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September 27, 2020

加州「太陽光・蓄電池マイクログリッド」、地域の担い手が連携 非常時は空港・沿岸警備に電力供給し、レジリエンス強化

 Published at Nikkei Technology Mega Solar Business

送電網の末端に位置

 米カリフォルニア州北部にあるサンフランシスコ市から北に約200マイルに位置するハンボルト郡は、同州で2番目に大きな自然の入り江であるハンボルト湾に隣接していて、さらに、レッドウッドからなる国立公園や海岸山脈もある。

 同郡は、他のコミュニティから孤立した農村で、送電網の末端に位置する。さらに、津波、地震、土砂崩れ、洪水、そして山火事などの自然災害を受けやすく、「エネルギー・レジリエンス」はこのコミュニティにとって重要な課題となっている。

 そんなハンボルト郡で、「レッドウッド・コースト・空港・マイクログリッド(RCAM)」というプロジェクトが立ち上がった。このマイクログリッドは、出力2.2MWの太陽光発電に、容量8.8MWh(連系出力2.2MW)の蓄電池といった分散型電源から構成される(図1)。


テスラが太陽光と蓄電池

 レッドウッド・コーストのエネルギー・オーソーリティ(RCA)でエグゼクティブ・ディレクターを務めるマシュー・マーシャル氏は、「RCAMは、レジリエンス対応へ必要性、大手電力会社の持続可能なスマートグリッドへの転換、そして地方自治体の発電所とエネルギー貯蔵所有への関心の高まりという背景があります」と話す。ちなみに、RCAは、コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation: CCA)の1つで、日本の地域新電力にとても似ている。地方自治体の関与した電力小売事業者で、地域を独占する大手電力に対して、より高い再エネ比率で、地元に換言しながら地産地消を目指している。

 このプロジェクトに関与するプレーヤーは、以下になる。

●ハンボルト州立大学のシュアツ・エネルギー・リサーチセンター:主任コントラクター兼テクノロジーインテグレーター

●パシフィックガス&エレクトリック(PG&E):カリフォルニア州北部地域をサービス管轄とする大手電力会社で、地元の配送電網を運営

●RCA:地元のCCAで、RCAMの分散エネルギー資源(DER)の所有者兼事業の投資家(600万米ドルを投資)

●ハンボルト郡:分散型電源が設置される空港の所有者・運営者

●カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC):地域マイクログリッド構築支援事業として、プロジェクトコストの約半分(500万米ドル)を補助金として支給

 さらに、システムのハードは、米テスラが太陽光発電と蓄電池、そして、コントローラーは米SEL社が提供する。...Read More Here

July 13, 2020

米住宅太陽光の最新動向、シェアトップ企業がNo.2を買収! 「第3者所有モデル」席捲後、自己所有も復調、設置手法が多様化

Published at Nikkei Technology

クリーンでレジリエントなエネルギー

 米国の住宅用太陽光発電市場でリーディングカンパニーである米サンラン(Sunrun)は、同じ業界の競争相手であるビビント・ソーラー(Vivint Solar)を買収すると、7月6日発表した。

 サンランは、住宅用太陽光発電と蓄電池のサービスプロバイダーで現在、米住宅太陽光市場でシェアトップを誇る。一方、ビビント・ソーラーは、シェア2位の住宅用太陽光発電フルサービスプロバイダーである。つまり、業界1位と2位の合併ということになる。

 全株式交換による取引で、ビビント・ソーラー株1株に対してサンラン株0.55株を割り当てるというもので、買収総額は、32億ドル。両社の取締役会は全会一致でこの買収を承認しており 、買収手続きは、両社の株主と規制当局の承認などを経て、今年第4四半期(10〜12月)に完了する見通しだ。‘

 「米国はクリーンでレジリエントなエネルギーを求めています。ビビント・ソーラーが加わることにより、家庭用太陽光発電と蓄電池の利点をより高め、より多くの家庭に広められる、ハイクオリティーな営業チャンネルを得ることになります」。サンランの創業者兼最高経営責任者(CEO)リン・ジュリッチ氏は、買収計画発表の場でこう語った(図1)。

