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August 25, 2020

米加州で大停電!、再エネ導入で前進も系統の安定運用が後手に 「世界5位の経済大国」でも、電力網は発展途上国以下!?

 Published at Nikkei Mega Solar Business

「革新的な州にとって容認できない」

 依然として、世界を脅かす新型コロナウイルスで自粛ムードが続く中、米国では8月中旬に突然、猛暑が訪れた。とはいえ、夏なのだから当たりのことにも思える。

 そんななか、世界をリードするハイテク企業が集まるシリコンバレー、世界を魅了するエンターテイメントが生まれるハリウッドなど、世界の先端を走るカリフォルニア 州で、何と電気の供給不足で、停電に陥ってしまったのだ。

 カリフォルニア州を1つの国だとすれば、その経済規模は英国を上回り、米中日独に次ぐ世界5位に相当する。そんな先進経済大国で、猛暑によって停電が起きた背景には、どんな事情があったのか。電力系統は、途上国並みということなのだろうか。

 同州のギャビン・ニューサム知事は今回の停電を「国の最大かつ最も革新的な州にとって容認できない、不適合」と表現した(図1)。


図1●電力の専門家と今回の電力不足の緊急会議を行うカリフォルニア州知事(黄緑色の囲み内)
(出所:Office of Governor Gavin Newsom)


 国内のメディアでは、不十分な電力供給のために同州が計画停電を実施することは、2001年のエネルギー危機以来、ほぼ20年ぶりと報道されている。だが、実際には、「停電」に関して言えば、もっと頻繁に起こっている。

停電すると自家発電機がうなり声

 筆者はサンフランシスコから南に車で約1時間の、空高くそびえ立つ赤スギで有名な州立公園近くに住むが、ここ数年間で何回停電に見舞われたか、とても数え切れない。

 強風が吹くと停電。雨が続くと停電。乾燥が続くと停電、と言った具合だ。

 特に、強風と乾燥が重なった場合、老朽化して整備の不十分な送電線が火元になり大規模な山火事を起きるのを防ぐため、数百万人の電力を停止するという意図的な停電も起こる(図2

 こんなに脆い電力網を持つのは、米国内のみならず、世界でもトップ規模の大手電力会社パシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)なのである。こんな状態であるから、地域の住民のほとんどは自前のジェネレーター(自家発電機)を持っており、停電とわかると、各自外に出て、ジェネレーターをブルンブルンと稼働させるのである。停電が2時間続くのか、2日以上になるのかも分からない、全く発展途上国のような生活になる。

「複数の災厄」で破滅的に

 問題の停電は8月14日の夕方に始まった。

 カリフォルニア州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)は、停電後、初めての公的な声明で、今回のイベント(停電)を「パーフェクト・ストーム」と表現した。これは、「複数の災厄が同時に起こり、破滅的な事態に至ること」を意味する。Read More Here

July 29, 2019

企業だけではない、州政府でも加速する「RE100」 石炭・原子力からクリーンエネ転換を目指す動きに

Published at Nikkei Technology ---  1900年代終わりから、補助金支給など政府による普及政策で徐々に立ち上がり始めた世界の太陽光発電市場。当時、「コストが高い」との課題が付いて回っていたが、市場が拡大するにつれて、そのコストも劇的に下がり、従来の火力発電に匹敵、または下回るまでになった。
 太陽光発電の経済性が改善される一方、気温変動問題がより深刻化するなか、事業運営を100%再生可能エネルギーで賄う「再エネ100%(RE100)」を目標に掲げる企業が増加した。これらの企業は自主的に気温変動対策に取り組んでいる。米企業が世界のRE100動向をリードしているが、企業だけではなく、州政府での「再エネ100%」も一気に加速し始めた。
 米国の州レベルで今まで太陽光発電の導入に大きく貢献し、最も重要な政策は、「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(Renewable Portfolio Standard:RPS)」である。
 RPS法は州が全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネ電源から供給することを義務付ける法律だ。この仕組みは最近、始まったわけではない。最初の導入例はアイオア州で1983年に立法化し、その後1900年代終わりから2000年代初めにカリフォルニア州を含む多くの州が気候変動対策の一環で次々とRPS法を成立させた。
 しかし、RPS法が最初に導入された当時、目標値は20〜30%に留まっていた。それが、ここ数年、目標値を大きく引き上げる州が続々と増えている(図1)。
図1●各州の再エネ目標は改正ごとに引き上げられている—RPS法成立年(州名:黒色)とRPS法改正年(州名:赤色)
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)

