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April 19, 2021

風力と太陽光で2035年に「1100 GW」、電力部門の脱炭素に現実味 米カーボンニュートラル戦略、変動性再エネと蓄電池を大量導入

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business


CO2排出量は予測値から半減

 温暖化ガス削減を目指し「カーボンフリー」「カーボンニュートラル」という言葉が、企業、市町村などの地方自治体、州、そして連邦政府で頻繁に使われるようになった。実際、バイデン新米国大統領も、「2035年までに100%カーボンフリー・エネルギー」という野心的な目標を設定し、気候変動対策に乗り出している。

 そんな中、今月米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、「ゼロまで道半ば:エネルギー(電力)部門のカーボンフリーへの進展」と題するレポートを発表した。

 タイトルから、「米国はカーボンフリーまでもう半分達成したのか?」と疑問に思い、同レポートの筆者でLBNLのシニア・サイエンティストを務めるライアン・ワイザー氏に質問してみると、「『ゼロまで道半ば』とは、2020年の(電力部門における)実際の温暖化ガス排出量が、以前に予測された2020年の排出量より52%少なかったことを意味する」との回答だった。

 ちなみにこの場合の予測値は、平常状態が惰性的に続く「なりゆき(Business As Usual=BAU)シナリオ」を採用している。

 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が発表した「2005年(米国)年次エネルギー見通し」では、2020年の電力供給からの年間CO2排出量は、BAUシナリオで3008 MMT(百万メトリックトン)になると予測されていた。しかし、実際、2020年の電力部門からのCO2排出量は1450 MMTに留まり、ワイザー氏が言ったように、予測より52%、つまり半分に減った(図1)。...Read More Here

図1●電力部門での「BAUシナリオ」によるCO2排出量予測(グレー色面)と実際のCO2排出量(薄緑色面)
(出所:LBNL)


April 5, 2021

「原発」跡地に690MWのメガソーラー建設へ、蓄電池を併設 2050年までに太陽光は原子力を上回り主要電源に

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

 米アイオワ州にある、同州で唯一だった原子力発電所の跡地に出力690MWものメガソーラー(大規模太陽光発電所)開発プロジェクトが着々と進んでいる。

 米国中西部は「コーンベルト」と呼ばれ、トウモロコシが主要作物として盛んに生産されている。米西部に位置するアイオワ州は、その中心地であり、米国の燃料エタノール生産能力の4分の1を占める米国の主要なバイオエタノール生産地でもある。

 トウモロコシ由来のバイオエタノール、バイオディーゼルだけでなく、発電分野でも再生可能エネルギーの導入量が多い。実は、アイオワ州は、これまで米国でメガソーラーなどの大規模再エネ発電所の普及を牽引してきた「再生可能エネルギー・ポートフォリオ・基準(RPS)」制度の法案を全米で最初に成立させた州である。1983年のことだ。

 米エネルギー省・エネルギー情報局(EIA)によると、2019年のアイオワ州における総発電量のうち、5分の2以上は再エネで、そのほとんどが風力発電である。事実、同州はテキサス州とオクラホマ州に次ぐ米国で第3位の風力発電導入量を誇る(図1)。

図1●アイオワ州は米国の州別風力発電導入量で3番目
(出所:Iowa Farm Bureau)

太陽光では出遅れ

 しかし、太陽光発電の導入量では、大きく遅れている。米太陽光エネルギー協会(SEIA)によると、同州における2020年までの太陽光発電の累積導入量は、わずか287.8MWに過ぎない。米国における州別導入量での順位は35位に留まる。だが、2023年には太陽光の順位も飛躍するかもしれない。

 太陽光の躍進を予感させる話題の1つに、米ネクステラ・エナジーが、アイオワ州パロ郡の「デュアンアーノルド原子力発電所」跡地にメガソーラーを建設すると発表したことがある(図2)。...Read More Here

October 14, 2020

2019年版・米企業の太陽光発電導入ランキング 3位はウォルマート…、では、1位と2位は?

