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March 25, 2021

米最大の営農型太陽光を「コミュニティソーラー」として運営 地産地消型で食、エネルギー、雇用、そして低所得層を支援

 Published at Nikkei Technology Mega Solar Business


産官学で「営農型」を研究・推進

 雄大なロッキー山脈の麓に位置し、自然に恵まれた米国コロラド州ボルダー郡で、全米最大規模の「アグリボルタイック」が稼働した。

 「アグリボルタイック」とは、農業(アグリカルチャー=Agriculture)と太陽光発電(フォトボルタイック=Photovoltaic)合わせた造語で、農地の上に太陽光パネルを設置して、1つの土地を農業と太陽光発電で二重利用する仕組みである。日本では、一般的に「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」と呼ばれている。

 「ジャックズ・ソーラー・ガーデン」と呼ばれるこのアグリボルタイックは、太陽光パネルの合計出力1.25MWに達し、3276枚ものパネルが5エーカーの農地を覆っている(図1)。

図1●「ジャックズ・ソーラー・ガーデン」でのイベント風景
(出所:Werner Slocum/National Renewable Energy Laboratory)

 

ちなみに、数百MW級のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働する米国で、1.25MWを最大規模と呼ぶのは腑に落ちないように思われるが、正確に言うと「ジャックズ・ソーラー・ガーデン」は、米国で最大規模となる「研究用」のアグリボルタイックとされる。

 研究に携わるのは、コロラド州ボルダーに本拠地を置く米エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)のほか、コロラド州立大学、アリゾナ大学が参加し、野生の花、牧草地と草原の草、受粉者の生息地、さらにニンジン、タマネギ、トマト、スカッシュなどの作物を太陽光パネルの下、そして周りで育てる最善の方法を研究する。

 さらに、非営利団体(NPO)のスプラウト・シティー・ファームズと提携することで、このガーデンで作物を栽培し、さらに若い、次世代を担う農家がアグリボルタイックの技術を訓練・習得できる場所ともなる。スプラウト・シティー・ファームズは、コミュニティの環境と健康の改善、そしてレジリエンス(回復力)の強化に努める都市農業分野のNPOでコロラド州デンバーを拠点としている(図2)。...Read More Here

図2●「ジャックズ・ソーラー・ガーデン」の研究パートーナー
(出所:Jack’s Solar Garden



February 15, 2021

2021年に15GW超のメガソーラーが新規導入へ 最大460MW案件は蓄電池併設、両面発電と1軸追尾を採用

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

太陽光と風力でシェア8割

 2021年1月に発表された米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の調査によると、2021年には、約40GWの発電所が新たに稼働する予定になっている。そのうち、太陽光発電は全体でもっともシェアが大きく39%、それに続く風力は31%と、太陽光と風力で全体のなんと80%に達する。次に続くのは、天然ガスでシェアは16%、そしてエネルギー貯蔵が11%となっている(図1)。

図1●2021年に稼働が予定されているテクノロジー別・月別発電所(G W)
(黄色=太陽光発電、緑=風力、青色=天然ガス、藍色=エネルギー貯蔵設備、赤色=原子力、出所:Energy Information Administration)


 太陽光発電デベロッパーと発電所所有者は、2021年に連系出力15.4GWもの発電事業用の太陽光発電所を新設・稼働する計画である。EIAのデータによると、この容量は、昨年2020年の約12GWを大きく超えることになる。

 ちなみに立地を見ると、新設太陽光発電所の28%はテキサス州、続いて9%はネバダ州、同じく9%はカリフォルニア州、そして7%がノースカロライナ州となっており、これらの4州で全体の半分以上を占める。

「両面発電・一軸追尾」に蓄電池

 現時点で、2021年に稼働する太陽光プロジェクトで最大規模になるのは、「パーミアン・エネルギー・センター」で、テキサス州アンドリュー郡で開発されている。このプロジェクトは、連系出力420MWの太陽光発電所に出力40MW(容量40MWh)のエネルギー貯蔵施設が併設され、合計出力は460MWに達する。バイフェイシャル(両面発電型)パネルと一軸追尾式の架台システムを採用し、約130万枚のバイフェイシャル太陽光パネルは、中国ジンコソーラー製と中国JAソーラー製で、一軸追尾架台は米国ネクストラッカーにより供給される。

 このプロジェクトを開発しているのは、デンマークの風力発電事業で有名なオーステッドだ。同社は米国内では洋上風力発電でリーダー的な存在になっている。2018年に太陽光発電デベロッパーであるリンカーン・クリーン・エネルギーを買収したことにより、パーミアンプロジェクトを代表とする太陽光発電、そしてエネルギー貯蔵設備も同社のポートフォーリオに加わることになった。

