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May 25, 2020

2019年の世界太陽電池市場、シェアトップ5社は? 出荷量は前年比39%増、「単結晶」が主流に

Published at Nikkei Technology "Mega Solar Business"

出荷量は再び増加に転じる

 太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPV マーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2019年の全世界における太陽電池出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合せ、前年比39%増の123.5GWだった。
 ちなみに、2018年の出荷量は、前年比5%減だったので、2019年に供給量は大きく改善され、盛り返したことになる。
 2019年の出荷量のシェアを国別に見てみると、1位は、中国で全世界出荷量の63%を占めた。2位はマレーシアだが、かなり距離を空けて、シェアは約20%だった。
 年間出荷量が10G Wを超えたのは、上位2位の中国とマレーシアだけだった。3位のベトナムは9GWを超えたが、 10GWにはとどかなかった。4位は台湾、5位は韓国となっている。米SPV マーケットリサーチによると、上位5位が2019年の全世界太陽電池出荷量の90%以上を占めた(図1)。
図1●2019年の国別世界太陽電池出荷量シェア(トップ5)(出所:SPV Market Research)

 さらに、2019年の出荷量をメーカー別に見てみよう。

上位10社で6割占める

 1位は、農業や新エネルギーを主力事業とする中国の通威集団傘下のシリコン系太陽電池メーカーである通威太陽能(Tongwei Solar)で、世界シェアは二桁の10%であった。同社がこの市場で首位につくのは初めてで、SPV マーケットリサーチによると、同社の2018年のシェアは5%だったので、1年間でシェアが2倍になったことになる(図2)。...Read More Here

March 31, 2020

米太陽光業界も新型コロナ対策、テスラは「人工呼吸器」生産へ ファーストソーラーはパネル生産を継続、業界団体がガイダンス



Published at Nikkei Technology "Mega Solar Business"

ファーストソーラーは「影響なし」

 米国では大都市の自治体や州政府により、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐための準備や対策が急ピッチで進んでいる。一般市民、そして企業への積極的な対策、そして対策への参加を求めている。
 3月26日、化合物型太陽光パネルのトップメーカーである米ファーストソーラー(First Solar)が、新型コロナウイルスによるパネル生産への影響について発表した。
 米アリゾナ州に本社を構える同社は、テルル化カドミウム(CdTe)を使った化合物半導体を使った薄膜パネルを開発・製造しており、米オハイオ州ウッド郡、マレーシアのクリム、そしてベトナムホーチミン市で工場を運営している。
 米国ではワシントン州が非常事態宣言を発令したのを皮切りに、市、そして州規模で「外出自粛」「外出禁止」令が発令された。外出禁止令の中、「エッセンシャル・ビジネス」と呼ばれる医療機関、食料品販売などの社会生活を維持する事業や商業に関しては、従来通りビジネスを継続できるが、その他の商業・事業は一時的に店舗・工場を閉鎖するか、オフィスの場合従業員はオンラインによる在宅勤務が求められている。
 同社はオハイオ州のペリスバーグとレイク・タウンシップで工場を持っていて、そのオハイオ州でも、「外出自粛」が発令された。しかし、同社によると、現時点で、ファーストソーラーのオハイオ州の工場は、生産の継続が認められたとしている。ちなみに、ファーストソーラーは、現在、西半球で最大の太陽光パネルの生産規模を有している(図1)。
図1●米ファーストソーラーのオハイオ州にあるパネル工場, Credit First Solar

 オハイオ州と同じように、同社のマレーシア、ベトナムの工場も生産を継続している。
 同社は、2019年第4四半期の投資家向け財務報告の中で、マーク・ウイッドマCEO(最高経営責任者)は、「私たちは、原材料を提供する中国のパートナーを含め、地理的に多様なサプライチェーンを持っているが、現在まで、コロナウイルスの感染拡大による影響をしっかり管理しており、当社の事業に重大な影響はない」と、語った。

テスラは人工呼吸器の生産へ移行

 ニューヨーク州に生産工場を持つ米テスラ(Tesla)は、3月25日に同社の太陽電池セル(発電素子)とパネルの工場を一時的に閉鎖することを発表した。ニューヨークではコロナウイルスの感染者が急増し、人工呼吸器が不足するなどの深刻な事態が起こっている。
 そこで、同社CEOのイーロン・マスク氏は、同社の「テスラ・ギガファクトリー2」と呼ばれるニューヨーク州バッファローの工場で、「人的リソースの可能な限り、早急に人工呼吸器の工場として、生産を再開すると公表した。「ニューヨークの市民を助けるために、持てる力であらゆることに取り組む」とツイッターを通して発表した。...Read More Here

November 12, 2019

米サンパワーが「太陽電池メーカー」ではなくなる!? 太陽電池製造を分離し「分散型エネルギーサービス」に特化

Published Nikkei ---

 太陽光発電産業で、米国のサンパワー(SunPower)といえば、世界最高の変換効率を誇ったバックコンタクト方式(IBC) の結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子)・パネルの製造・販売で知られる世界的な太陽電池メーカーである。そんなサンパワーが11月11日に、「セパレーション(分離)と投資」と題した発表を行った。
 発表によると、今回の「分離」とは、(1)北米に特化したエネルギーサービス提供会社であるサンパワーと、(2)世界屈指の先進技術で太陽電池を開発するマキシオン・ソーラー・テクノロジー(Maxeon Solar Technologies=以後マキシオン)という、それぞれ太陽光関連分野に特化した2つの専業会社に分かれる計画である(図1)。
図1●サンパワー分離後の体制(太陽電池開発・製造と分散型エネルギーサービス事業)を示すスライド(出所:SunPower)

