December 28, 2020

太陽光「過剰設備」と「出力抑制」で発電コスト削減!? 「暗黙のストレージ」で、蓄電池の容量を減らす

 Published Nikkei Technology - Mega Solar Business


「再エネ100%」実現戦略を分析

 「過剰な設置と出力抑制でクリーン電力100%を達成する」という、何ともショッキングなタイトルのウエビナー(WEB 上でのセミナー)が今月中に15日間、開催された。主催者は、クリーン・エネルギーを推進する非営利連合である米クリーン・エネルギー・ステイツ・アライアンス(CESA)である。

 電力会社では、必要以上の「過剰な発電所」は無駄な投資であり、太陽光を含む発電事業者にとって「出力抑制」は収入の減少を意味する。「過剰な設備と出力抑制」を推奨するようなセミナータイトルには、誰しも違和感を持つだろう。

 この発表は、電力需要を100%再生可能エネルギーで賄うための研究活動の一環になる。具体的には、クリーン・エネルギーに関するリサーチを行う米クリーン・パワー・リサーチ(Clean Power Research)が、米中西部の地域送電機関(RTO)であるミッドコンティネント独立システムオペレーター(MISO)のサービス地域全体で再エネ100%を模索する研究・調査分析の一部である。

 この分析の結果としてMISO地域において、太陽光と風力発電の「過剰な建設と出力抑制」が最も費用対効果の高い「再エネ100%」実現戦略であることを示した。 

 「再エネの拡大と迅速な送電」を効果的に実現することを目指し、発電設備のテクノロジーと最適な導入量、そして需給バランスを調整するテクノロジーを見出すため、シナリオ分析が行われた。クリーン・パワー・リサーチでリード・アナリストを務めるマーク・ペレズ氏がそれぞれのシナリオと分析結果を発表した。

なぜ「暗黙のストレージ」なのか?

 まず、(1) 発電設備のテクノロジーには、太陽光と風力発電、(2) 需給バランスを調整するテクノロジーには、リチウムイオン蓄電池などの電力貯蔵、そして「暗黙のストレージ(貯蔵)」との位置づけで「過剰な発電設備」とその「出力抑制」を考慮した。どうして「暗黙」と呼ぶのかという質問にペレズ氏は、「過剰な発電設備と出力抑制は、事実上、需給バランスを調整する機能を持っているから」と答えた。

 シナリオでは、太陽光と風力発電、さらに電力貯蔵のコストを大きく左右するテクノロジーの発展度合いを、2025年に「高いケース」「低いケース」、そして2050年に「高いケース」「低いケース」の4つのシナリオも加えた。...Read More Here


December 16, 2020

住宅太陽光がさらに大容量化、「蓄電池併設」も増加 データで見る2019年の米国分散型太陽光市場

 Published Nikkei Technology Mega Solar Business


 今月、米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、2019年度(1~12月)における分散型太陽光発電の米国市場に関する統計データ分析を発表した。

 ここでいう「分散型太陽光発電」とは、屋根置き、または地上設置で連系出力5MW以下の、住宅用と非住宅用の太陽光発電を対象としている。非住宅用システムは、大型と小型に分けられており、「小型」は100kW以下、「大型」は100kW以上5MW未満となっていてメガソーラー(大規模太陽光発電所)も含まれている。

 ちなみに、同研究所が収集したデータは、2019年までに設置された190万件を超えるシステムが含まれており、同期間中に全米で実際に設置・導入されたすべての分散型太陽光システムの82%をカバーしている。

住宅用太陽光の規模はかつての3倍

 2019年の住宅用システムの規模を見ると、中間値(データを小さい順に並べた時の中央の値)は6.5kWで、前年比1.25%増であった。10年前の2009年は4.7kW、データ収集が始まった1999年の中央値は2.3kWだったので、21年間で住宅システムの平均的なサイズは、実に約3倍に大容量化していることになる(図1)。

図1●米国セグメント別分散型太陽光発電のシステムサイズの推移(注:折線=中間値、左=住宅用、右=非住宅用)
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)

 非住宅用システムの中間値は、データ収集が始まった2001年は5.7kWに留まっていたが、2009年には16kWまで大きくなってきた。ただ、非住宅用システムの大規模化は、ここにきて頭打ち傾向にあり、2019年の中間値である40kWは前年比13%減で、初の減少を示した。... Read More Here

December 1, 2020

1GW超える米最大「ギガソーラー」着工、AT&T・ホンダなどとPPA テキサス州に建設、先進企業5社・3自治体が電力購入

 Published Nikkei Technology Mega Solar Business

1.31GWで総投資額16億ドル

 テキサス州で現在、米国で最大規模となる1.31GW(1310MW)もの巨大な太陽光発電所の開発が進んでいる。この「ギガソーラー」の建設は今年7月に既に始まっていて、完成した時の総発電量は、米国一般家庭の約30万世帯分に相当する消費電力になるという。

 「サムソン・ソーラー・エネルギー・センター(以後サムソン)」と呼ばれるこのプロジェクトは、テキサス州の北東部に建設されていて、総投資額はなんと16億米ドル。

 現在建設済み・稼働中の米国最大規模のメガソーラー(大規模太陽光発電所)は、連系出力579MW・太陽光パネルの出力747.3 MWの「ソーラー・スター」と呼ばれるプロジェクトで、2015年7月にカリフォルニア州で稼働を開始した。稼働時は、米国で最大規模だけでなく、世界で最大規模でもあった(図1)。

図1●現在米国の稼働中で最大規模のメガソーラー「ソーラー・スター」
(出所:SunPower)

「ジェミニ」は896MW

 意外なことに、米国では5年が経った今まで「ソーラー・スター」を超える規模のメガソーラーが出てこなかった。

 そんななか、今年5月にネバダ州南部のモハビ砂漠付近に計画されている「ジェミニ・ソーラー」プロジェクトと呼ばれるメガソーラー事業が連邦政府の承認を得て、ようやく「米国最大規模」のメガソーラーの記録を更新しようとしていた。そのサイズはパネル出力896MW・連系出力690MWで、出力380MW・容量1400MWhのリチウムイオン蓄電池によるエネルギー貯蔵も併設される予定である。この発電所の電力は、ネバダ州で地域独占電力会社NVエネルギー(NV Energy)に25年間の長期電力購入契約(PPA)を通じて供給される。ちなみに、2023年12月に商業稼働を開始する予定である(図2)...Read More Here

図2●建設に取り掛かろうとしている「ジェミニ・ソーラー」の計画図
(出所:Quinbrook Infrastructure Partners and Arevia Power)