Showing posts with label Non-residential. Show all posts
Showing posts with label Non-residential. Show all posts

December 16, 2020

住宅太陽光がさらに大容量化、「蓄電池併設」も増加 データで見る2019年の米国分散型太陽光市場

 Published Nikkei Technology Mega Solar Business


 今月、米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、2019年度(1~12月)における分散型太陽光発電の米国市場に関する統計データ分析を発表した。

 ここでいう「分散型太陽光発電」とは、屋根置き、または地上設置で連系出力5MW以下の、住宅用と非住宅用の太陽光発電を対象としている。非住宅用システムは、大型と小型に分けられており、「小型」は100kW以下、「大型」は100kW以上5MW未満となっていてメガソーラー(大規模太陽光発電所)も含まれている。

 ちなみに、同研究所が収集したデータは、2019年までに設置された190万件を超えるシステムが含まれており、同期間中に全米で実際に設置・導入されたすべての分散型太陽光システムの82%をカバーしている。

住宅用太陽光の規模はかつての3倍

 2019年の住宅用システムの規模を見ると、中間値(データを小さい順に並べた時の中央の値)は6.5kWで、前年比1.25%増であった。10年前の2009年は4.7kW、データ収集が始まった1999年の中央値は2.3kWだったので、21年間で住宅システムの平均的なサイズは、実に約3倍に大容量化していることになる(図1)。

図1●米国セグメント別分散型太陽光発電のシステムサイズの推移(注:折線=中間値、左=住宅用、右=非住宅用)
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)

 非住宅用システムの中間値は、データ収集が始まった2001年は5.7kWに留まっていたが、2009年には16kWまで大きくなってきた。ただ、非住宅用システムの大規模化は、ここにきて頭打ち傾向にあり、2019年の中間値である40kWは前年比13%減で、初の減少を示した。... Read More Here

January 25, 2018

米「太陽電池・関税」決定の波紋、どうなる太陽光設置産業? 1年目は30%、4年目に15%、関税免除の申請は可能か?

Published at Nikkei Technology Online ---

30%は10~15セント/Wに相当

 トランプ政権は1月22日、結晶シリコン型太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して30%の関税を課すことを決定した。 まず、1年目にCSPVのセル(発電素子)とパネル(モジュール)の輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率は年々5%ずつ下げる(表参照)。各年で、輸入セルの最初の2.5GWには関税は課されない。(図1)。
図1●輸入CSPVセルとモジュールへの「セーフガード」関税
(出所:筆者)
 クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティングの米GTMリサーチ社によると、30%の関税は10~15セント/Wに相当する。米ゴールドマンサックス社は、30%関税は発電事業用太陽光発電のコストを3%、住宅用太陽光発電システムのコストを7%、押し上げると試算している。
 22日時点では、米国貿易代表委員によって発表された概況報告書「ファクトシート」には、貿易措置対象外の国などの詳細は発表されていなかったが、23日に情報がアップデートされた。そこには、「貿易措置対象外の国」の項目の下、「対象外から否定」という形で、メキシコ、カナダ、韓国、そして、タイとフィリピンと書かれていた。

サニバ社は50%を要求したが・・・

 今回の措置は、昨年5月米CSPVメーカーであるサニバ社が、輸入太陽電池の急増が国内産業に重大な損害を与えているとし、関税の賦課又は輸入数量を制限する「セーフガード」と呼ばれる輸入制限措置をITC(米国際貿易委員会)に要求したのが発端である。昨年9月、 米ITC は、大量に輸入された CSPV 製品が、米国内の製造業者に「深刻な損害」を与えていると認定し、米ITCはその後、 独自の救済措置提案を10月31日に発表した。
 サニバ社が要請したのは関税50%相当だったが、トランプ政権は米ITCの推薦案の1つである30%を選択したとみられる。
 「ファクトシート」によると、現在、中国は世界の太陽電池セルの60%、モジュールの71%を生産している。2012~2016年にかけて、米国における太陽電池セルの輸入は約500%増加し、価格は急落した。 太陽電池セルやモジュールの価格は60%低下し、米国の生産者のほとんどが国内生産を中止、製造工場を他の国に移転、または破綻手続きの申請などに追い込まれた。
 2012年以降、25社が閉鎖され、2017年までに米国のCSPV製造産業はほとんど姿を消した。残ったのは、太陽電池セルとモジュールの両方を生産する米サニバ社と米ソーラーワールド・アメリカ社の2社と、輸入セルでモジュールを生産する8社のみだった。 2017年には、サニバ社が破綻手続きを申請し、国内での生産を停止する事態になった。...Read More Here
図3●「ファクトシート」で発表された「30%関税」
(出所:USTR)

