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February 8, 2021

パンデミック乗り越え、2020年も拡大した企業の再エネ調達 最大需要家はアマゾンで5.1GW、主流は太陽光

 Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

世界で23.7GWに拡大

 新型コロナウイルスの感染拡大は昨年、世界的に健康と経済を危機にさらしたが、企業による「脱炭素」への動きは一層、強まった。

 調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、全世界の企業によるクリーンエネルギー(再生可能エネルギー)の新規契約規模は、2020年に23.7GWに拡大し、2019年の20.1GW、2018年の13.6GWからさらに伸び、記録的な調達量となった(図1)。

図1●地域別世界企業によるクリーンエネルギーPPA締結規模動向(GW) 、AMERは北米、EMEAは欧州・中東・アフリカ、APACはアジア・太平洋地域
(出所:BloombergNEF)


 この調達量は、石油・ガスや大手ITなど、多様な業種をカバーする130社以上の企業によって結ばれたクリーンエネルギーの電力購入契約(PPA)によるものだ。

 BNEFでシニア・アソシエイトを務めるカイル・ハリソン氏によると、企業の株主など含むステークホルダーの持続可能性に対する関心がより高まり、クリーンエネルギーへのアクセスが世界的に拡大しているという。

半分以上が米国での調達

 新型コロナウイルス感染症の大流行、世界的な景気後退、米国大統領選挙に先立つ米国のエネルギー政策に対する不確実性によって壊滅的な打撃を受けた1年にもかかわらず、企業によるクリーンエネルギー調達量は拡大した。 

 BNEFのハリス氏は、「これらの条件下で、クリーンエネルギー調達市場を維持するだけでなく成長させることは、多くの企業のアジェンダ(実行すべき行動計画)の中で持続可能性の優先順位がいかに高いかを証明しています」と、語った。

 BNEFによると、2019年に続き、米国は再び最大のクリーンエネルギー調達市場だった。2020年に米国で11.9GWの企業によるPPAが結ばれた。この調達量は世界全体の50%以上を意味する。

 とはいえ、この調達量は、2019年の14.1GWに比べると減少しており、2016年以来、初めて前年を下回ったことになる。Read More Here

November 12, 2020

2020年の太陽電池市場、「単結晶」が市場を独占 成長株の「n型」を牽引するテクノロジーは?

 Published at Nikkei: Mega Solar Business

83%が「単結晶」

 米太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社・SPV マーケットリサーチが2020年10月に発行した太陽光発電市場レポートによると、2020年第1四半期から第3四半期(1月~9月)における世界における結晶シリコン型太陽光パネルの出荷量は、なんと83%を単結晶シリコンテクノロジーが占めたという。

 同レポートによると、2020年における単結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子)の世界での出荷量は132.8GWで、 結晶シリコン型太陽電池セル全体の全世界における出荷容量の75%を占めると予想している(図1)。

図1●2020年・太陽光発電の世界市場における結晶シリコン系太陽電池のタイプ別シェア予測
(出所:SPV Market Research)




 実は、かつて1980年代から1990年前半には、スタンダードな「単結晶」セルが出荷量を独占していた。それが1998年になると、製造コストの低い「多結晶」セルが市場でシェアを伸ばしてきた。1999年から2009年の間、ドイツを含むヨーロッパで、太陽光発電の普及政策の一つである全量固定価格買取制度(FIT)の導入で市場が加速的に拡大し、「多結晶」セルが過半数のシェアを獲得した。この時期になると、中国の太陽電池メーカーが、ヨーロッパ、日本、そして米国市場で、シェアを奪い始めた。

PERCで単結晶への移行が加速

 そんななか、2012年に中国などのモジュール(太陽光パネル)メーカーは、「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated Emitter and Rear Cell)を生産品目に加え始めた。当初、PERCには「p型単結晶」を使った製品と、「多結晶」シリコンを使った製品の両方があった。

 だが、徐々にPERCを手掛けるメーカーの多くは、主に「p型単結晶」による製品に絞っていった。PERC技術は生産において、製造コストは高かったが、潜在的なマージンの上昇と より高い変換効率という利点が市場で受け、メーカーは単結晶によるPERCに転換した。...Read More Here

May 25, 2020

2019年の世界太陽電池市場、シェアトップ5社は? 出荷量は前年比39%増、「単結晶」が主流に

Published at Nikkei Technology "Mega Solar Business"

