネソタ州に本社を構える太陽光発電のEPC(設計・調達・施工)サービス事業者であるモーテンソン社にプロジェクトの施工を委託した。

 エドワーズ&サンボーンプロジェクトは、出力1118MW (1.1GW)の「ギガソーラー」と容量2165MWh(2.165GWh)の「ギガストレージ」から構成される。使用される太陽光パネルは250万枚を越え、エネルギー貯蔵設備には、11万個以上のリチウムイオン電池モジュールが使用される。

 このプロジェクトは「太陽光+蓄電池」プロジェクトで、現時点で世界最大規模といわれている。

 建設は今年第1四半期(1~3月)から開始し、来年の2022年第4四半期(10~12月)に完工する予定だ。

 立地するのは、カリフォルニア州のカーン郡。同郡は、カリフォルニア州セントラルバレー南部に位置し、その面積はなんと東海岸のニュージャージー州に匹敵する。農業が盛んだが、郡の経済は石油採掘にも深く関係している。また、多くの大規模な太陽光発電プロジェクトが建設されているため、カリフォルニア州における「大規模太陽光発電の首都」としても知られている。もちろんこれは俗称で公的な意味があるわけではない。ちなみに、エドワーズ&サンボーンプロジェクトの「エドワーズ」とは、航空機開発の拠点として知られる「エドワーズ空軍基地」の隣接地に開発されることに由来する(図1)。

図1●カーン郡に設置された大規模太陽光発電の1つで、出力は450MWになる
(出所:8minute Solar Energy)

スターバックスがPPA締結

 このプロジェクトのEPCを担当するモーテンソン社は、今まで米17州で計7GWの太陽光発電プロジェクトの建設に携わり、エドワーズ&サンボーンプロジェクトは、同社にとって78番目の太陽光プロジェクト、11番目のエネルギー貯蔵プロジェクトになるという。

 プロジェクトディベロッパーであるテラジェン社は、これまでに1.3 GWを超える太陽光、風力、そして地熱発電所を開発・運営する。

 現時点でプロジェクトから発電される電力の購入者(オフテイカー)は、サステイナビリティ(持続可能性)向上を目標とするリーディング企業、地方自治体、そして大手電力会社が含まれる。

 まずは、コーヒーチェーン世界大手の米スターバックス。同社は、環境負荷を低減するために、2030年までに、CO2排出量を50%削減することを目指している。さらに、昨年9月に2025年までに北米1万店舗を環境配慮型店舗に転換する計画を発表した。同社は、風力発電、太陽光発電から電力購入契約(PPA)を通じて、米国、カナダ、英国にある直営店舗について、既に「再エネ100%」の電力で賄っている。

October 26, 2020

地域新電力8社、共同で500MWのエネルギー貯蔵を設置へ 「長周期」需給変動に対応、再エネ大量導入とレジリエンス強化

 Published at Nikkei Technology


「長周期」対応の重要性が増す

 米国では今年8月に起こった大規模な山火事、猛暑などで大停電が起こり、カリフォルニア州の電力システム(グリッド=電力系統)の信頼性とレジリエンスがまた大きく見直しされている。太陽光発電を含む再生可能エネルギーの導入量では他州を引き離してダントツのカリフォルニア州だが、再エネを効率良くグリッドに統合しつつ、信頼性を高め、災害などに対するレジリエンスを強化するには、電力を長期間、放電できる「長周期」エネルギー貯蔵調達が必要になってくる。

 カリフォルニア州では、大手電力会社だけではなく、地方自治体による地域新電力も長周期エネルギー貯蔵の調達へ乗り出した。

 今月(10月)カリフォルニア州の8つの米国コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(CCA)が共同で出力500MWもの長周期エネルギー貯蔵の提案依頼書(RFP)の公募を出した(図1)。

図1●8つのCCA共同での長周期エネルギー貯蔵のRFP(出所:Silicon Valley Clean Energy)