December 20, 2017

米国の州で始まった太陽光・新買取制度の「革新性」 大規模案件の入札結果に連動、農地などに「特別加算」も

Published at Nikkei Technology Online ---

州の目標に「太陽光1.6GW」

 米国マサチューセッツ州は2017年11月、太陽光発電システムの新しい買取制度をスタートさせた。メガソーラー(大規模太陽光発電所)の入札での落札価格をもとに、小・中規模の太陽光発電の買取価格が設定される「ハイブリッド」型にしたのが特徴だ。
 同買取制度は、マサチューセッツ州が定めた再生可能エネルギーの導入目標である「Solar Massachusetts Renewable Target(SMART)」の頭文字をとって、「スマート・ソーラープログラム」と名付けられた。同州は、今後数年間で連系出力合計1.6GWの太陽光発電システムを導入する目標を掲げている。プログラムの対象となる太陽光発電システムのサイズは25kW以下の小規模案件から5MWのメガソーラーまで幅広く設定している(図1)。
図1●1.6GWの太陽光の導入目標を掲げた
(出所:Massachusetts Department of Energy Resources)

 マサチューセッツ州はこれまで、RPS(Renewable Portfolio Standard:再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準)法に基づき、太陽光発電・環境価値(Solar Renewable Energy Credit:SREC)買取制度を導入し、既に連系出力1.6GWが導入済みだ。
 しかし、SREC買取制度は株式市場のように価格変動が大きいため、太陽光発電事業者にとっては将来の収入予測が難しく、ファイナンスに課題があった。そのため今回は買取価格を長期間固定し、安定的かつ継続的な収入を確保することでビジネスリスクを下げ、資金調達を容易にする狙いがある。

200MWごとに4%ずつ低下
 スマート・ソーラープログラムの運用では、1.6GWを200MWずつの8つの「ブロック」に分け、ブロックが埋まるごとに買取価格が4%ずつ下がる。これは「逓減ブロック」と呼ばれるモデルで、需要の拡大に応じて価格が低下する仕組みである。... Read More Here

September 26, 2017

米電力会社が系統・需要側の双方で「蓄電池導入プラン」 蓄電池市場は327MWから2020年に2.5GWに急拡大へ

Published at Nikkei Technology Online ---

2017年に207MWの蓄電池を接続

 電力需給のバランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など多彩な機能・利点をもつ「電力貯蔵システム」の導入が、米国で拡大し始めている。発電所や変電所に併設される大規模蓄電池だけでなく、家庭や事業所、工場など需要家側の中小規模の蓄電池システムの導入も増え始めている。
 「まだ小規模ですが、蓄電池市場の成長は加速しています」――。電力会社で構成される米スマート・エレクトリック・パワー協会(SEPA)でCEO(最高経営責任者)兼社長を務めるジュリア・ハム氏は、9月中旬に開催された北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2017」で、こう語った。実際、SEPAによると、昨年出力207MW(容量257MWh)の蓄電池が電力系統に接続された。
 SEPAは電力会社を対象に実施したアンケートをもとに、「2017年電力会社電力貯蔵市場概念」というレポートをSPI開催に先駆けて発表した。全米の115電力会社がこの調査に参加した。ちなみに、米国には約1億3000万の需要家(顧客口座)がおり、民営・公営など3000以上の電気事業者が電気を供給している。アンケートに参加した電力会社の契約顧客数は、7500万以上に達し、全米の電力需要家の58%を占める。
 この調査結果によると、2016年末時点で累計622MW(661MWh)の蓄電池が設置されている。つまり、2016年だけで累積容量の39%が導入されたことになる。ここにきて、いかに急速に蓄電池が普及し始めたかが分かる(図1)。
図1●州別累積電力貯蔵システム導入容量(MWh)
(出所:SEPA)

