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September 8, 2017

続報・米「皆既日食」、市場を使い、太陽光の出力抑制は1%に 広域ネットワークで再エネの変動を機敏に調整

Published at Nikkei Technology Online ---  8月21日、米国全土では1979年以来38年ぶりとなる皆既日食が見られた。午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州まで、壮大な天体ショーが観測された。

電力の広域市場をフル活用

 カリフォルニア州は、米国で太陽光発電の導入量ナンバーワンで、日食の影響も大きいことが予想された。同州では、日食の際、起動と調整力で柔軟性に優れた電源である州内の水力発電と天然ガス火力で、太陽光発電の出力急変に対応し、グリッドの信頼性を保つことに成功した。これは8月22日に公開したこのコラムでもレポートした(関連記事)。

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っていた。部分日食といえども同州の送電網には約10GWの発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が接続されていて、ピーク需要の30〜40%を賄うまでになった。さらに、同州の配電網には5.8GWの屋根置きを含む分散型太陽光発電も接続されている。

 カリフォルニア州の系統運用を担うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を補うために、州内で発電所を稼働させると同時に、日食が地域を横切って移動し、異なる時間に異なる場所で太陽光発電に影響を与えることを利用し、西部電力システムネットワーク上での広域インバランス市場を活用した(図1)。
図 1●2017年8月21日におけるCAISO管轄内の電源別電力供給
(黄線:太陽光発電、赤線:火力発電、紫線:輸入)
(出所:CAISO)


インバランス市場の活用で再エネ統合
 CAISOはカリフォルニア州を管轄エリアとする送電事業と電力需要調整事業を担っている。さらに、前日市場と最終的な需給の差(インバランス)を調整するインバランス市場を運営している。

 米国西部諸州に拡大される再生可能エネルギーのグリッドへの連系、グリッドの信頼性と発電コスト削減を促進するため、CAISOは、同州で運営するインバランス市場の運営エリアを拡張し、2014年に西部エネルギーインバランス市場 (Western Energy Imbalance Market: EIM) の運営を開始した。

 西部EIMには 現在、カリフォルニア、オレゴン、ネバダ、ワシントン、アリゾナ、ユタ、コロラド、ワイオミングの8州に管轄エリアを持つ電力事業者が参加している。これらの州の電力事業者・発電事業者はCAISOのリアルタイム・グリッド・マネッジメント・システムにアクセスし、再エネの系統統合、系統安定化、発電コスト抑制に活用できる...Read More Here

August 22, 2017

米「皆既日食」、 太陽光の出力急変にグリッドが見事に対応! 周到な準備で、天体イベントの課した「信頼性試験」に合格

Published at Nikkei Technology Online --- 全米が壮大な天体ショーに沸く

 「グレイト・アメリカン・エクリプス(全米横断皆既日食)」――米国全土はこの日沸いた。皆既日食は、8月21日の午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州で観測された。

 「一生に一度」のイベントとし、皆既帯に位置する町々には全米、世界の至る所から人が集まった。NASA(米航空宇宙局)を始め、テレビ、ネットでは、ほぼ3分刻みで起こる太陽が月で完全に塞がれる「完璧な闇」と太陽を取り巻く外層大気である「コロナ」のライブストリーミングを行った。

 その壮大な天体ショーを相手に、米国のグリッドは信頼性を保つことに見事に成功した。これは、電力会社、送電系統管理機関、発電事業者などの綿密な計画を立て、十分に準備が整っていたことによるだろう。

太陽光出力の減少幅は予想超える

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っている。部分日食といえども、米国で太陽光発電の設置容量で50%以上を占める同州は日食で、電力供給で最も大きな影響を受けるとされていた。

 カリフォルニア州の広域系統運用を行うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)によると、日食により、4.2GWの発電事業用メガソーラーと1.3GWの分散型太陽光発電が一時的に出力を失うと予想されていた。CAISOはこのイベントに備え、 起動、調整力と柔軟性に優れた発電源である水力発電と天然ガスを燃料とした火力発電、そして蓄電池を確保した。

 さらに同州の各電力会社は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を和らげるため、電力需要者に、電気自動車(EV)の充電や洗濯機・食器洗浄機の使用を控えるなどの省エネを呼びかけた。

 当日、日食の始まる午前9時すぎから、日食中心時刻の10時20分の約1時間に、発電事業用メガソーラーの出力は約6400MW(6.4GW)から3000MW(3GW)に減少した。これはCAISOによる前日予測の4600MW(4.6GW)を下回り、減少幅は3400MW(3.4GW)に達した。日食中心時刻後に出力は回復し、太陽が最も高く上がる午後1時には9600MW(9.6GW)を超えた(図2)。... Read More Here
図2●上:2017年8月21日、カリフォルニア州の太陽光発電出力量(黄色線)
下:カリフォルニア州ロサンゼルスにおける部分日食の様子、10時21分が日食中心時刻
(出所・上:CAISO、下:Griffith Observatory)

August 16, 2017

8月21日の米横断「皆既日食」、試されるグリッドの信頼性 太陽光の出力急変に備え、水力・火力で迅速な調整を準備

Published at Nikkei Technology Online --- 米本土で38年ぶりの皆既日食

 2017年8月21日 は、米国本土で1979年以来38年ぶりとなる西から東へと横断する皆既日食を見ることができる 。 オレゴン・アイダホ・ワイオミング・ネブラスカ・カンザス・ミズーリ・イリノイ・ケンタッキー・テネシー・ノースカロライナ・ジョージア・サウスカロライナの計14州で月が太陽の前を完全に塞ぐ皆既日食の観測が見込まれている。その時間は約90分。このイベントにより、全米の太陽光発電は一時的に出力減少、または停止するとされている。

 米国エネルギー省・エネルギー情報局(EIA)によると、日食は21GWに及ぶ電力事業用メガソーラー(大規模太陽光発電所)に影響を与えるという。太陽が100%月で塞がれる皆既日食の影響を受けるのは主にオレゴン州で稼働する0.07GW、90%以上の部分食は4.01GW、80%は2.20GW, 70%は3.94GW, 60%は9.79GW, そして50%の部分日食で出力に影響が出るのは1.65GWとなっている(図1)。
図1●2017年8月21日の皆既日食の米国経路地図と事業用メガソーラーの位置とサイズ
(出所:Energy Information Administration)

カリフォルニア州は「部分日食」だが…

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っている。部分日食といえども、米国で太陽光発電の設置容量で50%以上を占めるカリフォルニア州は日食で最も大きな影響を受けるとされている(図2)。

 前回、全米を横断する皆既日食が起こったのは1979年。当時、カリフォルニア州の送電網に接続されていた太陽光発電は、ほぼゼロ。現在、同州の送電網には約10GWの太陽光発電が接続されていて、ピーク需要の30〜40%を賄うまでになった。さらに、同州の配電網には5.8GWの屋根置きを含む分散型太陽光発電も接続されている。

 カリフォルニア州の広域系統運用を行うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)によると、日食により、4.194GWの発電事業用メガソーラーと1.365GWの分散型太陽光発電が一時的に出力を失うと予想されている。..Read More Here