出荷量は再び増加に転じる

 太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPV マーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2019年の全世界における太陽電池出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合せ、前年比39%増の123.5GWだった。
 ちなみに、2018年の出荷量は、前年比5%減だったので、2019年に供給量は大きく改善され、盛り返したことになる。
 2019年の出荷量のシェアを国別に見てみると、1位は、中国で全世界出荷量の63%を占めた。2位はマレーシアだが、かなり距離を空けて、シェアは約20%だった。
 年間出荷量が10G Wを超えたのは、上位2位の中国とマレーシアだけだった。3位のベトナムは9GWを超えたが、 10GWにはとどかなかった。4位は台湾、5位は韓国となっている。米SPV マーケットリサーチによると、上位5位が2019年の全世界太陽電池出荷量の90%以上を占めた(図1)。
図1●2019年の国別世界太陽電池出荷量シェア(トップ5)(出所:SPV Market Research)

 さらに、2019年の出荷量をメーカー別に見てみよう。

上位10社で6割占める

 1位は、農業や新エネルギーを主力事業とする中国の通威集団傘下のシリコン系太陽電池メーカーである通威太陽能(Tongwei Solar)で、世界シェアは二桁の10%であった。同社がこの市場で首位につくのは初めてで、SPV マーケットリサーチによると、同社の2018年のシェアは5%だったので、1年間でシェアが2倍になったことになる(図2)。...Read More Here

May 14, 2019

太陽電池の2018年世界シェア・ランキングを公表 トップシェア企業でも8%、2位には3社が6%で並ぶ

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生産設備の過剰でパネルメーカー合併も

 太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPV マーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2018年の全世界における太陽光発電出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合せ、前年比5%減の89.1GWだったという。1975年から2018年までの累積出荷量は468GWになる。
 2018年の供給元を国別に見てみると、中国は全世界出荷量の58%を占め、その量は51.9GW。2位はマレーシア 、3位台湾、4位ベトナム、そして5位韓国となっている(図1)。
図1●2018年における国別の太陽光発電供給量シェア
(出所:SPV Market Research)
[画像のクリックで拡大表示]
 レポートによれば、2018年における世界の太陽電池セル(発電素子)生産能力は113.3GWで、モジュール(太陽光パネル)の組み立て能力は143.9GWに達した。これら生産能力は、前年に比べ5%増加したが、その後、中国市場での太陽光発電導入の落ち込みで、多くのメーカーは生産設備の拡大計画をキャンセルした。一方で、キャンセルできなかったメーカーや、事業を売却したメーカーもあったという。
 SPV マーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏は、「2018年のモジュール組み立て能力が、セル生産能力を30.6GW上回った。これは、モジュール組み立てメーカーに価格プレッシャーを引き起こした。(モジュール組み立てがセル生産を上回ったことにより)将来的に、(太陽光産業を)健全に保つためには、モジュール組み立てメーカーの合併も考えられる」と語った。

JAからジンコに、トップが入れ替わる

 2018年の太陽光発電出荷量をメーカー別でみると、1位は、中国ジンコソーラーで、出荷量は7GWを超え、世界シェアは8%であった。ジンコソーラーは2011年に初めてトップ10入りを果たし、2016年と2017年ともに2位で、2018年に首位を獲得した。
 中国ロンギ、カナダのカナディアンソーラー、そして中国JAソーラーの3社がともに世界シェア6%で2位に並んだ。JAソーラーは2008年からトップ10入りし、徐々にランキングを上げ、2017年にはトップに上り詰めたものの、2018年にはジンコソーラーと入れ替わることになった。カナディアンソーラーは2011年からトップ10入りし、昨年は2位と、トップを伺う位置に付けた。ロンギは2016年にトップ10入りし、わずか2年で2位まで駆け上がった(図2)。
図2●2018年におけるメーカー別の太陽光発電供給量シェア・トップ10
(出所:SPV Market Research)
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 その他、トップ10には中国トリナソーラー、韓国ハンファQセルズ、中国サンテックも入っている。米国ファースト・ソーラー はトップ10入りを逃したが、シェア3%で11位についている。ちなみに、日本メーカーは2015年以降、トップ10リストには入ったことはない。... Read More Here

