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January 29, 2021

新大統領の「バイ・アメリカン」で米国内の太陽電池生産は復活するか!? 前政権の輸入関税でも輸入パネルは増え、米国内のセル生産は姿消す

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business


就任の初日に「パリ協定」署名

 2021年1月20日、ジョー・バイデン氏(民主党)が第46代米国大統領に就任した。就任第1日目に新大統領は、初仕事として、気候変動対策の国際的枠組みである「パリ協定」に復帰する署名を行い、過去4年間におけるトランプ前政権により後退してしまった米国環境政策の「復旧」に大きな一歩を踏み出した。これは、選挙活動公約の1つである国内の「脱炭素化」に向けた政策の一環でもある(図1)。

図1●「Solar Power International」で演説をするバイデン大統領(当時副大統領)
(出所:Steven Purcell for SPI 2015)


 バイデン大統領は、公約の1つでもあった米国製品を優先する「バイ・アメリカン条項」も実行に移し始めた。この大統領令は、米国企業が製造し、生み出す製品・サービスの購入を増やす義務の厳格化が含まれており、国内の製造業部門の再活性化は、労働者層の賃金上昇と、労働組合に加盟する労働者の増加、さらに、国内供給網の強化が期待される。

「メイド・イン・アメリカ」の定義に注目

 「バイ・アメリカン条項」は国内の太陽光発電産業にポジティブな影響をもたらすことはできるのであろうか?

 「バイデン大統領は、選挙活動中に公約として、製造業と雇用の復活のために、『メイド・イン・アメリカ』に対する税控除制度を含む7000億米ドルのインセンティブを提案しました。 ほとんどの製品のコンポーネント(部品)は輸入されることが多いため、新政権は、(1)全輸入コンポーネントで米国で組み立てられる製品、(2)コンポーネントから全て米国で製造された製品、または(3)それら両方のコンビネーション(組み合わせ)、のいずれにインセンティブを与えるかどうかを決定する必要があります。 太陽光発電産業においては、米国で組み立てられた太陽電池モジュール(太陽光パネル)の90%以上が輸入セル(発電素子)を使用しているため、定義の明確な設定はとても重要になります」、と米太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社・SPV マーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏は、今後の産業政策の行方に注目する。...Read More Here

June 22, 2020

米アマゾン、615MWのメガソーラーを新規開発 パリ協定を10年早く達成へ、州の気候政策にも影響

Nikkei Technology Mega Solar Business:

2040年に「ネットゼロ」誓約

 先月、米インターネット通販大手のアマゾン(Amazon)は、同社の「気候変動対策に関する誓約」の取り組みの一環として、世界で新たに5基の大規模太陽光発電(メガソーラー)プロジェクトに着手すると発表した。
 中国に1基、オーストラリアに1基、そして米国に3基で、合計出力は615MW、年間約120万MWhの電力を供給することになっている。
 アマゾンは、昨年9月に「クライメート・プレッジ」と呼ばれる気候変動対策に関する誓約を立てた。それは、同社の世界における全ての事業を、パリ協定の目標期限より10年早い、2040年までに 「ネット・ゼロ・カーボン (温室効果ガスの排出量を正味ゼロ)」を達成する取り組みである。
 さらに、同社は、風力と太陽光発電に投資し、2024年までに同社の全事業で消費するエネルギーの80%を再エネで賄う、さらに2030年までに100%賄うという目標もある。
 メガソーラー以外にも、現時点で、50以上の同社のフルフィルメントセンター(物流施設)には屋根置き太陽光発電が設置されており、施設の電力消費の約80%を賄っている。 
 2019年12月時点で、総出力は110MWを超え、米国内における屋根置き太陽光発電システムの数は37、ヨーロッパでは12、インドでは8となっている。ちなみに、同社は2018年米太陽エネルギー産業協会(SEIA)によって、米企業で最も分散型太陽光発電を導入した企業ナンバー1に挙げられた(図1)。
図1●アマゾン・フルフィルメントセンターに導入された屋根置き太陽光発電
(出所:Amazon

 今回の発表によると、アマゾンは具体的に米国において、オハイオ州に200MWと80MWの2基と、バージニア州に130 MWの1基のメガソーラーを計画している。
 オハイオ州では、2基のメガソーラー が計画されている。オハイオ州南部に建設予定の「ネッスルウッド・ソーラー・ファーム」と呼ばれる80MWのサイトは、昨年同州の公営委員会から許可が出ており、「ヒルクレスト・ソーラー・ファーム」と呼ばれる200MWのサイトは既に建設が始まっているという。