図1●サンラン社がNASDAQで株式上場記念(中央黄色いジャケットが同社CEO)
(出所:NASDAQ)
クリックすると拡大した画像が開きます

 この買収により、サンランは、約50万人の顧客と3GWを超える太陽光発電の資産を持つ「リーディングオーナー」にもなるという(図2)。...Read More Here 

March 31, 2019

米太陽光市場、2年連続で「10GW」越え 堅調な住宅市場、2019年から再び成長軌道に

Published at Nikkei Technology ---

累計で60GWを超える

 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)とコンサルティング会社であるウッドマッケンジーによる共同で出版された最新のレポートによると、米国では2018年に10.6GWの太陽光発電が導入された。これは、1230万軒もの米国の家庭に供給される電力に匹敵する。これにより2018年末で米国に導入された太陽光発電は累計62.4GWに達した(図1)。
図1●米国太陽光発電市場の動向(青色:住宅用、黄色:非住宅用、水色:発電事業用)
(出所:SEIA, Wood Mackenzie)
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 2016年と2017年に続き3年連続で10GWレベルを維持したものの、昨年比2%減となった。セグメント別に見てみると、住宅用については昨年に比べて拡大したものの、非住宅用と発電事業用の中・大規模システム市場は縮小した。とはいえ、発電事業用の導入容量は依然として群を抜いて大きく、2017年と同様、全体の58%を占めた(図2)。
図2●米国におけるセグメント別の太陽光発電市場(2017年・2018年)
(出所:SEIAとWood Mackenzieのデータをもとに作成)
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関税措置の影響で稼働が遅延

 住宅用市場は、2017年に前年比15%減となったが、2018年にはリバウンドの兆しが現れ、2017年比7%増の2.4GWの導入となった。2018年第4四半期には過去2年間で最も高い640MWの導入となった。「緩やかな成長」ではあるが、住宅用市場が全国レベルの施工会社に加え、小中規模のローカルな施工会社の活性化により、持続的な成長軌道に乗りつつあるようだ。州別に見てみると、カリフォルニア、ネバダ、フロリダ州が大きく伸びた。
 発電事業用太陽光発電市場は、セグメントで市場シェアが最も大きいが、前年比7%減少し、2018年の導入量は6.2GWであった。 従来に比べ第4四半期の導入量が予測より低かった。その理由の一つは、昨年執行された輸入太陽光発電セル(発電素子)・パネル(モジュール)への関税である。
 昨年1月にトランプ政権は、結晶シリコン型太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して30%の関税を課すことを決定した。まず、1年目の2018年にCSPVのセル・パネルの輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率を年々5%ずつ下げることになっている。
 この関税措置のため、多くの発電事業用プロジェクトの稼働開始が2018年から2019年に遅延されたという。
 ちなみに、2019年2月にはモジュールとセルに対する関税が30%から25%に下がった。さらに2020年2月には20%、その翌年の2021年には15%まで下がる。2022年2月には関税実施の終了を迎えるが、国際貿易委員会(ITC)は2020年1月から関税の中期見直しを行い、その時点で大統領は関税を継続、修正、または終了するか判断することになっている...Read More Here

September 26, 2017

米電力会社が系統・需要側の双方で「蓄電池導入プラン」 蓄電池市場は327MWから2020年に2.5GWに急拡大へ

Published at Nikkei Technology Online ---

2017年に207MWの蓄電池を接続

 電力需給のバランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など多彩な機能・利点をもつ「電力貯蔵システム」の導入が、米国で拡大し始めている。発電所や変電所に併設される大規模蓄電池だけでなく、家庭や事業所、工場など需要家側の中小規模の蓄電池システムの導入も増え始めている。
 「まだ小規模ですが、蓄電池市場の成長は加速しています」――。電力会社で構成される米スマート・エレクトリック・パワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は、9月中旬に開催された北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」で、こう語った。実際、SEPAによると、昨年出力207MW(容量257MWh)の蓄電池が電力系統に接続された。
 SEPAは電力会社を対象に実施したアンケートをもとに、「2017年電力会社電力貯蔵市場概念」というレポートをSPI開催に先駆けて発表した。全米の115電力会社がこの調査に参加した。ちなみに、米国には約1億3000万の需要家(顧客口座)がおり、民営・公営など3000以上の電気事業者が電気を供給している。アンケートに参加した電力会社の契約顧客数は、7500万以上に達し、全米の電力需要家の58%を占める。
 この調査結果によると、2016年末時点で累計622MW(661MWh)の蓄電池が設置されている。つまり、2016年だけで累積容量の39%が導入されたことになる。ここにきて、いかに急速に蓄電池が普及し始めたかが分かる(図1)。
図1●州別累積電力貯蔵システム導入容量(MWh)
(出所:SEPA)