カリフォルニア州が半分以上を占める

 2016年の蓄電池導入データを州別に見てみると、太陽光発電と同様に、カリフォルニア州が120.5 MW(176.6 MWh)と、群を抜くナンバーワンで、出力で58%、容量で69%を占めた。2位はインディアナ州の22 MW( 20.8 MWh)、2位はオハイオ州の16.1 MW(16.2 MWh)となっている。
 カリフォルニア州では蓄電池に対する政府の推進策と助成制度が充実している。同州は、2010年に州の民間電力会社3社に対し、2020年までに1.3GWの電力貯蔵システムを導入することを義務付けた。1.3GWのうち50%は電力会社所有となっている。...Read More Here

March 1, 2017

新規雇用の50人に1人は太陽光、雇用者数は天然ガス、石炭を超える! 4年連増で雇用者数が20%以上増加

Published at Nikkei Business Online --- 連続4年で太陽光の雇用者は20%以上増加

 米ソーラーファンデーション財団 (The Solar Foundation) が発表した2016年の「米太陽光発電産業雇用統計」によると、米国における新規雇用の50人に1人は太陽光発電産業から創出されたことがわかった。

 さらに、太陽光発電産業に従事する雇用の成長率(雇用増加率)は米経済の成長率をも上回った。過去4年間連続で太陽光産業の雇用成長率は20%を超えており、2016年の新規雇用数は 5万1000人で、同産業での総雇用者数は、過去最大の前年比25%増の伸びとなった。

図)米国・太陽光発電産業における雇用者数の推移
(出所:The Solar Foundation)

 この新規雇用者数は、太陽光発電の設置容量の拡大が背景にある。リーサーチ・コンサルティング会社である米GTMリサーチによる最新の市場データによると、米国における2016年の太陽光発電導入容量は14.6GWで、前年比95%増、と大きく拡大した。

新規雇用者数が最も多いのは「施工業」

 太陽光発電産業雇用統計を職別に見ると、施工業が新規雇用者数の34%を占め、次いでプロジェクト開発が23%を占めた。さらに、職別の雇用増加率を見ると、製造業で前年比26%増、施工業が14%増、プロジェクト開発が53%増、そして販売・流通業が32%増となっている。

 ちなみに、販売・流通業は、太陽光発電関連機材・サービスなどの卸売、小売り、または米国・海外製機材の倉庫・流通を施工業者に提供する業務などを含む。。。See More Here

February 1, 2017

リーディング企業の「再エネ100%」で拡大する米太陽光市場: グーグル、フェイスブックの再エネ需要に電力会社はどう応えるか?

Published at Nikkei Technology Online --- 再エネで電力コストを安定化

 グーグル、マイクロソフト、ウォルマートなど米国を代表するリーディングカンパニーは、再生可能エネルギーで電力需要を賄う目標を掲げ、その達成に向け導入量を拡大している。このトレンドは他の米企業にも急速に広がっている。

 こうした企業の動きは、単に温暖化問題への対応だけではない。例えば、グーグルが再エネ導入に熱心なのは、同社のサスティナブル(Sustainability)目標を達成することに加え、再エネ電力の長期購入契約により電力コストを安定化し、化石燃料の高騰による経営への影響を回避するためでもある。
Google Data Center, Credit: Google


 米ビジネス協会Advanced Energy Economy (AEE) によると、フォーチュン100企業(米フォーチュン誌が年1回編集・発行する、総収入に基づいた全米上位100社のランキング)中71社、フォーチュン500企業中215社がサスティナブル、または再エネ導入目標を掲げている。

 さらに、500企業中、なんと22社は電力需要を「100%再エネで賄う」という挑戦的な目標を掲げている。ウォルマート、アップル、アマゾン、マイクロソフト、GM(ゼネラル・モーターズ)、ナイキ、スターバックスなど、幅広い業種で「再エネ100%」目標を公約する企業が増えている。

設置場所はオンサイトからオフサイトへ

 米企業が再エネに投資することで、再エネ電源が開発される州には、新たな雇用と税収をもたらす。それは、州の電源資源を分散化させ、化石燃料への依存を減らすことにもなる。しかし、一方でこのような再エネ大量導入を受け入れ、対応できるメカニズム(政策・規制)が整っていない州もある。

 逆に言うと、企業がどのような手法で再エネを導入するか、または、どの州で展開するかは、州の政策・規制で大きく変わることになる。

 ウォルマートのように、店舗、倉庫、流通センターなどの比較的規模の大きな施設を全国に持つ企業は、電力需要のある事業所・工場の屋根上、または敷地内(オンサイト)に自産自消用に太陽光発電を導入することが多い。企業がシステムを所有している場合もあるが、再エネプロジェクトのデベロッパーなど第3者が開発・所有し、 企業が電力購入契約のもとで発電電力を買い取るスキームもある。...Read More here