ちなみに、CCAは日本の地域新電力に似ていて、市や郡などの地方自治体が設立し、自ら発電所を開発、または発電事業者から電力調達し、 既存の大手電力会社が所有する送配電網を利用し需要家に電力を供給する 電気小売り事業を展開している。カリフォルニア州では、電力小売りが全面自由化しておらず、3つの大手電力会社が電力の送配電と供給を地域独占しているが、2002年に成立し法律で、地方自治体がCCAを設立することにより、地域の需要家に電力供給先の選べるようになった。特にCCAは、既存の大手電力会社との差別化として、再エネの比率がより高いプランを提供し、その再エネも「地産地消」型で調達している。...Read More Here

September 27, 2020

加州「太陽光・蓄電池マイクログリッド」、地域の担い手が連携 非常時は空港・沿岸警備に電力供給し、レジリエンス強化

 Published at Nikkei Technology Mega Solar Business

送電網の末端に位置

 米カリフォルニア州北部にあるサンフランシスコ市から北に約200マイルに位置するハンボルト郡は、同州で2番目に大きな自然の入り江であるハンボルト湾に隣接していて、さらに、レッドウッドからなる国立公園や海岸山脈もある。

 同郡は、他のコミュニティから孤立した農村で、送電網の末端に位置する。さらに、津波、地震、土砂崩れ、洪水、そして山火事などの自然災害を受けやすく、「エネルギー・レジリエンス」はこのコミュニティにとって重要な課題となっている。

 そんなハンボルト郡で、「レッドウッド・コースト・空港・マイクログリッド(RCAM)」というプロジェクトが立ち上がった。このマイクログリッドは、出力2.2MWの太陽光発電に、容量8.8MWh(連系出力2.2MW)の蓄電池といった分散型電源から構成される(図1)。


テスラが太陽光と蓄電池

 レッドウッド・コーストのエネルギー・オーソーリティ(RCA)でエグゼクティブ・ディレクターを務めるマシュー・マーシャル氏は、「RCAMは、レジリエンス対応へ必要性、大手電力会社の持続可能なスマートグリッドへの転換、そして地方自治体の発電所とエネルギー貯蔵所有への関心の高まりという背景があります」と話す。ちなみに、RCAは、コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation: CCA)の1つで、日本の地域新電力にとても似ている。地方自治体の関与した電力小売事業者で、地域を独占する大手電力に対して、より高い再エネ比率で、地元に換言しながら地産地消を目指している。

 このプロジェクトに関与するプレーヤーは、以下になる。

●ハンボルト州立大学のシュアツ・エネルギー・リサーチセンター:主任コントラクター兼テクノロジーインテグレーター

●パシフィックガス&エレクトリック(PG&E):カリフォルニア州北部地域をサービス管轄とする大手電力会社で、地元の配送電網を運営

●RCA:地元のCCAで、RCAMの分散エネルギー資源(DER)の所有者兼事業の投資家(600万米ドルを投資)

●ハンボルト郡:分散型電源が設置される空港の所有者・運営者

●カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC):地域マイクログリッド構築支援事業として、プロジェクトコストの約半分(500万米ドル)を補助金として支給

 さらに、システムのハードは、米テスラが太陽光発電と蓄電池、そして、コントローラーは米SEL社が提供する。...Read More Here

February 9, 2020

米版「地域新電力」、相次ぎメガソーラーとPPA契約、稼働済み最大は200MW 「エネルギー地産地消」を掲げ、加州で拡大する「CCA」

Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

電力独占下でも法的に認可

 先月末、米国コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(CCA)の調達する太陽光としては最大規模の発電所が稼働した。CCAとは、地方自治体の関与した電力小売事業者で、大手電力の独占下でも法的に電力事業が認められている。
 出力200MWを超える「ライト・ソーラー」と呼ばれるこのメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトは、カリフォルニア州北部のセントラル・バレーに建設された。サンマテオ郡のCCAであるペニンシュラ・クリーン・エネルギーを通してサンマテオ郡の需要家に電力が供給される(図1)。
図1●地域新電力によって導入された200MWを超える「ライト・ソーラー」プロジェクト
(出所:Peninsula Clean Energy)