 単結晶シリコンウエハを含む半導体材料、半導体デバイスなどの新材料の開発、製造・販売を手掛ける中国の天津中環半導体股分有限公司(Tianjin Zhonghuan Semiconductor=以後TZS)は、長期にわたりサンパワーの部材パートナーで、今回2億9800万米ドルを新会社のマキシオンに投資し、「マキシオン」ブランドの太陽電池の技術革新と生産規模の拡大に貢献する。
 マキシオンは、現在のサンパワーからスピンオフ(分離独立)することになり、本社はシンガポールになる。同社は、米株式市場ナスダックに上場する。現在、サンパワーのテクノロジー事業部の最高責任者であるジェフ・ウォーターズ氏がマキシオンのトップとなる。
 サンパワーの発表によると、このスピンオフとTZSの投資は、来年2020年第2四半期までに完了する予定という。TZSはマキシオンの約29%を所有することになり、現在のサンパワーの株主は、新生サンパワーを100%そのまま継続して所有し、加えてマキシオンの71%を新しく受ける。
 つまり、現在サンパワー株を100株持っている場合、分離後、100株の新生サンパワーと71株のマキシオン株を受け取ることになる(図2)。
図2●サンパワー分離後の株式分割の仕組み
(出所:SunPower)

 過去35年サンパワーは太陽電池技術のイノベーターとして活躍してきた。累積13GWを市場に投入した。今後、新会社・マキシオンは、「マキシオン」と「パフォーマンス」という2つのテクノロジープラットフォームで異なった市場を開拓することになる。..Read More Here

October 22, 2019

米で普及期待の両面受光型、「関税免除」撤回の影響は? 米国内太陽電池メーカー、発電事業用で優位も

Published at Nikkei Technology:

 一度は関税を免れた「両面受光型太陽電池」が、また関税対象に戻ってしまった。
 2010年以降、米国では、中国などからの安価な太陽電池製品の大量流入により、国内で生産していた太陽電池メーカーは収益性が悪化し、次々と事業から撤退、または破綻に追い込まれた。国内製造業を保護するため、トランプ政権は昨年1月、結晶シリコン太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して4年間にわたり関税を課すことを決定した。
 まず、1年目の2018年にCSPVのセル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)の輸入価格に30%が課され、2年目の今年は5ポイント減の25%となっている。
 米通商代表部(USTR)に対しては、関税措置の開始当初から多くのメーカーから関税控除要求が寄せられた。まず、昨年9月に米メーカーであるサンパワーのバックコンタクト(IBC)方式の結晶シリコン太陽電池セル・モジュールは、「多数の米国メーカーを破綻に追いやった安価で、コモディティ化した輸入品とは違う」とされ、関税免除になった。
 そして、今年6月に両面受光(両面発電)型太陽電池も関税免除のリストに加えられた。この除外には米太陽光エネルギー協会(SEIA) の後押しがあった。SEIAは、その背景として、「米国へ輸出される両面受光型太陽電池の生産量が非常に限られており、製品が米国で生産されたCSPV製品と直接競合せず、除外が保護措置の目的を損なうことはない」との除外理由を公表していた(図1)。...Read More Here
図1●両面受光型太陽電池の設置例
(出所:SilFab Solar)

September 6, 2019

ウォルマートが「重過失」と提訴、屋根上太陽光の火災頻発で 第3者所有モデルによる急成長の裏で起きた「手抜き施工」!?

Published at Nikkei Mega Solar Business ---

 先月、米流通最大手ウォルマートは、太陽光発電の火災に関してテスラを相手に訴訟を起こした。ウォルマートによると、テスラの設置した太陽光発電設備が、ウォルマートの7店舗で火災を起こしたという。その後、さらにアマゾンでもテスラの設置した太陽光発電設備で火災が起こったと公表するなど、テスラにとって耳の痛いニュースが続いている。
 米マスメディアは、ニュースの中で「テスラの太陽光パネル」という言い方をしているが、実は、テスラがウォルマート店舗に設置した太陽光パネルはテスラ製のものではない。
 テスラは2016年に「ソーラールーフ・タイル」と呼ばれる「建材一体型太陽電池」の開発・製造を発表したが、ウォルマートへの設置はそれ以前に施工されたものだ。ではなぜ、こうした報道になったのか。実は、200以上のウォルマート店舗に太陽光発電を設置したのは、ソーラーシティで、テスラは2016年にソーラーシティを買収した経緯がある。
 ウォルマートはテスラに対し、ニューヨーク州の最高裁判所に提訴し、約240店に設置されたすべての太陽光発電設備の撤去と火災に関する損害賠償を求めている。今回の提訴の際に提出した114ページにおよぶ訴状には、ソーラーシティによる設置、点検、保守などにおける「過失」が列挙されている。ウォルマートは、「広域にわたる過失と非プロフェッショナリズムの症状」としている(図1)。
図1●ウォルマートのカリフォルニア州にある1店舗に設置された太陽光発電から火災
(出所:Lauren Coronado)

 ソーラーシティは「初期費用なし、電気料金即削減」という 「第3者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」で急成長した。2015年には米国住宅太陽光発電市場の3分の1以上のシェアを占め、商業用の含め、分散型太陽光発電の販売・設置で米国ナンバーワン企業とまで言われた。
 TPOモデルは、ソーラーシティのような販売・施工とファイナンスを統合したソーラープロバイダーが、太陽光発電設備を家庭や企業の屋根に需要家の初期投資なしで設置する。...Read More Here