January 4, 2017

米太陽光市場、2016年は日本を抜き世界2位に 第3四半期4GW超えの建設ラッシュ、32分毎に1MWが新設

Published at Nikkei Technology Online --- 2016年第3四半期(7~9月)の米国における太陽光発電設備の導入容量は、前期比99%増、前年同期比191%増の 4143MW(4.143GW)――米太陽エネルギー産業協会 (Solar Energy Industries Association:SEIA)と米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のジーティーエム・リサーチ社(GTM Research: GTM) の最新の「米国太陽光発電市場レポート(Solar Market Insight Report)」によると、こんな米国太陽光市場の好調ぶりが明らかになった。
US Q3 2016 Solar Market Update; Source: SEIA/GTM

発電用は堅調、住宅太陽光は飽和気味、


 この導入量は過去最大で、なんと32分毎に1MWの太陽光パネルが設置されたことになる。 市場セグメント別にみると、発電事業用は3.2GWで、総導入量の77%を占めた。米国で太陽光の導入量ナンバーワンのカリフォルニア州では、1GW以上の発電用がこの四半期に設置された。2016年末までに 4.8GW以上の発電事業用の設備が新設される予定なので、2016年第4四半期には第3四半期を上回るとみられる。

 今まで順調に成長してきた住宅用は、前年同期比2%増だったものの、前期比10%減と市場は鈍化した。カリフォルニア州は前期、そして前年同期比ともに縮小した。前年比減は歴史上初めてのことで、同州の住宅太陽光市場が飽和しつつあるように見える。

 一方で、ユタ、テキサス、サウスカロライナ州などの新興州では、住宅太陽光が伸びてきた。しかし、GTM社はこれらの州は補助金の有無に大きく左右されるので、上昇は一時的なものと見ている。


「自産自消」型がオンサイトからオフサイトに移動


 従来、「自産自消」型の太陽光発電は、電力需要のある事業所・工場の屋根上、または敷地内、つまりオンサイトに設置されてきた。

 ただ、ここに来て、徐々に敷地外、または電力需要のない場所、オフサイトへの設置が増加している。2011年には商業用太陽光発電の91%はオンサイトに設置され、オフサイトの比率はわずか9%であった。しかし、2016年にはオフサイト設置は51%に拡大すると予想されている。...Read More Here

December 13, 2016

「2030年に太陽光で電力の3割賄う」、米政府が目標 メガソーラーの発電コスト、3セント/kWhを目指す

Published at Nikkei Online Technology
2030年に太陽光のコストを半減

 2016年11月、米エネルギー省(Department of Energy: DOE)は、「2030年までに太陽光発電のコストを2020年から半分にする」という「2030ゴール」を発表した。
 それは、電力会社による発電事業のためのメガソーラー(大規模太陽光発電所)のコストを、「2030年には3米セント/kWhまで引き下げる」というものである。
 DOEは2011年に、太陽光発電システムのコスト削減に向けた「サンショット・イニシアティブ(SunShot Initiative)」と呼ばれる10年間に及ぶ技術開発プロジェクトを開始した。
 この「サンショット2020」の開始時のゴールは、2010年に27セント/kWhだった発電事業用のコストを、「2020年に約70%減の6セント/kWhに削減する」というものであった。ゴールの発電コストは、従来の化石燃料の発電コストに匹敵する。ちなみに、太陽光の発電コストには税額控除などの補助金は全く含まれていない。

住宅用は5セント、非住宅用は4セント/kWhに

 その後、太陽光発電産業は目覚ましく前進し、2010年には 27セント/kWhだった発電事業用のコストが現時点で7セント/kWhまで下がり、サンショット開始5年で既に2020年のゴールの約90%を達成するまで下がっている。
 この進展により、DOEはメガソーラーの均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)を2030年には、2020年時点の半分の水準でとなる「3セント/kWh」に削減する新たなゴールを設定した。
 さらに、発電事業用と同じように住宅用と非住宅用(商業用)のコスト目標も大幅に引き下げた。非住宅用の発電コストは2020年の7セント/kWhから、4セント/kWhへ、そして住宅用の発電コストは2020年の9セント/kWhから5セント/kWhに設定された。
 ちなみに、現時点での非住宅用の発電コストは13セント/kWh、そして住宅用の発電コストは18セント/kWhと、発電事業用ほどではないが、2020年のゴールの70%はすでに達成している。... Read More Here
サンショット太陽光発電コスト2030年ゴール
(出所:The Department of Energy)

