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October 26, 2020

地域新電力8社、共同で500MWのエネルギー貯蔵を設置へ 「長周期」需給変動に対応、再エネ大量導入とレジリエンス強化

 Published at Nikkei Technology


「長周期」対応の重要性が増す

 米国では今年8月に起こった大規模な山火事、猛暑などで大停電が起こり、カリフォルニア州の電力システム(グリッド=電力系統)の信頼性とレジリエンスがまた大きく見直しされている。太陽光発電を含む再生可能エネルギーの導入量では他州を引き離してダントツのカリフォルニア州だが、再エネを効率良くグリッドに統合しつつ、信頼性を高め、災害などに対するレジリエンスを強化するには、電力を長期間、放電できる「長周期」エネルギー貯蔵調達が必要になってくる。

 カリフォルニア州では、大手電力会社だけではなく、地方自治体による地域新電力も長周期エネルギー貯蔵の調達へ乗り出した。

 今月(10月)カリフォルニア州の8つの米国コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(CCA)が共同で出力500MWもの長周期エネルギー貯蔵の提案依頼書(RFP)の公募を出した(図1)。

図1●8つのCCA共同での長周期エネルギー貯蔵のRFP(出所:Silicon Valley Clean Energy)


ちなみに、CCAは日本の地域新電力に似ていて、市や郡などの地方自治体が設立し、自ら発電所を開発、または発電事業者から電力調達し、 既存の大手電力会社が所有する送配電網を利用し需要家に電力を供給する 電気小売り事業を展開している。カリフォルニア州では、電力小売りが全面自由化しておらず、3つの大手電力会社が電力の送配電と供給を地域独占しているが、2002年に成立し法律で、地方自治体がCCAを設立することにより、地域の需要家に電力供給先の選べるようになった。特にCCAは、既存の大手電力会社との差別化として、再エネの比率がより高いプランを提供し、その再エネも「地産地消」型で調達している。...Read More Here

September 26, 2017

米電力会社が系統・需要側の双方で「蓄電池導入プラン」 蓄電池市場は327MWから2020年に2.5GWに急拡大へ

Published at Nikkei Technology Online ---

2017年に207MWの蓄電池を接続

 電力需給のバランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など多彩な機能・利点をもつ「電力貯蔵システム」の導入が、米国で拡大し始めている。発電所や変電所に併設される大規模蓄電池だけでなく、家庭や事業所、工場など需要家側の中小規模の蓄電池システムの導入も増え始めている。
 「まだ小規模ですが、蓄電池市場の成長は加速しています」――。電力会社で構成される米スマート・エレクトリック・パワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は、9月中旬に開催された北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」で、こう語った。実際、SEPAによると、昨年出力207MW(容量257MWh)の蓄電池が電力系統に接続された。
 SEPAは電力会社を対象に実施したアンケートをもとに、「2017年電力会社電力貯蔵市場概念」というレポートをSPI開催に先駆けて発表した。全米の115電力会社がこの調査に参加した。ちなみに、米国には約1億3000万の需要家(顧客口座)がおり、民営・公営など3000以上の電気事業者が電気を供給している。アンケートに参加した電力会社の契約顧客数は、7500万以上に達し、全米の電力需要家の58%を占める。
 この調査結果によると、2016年末時点で累計622MW(661MWh)の蓄電池が設置されている。つまり、2016年だけで累積容量の39%が導入されたことになる。ここにきて、いかに急速に蓄電池が普及し始めたかが分かる(図1)。
図1●州別累積電力貯蔵システム導入容量(MWh)
(出所:SEPA)

カリフォルニア州が半分以上を占める

 2016年の蓄電池導入データを州別に見てみると、太陽光発電と同様に、カリフォルニア州が120.5 MW(176.6 MWh)と、群を抜くナンバーワンで、出力で58%、容量で69%を占めた。2位はインディアナ州の22 MW( 20.8 MWh)、2位はオハイオ州の16.1 MW(16.2 MWh)となっている。
 カリフォルニア州では蓄電池に対する政府の推進策と助成制度が充実している。同州は、2010年に州の民間電力会社3社に対し、2020年までに1.3GWの電力貯蔵システムを導入することを義務付けた。1.3GWのうち50%は電力会社所有となっている。...Read More Here

September 4, 2017

2020年には「メガソーラー+蓄電池」がお得に!? 米NREL、太陽光普及後の経済性を単独設置と比較

Published at Nikkei Technology Online --- 浸透率6%では「太陽光単独」が有利だが…

 米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)は、2020年には「大規模太陽光発電(メガソーラー)+大規模蓄電池」システムがメガソーラー単独のシステムより経済メリットが高まる、とするレポートを発表した。

 蓄電池システムのコストは下がってきてはいるものの、依然高いレベルにある。発電事業用の「メガソーラー+大規模蓄電池」とメガソーラー単独のシステムについて、発電所の設計、建設から運営、廃止までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)で比べた場合、「メガソーラー+大規模蓄電池」の方が常に高くなる。

 これに対し、今回のNRELのレポートは、コストだけではなく、蓄電池が加わったことにより創出される価値を考慮し、便益(B=ベネフィット)と費用(C=コスト)の比率(B/C)で見る費用便益分析が行われた。具体的には、蓄電池設置による年間エネルギー収入と容量の価値(便益)を年間資本と運営コストで割ったものを比べた。

 現在の太陽光の浸透率は6%だが、このケースではメガソーラー単独のシステムの方が、「メガソーラー+大規模蓄電池」のシステムより費用便益分析で優れるが、太陽光の浸透率が上がると分析結果が大きく変わる結果となった。

2020年におけるメガソーラー単独と
「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。
Credit: NREL

メガソーラーと蓄電池の接続形態に4タイプ

 同費用便益分析では、太陽光パネルの設置容量65MW-DCのメガソーラーをモデルとして使い、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力は50MW-AC、蓄電池の出力は30MW-AC、容量は120MWh-ACである。

 さらに、蓄電池とメガソーラーの接続タイプ、太陽光の浸透率ごとに結果がどのように変わるかを検討している。

 接続(リンク)のタイプは、「独立」、「交流(AC)リンク」、「直流(DC)リンク・双方向」、「直流(DC)リンク・一方向」の4タイプに分けられる。

 「独立」タイプは、メガソーラーと蓄電池システムを物理的に同じ場所に設置しておらず、制御機能なども共有されていないケースである。蓄電池はメガソーラーとは独立して稼働し、ピーク容量、ピークシフト、アンシラリーサービスなど系統網全体の安定化に対応する。さらに、1つの電源に接続していないことから、系統網上のどの電源からでも充電できる...Read More Here