May 14, 2019

太陽電池の2018年世界シェア・ランキングを公表 トップシェア企業でも8%、2位には3社が6%で並ぶ

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生産設備の過剰でパネルメーカー合併も

 太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPV マーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2018年の全世界における太陽光発電出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合せ、前年比5%減の89.1GWだったという。1975年から2018年までの累積出荷量は468GWになる。
 2018年の供給元を国別に見てみると、中国は全世界出荷量の58%を占め、その量は51.9GW。2位はマレーシア 、3位台湾、4位ベトナム、そして5位韓国となっている(図1)。
図1●2018年における国別の太陽光発電供給量シェア
(出所:SPV Market Research)
[画像のクリックで拡大表示]
 レポートによれば、2018年における世界の太陽電池セル(発電素子)生産能力は113.3GWで、モジュール(太陽光パネル)の組み立て能力は143.9GWに達した。これら生産能力は、前年に比べ5%増加したが、その後、中国市場での太陽光発電導入の落ち込みで、多くのメーカーは生産設備の拡大計画をキャンセルした。一方で、キャンセルできなかったメーカーや、事業を売却したメーカーもあったという。
 SPV マーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏は、「2018年のモジュール組み立て能力が、セル生産能力を30.6GW上回った。これは、モジュール組み立てメーカーに価格プレッシャーを引き起こした。(モジュール組み立てがセル生産を上回ったことにより)将来的に、(太陽光産業を)健全に保つためには、モジュール組み立てメーカーの合併も考えられる」と語った。

JAからジンコに、トップが入れ替わる

 2018年の太陽光発電出荷量をメーカー別でみると、1位は、中国ジンコソーラーで、出荷量は7GWを超え、世界シェアは8%であった。ジンコソーラーは2011年に初めてトップ10入りを果たし、2016年と2017年ともに2位で、2018年に首位を獲得した。
 中国ロンギ、カナダのカナディアンソーラー、そして中国JAソーラーの3社がともに世界シェア6%で2位に並んだ。JAソーラーは2008年からトップ10入りし、徐々にランキングを上げ、2017年にはトップに上り詰めたものの、2018年にはジンコソーラーと入れ替わることになった。カナディアンソーラーは2011年からトップ10入りし、昨年は2位と、トップを伺う位置に付けた。ロンギは2016年にトップ10入りし、わずか2年で2位まで駆け上がった(図2)。
図2●2018年におけるメーカー別の太陽光発電供給量シェア・トップ10
(出所:SPV Market Research)
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 その他、トップ10には中国トリナソーラー、韓国ハンファQセルズ、中国サンテックも入っている。米国ファースト・ソーラー はトップ10入りを逃したが、シェア3%で11位についている。ちなみに、日本メーカーは2015年以降、トップ10リストには入ったことはない。... Read More Here

March 31, 2019

米太陽光市場、2年連続で「10GW」越え 堅調な住宅市場、2019年から再び成長軌道に

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累計で60GWを超える

 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)とコンサルティング会社であるウッドマッケンジーによる共同で出版された最新のレポートによると、米国では2018年に10.6GWの太陽光発電が導入された。これは、1230万軒もの米国の家庭に供給される電力に匹敵する。これにより2018年末で米国に導入された太陽光発電は累計62.4GWに達した(図1)。
図1●米国太陽光発電市場の動向(青色:住宅用、黄色:非住宅用、水色:発電事業用)
(出所:SEIA, Wood Mackenzie)
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 2016年と2017年に続き3年連続で10GWレベルを維持したものの、昨年比2%減となった。セグメント別に見てみると、住宅用については昨年に比べて拡大したものの、非住宅用と発電事業用の中・大規模システム市場は縮小した。とはいえ、発電事業用の導入容量は依然として群を抜いて大きく、2017年と同様、全体の58%を占めた(図2)。
図2●米国におけるセグメント別の太陽光発電市場(2017年・2018年)
(出所:SEIAとWood Mackenzieのデータをもとに作成)
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関税措置の影響で稼働が遅延

 住宅用市場は、2017年に前年比15%減となったが、2018年にはリバウンドの兆しが現れ、2017年比7%増の2.4GWの導入となった。2018年第4四半期には過去2年間で最も高い640MWの導入となった。「緩やかな成長」ではあるが、住宅用市場が全国レベルの施工会社に加え、小中規模のローカルな施工会社の活性化により、持続的な成長軌道に乗りつつあるようだ。州別に見てみると、カリフォルニア、ネバダ、フロリダ州が大きく伸びた。
 発電事業用太陽光発電市場は、セグメントで市場シェアが最も大きいが、前年比7%減少し、2018年の導入量は6.2GWであった。 従来に比べ第4四半期の導入量が予測より低かった。その理由の一つは、昨年執行された輸入太陽光発電セル(発電素子)・パネル(モジュール)への関税である。
 昨年1月にトランプ政権は、結晶シリコン型太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して30%の関税を課すことを決定した。まず、1年目の2018年にCSPVのセル・パネルの輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率を年々5%ずつ下げることになっている。
 この関税措置のため、多くの発電事業用プロジェクトの稼働開始が2018年から2019年に遅延されたという。
 ちなみに、2019年2月にはモジュールとセルに対する関税が30%から25%に下がった。さらに2020年2月には20%、その翌年の2021年には15%まで下がる。2022年2月には関税実施の終了を迎えるが、国際貿易委員会(ITC)は2020年1月から関税の中期見直しを行い、その時点で大統領は関税を継続、修正、または終了するか判断することになっている...Read More Here