カリフォルニア州が半分以上を占める

 2016年の蓄電池導入データを州別に見てみると、太陽光発電と同様に、カリフォルニア州が120.5 MW(176.6 MWh)と、群を抜くナンバーワンで、出力で58%、容量で69%を占めた。2位はインディアナ州の22 MW( 20.8 MWh)、2位はオハイオ州の16.1 MW(16.2 MWh)となっている。
 カリフォルニア州では蓄電池に対する政府の推進策と助成制度が充実している。同州は、2010年に州の民間電力会社3社に対し、2020年までに1.3GWの電力貯蔵システムを導入することを義務付けた。1.3GWのうち50%は電力会社所有となっている。...Read More Here

September 20, 2017

米展示会レポート、 太陽光市場の成長は蓄電池が担う! EV普及で定置型蓄電池の低コスト化が加速との見方

Published at Nikkei Technology Online -- 北米最大の太陽光関連展示会に2万人来場

 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」(2017年9月10~13日)がネバダ州ラスベガスで開催された。今年も昨年と同様、北米最大のエネルギー貯蔵関係の国際展示会「エネルギー・ストレージ・インターナショナル(Energy Storage International = ESI)との併催となった。今年で14年目を迎えるSPIは 2万人を超える参加者を動員し、大きな賑わいを見せた。

 ちなみに、今回の会場となったマンダレイベイ・ホテル&カジノのコンベンションセンターの屋根には出力6.4MWの太陽光発電システムが設置されている。2年前に稼働したこの発電システムは、ホテルそしてカジノのピーク需要の20%を賄っているという。

太陽光と蓄電池の統合がトピックに

 さて、今回のSPIでの大きなトピックの1つは「太陽光発電の大量導入による蓄電池の統合」であった。これまでのSPIでは、太陽光発電の導入を拡大するため、コスト削減や政府の普及政策などのトピックが多くを占めた。

 従来、太陽光発電はRPS法(再生可能エネルギー導入義務制度)など、公的な政策主導で導入が拡大してきた。しかし、低価格化が急速に進み、発電コストが従来の電源に匹敵、または勝るようになってきた。そのため、政策・規制による促進だけでなく、「経済的に」メリットが生じ、企業や電力会社による電力事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発が加速した。実際、2016年に電力事業用セグメントの設置容量は10GWを超えた。

 カリフォルニア州やハワイ州では太陽光発電の大量導入に伴い、日中に需要を上回る太陽光発電の余剰供給が発生し、系統の安定的な運用を脅かすと同時に、今後のさらなる太陽光の導入拡大の壁となっている。

 SPIでは、太陽光発電が昼間に生み出す「過剰」電力量に対応するため 、さまざま手法が議論された。例えば、自産自消モデルを促進するネットメータリング制度の改定、時間帯別電気料金プランの導入、デマンドチャージの導入、マイクログリッド、電力会社による分散型電源の統括計画など蓄電池を併用する政策、そして、新たなビジネルモデルなどを通じた「次世代のグリッド」などがテーマとなった(図2)。
図2●電力会社などの幹部が集まり、太陽光発電の大量導入に対する
グリッドへの対応が話し合われた
(出所:J. Movellan)
電力会社が蓄電の導入を加速

 太陽光パネルは大量生産によってすでに低価格化したが、蓄電池の市場は一体どうなっているのだろうか? 12日に行われた「ソーラーと蓄電池の交差点」と題する基調講演で、電力会社で構成される米スマートエレクトリックパワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は...Read More Here