 プロジェクトは今年中期に稼働する予定である。Read More Here

November 24, 2020

米大規模太陽光のトレンド、「追尾型」のコストが大幅低下 「薄膜系+追尾型」が「結晶系+追尾型」に迫る

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「発電事業用」太陽光は30GWに迫る

 今月、米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、2019年度(1月~12月)における米国発電事業用の太陽光発電市場に関する統計データを発表した。

 同研究所によると、2019年に稼働した連系出力5MW以上の地上設置型太陽光発電設備は合計103件で、合計出力は前年比16%増の4.58GW-AC(連系出力・交流ベース)だった。ちなみに、2019年末までの累積設置数は792件で、総累積出力は29GW-ACを超えている(図1)。

図1●米国における地上設置型太陽光発電設備の年間導入容量推移
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory )


 「発電事業用」といっても、その定義は米国内でも異なる。

 米エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の定義は、所有権、系統連系の接続が配電網か送電網に関わらず、総出力が最低1MW-ACの発電設備としている。米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)が、コンサルティング会社である英ウッドマッケンジー社と共同で出版している市場レポートで使われる「発電事業用」の定義は、発電設備のサイズではなく、発電された電力を受け取る仕組みで決めている。「発電事業用」とは、 電力会社が所有する発電設備、または、自家消費ではなく発電された電気が電力会社に直接売られる発電設備となっている。つまり、固定価格買取制度(FIT)などを利用する小規模の設備も含まれることになる。

「追尾式」が88%占める

 一般的に米国市場の動向について言及される場合、SEIAのデータを引用することが多いが、LBNLは、SEIAと違ったアプローチを使い、発電事業用の定義は、「5MW-AC以上の地上設置型」の太陽光発電設備としている。したがって、数MWを超えた発電設備でも、屋根置型の場合、LBNLによる「発電事業用」には含まれない。ここでは混乱を防ぐために、LBNLのデータは、発電事業用ではなく、「地上設置型」太陽光発電設備と呼ぶことにする...Read More Here

November 5, 2020

人気の「ソーラー放牧」、150MWサイトで羊1050頭の計画も 機械除草から脱却で、O&MコストとCO2 削減

Published at Nikkei Mega Solar Business

「ソーラー・グレージング」で650頭

 米ソーラー・シープLLCのオーナであるジュリ・ビッショプ氏は現在650頭を超えるシープ(羊)を米国東海岸のニュージャージー州で飼っている。同氏の羊は、太陽光パネルが何十列にも渡って設置されている数十エーカーの牧草地で放牧されている。

 ソーラー・シープLLCは、ニュージャージー州中南部にある地上設置型メガソーラー(大規模太陽光発電所)に「植物管理サービス」を提供している。

 このサービスは一般的に「ソーラー・グレージング(放牧)」と呼ばれ、羊を主にした家畜を利用した地上設置型太陽光発電所の除草作業を含む植生管理方法である。太陽光発電所オーナー、またはデベロッパーに包括的な土地利用法を提供するこのサービスは、現在、米国で人気が高まっている(図1)。

図1●メガソーラーで放牧される羊
(出所:Solar Sheep LLC)


「馬」から「羊」に転身

 「ソーラー・シープ」は元々ソーラー用のビジネスではなかった。さらに、ビッショプ氏は羊ではなく、馬のブリーダーであった。同氏が羊に関わり合うようになったのは、同氏のマンディという名の牧牛犬の一種であるオーストラリアン・キャトル・ドッグを牧羊犬にトレーニングするためにまず数頭の羊を購入したことがきっかけになった。

 その後、数頭の羊がさらに増え、同氏は馬のブリーダーから羊のブリーダーに転身した。 同氏が育てる羊の種類は米国で開発されたカターディン羊と呼ばれ、羊毛ではなく食肉(ラム)や繁殖用である。

 同氏が自宅の農場で羊を飼育し始めた頃、増える羊を育てるのに十分な牧草地を持っていなかった。ある日、車を運転していた時、草やクローバーがたくさん茂る15エーカー(約6ha)に及ぶソーラーファームが目についた。 「ここは、自分の羊にもってこいの場所。きっと誰かが草刈りにお金を払っているはず。私の羊だったら(除草を)より簡単にできる」と思い、その太陽光発電所の事業者に交渉に向かった。...Read More Here