March 12, 2019

米の発電市場を支える「1~5MW」のメガソーラー 「コミュニティソーラー」による地産地消が背景に

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発電事業用が30GW以上に

 米国では2010年ごろから、発電事業用の太陽光発電設備が急速に増え始め、2018年末で累積30GW以上の発電事業用メガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働している(図1)。
図1●米国における発電事業用の太陽光発電設備・年間導入量推移
(出所:DOE EIA)
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 日本や欧州と比べ、広大な土地と日照に恵まれているカリフォルニア州を含む米国西部では、これまでに世界最大級のメガソーラーが建設されてきた。
 米国で発電事業用の太陽光市場を引っ張ってきたのは、こうした何百MWサイズもの巨大なメガソーラーというイメージがある。だが今回、この市場を支えているのは、むしろ5MW以下のメガソーラーであることがわかった。
 日本では数MWでも「大規模」というイメージがあるが、米国では比較的、小規模なプロジェクトという位置づけになる。

加州では「500MW超」3基

 米国で太陽光発電の導入量でトップのカリフォルニア州には、連系出力500MWを超える巨大なメガソーラーがすでに3基稼働している。
 現在、米国で最大規模となるのは、2015年に稼働開始した「ソーラースター」と呼ばれる連系出力579MW(太陽光パネル出力747.3 MW)のメガソーラーである。高効率で有名な米サンパワー製の単結晶シリコン型パネルが約170万枚、使用され、年間発電量は一般世帯約25万5000世帯の消費電力に相当する。
 サンパワーは、パネルの提供だけではなく、EPC(設計・調達・施工)サービス、 さらにO&M(運営・保守)も手がけている(図2)。
図2●米国で最大級のメガソーラー(連系出力579MW)
(出所:SunPower)
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 次に、 「デサートサンライトソーラー」と「トパーズソーラー」が続く。これらは共に連系出力550MWとなる。
 ちなみに、この2基は、サンパワーのライバル企業である米ファーストソーラーが開発・建設した。ファーストソーラーは、カドミウムテルル(CdTe) 型化合物系太陽電池を生産し、薄膜タイプのパネル製造・販売で世界最大手のメーカーであり、EPCサービス事業者としても世界トップに立っている。

発電事業を支える「1~5MW」

 米エネルギー省・エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA)が昨年12月までに集計したデータによると、累計2600以上の発電事業用の太陽光発電設備が米国で稼働している。連系出力で30GWを超える規模になる。ちなみに、EIAの「発電事業用設備」の定義は、総発電出力が1MW以上(連系ベース)のものとしている。
 米国では、このような数百MWの「半GW」級メガソーラーが次々と稼働し、話題になるため、発電事業では数百MW規模のメガソーラーが主流のようにも思える。...Read More Here

February 27, 2019

「蓄電池併設」本格化、アンケート調査に見る、米太陽光施工業者の成長戦略 蓄電池ブランドでは「LG」「テスラ」がトップ

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全米870の太陽光施工業者にアンケート

 米国における「蓄電池併設型太陽光発電」の販売、蓄電池のブランド評価、そして太陽光発電産業に携わる施工事業者の今後の事業戦略などのトレンドに関する調査結果が発表された。
 これは、全米 の太陽光発電施工事業者を対象としたアンケート調査で、米エネルギーセイジ(EnergySage)と米NABCEPが共同で実施した。
 米エネルギーセイジは、オンラインによる太陽光発電見積もりサービスを提供している。また、NABCEPとは「北米公認エネルギー実務者委員会(North American Board of Certified Energy Practitioners)」の略で、再生可能エネルギー産業に携わるインストーラーなどから構成される。
 調査の対象となったのは全米48州にわたる870の太陽光発電販売・施工事業者で、2018年12月から2019年1月にかけて実施された。ちなみに、この調査は今年で4回目になる。
 この調査に参加した施工事業者は、住宅と事業用市場をメインとしており、2018年の年間設置量は30kWから1.5MWまで事業規模には大きな幅がある。今回の調査に参加した事業者の年間設置量を平均すると住宅用で300kW、事業用で250kWとなっている。

蓄電池、EVに事業領域を拡大

 太陽光発電市場が成熟にするにつれて、多くの施工事業者は、顧客に提供する事業領域を広げ、他者と差別化するため、新しいサービス・製品を加えることを計画している。
 2019年に新しく提供したいと考えているサービスでもっとも回答が多かった事業領域が、太陽光発電の運営・保守(O&M)サービス、そして省エネ評価・アップグレードが共に6%、次に電気工事請負(3%)、そしてコンサルティングサービス(2%)となっている。ちなみに、回答した事業者の67%はすでにO&Mサービスを提供している。
 2019年に加えたい新しい製品で最も高かったのは、蓄電池(9%)、電気自動車(EV)の充電器(8%)、ジェネレーター(発電機)(4%)などとなっている。ちなみに、回答事業者の69%はすでに蓄電池、そして55%はEV充電器を提供している。... Read More Here

December 26, 2018

「一括見積もりサイト」が低価格を牽引、W単価4ドル以下に 第3者機関との連携や情報公開で信頼感向上

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「一括見積もりサイト」利用は少数派だが・・・

 米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)の最新レポート「ソーラー購入者の市場」によると、米国の住宅用太陽光発電システム購入者の95%以上は、施工業者から直接、見積もりを取った上で購入したという。
 逆に言うと、現在、インターネットによる「オンライン一括見積もりサイト」の利用率はまだまだ数%で、少数派ということになる。ただ、NRELは、一括見積もりサイトの利用者は、施工業者との直接取引よりも安くシステムを購入していると分析している(図1)。
図1●太陽光発電システム購入用のオンライン一括見積もりサイト
(出所:Pick My Solar)
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 一括見積もりサイトは、太陽光の購入検討者が一度に複数の会社に見積もりを依頼できるのが特徴である。消費者が自分で施工業者を探し、会社ごとに見積もりを取るのは手間と労力がかかる。
 NRELによると、一括見積もりサイトを利用しない購入検討者は、見積もり依頼に関わるコストを減らすため、見積もり依頼を1~2社程度に絞ることが多いという。しかし、見積もりが数社に留まる場合、購入検討者は施工業者に対して強いバーゲニング・パワー(交渉力)を持てない。...Read More Here