September 29, 2016

米太陽光発電市場は安泰!?、パネル価格は40セント/W! 北米「ソーラー・パワー・インターナショナル2016」レポート

Published at Nikkei Technology Online ---  北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2016」(2016年9月12~14日)がネバダ州ラスベガスで開催された。

会場にマイクログリッドを設置

 スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)で共催するイベントは今年で13年目になる。今回は国内外から1万8000人以上が参加し、「ここ5年で最高の参加動員数です」と、SEPAで最高経営責任者を務めるJulia Hamm氏は語った。これは世界における米国市場への関心の高さを意味する。

 今回の総出展社数は650を超え、うち80社は蓄電池に関わる会社であった。蓄電池の出展社とセミナーの数が充実する中、今回は初めてマイクログリッドの特別展示とセミナーコースも加わった。会場外の駐車場には「ライブ(実際に稼働している)」マイクログリッドシステムが設置され、イベントの一部の電力消費量を賄った(図1)。

「Solar Power International 2016」(出所:SeaMove Media)

ITCの延長で安堵感広がる

 昨年のSPIでは、2016年末に打ち切られることになっていた「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる「再生可能エネルギー導入投資税控除(連邦政府政策)」の延長を国会に訴える活動と、「延長されなかったら?」という不安で、どことなく緊張感が漂っていた。

 SPIから3カ月後の12月に、米連邦議会がITCの5年間延長法案を可決し、米国太陽光発電産業は2017年以降、市場が冷え込むという悲観シナリオから免れ、関係者の間に安堵感が広がった。こうして迎えた今年のSPIは、昨年のような緊張感はなく、今までの大きな達成感と今後の飛躍に向けた「セレブレーション」的ムードがあった。

August 1, 2016

分散型太陽光の拡大で「消費者が力をつける」時代に (北米「インターソーラー2016」レポート(後編))

Published at Nikkei Technology Online --- 今年で9年目を迎える太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2016年7月11~13日)が、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。
 今回のイベントでは、これからの太陽光発電と蓄電池を含む分散型電源(Distributed Energy Resources:DER)の導入拡大とグリッド(送配電網)との統合などに関する話題が多くの講演で取り上げられた。

電力の消費者がアクティブな役割を果たす

 米国の住宅用太陽光発電市場でリーディングカンパニーである米Sunrun社の創業者兼最高経営責任者(CEO) Lynn Jurich氏が、イベントのオープニングセレモニーで基調講演を行った。米Sunrun社は、住宅用のみに特化したターンキープロバイダーで、累計30億米ドル以上の住宅用太陽光発電システムを全米15州で売り上げた。リースなどのファイナンスを含めて提供している。
 Jurich氏は、「パワーセクター:電力消費者が力をつける時代」と題し、分散型電源のグリッドにおける利点について講演した。これは電力の消費者(需要家)が電力会社から電気を購入するだけの一方通行で受動的な立場から、太陽光発電、蓄電池などの分散型電源を利用して、発電や売電などもっとアクティブな役割を電力市場で果たすことを意味する。
 「消費者が自ら『決定する力を持つ』時代が到来しました。消費者は自分が購入する、または選択するサービスに対してコントロールを欲するようになり、ビジネスセクターは消費者のニーズを理解しない限り、顧客を獲得できません」と、Jurich氏は語った(図1)。
図1●北米インターソーラーのオープニングセレモニーで基調講演を行う
米Sunrun社の創業者兼最高経営責任者(CEO) Lynn Zurich氏
(出所:Solar Promotion International GmbH・July 2016)

将来膨れ上がる電力インフラへの総投資コスト


次にJurich氏は、将来膨れ上がる電力インフラへの総投資コストについて話した。米国研究機関The Brattle Groupによると、1989~2009年の20年間における電力インフラ(発電、送・配電網)に対する投資は5230億米ドルであった。これに続く20年間(2010~2030年)には、なんと約3倍の1兆5000億米ドルに膨れ上がると予想されている...Read More Here