March 29, 2016

「ダックカーブ」改善法、大量導入した太陽光を「水、熱、氷」で蓄える 日中に電力需要をシフトし、再エネの出力抑制を回避

Published at Nikkei Technology Online ---  分散型太陽光発電システムの大量導入で、日中の電力消費量を発電量が上回り、さらに夕方の太陽光の発電が止まる頃、電力需要が急激に上昇するという現象が指摘されている。近い将来、こうした大きな需給ギャップを埋めるのが困難になるのでは、という懸念が数年前、カリフォルニア州で指摘され始めた。

ピーク需要は夕方から夜

 この現象は「ダックカーブ」と呼ばれる。2013年から2020年にかけてのカリフォルニア州における時間別「実質電力需要」と「供給量」のグラフの変化に、その現象が表れている(図1)。この場合の「供給量」とは、電力会社の大規模・集中型発電所から供給される電力量。「実質電力需要」とは、全体の電力消費量から、消費者側の配電網に接続された分散型太陽光・風力発電などの発電量を差し引いたものである。
 元々電力需要を示すグラフは朝から昼にかけ緩やかに上がる。アヒルのしっぽから背中のような曲線を表す。しかし、分散型太陽光発電の導入量の増加につれて、アヒルの背中がお腹へと逆の曲線に変わっていく。太陽光発電などの分散型発電を導入すると、家庭の電力需要は太陽光の電力で賄われるようになり、電力会社から購入する電力量が減る。つまり、分散型太陽光発電の大量導入で、昼間の「実質電力需要」が大きく下がり、この時、電力会社から供給される電力が過剰になる恐れが心配され始めた。

アヒルに飛び方を教える

 問題の一つは、太陽光発電の出力ピークが需要ピークからずれていることである。カリフォルニア州において、太陽光発電システムの発電量は、正午から午後2時にかけてピークを迎える。一方で、ピーク需要は夕方5時から夜8時ごろと、午後のもっと遅い時間に発生する。つまり、供給と需要にギャップが生じるのである。
 もう一つの問題は、需要ピークが急激に上昇することだ。昼間は太陽光発電で実質需要が最低レベルまで下がるものの、太陽光発電からの出力がなくなる夕方には、「本当の」電力需要のピークが訪れる。2020年には約13GWもの需要を、わずか3時間で急速に埋めなければならないと予想されている。

New Report by Regulatory Assistance Project

 ダックカーブ現象により、本来なら調整力として使わないベース電源による供給量を日中に減らさなければならなくなりそうだ。さらに、夕方より大きな需要の差を埋めるために、火力発電設備などの既存設備を待機しておき、出力を急激に上げるという制御が必要になる可能性がある。...See More Here

January 12, 2016

米加州の「ネットメータリング」制度が改正へ 再エネの普及拡大と消費者の負担、バランスはどこに?

Published at Nikkei Technology Online --- 米国市場は2015年の年末ぎりぎりに連邦政府の「再生可能エネルギー導入投資税控除(ITC)」政策延長が可決され、さらなる太陽光発電市場の成長に明るい見通しが立った。しかし、米国の太陽光発電市場をリードするカリフォルニア州において、同州の太陽光発電市場の将来を左右する重要な州レベルの制度が未解決のまま年を超えた。

 それは同州で分散型太陽光発電分野の普及を支えてきた「ネットメータリング(net-metering)」と呼ばれる制度である。「ネットメータリング」とは、分散型発電設備の所有者に対する電力料金の算定手法だ。住宅用などの分散型太陽光発電システムの発電量から、電力消費量を差し引いて余剰電力量が発生した場合、余剰分を次の月に繰り越せる、つまり、消費量を発電量で「相殺」する仕組みである(図1)。