September 27, 2018

米国の事業用太陽光、コスト低下で「追尾型」が主流に 導入コストは「1.56ドル/W」、パネルトップはジンコ

Published at Nikkei Technology -- 5MW以上の20GWを分析

 米国における発電事業用の太陽光市場に関する最新の分析レポートを米ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)が発表した。

 同レポートの筆者であるマーク・ボリンガー氏によると、2017年に6.2 GW(DC・直流:太陽光パネルベース)の発電事業用太陽光が米国で導入され、米太陽光市場全体の59%を占めたという。累積導入量で見ると31GWを越えており、累積導入量全体の60%を占めている。

 同研究所は、2017年末までに稼働を開始した5 MW(AC・交流:連系出力ベース)以上の発電事業用太陽光(590プロジェクト、総累積容量は20.515 MW)を基に、導入量、テクノロジー、設置コストなどを分析した。

ジンコ、ハンファ、トリナがトップ3

 太陽光パネル(太陽電池モジュール)の技術で見てみると、結晶シリコン系が発電事業用プロジェクトで最も使用されており、2017年には年間導入量全体の77%(連系出力3.03 GW)を占めた。ちなみに、結晶シリコン系モジュールをメーカー別にみると、中国ジンコソーラーが15%とシェアトップで、韓国ハンファ(14%)、中国トリナ・ソラー(10%)、カナディアン・ソーラー(6%)、米ミッションソーラーエネルギー(5%)と米サンパワー(5%)となっている。

 薄膜系(化合物型)では米ファースト・ソーラーが2017年の薄膜系プロジェクト全体の97%を占めた。残りの3%は日本のソーラーフロンティアによるものだった。

 2017年までの累積導入量で見てみると、設置(架台)のタイプでは追尾型が全体の67%を占め、モジュールでは結晶シリコン系が全体の69%を占めた。さらに、組み合わせでみると、「結晶シリコン系+追尾型」が連系出力11.09GWと最も多く、「薄膜系+固定型」が連系出力3.70 GW、「結晶シリコン系+固定型」で2.97 GW、「薄膜系+追尾型」が2.68GWと続いた(図1)。...Read More Here
図1●米国の発電事業用太陽光市場におけるパネルと架台のタイプ
Credit: LBNL

August 26, 2018

米サンパワーを追い、韓国メーカーが急伸 米加州の新築住宅での太陽光パネルシェア

Published at Nikkei Technology ---

10年間で360MWの導入目指す

 今年5月、米カリフォルニア州は、新築住宅に太陽光発電も導入を義務化する新しい規制を承認した。施行は2020年1月からになる。新築住宅向け太陽光市場の拡大に期待が高まる。
 実はカリフォルニア州には、今回決まった「義務化」以前にも、新築住宅向け太陽光への補助金プログラムが導入されている。
 2006年に同州は2006年から2016年までに合計1.9GWの太陽光発電システムの導入目標を掲げ、「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれる補助金プログラムを創設した。CSIのプログラムの中に、「New Solar Homes Partnership(NSHP)」と呼ばれる新築住宅用の特別なプログラムも設定された。
 NSHPプログラムは、2007年1月にスタートした。その目的は、消費者に対してエネルギー効率の高い太陽光搭載住宅の需要を喚起し、ホームビルダーに対して太陽光の「標準搭載」を促すこと。10年間で360MWの太陽光システムを新築住宅に導入することを目標とした。
 環境の改善、市場の開拓、そして住宅オーナーのコスト削減などのインパクトを最大化するために、 新築住宅はエネルギー消費を最小化するという条件がNSHPには含まれている。
 カリフォルニア州では、建築物における電力・天然ガスなどのエネルギー消費の削減を促すため、「タイトル24」と呼ばれるエネルギー効率(省エネ)基準が導入されている。NSHPの補助金を得るためには、住宅を「タイトル24」省エネ基準よりもさらに、15~35%カットしなくてはならない。
 当初、このプログラムは2016年までの予定だったが、補助金申請の締め切り日が今年6月1日まで延長された。8月6日の時点で、NSHPプログラムは合計11万6871件の申請を認定している。それは太陽光パネル容量で427MW(交流ベース)に達する。このうち3万9000件(123MW)の太陽光発電システムが既に新築住宅に導入され、約7万8000件(304MW)が導入待ち、または導入中ということになっている。
 ちなみに、以下のデータは、NSHPプログラムの申請が認定された日付で集計しており、「導入済み」のデータは太陽光発電の設置、または系統連系された日付ではない(図1)。
図1●カリフォルニア州ホームビルダー用太陽光発電補助金 (NSHP) データ(年間推移)
(出所:California Energy Commission)
[画像のクリックで拡大表示]

「サンパワー・1強」が崩れる

 さて、カリフォルニア州の新築住宅市場における太陽光パネルメーカーのシェアはどうなっているのか? 導入済み(累積設置量)で見てみると、米サンパワー (SunPower) が39%でダントツのトップである。次に韓国の現代重工業(ヒュンダイ)が12%、中国のトリナ・ソーラーが8%、そして、京セラが6%となっている(図2)。...See More Here