July 21, 2016

蓄電池は太陽光の強壮剤! 分散電源が電力市場変える: 北米「インターソーラー2016」レポート

Published at Nikkei Technology Online ---  今年で9年目を迎える太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2016年7月11~13日)が、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。

蓄電池の展示会と同時開催に


 今回のイベントは、蓄電池およびエネルギー貯蔵システムの展示会である「ees (electrical energy storage) North America」と同時開催となった。背景には、太陽光発電の大量導入で論議を呼んでいるネットメータリング制度の改正・廃止など、太陽光を巡る大きな環境変化がある。

 両イベントは、3日間の専門セミナーと展示会・技術講演会で構成され、約500社が出展し、来場者数は1万8000人を上回った(図1)。

図1●カリフォルニア州、サンフランシスコで開催された北米インターソーラー。
今年はエネルギー貯蔵システムの展示会eesと同時開催
(出所:Solar Promotion International GmbH・July 2016)

 イベントのキーワードは、「Storage(蓄電池)と太陽光発電を含むDER(分散型電力資源:Distributed Energy Resource)のグリッド・インテグレーション(系統への統合化)」である。

 従来、電力会社が独占し、一方通行だった発電と電力販売のビジネスがどのように多様化していくのか。大量導入されるDERを各電力会社のグリッドに組み込んで統合し、需給バランスを維持しつつ、いかに新しいビジネスを生み出すか、こうした問題意識がディスカッションのポイントとなった。

米国蓄電池市場は2021年には9倍に拡大


 米国エネルギー貯蔵システム協会(Energy Storage Association)でディレクターを務めるJason Burwen氏は、「米国蓄電池市場は2021年には2GWを超え、2015年から9倍に拡大する」と語った。

 さらに、2021年には需要側(配電網)に設置される蓄電池は送電網側に設置される蓄電池容量に匹敵するとも言う。....Read More Here

July 14, 2016

分散型太陽光発電の大量導入が引き起こす「デス・スパイラル」、「ネットメータリング」改正を巡る論争の焦点に

Published at Nikkei Technology Online ---  米国では、太陽電池などのコスト低下、第3者所有者モデルを含むイノベーティブなファイナンシングオプションの普及、さらに、再生可能エネルギーの導入政策の進展により、住宅用などの分散型太陽光発電システムの導入が加速した。

 導入政策の1つが「ネットメータリング制度」で、太陽光の発電分を電力購入単価と同額で相殺し、電気料金を削減できる州レベルの制度である。この経済効果は大きく、太陽光の普及促進に重要な役割を果たしてきた。しかし、普及が進むにつれ、電気料金支払い時に生じる「経済的不公平」への懸念が、ここ数年、米国で議論されている。

ネットメータリングが生む「不公平」


 「経済的不公平」は以下のように生じる。自産自消を促進する分散型太陽光発電システムの導入が増えるにつれ、電力会社の販売する電力の総量は減っていく。電力を利用した量ごとにチャージする「電力量料金(従量料金)」収入が減る。

 ゆえに、電力量料金の一部である送配電網のメンテナンスなどを含む固定費を回収するベースが小さくなる。そこで、固定費を回収するため、電力会社が電気料金の値上げに踏み切った場合、太陽光発電を所有しない電力需要家の負担が相対的に大きくなる、というものだ。

 このような懸念から、ネットメータリング制度の改正と電気料金制度の変更が、電力会社と太陽光発電産業の間で大きな論点となっている。固定費回収のための値上げ、またはネットメータリングの買取価格を小売り同等ではなく、需要と供給に合わせた時間帯別単価を適応する、というものである。

固定費回収が引き起こす「デス・スパイラル」


 これら二つの料金制度はどのように今後の太陽光発電導入に影響するのか?

 この論点をカリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く米ローレンスバークレー国立研究所(LBNL:Lawrence Berkeley National Laboratory)が定量分析で検証した。その結果は昨年、「ネットメータリングと市場フィードバックのループ:電気料金制度改正が与える分散型太陽光発電導入への影響の検討(Net Metering and Market Feedback Loops:Exploring the Impact of Retail Rate Design on Distributed PV Deployment)」と題したレポートに発表された。...Read More Here