 Published at Nikkei Mega Solar Business

企業の導入量は10年で15倍

 米国の大統領選挙まで、すでに1カ月を切った(投票日11月3日)。大統領選のテレビ討論会では環境問題に関する「グリーンディール」、「フラッキング」、そして「パリ協定」などが討論されている。

 ちなみに「グリーンディール」とは、気候変動対策をコロナ禍からの経済復興と位置付ける考え方、「フラッキング」とは、シェールオイルやシェールガスを水圧破砕による坑井掘削で生産する手法で、米国内で石油・天然ガス生産を飛躍的に伸ばした一方で、有害な化学薬剤を使うため地下水脈の汚染など環境問題が指摘されている。

 フラッキングの禁止か規制緩和か、パリ協定に復帰するのか否かなど、米国の環境政策が次の大統領で大きく変わると予想されている。

 2016年に発足した米トランプ政権が、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると発表した時、米国の再生可能エネルギー市場が大きく後退すると予測されたが、そんな懸念とは裏腹に、米国内では、企業による独自の気候変動対策に取り組む動きが加速した。

 つまり、米企業は、連邦政府の法令・規制、方針に頼らず、または、義務付け無しで、自主的にクリーンエネルギー への転換に向け舵をきっているのである。

 実際、米国太陽エネルギー産業協会 (SEIA)によると、現在米国企業によって設置された太陽光発電容量は、10年前の2009年と比べると15倍にもなるという。2009年には、当時州政府による助成制度が確立していたカリフォルニア 州と東海岸のニュージャージー州に太陽光発電の導入は偏っていたが、その後、太陽光発電のコスト低下に伴い州政府の助成制度がほとんどなくなったにもかかわらず、企業による太陽光の導入は他の州でも拡大した(図1)。... Read More Here

図1●米国内における企業による太陽光発電導入量推移(上:2009年、下:2019年)(円の大きさは導入容量に比例), Credit SEIA

June 22, 2020

米アマゾン、615MWのメガソーラーを新規開発 パリ協定を10年早く達成へ、州の気候政策にも影響

Nikkei Technology Mega Solar Business:

2040年に「ネットゼロ」誓約

 先月、米インターネット通販大手のアマゾン(Amazon)は、同社の「気候変動対策に関する誓約」の取り組みの一環として、世界で新たに5基の大規模太陽光発電(メガソーラー)プロジェクトに着手すると発表した。
 中国に1基、オーストラリアに1基、そして米国に3基で、合計出力は615MW、年間約120万MWhの電力を供給することになっている。
 アマゾンは、昨年9月に「クライメート・プレッジ」と呼ばれる気候変動対策に関する誓約を立てた。それは、同社の世界における全ての事業を、パリ協定の目標期限より10年早い、2040年までに 「ネット・ゼロ・カーボン (温室効果ガスの排出量を正味ゼロ)」を達成する取り組みである。
 さらに、同社は、風力と太陽光発電に投資し、2024年までに同社の全事業で消費するエネルギーの80%を再エネで賄う、さらに2030年までに100%賄うという目標もある。
 メガソーラー以外にも、現時点で、50以上の同社のフルフィルメントセンター(物流施設)には屋根置き太陽光発電が設置されており、施設の電力消費の約80%を賄っている。 
 2019年12月時点で、総出力は110MWを超え、米国内における屋根置き太陽光発電システムの数は37、ヨーロッパでは12、インドでは8となっている。ちなみに、同社は2018年米太陽エネルギー産業協会(SEIA)によって、米企業で最も分散型太陽光発電を導入した企業ナンバー1に挙げられた(図1)。
図1●アマゾン・フルフィルメントセンターに導入された屋根置き太陽光発電
(出所:Amazon

 今回の発表によると、アマゾンは具体的に米国において、オハイオ州に200MWと80MWの2基と、バージニア州に130 MWの1基のメガソーラーを計画している。
 オハイオ州では、2基のメガソーラー が計画されている。オハイオ州南部に建設予定の「ネッスルウッド・ソーラー・ファーム」と呼ばれる80MWのサイトは、昨年同州の公営委員会から許可が出ており、「ヒルクレスト・ソーラー・ファーム」と呼ばれる200MWのサイトは既に建設が始まっているという。

第2本社は「再エネ100%」に

 一方、バージニア州で計画しているメガソーラーは、同社で12基目になるが、詳細はまだ発表されていない。ただ、同社とバージニア州は以前から親密な関係にあり、今回のプロジェクトもこうした流れが背景にある。
 アマゾンは2019年、バージニア州アーリントンを同社の第2本社「HQ2」を置く地に決めた。第1の本社は西海岸北部ワシントン州シアトルに構える。「HQ2」では2万5000人の雇用を創出する予定で、さらに事業に必要なエネルギーを100%再エネで賄うとしている。Read More Here