 まず、輸入化石燃料への依存度が最も米国で高いハワイ州が2015年にRPSの「再エネ100%」を法制化した。次いで、環境政策で米国をリードするカリフォルニア州は、連邦政府のパリ協定からの離脱決定後の2018年に、「クリーンエネルギー100%転換」を実現するために、同州の電気事業者に、「2030年までに電力販売量の50%を再エネから調達すること」、さらに「2045年までに電力販売量の100%をカーボンフリー電源で調達すること」を新たに義務付けた。...Read More Here

September 18, 2018

米で検討の再エネ新政策「クリーン・パワー・スタンダード」、ダックカーブを改善 RPSを発展させ、需要ピーク時の「再エネ容量」確保を義務付け

Published at Nikkei Technology ---  これまで米国の太陽光発電を含めた再生可能エネルギー導入の主要な牽引役はRPS(再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準=Renewable Portfolio Standard)だった。

「再エネ100%」と言うものの…

 RPSは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネから供給することを義務付ける制度である。RPSは州レベルで法律化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 さらなる「低炭素化」または「脱炭素化」を目指し、多くの州でRPSの義務量を引き上げている。実際、ハワイ州では既に「再エネ100%」が成立しており、カリフォルニア州でもハワイ州に続き、「100%法案」が9月10日に可決されたばかりである(図1)。

図1●「100%法案」への支持を表明する
アーノルド・シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事
(出所:California State Archive/Peter Grigsby)


 しかし一方で、義務量を今後、さらに増やし続けても、相対的で効率的な温室効果ガス(GHG)排出量の削減に繋がらない、という分析結果が公表された。

 その背景には太陽光発電の大量導入で生じた電力の需要と供給のミスマッチと、拡大するピーク需要がある。

 2014年のカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)による分析によると、カリフォルニア州のRPS導入目標を2024年に33%から40%に引き上げた場合、再エネ導入量は7%増加するものの、GHG削減量は2%にとどまるという結果となった。...Read More Here

April 10, 2018

米で「太陽光+蓄電池」サミット、見えてきた「使いこなし」への課題 複雑さ増すビジネス、顧客価値の評価と提供が鍵に

Published at Nikkei Technology:

「スイス・アーミーナイフのよう」

 北米エネルギー貯蔵協会(ESNA)が主催するエネルギーストレージ関連のイベント「ソーラー・プラス・ストーレージ(太陽光発電とエネルギー貯蔵)サミット」が3月27日にカリフォルニア州サンディエゴ市で開催された。
 今回議論の焦点となったのは、太陽光発電システムとエネルギー・ストレージ・システムをいかに併設して統合するか、である。住宅、非住宅、発電事業用のセグメントごとに、併設・統合に伴う課題や解決策が活発に議論された。
 近年米国のエネルギー業界では、「エネルギーストレージはスイス・アーミーナイフのようだ」とよく言われる。
 電力の需給バランス、電力系統の安定化、ピークカット、ピークシフト、バックアップ電源、調整火力の代替など、多くの機能やメリットを持つからだ。発電、送電、配電、需要家と電力システムのすべてのバリューチェーンで有効性を発揮する。しかし、用途ごとに、その価値を評価し、活用するにあたっては難しい課題を抱えている(図1)。
図1●米サンディエゴで開かれた「ソーラー・プラス・ストーレージ・サミット」
(出所: ESNA)
[画像のクリックで拡大表示]