April 22, 2019

米住宅太陽光市場で、パナソニックのシェアが急伸 変換効率の高い単結晶モジュールが人気に

Published at Nikkei Technology ---

500社以上と契約する「一括見積り」サイト

 米エネルギーセイジの最新レポートによると、パナソニックが米国の住宅用太陽光発電市場でシェアを大きく伸ばしている。
 インターネットによる太陽光発電見積もりサービスを提供するエネルギーセイジは、同社の審査基準をクリアした500社以上の太陽光発電販売施工会社との提携を通して、太陽光発電システム、さらに、蓄電池と太陽光発電の併設導入を検討している顧客に対し、一括見積り比較の場を提供する。同社は、1日あたり100万を超える米太陽光発電市場の動向に関するデータを収集しているという。
 エネルギーセイジは、4月に2018年前期と後期の米住宅太陽光市場の動向をまとめた「マーケットインテル」レポートを発表した。同レポートによると、パナソニックと韓国LGの2社を合わせると、全体の50%以上のシェアを占めた。
 こうした勢力図になったのは、エネルギーセイジが4年前に「マーケットインテル」レポートを発行し始めて以来、初めて。さらに、パナソニックのモジュール(太陽光パネル)は、2018年に太陽光販売会社が「最も多く見積もったブランド」として挙げられている(図1)。
図1●エネルギーセイジの半期別トップモジュールメーカー調査結果(藍色:パナソニック、オレンジ色:LG、黄色:ハンファQセルズ)
(出所:EnergySage)
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パナソニック、LGとパートナーシップ

 エネルギーセイジでコミュニケーション・マネジャーを務めるニック・リベラティ氏は、「LGとパナソニックのモジュールは、双方とも(同社が収集するモジュールの設置価格の)価格帯の上限に位置する。両社は、高品質の機器、堅実な保証を提供し、一般消費者から認知度の高いブランドになっている」と言う。
 ただ、エネルギーセイジの公表するシェア情報に関しては、同社がパナソニック、LGとパートナーシップを結んでいることが影響している可能性もある。
 エネルギーセイジが提供する見積もりプラットフォーム「ソーラーマーケットプライス」では、見積もり後に同プラットフォームを通じてパナソニックとLGの太陽光発電システム製品を購入・設置する場合、特別割引が適用される。具体的には、250米ドルの割引となる。...Read More Here

December 26, 2018

「一括見積もりサイト」が低価格を牽引、W単価4ドル以下に 第3者機関との連携や情報公開で信頼感向上

Published at Nikkei Technology --

「一括見積もりサイト」利用は少数派だが・・・

 米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)の最新レポート「ソーラー購入者の市場」によると、米国の住宅用太陽光発電システム購入者の95%以上は、施工業者から直接、見積もりを取った上で購入したという。
 逆に言うと、現在、インターネットによる「オンライン一括見積もりサイト」の利用率はまだまだ数%で、少数派ということになる。ただ、NRELは、一括見積もりサイトの利用者は、施工業者との直接取引よりも安くシステムを購入していると分析している(図1)。
図1●太陽光発電システム購入用のオンライン一括見積もりサイト
(出所:Pick My Solar)
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 一括見積もりサイトは、太陽光の購入検討者が一度に複数の会社に見積もりを依頼できるのが特徴である。消費者が自分で施工業者を探し、会社ごとに見積もりを取るのは手間と労力がかかる。
 NRELによると、一括見積もりサイトを利用しない購入検討者は、見積もり依頼に関わるコストを減らすため、見積もり依頼を1~2社程度に絞ることが多いという。しかし、見積もりが数社に留まる場合、購入検討者は施工業者に対して強いバーゲニング・パワー(交渉力)を持てない。...Read More Here

September 27, 2018

米国の事業用太陽光、コスト低下で「追尾型」が主流に 導入コストは「1.56ドル/W」、パネルトップはジンコ

Published at Nikkei Technology -- 5MW以上の20GWを分析

 米国における発電事業用の太陽光市場に関する最新の分析レポートを米ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)が発表した。

 同レポートの筆者であるマーク・ボリンガー氏によると、2017年に6.2 GW(DC・直流:太陽光パネルベース)の発電事業用太陽光が米国で導入され、米太陽光市場全体の59%を占めたという。累積導入量で見ると31GWを越えており、累積導入量全体の60%を占めている。

 同研究所は、2017年末までに稼働を開始した5 MW(AC・交流:連系出力ベース)以上の発電事業用太陽光(590プロジェクト、総累積容量は20.515 MW)を基に、導入量、テクノロジー、設置コストなどを分析した。