March 31, 2020

米太陽光業界も新型コロナ対策、テスラは「人工呼吸器」生産へ ファーストソーラーはパネル生産を継続、業界団体がガイダンス



Published at Nikkei Technology "Mega Solar Business"

ファーストソーラーは「影響なし」

 米国では大都市の自治体や州政府により、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐための準備や対策が急ピッチで進んでいる。一般市民、そして企業への積極的な対策、そして対策への参加を求めている。
 3月26日、化合物型太陽光パネルのトップメーカーである米ファーストソーラー(First Solar)が、新型コロナウイルスによるパネル生産への影響について発表した。
 米アリゾナ州に本社を構える同社は、テルル化カドミウム(CdTe)を使った化合物半導体を使った薄膜パネルを開発・製造しており、米オハイオ州ウッド郡、マレーシアのクリム、そしてベトナムホーチミン市で工場を運営している。
 米国ではワシントン州が非常事態宣言を発令したのを皮切りに、市、そして州規模で「外出自粛」「外出禁止」令が発令された。外出禁止令の中、「エッセンシャル・ビジネス」と呼ばれる医療機関、食料品販売などの社会生活を維持する事業や商業に関しては、従来通りビジネスを継続できるが、その他の商業・事業は一時的に店舗・工場を閉鎖するか、オフィスの場合従業員はオンラインによる在宅勤務が求められている。
 同社はオハイオ州のペリスバーグとレイク・タウンシップで工場を持っていて、そのオハイオ州でも、「外出自粛」が発令された。しかし、同社によると、現時点で、ファーストソーラーのオハイオ州の工場は、生産の継続が認められたとしている。ちなみに、ファーストソーラーは、現在、西半球で最大の太陽光パネルの生産規模を有している(図1)。
図1●米ファーストソーラーのオハイオ州にあるパネル工場, Credit First Solar

 オハイオ州と同じように、同社のマレーシア、ベトナムの工場も生産を継続している。
 同社は、2019年第4四半期の投資家向け財務報告の中で、マーク・ウイッドマCEO(最高経営責任者)は、「私たちは、原材料を提供する中国のパートナーを含め、地理的に多様なサプライチェーンを持っているが、現在まで、コロナウイルスの感染拡大による影響をしっかり管理しており、当社の事業に重大な影響はない」と、語った。

テスラは人工呼吸器の生産へ移行

 ニューヨーク州に生産工場を持つ米テスラ(Tesla)は、3月25日に同社の太陽電池セル(発電素子)とパネルの工場を一時的に閉鎖することを発表した。ニューヨークではコロナウイルスの感染者が急増し、人工呼吸器が不足するなどの深刻な事態が起こっている。
 そこで、同社CEOのイーロン・マスク氏は、同社の「テスラ・ギガファクトリー2」と呼ばれるニューヨーク州バッファローの工場で、「人的リソースの可能な限り、早急に人工呼吸器の工場として、生産を再開すると公表した。「ニューヨークの市民を助けるために、持てる力であらゆることに取り組む」とツイッターを通して発表した。...Read More Here

October 22, 2019

米で普及期待の両面受光型、「関税免除」撤回の影響は? 米国内太陽電池メーカー、発電事業用で優位も

Published at Nikkei Technology:

 一度は関税を免れた「両面受光型太陽電池」が、また関税対象に戻ってしまった。
 2010年以降、米国では、中国などからの安価な太陽電池製品の大量流入により、国内で生産していた太陽電池メーカーは収益性が悪化し、次々と事業から撤退、または破綻に追い込まれた。国内製造業を保護するため、トランプ政権は昨年1月、結晶シリコン太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して4年間にわたり関税を課すことを決定した。
 まず、1年目の2018年にCSPVのセル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)の輸入価格に30%が課され、2年目の今年は5ポイント減の25%となっている。
 米通商代表部(USTR)に対しては、関税措置の開始当初から多くのメーカーから関税控除要求が寄せられた。まず、昨年9月に米メーカーであるサンパワーのバックコンタクト(IBC)方式の結晶シリコン太陽電池セル・モジュールは、「多数の米国メーカーを破綻に追いやった安価で、コモディティ化した輸入品とは違う」とされ、関税免除になった。
 そして、今年6月に両面受光(両面発電)型太陽電池も関税免除のリストに加えられた。この除外には米太陽光エネルギー協会(SEIA) の後押しがあった。SEIAは、その背景として、「米国へ輸出される両面受光型太陽電池の生産量が非常に限られており、製品が米国で生産されたCSPV製品と直接競合せず、除外が保護措置の目的を損なうことはない」との除外理由を公表していた(図1)。...Read More Here
図1●両面受光型太陽電池の設置例
(出所:SilFab Solar)

October 6, 2019

米の電源構成、「2030年まで太陽光2割」を目標に! 累積導入容量は500GW超!