EV普及でコストダウンの恩恵

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)でエネルギー・ストレージ・アナリストを務めるローガン・ゴルディースコット氏は講演で、「系統レベルのエネルギーストレージ市場は拡大しているが、依然として小さい」と指摘した。
 BNEFの最新のレポートによると、2017年の世界エネルギーストレージ市場は1.17GWに達し、2030年には2016年比で6倍の規模になると予測している。
 ゴルディースコット氏が強調したのは、蓄電池メーカーが電気自動車(EV)の需要を満たすために投資を加速し、生産規模を拡大している点である。これにより、エネルギーストレージ業界にとってもコストダウンという恩恵をもたらす。
 BNEFの調査によると、発電所に併設するタイプのエネルギーストレージの世界市場は、2017年に700MWをわずかに超えた程度である。しかし、ゴルディースコット氏は、「莫大な数のパイプライン(計画・開発中のプロジェクト)があり、今後2〜3年には大きく成長する」と見る。
 さらに、同氏によると、既設のエネルギーストレージ施設は、太陽光発電システムと併設するタイプは少なく、単独で設置されて周波数調整市場など向けに使われるケースが多い。太陽光発電とエネルギーストレージは「相補的」な関係にあるため、今後は両者の併設が進むと予測する。しかし同氏は、エネルギーストレージ市場を将来的に順調に拡大させるためには, 政府による最適な政策が必要だとも言う。Read More Here
図2●ESNA主催の「ソーラー・プラス・ストーレージ・サミット」における議論の様子
(出所:J. Movellan)

September 8, 2017

続報・米「皆既日食」、市場を使い、太陽光の出力抑制は1%に 広域ネットワークで再エネの変動を機敏に調整

Published at Nikkei Technology Online ---  8月21日、米国全土では1979年以来38年ぶりとなる皆既日食が見られた。午前10時20分ごろから西海岸オレゴン州で始まり14の州を横断し、東海岸のサウスカロライナ州まで、壮大な天体ショーが観測された。

電力の広域市場をフル活用

 カリフォルニア州は、米国で太陽光発電の導入量ナンバーワンで、日食の影響も大きいことが予想された。同州では、日食の際、起動と調整力で柔軟性に優れた電源である州内の水力発電と天然ガス火力で、太陽光発電の出力急変に対応し、グリッドの信頼性を保つことに成功した。これは8月22日に公開したこのコラムでもレポートした(関連記事)。

 カリフォルニア州は皆既食帯ではないものの、同州北部では76%、南部では58%の部分日食の範囲に入っていた。部分日食といえども同州の送電網には約10GWの発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が接続されていて、ピーク需要の30〜40%を賄うまでになった。さらに、同州の配電網には5.8GWの屋根置きを含む分散型太陽光発電も接続されている。

 カリフォルニア州の系統運用を担うカリフォルニア独立系統運営機関(California Independent System Operator; CAISO)は、太陽光発電の出力ロスによる供給不足を補うために、州内で発電所を稼働させると同時に、日食が地域を横切って移動し、異なる時間に異なる場所で太陽光発電に影響を与えることを利用し、西部電力システムネットワーク上での広域インバランス市場を活用した(図1)。
図 1●2017年8月21日におけるCAISO管轄内の電源別電力供給
(黄線:太陽光発電、赤線:火力発電、紫線:輸入)
(出所:CAISO)


インバランス市場の活用で再エネ統合
 CAISOはカリフォルニア州を管轄エリアとする送電事業と電力需要調整事業を担っている。さらに、前日市場と最終的な需給の差(インバランス)を調整するインバランス市場を運営している。

 米国西部諸州に拡大される再生可能エネルギーのグリッドへの連系、グリッドの信頼性と発電コスト削減を促進するため、CAISOは、同州で運営するインバランス市場の運営エリアを拡張し、2014年に西部エネルギーインバランス市場 (Western Energy Imbalance Market: EIM) の運営を開始した。

 西部EIMには 現在、カリフォルニア、オレゴン、ネバダ、ワシントン、アリゾナ、ユタ、コロラド、ワイオミングの8州に管轄エリアを持つ電力事業者が参加している。これらの州の電力事業者・発電事業者はCAISOのリアルタイム・グリッド・マネッジメント・システムにアクセスし、再エネの系統統合、系統安定化、発電コスト抑制に活用できる...Read More Here