ジンコ、ハンファ、トリナがトップ3

 太陽光パネル(太陽電池モジュール)の技術で見てみると、結晶シリコン系が発電事業用プロジェクトで最も使用されており、2017年には年間導入量全体の77%(連系出力3.03 GW)を占めた。ちなみに、結晶シリコン系モジュールをメーカー別にみると、中国ジンコソーラーが15%とシェアトップで、韓国ハンファ(14%)、中国トリナ・ソラー(10%)、カナディアン・ソーラー(6%)、米ミッションソーラーエネルギー(5%)と米サンパワー(5%)となっている。

 薄膜系(化合物型)では米ファースト・ソーラーが2017年の薄膜系プロジェクト全体の97%を占めた。残りの3%は日本のソーラーフロンティアによるものだった。

 2017年までの累積導入量で見てみると、設置(架台)のタイプでは追尾型が全体の67%を占め、モジュールでは結晶シリコン系が全体の69%を占めた。さらに、組み合わせでみると、「結晶シリコン系+追尾型」が連系出力11.09GWと最も多く、「薄膜系+固定型」が連系出力3.70 GW、「結晶シリコン系+固定型」で2.97 GW、「薄膜系+追尾型」が2.68GWと続いた(図1)。...Read More Here
図1●米国の発電事業用太陽光市場におけるパネルと架台のタイプ
Credit: LBNL

August 26, 2018

米サンパワーを追い、韓国メーカーが急伸 米加州の新築住宅での太陽光パネルシェア

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10年間で360MWの導入目指す

 今年5月、米カリフォルニア州は、新築住宅に太陽光発電も導入を義務化する新しい規制を承認した。施行は2020年1月からになる。新築住宅向け太陽光市場の拡大に期待が高まる。
 実はカリフォルニア州には、今回決まった「義務化」以前にも、新築住宅向け太陽光への補助金プログラムが導入されている。
 2006年に同州は2006年から2016年までに合計1.9GWの太陽光発電システムの導入目標を掲げ、「California Solar Initiative (CSI)」と呼ばれる補助金プログラムを創設した。CSIのプログラムの中に、「New Solar Homes Partnership(NSHP)」と呼ばれる新築住宅用の特別なプログラムも設定された。
 NSHPプログラムは、2007年1月にスタートした。その目的は、消費者に対してエネルギー効率の高い太陽光搭載住宅の需要を喚起し、ホームビルダーに対して太陽光の「標準搭載」を促すこと。10年間で360MWの太陽光システムを新築住宅に導入することを目標とした。
 環境の改善、市場の開拓、そして住宅オーナーのコスト削減などのインパクトを最大化するために、 新築住宅はエネルギー消費を最小化するという条件がNSHPには含まれている。
 カリフォルニア州では、建築物における電力・天然ガスなどのエネルギー消費の削減を促すため、「タイトル24」と呼ばれるエネルギー効率(省エネ)基準が導入されている。NSHPの補助金を得るためには、住宅を「タイトル24」省エネ基準よりもさらに、15~35%カットしなくてはならない。
 当初、このプログラムは2016年までの予定だったが、補助金申請の締め切り日が今年6月1日まで延長された。8月6日の時点で、NSHPプログラムは合計11万6871件の申請を認定している。それは太陽光パネル容量で427MW(交流ベース)に達する。このうち3万9000件(123MW)の太陽光発電システムが既に新築住宅に導入され、約7万8000件(304MW)が導入待ち、または導入中ということになっている。
 ちなみに、以下のデータは、NSHPプログラムの申請が認定された日付で集計しており、「導入済み」のデータは太陽光発電の設置、または系統連系された日付ではない(図1)。
図1●カリフォルニア州ホームビルダー用太陽光発電補助金 (NSHP) データ(年間推移)
(出所:California Energy Commission)
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「サンパワー・1強」が崩れる

 さて、カリフォルニア州の新築住宅市場における太陽光パネルメーカーのシェアはどうなっているのか? 導入済み(累積設置量)で見てみると、米サンパワー (SunPower) が39%でダントツのトップである。次に韓国の現代重工業(ヒュンダイ)が12%、中国のトリナ・ソーラーが8%、そして、京セラが6%となっている(図2)。...See More Here

May 10, 2018

太陽電池20年史に見る“栄枯盛衰” 20年前のトップ10企業、今は何処?