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 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2019」(2019年9月23~26日)がユタ州ソルトレイク市で開催された。このトレードショーは、北米最大のエネルギー関連イベントで、スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)による共催となる。
 このイベントは、2004年から続いており、ユタ州での開催は、今回が初めて。今年は700を超える出展者と国内外から1万9千人以上が来場した。
 今回のSPIでは、SEIAが2030年に向けたエネルギー転換を目指す「ソーラープラス10年間」というロードマップを発表した。このロードマップは、太陽光発電が米国の総発電量に占める割合を現在の2.4%から2030年までに20%に引き上げようという戦略的ビジョンである(図1)。
図1●ユタ州ソルトレイク市で開催されたSPIで2030年のビジョンを発表するSEIAのCEO
(出所:SEIA)

 2010年代、米太陽光発電産業は年間平均50%で成長を遂げ、累積導入容量は69GWを超えた。現在同産業は 年間170億ドルの収益を生み出し、24万2000人が従事している。
 SEIAによると、「2030年までに20%」の目標が達成されると、太陽光を巡り、2030年までに以下のような設備状況になっていると予想している。
 それは、(1)累積500GW以上の太陽光発電が導入(これは、2030年の年間導入量の77GWを含む)、(2)今後10年間で3450億ドルが太陽光発電の開発・導入に投資、(3)太陽光発電の新規導入量が、今後10年間に年間約18%で成長、(4)太陽光発電設備が1400万以上の屋上に設置、そして(5)太陽光発電が150基の石炭火力を置き換えるのに十分な電力を供給するーーといったクリーンな成長をもたらすという(図2)。
図2●「2030年までに20%」を達成するための年間太陽光発電導入(MW)推移(青色:住宅用、黄色:商業用、水色:発電事業用)
(出所:SEIA)

 しかし、この野心的なビジョンを実現するためには、いくつかの課題を解決していかなくてはならないという。そこでSEIAは、(1)コラボレーション、(2)市場加速要因(アクセラレーター)、(3)市場手段と政策牽引、そして(4)成長の管理――という4つの柱をビジョン達成の必要条件に加えた。...Read More Here

August 8, 2019

「太陽光の次は蓄電池」、州政府が相次いで普及政策を導入 電力会社への「調達義務付け」や「補助金プログラム」など

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 2年前、米国カリフォルニア州太陽エネルギー産業協会の政策アドバイザーが 、「2017年のエネルギー貯蔵市場は、太陽光発電市場が2007年にいた位置にいる」と言っていた。つまり、エネルギー貯蔵市場は、太陽光発電の10年後を追っていると評価されている。
 太陽光発電市場の成長過程を振り返ると、1990年代の終わりから2000年代の初めは「コストが高い」とされ、補助金など州政府による政策的な後押し無しでは、市場は拡大できなかった。しかし、コスト削減が加速されると、市場も飛躍的に拡大し、公的な支援からも徐々に「卒業」できるようになった。
 エネルギー貯蔵は今米国では成長初期の段階で、太陽光発電のようにさらなる成長には政府のサポートが必要なのである(図1)。
図1●カリフォルニア州の年間エネルギー貯蔵導入量(MW)
(青色:年間、黄色:累積、出所:CALSEIA)

 今年7月末、エネルギー貯蔵テクノロジー・アドバンスメント・パートナシップ(ESTAP)が、「エネルギー貯蔵の州政策ベストプラクティス(効率的な実践方法)」と題したセミナーを開催した。ESTAPとは、エネルギー貯蔵技術の普及を米国で加速させることを目的とした情報共有プロジェクトで、米エネルギー省(DOE) から資金を提供され、サンディア国立研究所によって管理されている。
 以下の地図は、2019年第1四半期時点における州別のエネルギー貯蔵に関する推進策の段階が示されている(図2)。グレー以外の州は、すでに何らかの推進策が考慮または、実施されている。特に、緑色の州は「リーダー」的に存在で、3つ以上のエネルギー貯蔵の推進策が成立している。米国ではエネルギー貯蔵の導入政策が至る所で始まっているのがわかる。...Read More Here

