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October 6, 2019

米の電源構成、「2030年まで太陽光2割」を目標に! 累積導入容量は500GW超!

Published at Nikkei Technology ---

 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2019」(2019年9月23~26日)がユタ州ソルトレイク市で開催された。このトレードショーは、北米最大のエネルギー関連イベントで、スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)による共催となる。
 このイベントは、2004年から続いており、ユタ州での開催は、今回が初めて。今年は700を超える出展者と国内外から1万9千人以上が来場した。
 今回のSPIでは、SEIAが2030年に向けたエネルギー転換を目指す「ソーラープラス10年間」というロードマップを発表した。このロードマップは、太陽光発電が米国の総発電量に占める割合を現在の2.4%から2030年までに20%に引き上げようという戦略的ビジョンである(図1)。
図1●ユタ州ソルトレイク市で開催されたSPIで2030年のビジョンを発表するSEIAのCEO
(出所:SEIA)

 2010年代、米太陽光発電産業は年間平均50%で成長を遂げ、累積導入容量は69GWを超えた。現在同産業は 年間170億ドルの収益を生み出し、24万2000人が従事している。
 SEIAによると、「2030年までに20%」の目標が達成されると、太陽光を巡り、2030年までに以下のような設備状況になっていると予想している。
 それは、(1)累積500GW以上の太陽光発電が導入(これは、2030年の年間導入量の77GWを含む)、(2)今後10年間で3450億ドルが太陽光発電の開発・導入に投資、(3)太陽光発電の新規導入量が、今後10年間に年間約18%で成長、(4)太陽光発電設備が1400万以上の屋上に設置、そして(5)太陽光発電が150基の石炭火力を置き換えるのに十分な電力を供給するーーといったクリーンな成長をもたらすという(図2)。
図2●「2030年までに20%」を達成するための年間太陽光発電導入(MW)推移(青色:住宅用、黄色:商業用、水色:発電事業用)
(出所:SEIA)

 しかし、この野心的なビジョンを実現するためには、いくつかの課題を解決していかなくてはならないという。そこでSEIAは、(1)コラボレーション、(2)市場加速要因(アクセラレーター)、(3)市場手段と政策牽引、そして(4)成長の管理――という4つの柱をビジョン達成の必要条件に加えた。...Read More Here

January 15, 2017

新設発電設備の3割以上が太陽光、電力会社が「安さ」で調達 州の普及政策なくともPURPA法適用で伸びるメガソーラー

Published at Nikkei Technology Online --- ソーラー州」以外にもメガソーラーが続々

 太陽光発電市場は、基本的に政府による普及政策の動向に大きく左右される。特にシステムコストが高かった当時は、補助金なしに市場が成長することは難しかった。

 そうした状況が、今、大きく変わろうとしている。米国で「ソーラー」と言うと、地球温暖化対策に力を入れているカリフォルニア州が頭に浮かぶ。ところが、2016年からユタやジョージア州といった、本来「ソーラー」と無縁だった州に、多くのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が建設され始めた。

 米エネルギー省 エネルギー情報局( Energy Information Administration: EIA)が発表した2016年1月から10月までに建設されたメガソーラー(発電事業用)の州別設置容量で見てみると、ダントツはやはりカリフォルニア州だが、ユタ(UT)そしてジョージア州(GA)が2位と3位になっている(図1)。
図1●米国の州別大規模太陽光発電所設置(2016年1月から10月の設置)
(出所:Energy Information Administration)


かつては、RPS法でメガソーラーが伸びる

 米国における分散型太陽光発電の普及は、システムコストの一部を州や電力会社が助成する補助金制度、そして自産自消で電気料金削減を可能にするネットメータリング制度などがけん引役になってきた。一方、従来の電力事業用の発電所に匹敵する大規模な太陽光発電は「再生可能エネルギー・ポートフォリオ・スタンダード(RPS)法」によって導入が進んだ。

 実際、カリフォルニア州に設置された「ソーラー・スター」と呼ばれる出力576MWのメガソーラーは同州のRPS法を達成することを目的に建設された。2016年で最も規模の大きかった太陽光設備はカリフォルニア州に設置された「トランキリティー」と呼ばれる258MWのメガソーラーで、やはり発電した電力は、地元の電力事業者がRPS法を満たすために買い取る。

 このようにメガソーラーは、従来、主にRPS法対策で建設されてきた。

 だが、現在、発電事業用セグメントで2位と3位につくユタ州とジョージア州では、なんとRPS法が成立していない。そんな中でもメガソーラーの建設が進行する理由は、太陽光発電の発電コストが、従来の化石燃料の発電コストに匹敵するまで低コスト化が進んでいるからだ。

PURP連邦法が原動力

 1970年代に起こったオイルショックの際、「公益事業統制政策法(PURPA)」という連邦法が施行された。同法は、再生可能エネルギーなどの利用により、エネルギー自給率とエネルギー効率向上を目指したもので、再エネやコージェネレーション(熱電併給)システムからの電気を電力事業者に回避可能原価(Avoided Cost:限界発電コスト)で買い取ることを義務付けた。

 つまり、独立系発電事業者(Independent Power Producer:IPP)が、電力事業者の発電コストより低価格で再エネ電力を販売できる場合、電力事業者はその電力を買わなければならない。実際、PURPA法により1980年代半ば以降、カリフォルニア州などでは、風力発電を使ったIPPが低コストを武器に新規参入した。

 ユタ州で最初に設置された太陽光発電所は、104MWの設置容量で2015年末に運転を開始した。現在、420MWと265MWと、さらに大規模な太陽光発電所がユタ州で開発されている。発電した電力は地元の電力会社にPURPA法をもとに購入される。ちなみに、ユタ州での太陽光発電所の発電コストは5セント/kWh前後と言われている。