第2本社は「再エネ100%」に

 一方、バージニア州で計画しているメガソーラーは、同社で12基目になるが、詳細はまだ発表されていない。ただ、同社とバージニア州は以前から親密な関係にあり、今回のプロジェクトもこうした流れが背景にある。
 アマゾンは2019年、バージニア州アーリントンを同社の第2本社「HQ2」を置く地に決めた。第1の本社は西海岸北部ワシントン州シアトルに構える。「HQ2」では2万5000人の雇用を創出する予定で、さらに事業に必要なエネルギーを100%再エネで賄うとしている。Read More Here

July 17, 2018

企業だけじゃない! 「RE100」目指す自治体が続々 トランプ政権「パリ協定・離脱」への反発

Published at Nikkei Technology ---

350以上の市長が「パリ協定」目指す

 昨年6月に米トランプ政権が、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した時、世界各国から反発の声が上がり、米国の再生可能エネルギー市場が大きく後退すると予測された。そんな海外の懸念と裏腹に、国内の市や州の地方自治体、さらに企業が団結を強め、「『ワシントン(連邦政府)なし』でも米国は再エネ目標を達成する」と、独自に気候変動対策に取り組む動きが加速した。
 実際、トランプ政権がパリ協定からの離脱を発表した後、米国各地の市長で構成される「温暖化対策市長同意(Climate Mayors Agreement)」の加盟者が急増し、現在では350以上の市長が、独自にパリ協定の目標達成を目指す方針としている。
 さらに、温室効果ガスの排出削減にとどまらず、地域の消費電力を全てクリーンな再生可能エネルギーで賄うと公約する地方自治体も急増した。
 2018年7月現在、再エネ100%を条例化した地方自治体が全米に71ある。そのうち、5つの地方自治体はすでに再エネ100%を達成している。さらに、再エネ100%を条例化しようとキャンペーン中の市は150を超える(図1)。...Read More Here
図1●「再エネ100%」を条例化した地方自治体が全米に71
(出所:Sierra Club)

November 14, 2016

トランプ大統領誕生、共和党でも太陽光産業は伸びる!?20万人以上の雇用を国内に創出した太陽光発電産業

Published at Nikkei Technology Online --- 「米国をグレイトにする100日計画」を公表
トータルで3回にわたった米大統領の選討論会で、トランプ氏は「太陽光発電は高すぎる」、「風力は鳥を殺す」など、再生可能エネルギーに対してネガティブなコメントを繰り返した。一方で、炭鉱関係者の失業問題を語り、国内の石油・石炭産業の生産増大と雇用拡大へのサポートを公言した。

 同氏は、「ドナルド・トランプと米国投票者との間の契約:米国を再びグレイトにする『100日計画』」を大統領選挙に勝利した後に発表した(図1)。それは同氏の選挙公約と同じで、国内の雇用拡大、景気回復・経済活性化が大きな柱となっている。
図1●ドナルド・トランプと米国投票者との間の契約
「米国を再びグレイトにする『100日計画』」

雇用を守るため、再エネより化石資源を・・・

 その計画の2番目に掲げられているのは、「米国人雇用を守る7つのアクション」。7つのうち環境・エネルギーに関連する3つのアクションは以下だ。

 「50兆米ドル分の雇用を創出できるシェールガス、石油、天然ガス、そしてクリーン石炭埋蔵を解放します」

 「オバマ・クリントン政権で阻止された(カナダからテキサス州に原油を運ぶ)『キーストーンXLパイプライン』の建設などの重要なエネルギーインフラプロジェクトを承認します」

 「地球温暖化対策の国際的な新枠組みである『パリ協定』への数十億ドルに上る支払いを止め、国内の水と環境インフラの整備に充てます」――

 トランプ氏を筆頭に、連邦議会の上院・下院ともに共和党が多数派を維持することになり、環境団体や再生可能エネルギー関係者中には、「もう、終わりだ」との嘆きもある。

 雇用を創出し、エネルギー自給を高める手段として、国内に埋まっている化石燃料の生産拡大だけが、「トランプ大統領時代」の答えになるのだろうか? 太陽光発電を含むクリーン・エネルギーは、エネルギー政策からはじき出されてしまうのだろうか?

 トランプ大統領の誕生で、今後の米国クリーン・エネルギー産業拡大に悲観的な見解が多いものの、来年に発足するトランプ政権の具体的なエネルギー政策については、実際のところ詳細がまた整っていない。今までの共和党主導の政権が過去に与えた太陽光発電産業への影響を振り帰ってみよう。...Read More Here