June 7, 2019

米太陽光市場、2030年までに「累積500GW」、SEIAが目標 国内総発電量で20%を占め、新たな基幹電源に

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電力の太陽光比率は2.3%に

 米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)は、再生可能エネルギーが米国の総発電量に占める比率が2008年からの10年間で2倍に増えたと発表した。
 この急拡大は、風力と太陽光発電が大きく貢献していて、EIAのデータによると、太陽光の発電量は、2008年の200万MWhから2018年には9600万MWhに急増し、国内総発電量の2.3%を占めるまでに成長したという(図1)。
図1●米国における太陽光発電量の推移
(出所:U.S. Energy Information Administration)
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累積導入件数が200万件突破!

 さらに、先月、米国太陽光産業協会 (SEIA)は、 米国における太陽光発電設備の累計導入数が200万を超えたと発表し、米太陽光発電市場における「大きな節目」と位置づけている。
 これは、SEIAと、クリーンエネルギーに関する調査・コンサルティング会社であるウッドマッケンジー・パワー&リニューアブルの共同で制作されたデータによるもので、この200万件には住宅用太陽光発電システムだけではなく、商業・産業用、さらに数百MW規模の発電事業用太陽光発電所も含まれている。ちなみに200万件の太陽光発電設備の総出力容量は70GWを超え、これは、1200万軒に及ぶ米一般家庭の年間電力消費量に匹敵する(図2)。
図2●米太陽光発電設備導入数推移(四半期別・青、累積・赤)
(出所:Solar Energy Industries Association and Wood Mackenzie Power & Renewables)
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 SEIAによると、「最初の100万件」を達成するのに40年もかかったが、200万件に達する「次の100万件」は3年足らずで達成された。
 SEIAで最高経営責任者(CEO)兼社長を務めるアビゲイル・ホッパー氏は、「現在170億ドル規模のこの(太陽光発電)産業は、5年後にさらに2倍に成長すると予想されている。2020年代は、太陽光が新たな基幹電源に飛躍する10年間になると信じている」と語った。
 ウッドマッケンジー・パワー&リニューアブルは、米国における累積太陽光発電設備導入数は2021年には300万件、そして2023年には400万件を超え、今後も導入数が加速すると予想している。さらに、同社のアナリストによると、2010年には10分間毎に平均1件の太陽光発電システムが設置されていたものの、2024年までには、1分間に平均1システムの設置ペースとなると予想されている...Read More Here

December 11, 2018

米加州で新築住宅への「太陽光の義務付け」、正式に決定 全米の波及した場合、累積導入量は200GW超に!

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「義務化」で太陽光の新築市場は5倍に

 米国カリフォルニア州で「新築住宅への太陽光発電設置の義務付け」が正式に実施されることになった。
 今年5月にカリフォルニア・エネルギー委員会(CEC)は、2020年1月より新築住宅に太陽光発電の設置を義務化する規制を承認していた。だが、この「新しい規制」を実現するためには、カリフォルニア州建築基準委員会(CBSC)から最終承認を受ける必要があった。
 そして、今月5日にCBSC全委員の同意で「義務付け」を承認した。これにより、同州は晴れて、全米で初めて州政府による新築住宅への太陽光発電設置を義務化した州になる。
 カリフォルニア州の公表データによると、現在同州では年間に約15万軒の新築・既築住宅に太陽光が設置されており、そのうち新築住宅は約10%の1万5000軒に過ぎない。 同州では年間に平均8万軒の新築住宅が建てられている。「義務化」により 2020年以降、全新築住宅に太陽光が設置されると仮定すると、新築向け市場は、実に約5倍に急拡大する。
 米太陽エネルギー産業協会(SEIA)は、カリフォルニア州の「義務付け」により、2020~23年の間に年間平均200MW 、累計800MWの太陽光の設置が後押しされると推計している。
 一方で、 米国の環境保護に関する政策の分析・研究を行う非営利団体・エンバイロメント・アメリカは、この推計でさえ「控えめ」とし、実際にはこの「新しい規制」により、2045年までにカリフォルニア州で5GW以上の 太陽光が新築住宅に導入されると予測している。