June 15, 2018

トランプ関税の影響ジワリ、米で続々と太陽電池の増産計画 海外メーカーが工場新設、国内メーカーも増設を表明

Published at Nikkei Technology --

大手メーカーの増産計画は合計4GWに

 中国などからの安価な太陽電池製品の大量流入により、米国内で生産していた太陽電池メーカーは収益性が悪化し、次々と事業から撤退、または破綻に追い込まれた。日本メーカーの京セラはカリフォルニア州、シャープはテネシー州、そして旧三洋電機(現パナソニック)はオレゴン州に2010年前後に建設された米国内での生産事業から撤退している。
 太陽光発電の導入容量では、米国市場は中国に続き世界第2位の規模を誇るものの、供給面でみると世界に占める割合が微々たるものとなっている。
 国内製造業を保護するため、トランプ政権は今年1月、結晶シリコン太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して4 年間にわたり関税を課すことを決定した。トランプ政権による関税措置の発表後、複数の大手メーカーが米国内での生産拡大を表明した。これら企業の新設・増設計画を合わせると実に4GW近くに達する。
 今年5月末、韓国のハンファQセルズがジョージア州ウリットフィールド郡に太陽光パネル生産工場を建設すると発表した。今年中に着工し、来年2019年に新工場が完成する予定だ。完成時の生産能力は年間1.6GWを超えるという、大規模な計画である。
 他の海外メーカーで米国進出を表明したのは、世界トップのパネルメーカーの中国ジンコソーラーである。同社はフロリダ州ジャクソンビル市に5000万ドルを投資して工場を新設する。 新工場の稼働は今年9 月か10月前を目指している。実は、ジンコソーラーは関税措置の発表前から米国での生産開始を計画していたという(図1)。
図1●メーカー別・太陽光パネル(モジュール)の米国内での生産計画
(注:増設は現在の生産容量に足される増産容量を示す、出所:筆者)

米メーカーも国内で増産を表明

 ジンコソーラーは、200人の新規雇用を2019年末までに創出し、5000万ドルを投資することを条件に、ジャクソンビル市から340万ドル相当の税制優遇措置を数年にわたり受けることになっているという。..Read More Here

May 20, 2018

パナソニックの太陽電池工場、製造設備がオークション 雇用創出を期待されるも、10年足らずでオレゴンから撤退

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新規雇用を期待されたが…

 「Yes Or No? Sold!(この金額でよろしいですか? どうですか? 落札!)」――。5月9日、パナソニックのエコソリューション・ソーラーアメリカが運営していた太陽電池のインゴットとウエハ工場の生産設備がオークションに出された。
 競売にかけられたのは、太陽電池の基板となる単結晶シリコンのインゴット(円柱状の塊)を製造するグロアと呼ばれる単結晶シリコン引上げ装置、インゴットをブロック状に切断(クロッピング、スクエアリング)する加工装置など大型の製造設備から、倉庫とオフィスで使用されていたコンピューター、椅子、ピックニックテーブルなどを含めた計923点に上った(図1)。
図1●オークションに出たパナソニックの単結晶シリコン引上げ装置
(出所:GA Global Partners)
[画像のクリックで拡大表示]
 この工場はオレゴン州セーラムにあり、もともと三洋電機の米国子会社サンヨーソーラーによって2009年に建設された。当時の総投資額は8000万ドル。同社は新規の雇用創出などを条件に、投資額の半分以上の4200万ドルの立地優遇制度による補助金と税額控除をオレゴン州から受け取った。
 2010年にインゴットとウエハの製造が始まり、日本の滋賀工場でのセル(発電素子)生産を支えることになった。2012年にパナソニックがこの工場を三洋電機から買い取ったが、米国太陽電池製造業は中国産の低価格な太陽電池で採算が合いにくくなってきた。
 製造を開始してから7年目にパナソニックはセーラムでのインゴット・ウエハ加工工場を閉鎖することを発表した。2017年10月時点で解雇されたのは100人弱とみられる。
 今年3月になり、米Reich Borthersが土地面積12万9850平方フィートからなるこの倉庫とオフィスを伴った工場を買収すると発表した。買収価格は発表されていない。
 Reich Borthersは、破産、工場閉鎖、再編からなる商業と工業用の資産の買収、管理、処分などターンキーサービスを提供している。今回、同社はパナソニックから買い取った工場のスペースを他の製造業、またはディストリビューションセンター(物流施設)として再利用するため、生産設備などをオークションで売却することになった。つまり、もはや太陽電池のウエア・インゴット工場として存続することはなくなった。...Read More Here

May 10, 2018

太陽電池20年史に見る“栄枯盛衰” 20年前のトップ10企業、今は何処?