「CCA」 は米国版・ 地域新電力

日本では電力小売りが全国レベルで全面自由化されたが、米国では電力自由化は各州の判断で、州別に実施される。 気候変動対策と環境保護に積極的で、太陽光発電導入量で全米をリードするカリフォルニア州は、電力小売りを全面自由化しておらず、3つの大手電力会社が電力の送配電と供給を地域独占している。
 しかし、同州は2002年に地方自治体が地域の需要家に電力が供給でき、地域の電力需要家は電力供給先を選択できる新たな法律を制定した。その法律は、コミュニティ・チョイス・アグリゲーション (CCA)と呼ばれる。
 CCAは日本の地域新電力に似ていて、まず、市や郡などの地方自治体がCCAを設立し、発電設備を有する事業者と自ら電力の購入契約を結び、電力小売り事業を運営する。...Read More Here

July 17, 2018

企業だけじゃない! 「RE100」目指す自治体が続々 トランプ政権「パリ協定・離脱」への反発

Published at Nikkei Technology ---

350以上の市長が「パリ協定」目指す

 昨年6月に米トランプ政権が、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した時、世界各国から反発の声が上がり、米国の再生可能エネルギー市場が大きく後退すると予測された。そんな海外の懸念と裏腹に、国内の市や州の地方自治体、さらに企業が団結を強め、「『ワシントン(連邦政府)なし』でも米国は再エネ目標を達成する」と、独自に気候変動対策に取り組む動きが加速した。
 実際、トランプ政権がパリ協定からの離脱を発表した後、米国各地の市長で構成される「温暖化対策市長同意(Climate Mayors Agreement)」の加盟者が急増し、現在では350以上の市長が、独自にパリ協定の目標達成を目指す方針としている。
 さらに、温室効果ガスの排出削減にとどまらず、地域の消費電力を全てクリーンな再生可能エネルギーで賄うと公約する地方自治体も急増した。
 2018年7月現在、再エネ100%を条例化した地方自治体が全米に71ある。そのうち、5つの地方自治体はすでに再エネ100%を達成している。さらに、再エネ100%を条例化しようとキャンペーン中の市は150を超える(図1)。...Read More Here
図1●「再エネ100%」を条例化した地方自治体が全米に71
(出所:Sierra Club)

March 22, 2017

米ランカスター市、初の「ネットゼロエネルギーシティ」に 全ての新築住宅に「ネットゼロエネルギー規制」

Published at Nikkei Technology Online --- 「温暖化対策は地方自治体が決める」

 米国カリフォルニア州サンディエゴ市で開催された「コミュニティチョイスエネルギー・フォーラム」で、同州ランカスター市のレックス・パリス市長は、トランプ米大統領の顔写真を指差し、こう言い放った。

 「我々は(温暖化対策を実施するにあたり)連邦政府のサポートは必要ありません。なんと言っても建物の許可が出せるのは私ですから。(温暖化対策の)決断はローカルが出すのです」―ー

 この発言は、地方自治体が温暖化対策に大きな役割を果たすことを意味する。実際、同市は、どの地方自治体、州政府、そして連邦政府よりも、革新的、そして包括的なCO2 削減対策を促進している(図1)。

図1●「ネットゼロエネルギーシティ」に向けての
取り組みについて語る加州ランカスター市長(出所:Climate Action Campaign





ランカスター市は、ロスアンゼルスの北のアンテロープ・バレーと呼ばれるモハベ砂漠の西端に跨るバレー(低地)に位置し、年間300日以上が晴れという太陽光発電に大変恵まれた地域にある。

 そんなランカスター市は、2011年に米国初の「ネットゼロエネルギー (ZNE) シティ」と「世界の代替エネルギーの首都」になるという意欲的な目標を掲げた。「消費する電力量より、太陽光発電などの発電量が上回る。それは私たちとって、もうそこまで来ています。実際、2017年には(ネットゼロエネルギーを)達成します」と、パリス市長は語った。

中国BYD社が太陽電池と蓄電池を供給

 そして、この目標を達成するための同市による数々の環境条例、促進事業の説明を行った。

 パリス市長によると、ZNEホームは、従来から存在していたが、高価なものばかりだったという。市長のビジョンは、「一般の家庭が購入できる」ZNEホームを同市に建築することだった。

