August 1, 2016

分散型太陽光の拡大で「消費者が力をつける」時代に (北米「インターソーラー2016」レポート(後編))

Published at Nikkei Technology Online --- 今年で9年目を迎える太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2016年7月11~13日)が、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。
 今回のイベントでは、これからの太陽光発電と蓄電池を含む分散型電源(Distributed Energy Resources:DER)の導入拡大とグリッド(送配電網)との統合などに関する話題が多くの講演で取り上げられた。

電力の消費者がアクティブな役割を果たす

 米国の住宅用太陽光発電市場でリーディングカンパニーである米Sunrun社の創業者兼最高経営責任者(CEO) Lynn Jurich氏が、イベントのオープニングセレモニーで基調講演を行った。米Sunrun社は、住宅用のみに特化したターンキープロバイダーで、累計30億米ドル以上の住宅用太陽光発電システムを全米15州で売り上げた。リースなどのファイナンスを含めて提供している。
 Jurich氏は、「パワーセクター:電力消費者が力をつける時代」と題し、分散型電源のグリッドにおける利点について講演した。これは電力の消費者(需要家)が電力会社から電気を購入するだけの一方通行で受動的な立場から、太陽光発電、蓄電池などの分散型電源を利用して、発電や売電などもっとアクティブな役割を電力市場で果たすことを意味する。
 「消費者が自ら『決定する力を持つ』時代が到来しました。消費者は自分が購入する、または選択するサービスに対してコントロールを欲するようになり、ビジネスセクターは消費者のニーズを理解しない限り、顧客を獲得できません」と、Jurich氏は語った(図1)。
図1●北米インターソーラーのオープニングセレモニーで基調講演を行う
米Sunrun社の創業者兼最高経営責任者(CEO) Lynn Zurich氏
(出所:Solar Promotion International GmbH・July 2016)

将来膨れ上がる電力インフラへの総投資コスト


次にJurich氏は、将来膨れ上がる電力インフラへの総投資コストについて話した。米国研究機関The Brattle Groupによると、1989~2009年の20年間における電力インフラ(発電、送・配電網)に対する投資は5230億米ドルであった。これに続く20年間(2010~2030年)には、なんと約3倍の1兆5000億米ドルに膨れ上がると予想されている...Read More Here