September 4, 2017

2020年には「メガソーラー+蓄電池」がお得に!? 米NREL、太陽光普及後の経済性を単独設置と比較

Published at Nikkei Technology Online --- 浸透率6%では「太陽光単独」が有利だが…

 米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)は、2020年には「大規模太陽光発電(メガソーラー)+大規模蓄電池」システムがメガソーラー単独のシステムより経済メリットが高まる、とするレポートを発表した。

 蓄電池システムのコストは下がってきてはいるものの、依然高いレベルにある。発電事業用の「メガソーラー+大規模蓄電池」とメガソーラー単独のシステムについて、発電所の設計、建設から運営、廃止までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)で比べた場合、「メガソーラー+大規模蓄電池」の方が常に高くなる。

 これに対し、今回のNRELのレポートは、コストだけではなく、蓄電池が加わったことにより創出される価値を考慮し、便益(B=ベネフィット)と費用(C=コスト)の比率(B/C)で見る費用便益分析が行われた。具体的には、蓄電池設置による年間エネルギー収入と容量の価値(便益)を年間資本と運営コストで割ったものを比べた。

 現在の太陽光の浸透率は6%だが、このケースではメガソーラー単独のシステムの方が、「メガソーラー+大規模蓄電池」のシステムより費用便益分析で優れるが、太陽光の浸透率が上がると分析結果が大きく変わる結果となった。

2020年におけるメガソーラー単独と
「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。
Credit: NREL

メガソーラーと蓄電池の接続形態に4タイプ

 同費用便益分析では、太陽光パネルの設置容量65MW-DCのメガソーラーをモデルとして使い、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力は50MW-AC、蓄電池の出力は30MW-AC、容量は120MWh-ACである。

 さらに、蓄電池とメガソーラーの接続タイプ、太陽光の浸透率ごとに結果がどのように変わるかを検討している。

 接続(リンク)のタイプは、「独立」、「交流(AC)リンク」、「直流(DC)リンク・双方向」、「直流(DC)リンク・一方向」の4タイプに分けられる。

 「独立」タイプは、メガソーラーと蓄電池システムを物理的に同じ場所に設置しておらず、制御機能なども共有されていないケースである。蓄電池はメガソーラーとは独立して稼働し、ピーク容量、ピークシフト、アンシラリーサービスなど系統網全体の安定化に対応する。さらに、1つの電源に接続していないことから、系統網上のどの電源からでも充電できる...Read More Here

November 16, 2015

メガソーラーの出力抑制を防ぐため、昼間の電気料金が夜間より安い! ハワイ州・カウアイ島の電力会社が、夜から昼への需要シフト促進

Published at Nikkei Technology ---  ハワイ諸島の最北端に位置するカウアイ島では今までの常識を覆すようなことが起っている。

 通常、需要ピーク時の需給バランスは、急な変化に対応できる輸入化石燃料による火力発電により調節される。ただ、石油火力は発電コストが相対的に高い。そこで、電力の供給コスト低減のため、夜間の電力割引などを通じて電力需要が最大になる昼間の需要を他の時間帯にシフトさせる「ピークシフト」が、推進されてきた。

 しかし、カウアイ島では、午前9時から午後3時までの電気単価が夜間より「安い」のである。その理由はなんと太陽光発電にある。

 カウアイ島をサービス管轄に持つ非営利協同組合運営の電力会社Kauai Island Utility Coop(KIUC)社は、ハワイ州で最大規模となる太陽光パネル出力14.5MW(連系出力12MW)のメガソーラーを今月初めに運転開始した(図1)

14.5 MW-DC the largest PV installed in Hawaii, Credit: REC Solar

米国で太陽光発電浸透率が一番高いハワイ州

 米国で、「太陽光発電の先端地域」と言ったら全米の50%以上のシェアを持つカリフォルニア州を思い浮かべる。だが、一人当たりの太陽光発電導入量で見ると、実はハワイ州がカリフォルニア州を大きく引き離しナンバーワンとなっている。これは、ハワイ州の12%の家庭が太陽光発電システムを設置しているのに匹敵する。..Read More Here