 「多くに人が、『それは無理だ』と言いましたが、私は、『どうすれば可能になりますか』と問い返しました。また、官僚的な煩雑な手続きのため、『建物の許可を取るのに時間がかかる』と言われました」。パリス市長は、こう振り返る。

 そこで、まず「その手続きのプロセスを短縮化しました。さらに、太陽光発電の導入手続きも簡素化しました。従来なら数週間以上かかってしまう申請や許可などの手続きを、申請に訪れた時に完了できるよう20分程度に短縮しました」。パリス市長は、市の受け入れ態勢を大幅に改正したことについて語った。

 パリス市長は中国に行き、蓄電池メーカー大手BYD社(比亜迪)と交渉しつつ、ホームビルダーである米KB Home社とパートナーシップを組み、「未来のホーム」を作った..Read More Here

November 4, 2015

再エネ電力を電力会社より安く販売できる「CCA制度」(後半) 地産地消を促すFITも取り入れる

Published at Nikkei Technology Online ---  米国では、地方自治体などが住民、ビジネス、さらに公共施設用の電力需要をまとめて購入できるコミュニティ・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation:CCA)と呼ばれる法律がある。この法律により、地方自治体は自ら発電事業者から電力を調達し、地域独占電力会社の送配電網を使い、よりエコで手ごろな電気料金「チョイス」を直接、コミュニティーに提供できるようになった。

 2002年のカリフォルニア州での導入を皮切りに、現在全米7州でCCAが実地されている(図1)。1300の地方自治体が、米国電力消費者の約5%に当たる顧客にCCAプログラムを通じて電力を供給している。

Credit: Lean Energy U.S.

 カリフォルニア州では現在、3つの自治体がCCAプログラムを運営している。同州北部に位置するマリーン郡は、最初にCCA制度を導入した地方自治体である。CCAプログラムはマリーンクリーンエネルギー(Marin Clean Energy:MCE)というNPO法人が運営しており、現在約17万5000軒の顧客をかかえる。地域の電力需要者は従来の大手電力会社から乗り換えることにより、今年は1060万ドル(約12.6億円)の電気料金削減と、6万t以上の温室効果ガス削減が見込まれている。.. Read More Here

October 21, 2015

再エネ電力を電力会社より安く販売できる「CCA制度」(前半) 地方自治体が太陽光や風力をまとめ買いして消費者に提供

Published at Nikkei Technology ---  米カリフォルニア州では、2000~2001年に発生した電力危機が原因で小売全面自由化が保留になってしまった。民間電力会社の地域独占が継続され、家庭用電力消費者は電力購入の「チョイス(選択)」の機会を失った。

 にもかかわらず、同州北部マリーン郡とその周辺の消費者は、電力の購入先を大手電力会社から地方自治体に乗り換え、環境に優しい再生可能エネルギーを選ぶことができる。乗り換えにより、今年は1060万ドル(約12.6億円)の電気料金と、6万t以上の温室効果ガス削減が見込まれている。

 こうした「乗り換え」を可能にしているのが、コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation: CCA)と呼ばれる法律だ。同法は、地方自治体などが住民、ビジネス、さらに公共施設用の電力需要をまとめて購入できることを規定したもので、2002年に成立した。この法律により、地方自治体は、自ら電力を発電、または発電事業者から電力を調達し、コミュニティーに「チョイス」を提供できるようになった。

How CCA Works; Credit: MCE



顧客は17万5000軒を超える

 カリフォルニア州北部に位置するマリーン郡は、州で最初にCCA制度を導入した地方自治体である。マリーン・クリーン・エネルギー(Marin Clean Energy:MCE)というNPO法人が2008年に設立され、2010年からコミュニティーの電力需要をまとめ、電力を調達し始めた。

 「マリーン郡では、地球温暖化防止対策として建物部門からのCO2排出削減に取り組んでいます。電力消費によるCO2 排出量の抑制策として、再生可能エネルギーの導入を拡大できるCCAに着目しました」と、MCEでCEO(最高経営責任者)を務めるDawn Weisz氏は同機関の創設までの経緯について語った。...Read More Here