March 29, 2016

「ダックカーブ」改善法、大量導入した太陽光を「水、熱、氷」で蓄える 日中に電力需要をシフトし、再エネの出力抑制を回避

Published at Nikkei Technology Online ---  分散型太陽光発電システムの大量導入で、日中の電力消費量を発電量が上回り、さらに夕方の太陽光の発電が止まる頃、電力需要が急激に上昇するという現象が指摘されている。近い将来、こうした大きな需給ギャップを埋めるのが困難になるのでは、という懸念が数年前、カリフォルニア州で指摘され始めた。

ピーク需要は夕方から夜

 この現象は「ダックカーブ」と呼ばれる。2013年から2020年にかけてのカリフォルニア州における時間別「実質電力需要」と「供給量」のグラフの変化に、その現象が表れている(図1)。この場合の「供給量」とは、電力会社の大規模・集中型発電所から供給される電力量。「実質電力需要」とは、全体の電力消費量から、消費者側の配電網に接続された分散型太陽光・風力発電などの発電量を差し引いたものである。
 元々電力需要を示すグラフは朝から昼にかけ緩やかに上がる。アヒルのしっぽから背中のような曲線を表す。しかし、分散型太陽光発電の導入量の増加につれて、アヒルの背中がお腹へと逆の曲線に変わっていく。太陽光発電などの分散型発電を導入すると、家庭の電力需要は太陽光の電力で賄われるようになり、電力会社から購入する電力量が減る。つまり、分散型太陽光発電の大量導入で、昼間の「実質電力需要」が大きく下がり、この時、電力会社から供給される電力が過剰になる恐れが心配され始めた。

アヒルに飛び方を教える

 問題の一つは、太陽光発電の出力ピークが需要ピークからずれていることである。カリフォルニア州において、太陽光発電システムの発電量は、正午から午後2時にかけてピークを迎える。一方で、ピーク需要は夕方5時から夜8時ごろと、午後のもっと遅い時間に発生する。つまり、供給と需要にギャップが生じるのである。
 もう一つの問題は、需要ピークが急激に上昇することだ。昼間は太陽光発電で実質需要が最低レベルまで下がるものの、太陽光発電からの出力がなくなる夕方には、「本当の」電力需要のピークが訪れる。2020年には約13GWもの需要を、わずか3時間で急速に埋めなければならないと予想されている。

New Report by Regulatory Assistance Project

 ダックカーブ現象により、本来なら調整力として使わないベース電源による供給量を日中に減らさなければならなくなりそうだ。さらに、夕方より大きな需要の差を埋めるために、火力発電設備などの既存設備を待機しておき、出力を急激に上げるという制御が必要になる可能性がある。...See More Here