図1●ネットメータリング制度を利用する住宅用システム。出力7.6kW(出所:Sullivan Solar Power)
この制度では、ネットメータリングの総設置容量に関し、法律で上限を定めている。上限は、「キャップ(CAP)」とも呼ばれる。ネットメータリングを活用する分散型太陽光発電システムの総設置容量が、キャップに達すると、電力会社は同システムの設置を基本的に拒否できるようになる。カリフォルニア州ではこの上限に近づいており、2015年に電力会社と太陽光発電を推進する企業やサポーター(支持者)間で同制度をめぐる論争が一段と激しくなった。

 現在のネットメータリング制度は、発電量1kWhは電力購入の小売価格と同等で取り扱われていたが、カリフォルニア州の大手電力会社は「余剰電力買い上げ価格を下げる」、または「太陽光発電システムの所有者に特別の料金を課す」との方針を申請した。...Read More Here

October 14, 2015

SPI 2015レポート 米国太陽光発電市場成長の陰―蓄電池は救えるか

Published at Solar Journal --- 9月中旬、4日間に渡り、北米最大の太陽光発電関連展示会「Solar Power International(SPI)」が米国カリフォルニア州アナハイム市で開催された。SPIは100以上の専門セミナーと数々の展示会・技術講演会、ネットワークイベントで構成されており、今回は600社以上の出展と1万5千人の来場者数を集めた。

全米太陽光発電協会(SEIA)によると、イベント開催時点で米国における太陽光発電累計設置容量は約23GW以上。また、これまでに米国で新設された電力発電所の40%が太陽光発電であり、これは近日の米国における太陽光発電産業の大きな成功を意味している。

成功を祝うかのように、イベントの中盤にはジョー・バイデン米副大統領が約4000人を前に熱い演説を行い、大きな可能性に満ちた太陽光発電産業にエールを送った。

US VP Biden Speaking at SPI, Credit: Steven Purcell for SPI 2015

成長が著しい米国市場だが、今後の成長を脅かす数々の問題も抱えている。

まず、「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる連邦レベルの投資税控除制度。これまでは、太陽光発電システム設置にかかる投資額の30%を税額控除できたが、この制度が延長されない場合、住宅用については来年末で終了、非住宅用については現在の30%から10%に下がってしまう。市場収縮のインパクトを避けるため、会場では「ITC延長を!」との声が上がっていた。

次に「ネットメータリング」制度。この制度は分散型システムによる”自産自消”を促すものあり、発電量で電力消費量を相殺しながら、余剰発電量を次月に繰り越し、電気料金を削減できる。しかし、太陽光発電の普及が加速する中で、余剰電力の買い取りを義務付けられている電力会社は、現在の買取価格を「小売価格」から「卸売価格」に引き下げる計画をしている。...Read More Here

May 29, 2015

ソーラーフレンドリーな電力会社はどこか

Published at Nikkei Technology Online ---  米国の多くの電力会社が加盟しているSEPA(Solar Electric Power Association:米国太陽発電電力協会)は、電力会社別の太陽光発電導入量ランキングを毎年4月に発表している。例えば、1年間の導入量や、電気需要者1人当たりの平均導入量、系統連系接続件数などのデータである。

 SEPAによると、2014年度に米国では18万20000件の新しい太陽光発電システムが設置され、その合計導入量は5.3GW(交流換算)に上るという。導入量が多い電力会社がある州は、カリフォルニア(CA)、ハワイ(HI)、アリゾナ(AZ)、ニュージャージー(NJ)、そしてノースカロライナ(NC)だった。



 米国では、3000以上の電力事業者が、年間で約3兆7237億kWhの電気を、約1億3000万件の家庭と1850万件の商業・産業用の顧客に提供している。米国エネルギー省(DOE)のエネルギー情報課のデータによると、2014年の総電気販売金額は38億9000万米ドルであった。See More Here

April 26, 2015

分散型太陽光の普及に赤信号、2016年にカリフォルニアで設置上限値に到達

Published at Nikkei Technology ---  前回の記事で紹介した「ネットメータリング」は、分散型太陽光発電システムによる“自産自消”を促すための制度である。太陽光発電による発電量で住宅などの電力消費量を相殺しながら、余剰発電量は次の月に繰り越して電気料金を削減する。この制度は、米国の分散型太陽光発電システムの普及に大きな役割を担ってきた(前回の記事)。

 電力会社が余剰電力の購入価格を下げて、分散型太陽光発電システムの導入にブレーキをかけようとしていることを前回説明した。こうした電力会社の動きとは別に、早ければ2016年にも一部の地域でネットメータリングの見直しが始まる可能性がある。それには、分散型システムの導入を制限する「総設置容量上限」が関係する。