全米に波及すれば「エネルギー革命」に

 同団体は、カリフォルニア州と同じような政策が、全米の町、都市、州などで採用されれば、その効果は革命的なものになり、米国のクリーンエネルギーへの転換を加速させるとしている。仮に2020~26年の間に米国内に建てられる新築住宅の全てに太陽光発電を導入すると、現在設置済みの太陽光の累積導入量を上回る規模に匹敵し、2045年までには新築住宅への太陽光設置容量は全米の累積導入量の3〜5倍の203GWに達すると予測している(図1)。
図1●「新築住宅への太陽光義務化」で増える米国累積太陽光導入量(注:青線が新築住宅の設置容量、赤点線が現在の米国累積太陽光導入量)
(出所:The Environment America)
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 米国は現在、1100万世帯の電力供給量に匹敵する太陽光発電を備えており、その設置量は、ほんの数年前と比べて劇的に増加している。住宅の屋根上太陽光は、もはや一般的になってきたものの、それでも米国では毎年数十万の住宅が太陽光なしで建設されている。
 化石燃料が燃やされる電力事業の発電部門は、米国の温室効果ガス排出量全体の約28%を占め、 2番目に大きな排出源である。エンバイロメント・アメリカは、太陽光発電はクリーンエネルギー転換への重要な役割を担っているとし、石炭・石油の火力発電からソーラーエネルギーへの転換は温室効果ガスの排出量を削減するだけではなく、人間の健康に害を与える化学物質、粒子状物質などによる大気汚染を減らして公衆衛生を改善するという。さらに、屋根上の住宅太陽光はホームーオーナーにとって家計の節約にも貢献するとしている。...Read More Here

October 5, 2018

どうなる米太陽光市場!? 拡大・横ばい・縮小の3つの異なる予測 推進策の動向を巡り、2025年の市場規模で17倍の開き

Published at Nikkei Technology --- 米国では累積で58GWの太陽光が稼働

 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2018」(2018年9月24~27日)がカリフォルニア州アナハイムで開催された。

 このイベントは、スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)が2014年から共催で始めたもので、今年は国内外から2万人以上が参加した。

 SEIAのデータによると米国では既に累積で58GW以上の太陽光発電が導入・稼働している。政府の太陽光発電に対する普及政策の拡大と太陽電池のコスト削減で、米国内市場は大きく拡大した。だが、今後はどうなるのだろうか?

2025年の市場規模、34G~2.2GWまで割れる

 「太陽光発電とエネルギー貯蔵市場の展望」という講演で、3社の主要コンサルティング会社に在籍する専門家がそれぞれの見解を示したうえ、討議した。

 驚くことに、米太陽光市場に関する予測は3人それぞれに大きく異なることだ。これまでは、拡大または減少など、市場の方向性は一致していて、どれくらい拡大するか、減少するかと言ったサイズに関しコンサルティング会社間で違いが生じていた。しかし、今回は、3社とも方向性までも大きく異なっていた。

図)米国の太陽光発電市場予測に関するコンサルティング3社の比較
(出所:SEPAがBNEF, Navigant, HIS Markitのデータを基に作成)


 まず、米ナビガント・コンサルティングはとても強気な予測を打ち出した。同社では2018年の新設太陽光の市場規模を13GWと予測し、2025年には同規模が34GWにまで拡大すると見込んでいる。同社で、マネジング・コンサルタントを務めるアンドレア・ロマノ氏は、この楽観的な予測の背景には、商業・工業用市場、自家消費、コミュニティ・ソーラーなどの拡大を含めた。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)でエネルギー・ストレージ・アナリストを務めるローガン・ゴルディースコット氏は講演で、「(米国太陽光発電市場は)停滞期に入り、現状維持で推移する」と語った。実際、同社の2018年の予測は12GWで、2025年の市場規模は10GWと若干縮小している。

 HISマーケットの予測はさらに見通しが暗く、2018年の予測は8.5GWで、2025年の市場規模は何と2.2GWと大きく縮小している。この規模はナビガント・コンサルティングによる予測の17分の1に過ぎず、2011年レベルまで落ち込んでいることになる。。。。Read More Here