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産業を作った日米独の推進策

 今から約20年前の1997年、世界の太陽電池市場が初めて年間出荷量100MWを超えた。その当時、日本では新エネルギー財団(NEF)が住宅用太陽光発電システムへ補助金を出す「住宅用太陽光発電モニターシステム事業」、米国では電力会社に再生可能エネルギーの供給を義務付ける「再生可能エネルギーポートフォリオ基準法(RPS)」、そしてドイツでは「10万の屋根計画」など、政府による融資や補助金などによる推移策が進められていた。
 太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社の米SPV Market Research の創立者でチーフ・マーケットリサーチ・アナリストであるPaula Mints氏によると、日本の住宅用補助金、米国のRPS、そしてドイツの低利融資が、現在の太陽電池産業を築き、草創期の「パイオニア」を育てたと述べている。
 太陽電池産業は、1997年の「100MW到達」を機に、さらなるスケールメリットの追求が課題となり、「10年後の2007年には1GW産業を目指そう」との動きも出てきたという。そして、2017年には、世界の太陽電池モジュール(太陽光パネル)出荷量は、そのさらに10倍の約10GWにまで飛躍した。
 SPV Market Research社のデータによると、この20年間における太陽光市場の年平均成長率 (CAGR )はなんと40%に達する(図1)。...Read More Here
図1●世界の太陽電池モジュールの出荷量推移
(出所:米SPV Market Research)

January 30, 2018

Solar in 2018: Better Technology, Record-Breaking Installations

Published at RenewableEnergyWorld (Jan/Feb Issue) --- Top industry experts say that in 2018, high efficiency Mono c-Si modules and high-voltage inverters will take more market share, and distributed generation will start to pick up.

Solar PV is becoming cheaper than ever. Almost every month, a new industry "low" is set and broken. In September 2017, the U.S. Department of Energy announced that the U.S. solar industry had achieved the 2020 utility-scale solar cost target of US $0.06/kWh, three years ahead of schedule and is moving toward the 2030 goal of $0.03/kWh. The following month, a solar tender for a 300 MW PV plant in Saudi Arabia was bid at the low price of US $0.179/kWh. This record was soon broken in Mexico with solar at $0.177/kWh November.

Solar has become one of the least expensive options for new power generation and is lower than the cost of most fossil fuel-powered generators, enabling solar installed capacity to expand faster than any other fuel. Most analysts predict that the 2017 global solar installed capacity will be around the 100 GW mark and 2018 is expected to see continued growth.

Renewable Energy World asked some of the world’s top industry experts to share their perspectives on technologies and markets for the year 2018.... Read More Here

January 25, 2018

米「太陽電池・関税」決定の波紋、どうなる太陽光設置産業? 1年目は30%、4年目に15%、関税免除の申請は可能か?

Published at Nikkei Technology Online ---

30%は10~15セント/Wに相当

 トランプ政権は1月22日、結晶シリコン型太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して30%の関税を課すことを決定した。 まず、1年目にCSPVのセル(発電素子)とパネル(モジュール)の輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率は年々5%ずつ下げる(表参照)。各年で、輸入セルの最初の2.5GWには関税は課されない。(図1)。
図1●輸入CSPVセルとモジュールへの「セーフガード」関税
(出所:筆者)
 クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティングの米GTMリサーチ社によると、30%の関税は10~15セント/Wに相当する。米ゴールドマンサックス社は、30%関税は発電事業用太陽光発電のコストを3%、住宅用太陽光発電システムのコストを7%、押し上げると試算している。
 22日時点では、米国貿易代表委員によって発表された概況報告書「ファクトシート」には、貿易措置対象外の国などの詳細は発表されていなかったが、23日に情報がアップデートされた。そこには、「貿易措置対象外の国」の項目の下、「対象外から否定」という形で、メキシコ、カナダ、韓国、そして、タイとフィリピンと書かれていた。

サニバ社は50%を要求したが・・・

 今回の措置は、昨年5月米CSPVメーカーであるサニバ社が、輸入太陽電池の急増が国内産業に重大な損害を与えているとし、関税の賦課又は輸入数量を制限する「セーフガード」と呼ばれる輸入制限措置をITC(米国際貿易委員会)に要求したのが発端である。昨年9月、 米ITC は、大量に輸入された CSPV 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定し、米ITCはその後、 独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 サニバ社が要請したのは関税50%相当だったが、トランプ政権は米ITCの推薦案の1つである30%を選択したとみられる。
 「ファクトシート」によると、現在、中国は世界の太陽電池セルの60%、モジュールの71%を生産している。2012~2016年にかけて、米国における太陽電池セルの輸入は約500%増加し、価格は急落した。 太陽電池セルやモジュールの価格は60%低下し、米国の生産者のほとんどが国内生産を中止、製造工場を他の国に移転、または破綻手続きの申請などに追い込まれた。
 2012年以降、25社が閉鎖され、2017年までに米国のCSPV製造産業はほとんど姿を消した。残ったのは、太陽電池セルとモジュールの両方を生産する米サニバ社と米ソーラーワールド・アメリカ社の2社と、輸入セルでモジュールを生産する8社のみだった。 2017年には、サニバ社が破綻手続きを申請し、国内での生産を停止する事態になった。...Read More Here
図3●「ファクトシート」で発表された「30%関税」
(出所:USTR)

January 2, 2018

「単結晶」が「多結晶」を抜く、2017年の太陽光パネル市場 PERC技術で変換効率アップ、価格が低下

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「単結晶」のシェアが49%に上昇

 2017年に「単結晶シリコン型」の太陽光パネル出荷量が初めて「多結晶シリコン」を抜いたーー。米太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社・SPV マーケットリサーチが2017年12月に発行した太陽光発電市場レポートから、明らかになった。
 2000年初頭、シャープ、京セラ、三菱電機といった日本企業が太陽光発電市場のトップ企業として君臨していた当時、モジュール(パネル)の主流は多結晶シリコン型だった。当時、単結晶シリコン型は高効率だが高価なため、安価な「多結晶型」が価格競争で優位性を示していた。しかし、その後、「単結晶型」が徐々にシェアを上げ、ついに首位を奪った格好だ。
 同レポートによると、2017年における太陽電池セル(発電素子)の世界での生産容量は97.7GW、このうち出荷量は93.8GW、設置容量は95.1GWと予測している。モジュールタイプ別シェア分析では、93.8GWの出荷量のうち、単結晶シリコン型のシェアは49%で、多結晶シリコン型は46%、化合物型のカドミウムテルル(CdTe)タイプは3%となっている(図1)。
図1●2017年の世界太陽光発電市場(出荷量)
における太陽光パネル・タイプ別シェア
(出所:SPV Market Research)