キャップを設置

 州や電力会社のサービス管内で、法律や規制で定めた「キャップ(CAP)」と呼ばれる、ネットメータリングの総設置容量の上限がある。ネットメータリングを活用する分散型太陽光発電システムの総設置容量上限に達すると、電力会社は分散型太陽光発電システムの設置を基本的に拒否できるようになる。
Net Metering Cap by State, Credit: National Renewable Energy Laboratory


 ネットメータリング制度は、州の法律や州の公益事業委員会が定めたものである。各州で電力を販売する電力会社は、遵守する義務がある。州主導であるため、接続できるシステムの規模や余剰電力の取り扱い方、余剰電力の購入価格などが、州によって大きく異なる。もちろん、設置容量上限の値や、上限の決め方も州によって違う。州によっては、上限を州の再生可能エネルギー導入目標と同じにしている場合もある。

 上限を定める基準として最も多く使われているのは、州または各電力会社の最大電力需要である。参照年と呼ばれる、特定の年の最大電力需要を上限の計算用に使う。ネットメータリング制度を施行しているのは、全米50州のうち43州とワシントンDCであり、この中の22州が最大電力需要を上限の基準に用いている。例えばユタ州は、2007年の最大電力需要の20%を総設置容量の上限としている。イリノイ州やミズリー州は、前年の最大電力需要の5%で上限を計算する。。。Read More Here

April 19, 2015

電力会社が住宅用太陽光の増加に警戒、ネットメータリング廃止へ

Published at Nikkei Technology --- 米国における2014年の太陽光発電システム導入量は、対前年比30%増の6.2GWになった。特筆すべき変化は、住宅用が産業・商業用を初めて抜いたことだ。住宅用の年間成長率は50%を越える(全米太陽光発電協会(SEIA)と米GTM Research社の最新の太陽光発電市場レポートによる)。

 ただし住宅用の好調は長く続かない可能性もある。住宅用の成長を支えてきた「ネットメータリング(net-metering)」と呼ばれる制度を廃止しようとする動きがあるからだ。


半数が補助金なしで設置

 GTM Research社でソーラーアナリストを務めるCory Honeyman氏によると、米国の住宅用太陽光発電システム市場は、2012~2014年の過去3年間に、50%以上の年間成長率を続けてきた。

 住宅用市場は、州政府の補助金に依存することなく拡大を続けているのが特徴だ。Honeyman氏によると、2014年に設置された太陽光発電システムの実に48%(500MWに相当)が、補助金制度を利用していないという。

 補助金なしでも導入が進むのは、設置費用などの「ソフトコスト」の低下や、頭金などを必要としない「リーシング」と呼ばれるファイナンスオプションが存在することなどが背景にある。さらに、今回のテーマであるネットメータリングも、導入促進に大きな役割を果たしている。Read More Here

February 3, 2015

Fukushima, Japan Accelerating Deployment of Solar to Create Self-Reliant Communities

Published at Renewable Energy World --- This March will mark the four-year anniversary of when the world’s worst nuclear disaster since Chernobyl hit the northeast of Japan. Communities severely affected by the triple-disaster of earthquake, tsunami and nuclear meltdown have made a strong commitment to become energy self-reliant by producing safe, clean energy locally for local consumption.

The entire village of litate, located at 39 kilometers northwest of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, was forced to evacuate in order to avoid radiation exposure. To build a self-reliant community, a few of the villagers from litate got together to establish the litate Electric Power Company.

litate is building a 50-kW solar system, and upon completion of the system in February, it will sell the power output to local utility Tohoku Electric Power Co. under the nation’s feed-in tariff (FIT) program. The proceeds from energy sales will be re-invested into the community to build more renewable energy systems.Read More Here

Iitate Village in Fukushima, Japan

January 5, 2015

太陽電池の西向き設置に補助金、「ダックカーブ現象」を解消へ

Published at Nikkei Technology --- 米国の太陽光発電の導入量でトップを独走し続けるカリフォルニア州。米国の太陽光発電導入量の半分を、カリフォルニア州が占めている。そんなカリフォルニア州で、太陽光発電の大量導入が近い将来に引き起こすであろう、需要と供給の「ミスマッチ」の解決策が話題になっている。解決策の1つとして、太陽電池モジュールの西向き設置が急浮上してきた。2014年から、西向き設置の新築住宅に補助金を増額する制度が始まったのだ。
California Duck Curve, source California ISO