Published at Nikkei Technology --

産業を作った日米独の推進策

 今から約20年前の1997年、世界の太陽電池市場が初めて年間出荷量100MWを超えた。その当時、日本では新エネルギー財団(NEF)が住宅用太陽光発電システムへ補助金を出す「住宅用太陽光発電モニターシステム事業」、米国では電力会社に再生可能エネルギーの供給を義務付ける「再生可能エネルギーポートフォリオ基準法(RPS)」、そしてドイツでは「10万の屋根計画」など、政府による融資や補助金などによる推移策が進められていた。
 太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社の米SPV Market Research の創立者でチーフ・マーケットリサーチ・アナリストであるPaula Mints氏によると、日本の住宅用補助金、米国のRPS、そしてドイツの低利融資が、現在の太陽電池産業を築き、草創期の「パイオニア」を育てたと述べている。
 太陽電池産業は、1997年の「100MW到達」を機に、さらなるスケールメリットの追求が課題となり、「10年後の2007年には1GW産業を目指そう」との動きも出てきたという。そして、2017年には、世界の太陽電池モジュール(太陽光パネル)出荷量は、そのさらに10倍の約10GWにまで飛躍した。
 SPV Market Research社のデータによると、この20年間における太陽光市場の年平均成長率 (CAGR )はなんと40%に達する(図1)。...Read More Here
図1●世界の太陽電池モジュールの出荷量推移
(出所:米SPV Market Research)

January 2, 2018

「単結晶」が「多結晶」を抜く、2017年の太陽光パネル市場 PERC技術で変換効率アップ、価格が低下

Published at Nikkei Technology Online ---

「単結晶」のシェアが49%に上昇

 2017年に「単結晶シリコン型」の太陽光パネル出荷量が初めて「多結晶シリコン」を抜いたーー。米太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社・SPV マーケットリサーチが2017年12月に発行した太陽光発電市場レポートから、明らかになった。
 2000年初頭、シャープ、京セラ、三菱電機といった日本企業が太陽光発電市場のトップ企業として君臨していた当時、モジュール(パネル)の主流は多結晶シリコン型だった。当時、単結晶シリコン型は高効率だが高価なため、安価な「多結晶型」が価格競争で優位性を示していた。しかし、その後、「単結晶型」が徐々にシェアを上げ、ついに首位を奪った格好だ。
 同レポートによると、2017年における太陽電池セル(発電素子)の世界での生産容量は97.7GW、このうち出荷量は93.8GW、設置容量は95.1GWと予測している。モジュールタイプ別シェア分析では、93.8GWの出荷量のうち、単結晶シリコン型のシェアは49%で、多結晶シリコン型は46%、化合物型のカドミウムテルル(CdTe)タイプは3%となっている(図1)。
図1●2017年の世界太陽光発電市場(出荷量)
における太陽光パネル・タイプ別シェア
(出所:SPV Market Research)


「プレミア」モジュールが押し上げ

 2016年における多結晶シリコン型のシェアは54%で、単結晶よりも13ポイントも多く、首位を保っていた。しかし、2017年には、単結晶シリコン型のシェアが、多結晶型よりも3ポイント多くなり、初めて逆転した(図2)。
 同レポートでは、単結晶シリコンがシェアを増加させた要因として、モジュールメーカーがプレミアムモジュールに移行したことを挙げている。その一つが、2016年にモジュールメーカーが生産を本格化し始めたp型単結晶シリコンを使った「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated Emitter and Rear Cell)である。2017年にはPARCの商業生産が拡大し、高効率化と共に価格が低下してシェア増加に貢献した。
 2015年には、米サンバワー社の「バックコンタクト(IBC)」、パナソニックのヘテロ接合 (HIT)、韓国LG社の太陽電池パネルが市場でプレミアム価格を発揮した。また高変換効率のn型の単結晶シリコンを使ったパネルへの期待が高まった。
 2016年に入ると、p型単結晶と多結晶シリコンを使った「PERC」を使った太陽光パネルへの移行が顕著になった。「2013年第3四半期に起こった価格下落は、n型太陽電池のプレミアムをはぎ取り、太陽電池メーカーの方向性をp型単結晶シリコン型に促した」と、SPVマーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏は語る。... Read More Here