「プレミア」モジュールが押し上げ

 2016年における多結晶シリコン型のシェアは54%で、単結晶よりも13ポイントも多く、首位を保っていた。しかし、2017年には、単結晶シリコン型のシェアが、多結晶型よりも3ポイント多くなり、初めて逆転した(図2)。
 同レポートでは、単結晶シリコンがシェアを増加させた要因として、モジュールメーカーがプレミアムモジュールに移行したことを挙げている。その一つが、2016年にモジュールメーカーが生産を本格化し始めたp型単結晶シリコンを使った「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated Emitter and Rear Cell)である。2017年にはPARCの商業生産が拡大し、高効率化と共に価格が低下してシェア増加に貢献した。
 2015年には、米サンバワー社の「バックコンタクト(IBC)」、パナソニックのヘテロ接合 (HIT)、韓国LG社の太陽電池パネルが市場でプレミアム価格を発揮した。また高変換効率のn型の単結晶シリコンを使ったパネルへの期待が高まった。
 2016年に入ると、p型単結晶と多結晶シリコンを使った「PERC」を使った太陽光パネルへの移行が顕著になった。「2013年第3四半期に起こった価格下落は、n型太陽電池のプレミアムをはぎ取り、太陽電池メーカーの方向性をp型単結晶シリコン型に促した」と、SPVマーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏は語る。... Read More Here

December 24, 2017

トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で 太陽光発電産業の「アメリカ・ファースト」計画を発表

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米太陽光団体が貿易措置に反対

 米国太陽エネルギー産業協会 (SEIA) は2017年12月4日、 「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」をトランプ大統領に提出した。2万6000人以上の雇用を創出している米国太陽光発電産業を守るため、大統領に輸入太陽電池セル(発電素子)、太陽光パネル(モジュール)に対して貿易措置を取らないように要請した。
 行動や発言が予想不可能といわれるトランプ大統領に対して、SEIAは「最後の要請」を提出した格好だ(図1
図1●「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」
出所:SEIA
 SEIAがこうした要請をするに至った発端は、2017年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC) に輸入結晶シリコン型太陽電池セルに新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したことだ。
 後に、同じく米国内で結晶シリコン型太陽電池を生産しているドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社もサニバ社の提訴に加わった。

パネルの価格が2倍に?

 これに対し、SEIA を筆頭に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパー、架台メーカーなどが、輸入セルに関税が課されたら、太陽光パネルの値段が上がり、国内市場と雇用が大きく縮小してしまうと懸念し、大々的な関税反対キャンペーンを繰り広げた。
 しかし、2017年9月に、米ITCは、 国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定して、米国の製造業を保護するため措置を取ることを決定した。その後ITCは関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売などを含む3つの救済措置提案を発表した。
 保守系シンクタンクである米ヘリテージ財団は、提案されている関税は太陽光パネルの価格を約2倍にし、サニバ社、ソーラーワールド社を含む少数の太陽光パネルメーカーに短期間の保護を与えるが、市場から低価格のオプションを奪うことで、米国太陽光発電産業と顧客は大きなダメージを受けるだろう、とコメントしている。...Read More Here

November 6, 2017

続続報・米輸入パネル問題、大統領に提出される3案が公表 関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売など盛り込まれる

Published at Nikkei Technology Online ---  今年9月、米国国際貿易委員会(米ITC) は、大量に輸入された結晶シリコン型太陽電池 (CSPV) 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定した。

4人の委員から3案公表

 米ITCはその後、原告の米サニバ社、ソーラーワールド・アメリカ社、そして貿易措置反対を代表する米国太陽エネルキ?ー産業協会(SEIA)などからの救援策の提案をもとに、独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 米ITC の4人の委員から出された3つの提案はトランプ大統領に提出される。3案は、セル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)に対する「関税」、「輸入割当制」、「輸入数量制限」、「輸入ライセンスの公売」、さらに「措置対象外の国」などが含まれている。ちなみに、日本は救済措置の対象外に入っていない。

シュミズレイン委員長の提案

 シュミズレイン委員長の提案は、「CSPVセルへの関税と割当枠」「CSPVモジュールへの関税」「貿易措置対象外の国」からなる。
 「CSPVセルへの関税と割当枠」では、CSPVセル総輸入量の0.5GW未満は、輸入価格に10%の関税率を課し、0.5GWの割当枠を超えた場合30%の関税率を課す、というもの。ちなみにこの提案は4年間に渡る措置で、割当量は年々増加し、逆に関税率は年々減少するようになっている。
 「CSPVモジュールへの関税」では、輸入価格の35%の関税率で、4年間に渡り税率は年々減少する、という内容だ(図2)。
図2●シュミズレイン委員長の「CSPVモジュールへの関税」に関する提案
(出所:ITCの公表資料をもとに筆者作成)
米SPV Market Researchの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏の解釈では、輸入総量が500MW未満の場合、セルが米国にW当たり22セントで輸入されると、関税の税率10%で税額2.2セントとなり、最終価格は24.2セントになる。モジュールの場合、仮に輸入価格がW当たり60セントだと、関税税率35%で税額21セントとなり、最終価格は81セントになる。関税のモジュールに対するインパクトは大変に大きい。...Read More Here