2020年に太陽光が32%に

 カリフォルニア州は「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS:Renewable Portfolio Standard)」によって、2020年までに州内の電力販売量の33%を再生可能エネルギーで賄うことを電力会社に義務付けている。州内の電力会社の報告をまとめると、2014年4月時点で20%に達しているという。2016年には25%に達する見込みだ。南カリフォルニアをサービスエリアとする米SDG&E社は、2014年12月時点で既に、再生可能エネルギーによる調達量が32%に達したという。Read More Here

The article was ranked as the Most Read Article of the Week

December 30, 2014

Japan FIT Applications for PV Now Going Down (September 2014 Data)

According to the data released by the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI), the cumulative reserved capacity for PV under the nation’s FIT program has decreased to 69 GW in September from 69.4 GW in August 2014. The number is expected to further go down to 68.9 GW in October.


This reduction reflects the problems related to interconnections with five out of ten electric utilities in Japan. The pace of PV installation has been slowing down. During the month of September 2014, 0.6 GW was installed while in previous months 0.7 GW of PV capacity was installed.


 As of September 2014, 13GW of PV capacity was installed under the FIT program.

October 28, 2014

太陽電池モジュールと資金が不足する「2016年問題」、北米最大の展示会「SPI 2014」で議論

Published at Nikkei Technology ---  太陽光発電関連の北米最大の展示会「Solar Power International(SPI) 2014」(2014年10月20~23日)が、米国ネバダ州ラスベガスで開催された。ネバダ州はカジノだけではなく、世界最大規模の太陽熱と太陽光の発電所があり、さらに電気自動車(EV)メーカーの米Tesla Motors社がLiイオン2次電池の工場「ギガ」の建設地に選んだ。

SPI 2014 in Las Vegas - General Session

 1万8600m2の展示会場には、世界25カ国から、計1600社が出展した。SPIは今年で11年目になり、年々規模が小さくなっている。しかしこれは、米国の太陽光発電市場が縮小しているのではなく、成熟期に入ったことを意味する。米国の太陽電池メーカーでEPC事業者(EPCは、engineering(設計)、procurement(調達)、construction(建設)の意味)でもある米Sun Power社や米First Solar社さえも、ここ数年ブースは構えていない。

 2000年代のSPIは、太陽電池メーカーやパワーコンディショナメーカーなど、ハードウエア系の最新技術や製品のお披露目の場であった。ここ数年は、施工を簡素化する架台や、システムの監視システム、顧客獲得を効率化するクラウドサービス、そして系統電力量の制御に貢献する蓄電池とそのソフトウエアなどが、展示の中心になっている。。。。See More Here

October 15, 2014

無人航空機で空から太陽電池を監視、Google社も出資するSkycatch社

Published at Nikkei Technology ---  米国の太陽光発電産業でメジャーな存在である米First Solar社と米SolarCity社が、相次いで無人航空機(UAV:unmanned aerial vehicle)の活用に乗り出した。UAVと関連ソフトウエアは、シード期に米Google社などから出資を受けて2013年に設立された、スタートアップ企業の米Skycatch社(カリフォルニア州サンフランシスコ)が開発したものである。
 Skycatch社は、高精度な画像を空撮できる小型UAVと、収集した画像を処理・分析するソフトウエアをパッケージにしたターンキーサービスを提供している。建築や鉱山、農業、太陽光発電などの業界に携わる大手企業が主な顧客である。See More Here

September 19, 2014

独立系発電会社NRG Energy社の戦略、大規模から分散型、携帯型まで幅広くカバー

Published at Nikkei Business --- 米国で第3位の再生可能エネルギー発電事業者である米NRG Energy社は、世界最大規模の太陽熱発電所と太陽光発電所の両方を所有している。その一方で2014年8月には、携帯型太陽電池を開発する企業を買収して周囲を驚かせた。


NRG Energy社は買収を繰り返し、現在では再生可能エネルギー発電所の運営から住宅用・非住宅用太陽光発電システムの設置・リースサービス、電力小売り販売事業(グリーン電力小売りも含む)、電気自動車(EV)用充電スタンドの運営、そしてポータブルソーラー充電器販売と、電力発電市場の川下を全てカバーしている。今回は、このNRG Energy社について紹介する。Read More Here