December 24, 2017

トランプ大統領に「最後の要請」、米SEIAが太陽電池・関税問題で 太陽光発電産業の「アメリカ・ファースト」計画を発表

Published at Nikkei Technology Online ---

米太陽光団体が貿易措置に反対

 米国太陽エネルギー産業協会 (SEIA) は2017年12月4日、 「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」をトランプ大統領に提出した。2万6000人以上の雇用を創出している米国太陽光発電産業を守るため、大統領に輸入太陽電池セル(発電素子)、太陽光パネル(モジュール)に対して貿易措置を取らないように要請した。
 行動や発言が予想不可能といわれるトランプ大統領に対して、SEIAは「最後の要請」を提出した格好だ(図1
図1●「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」
出所:SEIA
 SEIAがこうした要請をするに至った発端は、2017年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC) に輸入結晶シリコン型太陽電池セルに新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したことだ。
 後に、同じく米国内で結晶シリコン型太陽電池を生産しているドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社もサニバ社の提訴に加わった。

パネルの価格が2倍に?

 これに対し、SEIA を筆頭に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパー、架台メーカーなどが、輸入セルに関税が課されたら、太陽光パネルの値段が上がり、国内市場と雇用が大きく縮小してしまうと懸念し、大々的な関税反対キャンペーンを繰り広げた。
 しかし、2017年9月に、米ITCは、 国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定して、米国の製造業を保護するため措置を取ることを決定した。その後ITCは関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売などを含む3つの救済措置提案を発表した。
 保守系シンクタンクである米ヘリテージ財団は、提案されている関税は太陽光パネルの価格を約2倍にし、サニバ社、ソーラーワールド社を含む少数の太陽光パネルメーカーに短期間の保護を与えるが、市場から低価格のオプションを奪うことで、米国太陽光発電産業と顧客は大きなダメージを受けるだろう、とコメントしている。...Read More Here

November 6, 2017

続続報・米輸入パネル問題、大統領に提出される3案が公表 関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売など盛り込まれる

Published at Nikkei Technology Online ---  今年9月、米国国際貿易委員会(米ITC) は、大量に輸入された結晶シリコン型太陽電池 (CSPV) 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定した。

4人の委員から3案公表

 米ITCはその後、原告の米サニバ社、ソーラーワールド・アメリカ社、そして貿易措置反対を代表する米国太陽エネルキ?ー産業協会(SEIA)などからの救援策の提案をもとに、独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 米ITC の4人の委員から出された3つの提案はトランプ大統領に提出される。3案は、セル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)に対する「関税」、「輸入割当制」、「輸入数量制限」、「輸入ライセンスの公売」、さらに「措置対象外の国」などが含まれている。ちなみに、日本は救済措置の対象外に入っていない。

シュミズレイン委員長の提案

 シュミズレイン委員長の提案は、「CSPVセルへの関税と割当枠」「CSPVモジュールへの関税」「貿易措置対象外の国」からなる。
 「CSPVセルへの関税と割当枠」では、CSPVセル総輸入量の0.5GW未満は、輸入価格に10%の関税率を課し、0.5GWの割当枠を超えた場合30%の関税率を課す、というもの。ちなみにこの提案は4年間に渡る措置で、割当量は年々増加し、逆に関税率は年々減少するようになっている。
 「CSPVモジュールへの関税」では、輸入価格の35%の関税率で、4年間に渡り税率は年々減少する、という内容だ(図2)。
図2●シュミズレイン委員長の「CSPVモジュールへの関税」に関する提案
(出所:ITCの公表資料をもとに筆者作成)
米SPV Market Researchの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏の解釈では、輸入総量が500MW未満の場合、セルが米国にW当たり22セントで輸入されると、関税の税率10%で税額2.2セントとなり、最終価格は24.2セントになる。モジュールの場合、仮に輸入価格がW当たり60セントだと、関税税率35%で税額21セントとなり、最終価格は81セントになる。関税のモジュールに対するインパクトは大変に大きい。...Read More Here

September 26, 2017

米電力会社が系統・需要側の双方で「蓄電池導入プラン」 蓄電池市場は327MWから2020年に2.5GWに急拡大へ

Published at Nikkei Technology Online ---

2017年に207MWの蓄電池を接続

 電力需給のバランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など多彩な機能・利点をもつ「電力貯蔵システム」の導入が、米国で拡大し始めている。発電所や変電所に併設される大規模蓄電池だけでなく、家庭や事業所、工場など需要家側の中小規模の蓄電池システムの導入も増え始めている。
 「まだ小規模ですが、蓄電池市場の成長は加速しています」――。電力会社で構成される米スマート・エレクトリック・パワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は、9月中旬に開催された北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」で、こう語った。実際、SEPAによると、昨年出力207MW(容量257MWh)の蓄電池が電力系統に接続された。
 SEPAは電力会社を対象に実施したアンケートをもとに、「2017年電力会社電力貯蔵市場概念」というレポートをSPI開催に先駆けて発表した。全米の115電力会社がこの調査に参加した。ちなみに、米国には約1億3000万の需要家(顧客口座)がおり、民営・公営など3000以上の電気事業者が電気を供給している。アンケートに参加した電力会社の契約顧客数は、7500万以上に達し、全米の電力需要家の58%を占める。
 この調査結果によると、2016年末時点で累計622MW(661MWh)の蓄電池が設置されている。つまり、2016年だけで累積容量の39%が導入されたことになる。ここにきて、いかに急速に蓄電池が普及し始めたかが分かる(図1)。
図1●州別累積電力貯蔵システム導入容量(MWh)
(出所:SEPA)

カリフォルニア州が半分以上を占める

 2016年の蓄電池導入データを州別に見てみると、太陽光発電と同様に、カリフォルニア州が120.5 MW(176.6 MWh)と、群を抜くナンバーワンで、出力で58%、容量で69%を占めた。2位はインディアナ州の22 MW( 20.8 MWh)、2位はオハイオ州の16.1 MW(16.2 MWh)となっている。
 カリフォルニア州では蓄電池に対する政府の推進策と助成制度が充実している。同州は、2010年に州の民間電力会社3社に対し、2020年までに1.3GWの電力貯蔵システムを導入することを義務付けた。1.3GWのうち50%は電力会社所有となっている。...Read More Here

September 20, 2017

米展示会レポート、 太陽光市場の成長は蓄電池が担う! EV普及で定置型蓄電池の低コスト化が加速との見方

Published at Nikkei Technology Online -- 北米最大の太陽光関連展示会に2万人来場

 北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」(2017年9月10~13日)がネバダ州ラスベガスで開催された。今年も昨年と同様、北米最大のエネルギー貯蔵関係の国際展示会「エネルギー・ストレージ・インターナショナル(Energy Storage International = ESI)との併催となった。今年で14年目を迎えるSPIは 2万人を超える参加者を動員し、大きな賑わいを見せた。

 ちなみに、今回の会場となったマンダレイベイ・ホテル&カジノのコンベンションセンターの屋根には出力6.4MWの太陽光発電システムが設置されている。2年前に稼働したこの発電システムは、ホテルそしてカジノのピーク需要の20%を賄っているという。

太陽光と蓄電池の統合がトピックに

 さて、今回のSPIでの大きなトピックの1つは「太陽光発電の大量導入による蓄電池の統合」であった。これまでのSPIでは、太陽光発電の導入を拡大するため、コスト削減や政府の普及政策などのトピックが多くを占めた。

 従来、太陽光発電はRPS法(再生可能エネルギー導入義務制度)など、公的な政策主導で導入が拡大してきた。しかし、低価格化が急速に進み、発電コストが従来の電源に匹敵、または勝るようになってきた。そのため、政策・規制による促進だけでなく、「経済的に」メリットが生じ、企業や電力会社による電力事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発が加速した。実際、2016年に電力事業用セグメントの設置容量は10GWを超えた。

 カリフォルニア州やハワイ州では太陽光発電の大量導入に伴い、日中に需要を上回る太陽光発電の余剰供給が発生し、系統の安定的な運用を脅かすと同時に、今後のさらなる太陽光の導入拡大の壁となっている。

 SPIでは、太陽光発電が昼間に生み出す「過剰」電力量に対応するため 、さまざま手法が議論された。例えば、自産自消モデルを促進するネットメータリング制度の改定、時間帯別電気料金プランの導入、デマンドチャージの導入、マイクログリッド、電力会社による分散型電源の統括計画など蓄電池を併用する政策、そして、新たなビジネルモデルなどを通じた「次世代のグリッド」などがテーマとなった(図2)。
図2●電力会社などの幹部が集まり、太陽光発電の大量導入に対する
グリッドへの対応が話し合われた
(出所:J. Movellan)
電力会社が蓄電の導入を加速

 太陽光パネルは大量生産によってすでに低価格化したが、蓄電池の市場は一体どうなっているのだろうか? 12日に行われた「ソーラーと蓄電池の交差点」と題する基調講演で、電力会社で構成される米スマートエレクトリックパワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は...Read More Here