November 28, 2016

米ソーラーシティ、住宅太陽光でシェア低下、テスラと組み、巻き返し? 「第3者所有」より自己所有のローンを好む傾向が顕著に

Published at Nikkei Technology Online --- テスラによるソーラーシティの買収が可決

 先週(11月17日)米テスラモーターズ株主総会において、「圧倒的な賛成で」米ソーラーシティ(SolarCity)の買収が可決された。

 テスラでCEO(最高経営責任者)を務め、ソーラーシティの代表取締役会長も務めるイーロン・マスク氏はこの買収に関わる総会で議決権を放棄したにもかかわらず、約85%が23億米ドルの買収に賛意を示した。

 マスク氏は可決後、「(テスラ株主の)確信は報われるでしょう」と、新しいエネルギー会社の統合を祝った。

 テスラの買収で報道が増えたソーラーシティだが、同社のビジネスモデルには陰りも見え始めている。

 ソーラーシティは「初期費用なし、電気料金即削減」という 「第3者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」で急成長し、2015年には米国住宅用太陽光発電市場の3分の1以上のシェアを占めた。

 しかし、ここに来て同社の市場シェアが下がり始めている。理由の一つは、成長の原動力だった 第三者所有モデルの利用が減っていることだ。

 TPOモデルは、ソーラーシティのような販売・施工とファイナンスを統合したソーラープロバイダーが、太陽光発電システムを顧客に無料で提供し、家庭の屋根に設置する。そして、太陽光発電システムから発電される電力を消費者に 従来の電力会社の電気料金単価より低い値段で販売するものだ。

「第3者所有」モデルのシェアは半分以下に

 消費者は、多額な導入費無し、修理・メインテナンスに煩わされずに、太陽光発電の恩恵を享受できる。こうした利点が受け、 2007年に登場したTPOモデルは、2014年にはなんとオーナー所有(現金、ローン購入)を大きく抜き、米国住宅用太陽光発電市場の72%を占めるまでに成長した。

米国住宅用太陽光発電市場における
第三者とオーナー所有率の比較予想
(出所:GTM Research)

しかし、米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のジーティーエム・リサーチ(GTM Research: GTM) は、「来年には第3者所有が45%までに下がる」と予測している。つまり、オーナー所有率がTPOモデルを抜き、55%を占めるというのである。その後も、TPOモデルは下降を続け、2020年には27%までに落ちると予想している...Read More here

November 14, 2016

トランプ大統領誕生、共和党でも太陽光産業は伸びる!?20万人以上の雇用を国内に創出した太陽光発電産業

Published at Nikkei Technology Online --- 「米国をグレイトにする100日計画」を公表
トータルで3回にわたった米大統領の選討論会で、トランプ氏は「太陽光発電は高すぎる」、「風力は鳥を殺す」など、再生可能エネルギーに対してネガティブなコメントを繰り返した。一方で、炭鉱関係者の失業問題を語り、国内の石油・石炭産業の生産増大と雇用拡大へのサポートを公言した。

 同氏は、「ドナルド・トランプと米国投票者との間の契約:米国を再びグレイトにする『100日計画』」を大統領選挙に勝利した後に発表した(図1)。それは同氏の選挙公約と同じで、国内の雇用拡大、景気回復・経済活性化が大きな柱となっている。
図1●ドナルド・トランプと米国投票者との間の契約
「米国を再びグレイトにする『100日計画』」

雇用を守るため、再エネより化石資源を・・・

 その計画の2番目に掲げられているのは、「米国人雇用を守る7つのアクション」。7つのうち環境・エネルギーに関連する3つのアクションは以下だ。

 「50兆米ドル分の雇用を創出できるシェールガス、石油、天然ガス、そしてクリーン石炭埋蔵を解放します」

 「オバマ・クリントン政権で阻止された(カナダからテキサス州に原油を運ぶ)『キーストーンXLパイプライン』の建設などの重要なエネルギーインフラプロジェクトを承認します」

 「地球温暖化対策の国際的な新枠組みである『パリ協定』への数十億ドルに上る支払いを止め、国内の水と環境インフラの整備に充てます」――

 トランプ氏を筆頭に、連邦議会の上院・下院ともに共和党が多数派を維持することになり、環境団体や再生可能エネルギー関係者中には、「もう、終わりだ」との嘆きもある。

 雇用を創出し、エネルギー自給を高める手段として、国内に埋まっている化石燃料の生産拡大だけが、「トランプ大統領時代」の答えになるのだろうか? 太陽光発電を含むクリーン・エネルギーは、エネルギー政策からはじき出されてしまうのだろうか?

 トランプ大統領の誕生で、今後の米国クリーン・エネルギー産業拡大に悲観的な見解が多いものの、来年に発足するトランプ政権の具体的なエネルギー政策については、実際のところ詳細がまた整っていない。今までの共和党主導の政権が過去に与えた太陽光発電産業への影響を振り帰ってみよう。...Read More Here

November 3, 2016

米テスラがパナソニックと太陽電池生産で提携、その真意は? 「トンネル接続」と「ヘテロ接合」、どちらを生産するか?

Published at Nikkei Technology Online --- 先月、米電気自動車(EV)大手の米テスラ・モーターズ(Tesla Motors)とパナソニックは、共同で太陽電池の生産を米国で始める検討に入ったと、発表した。

米国で「HIT太陽電池」を共同生産

 世界トップレベルの変換効率を持つパナソニックの「HIT太陽電池」(結晶シリコンと非晶質シリコンによるヘテロ接合型太陽電池)のセル製造技術を使い、2017年に太陽電池の生産開始を予定している。生産候補地は現在、米ニューヨーク州バッファローとなっている。

 テスラといえば、この夏、分散型太陽光発電システム販売・施工において米国ナンバーワンの米ソーラーシティ(SolarCity)を26億米ドルで買収すると発表したばかりである。実は、そのソーラーシティは数年前から年間1GWの生産能力を持つ「ギガファクトリー(Gigafactory)」と呼ばれる太陽電池工場を、同じニューヨーク州バッファローに建設している。

SolarCity GigaFacutry Ground Breaking in New York
Credit: State of New York

 ソーラーシティの1GWの太陽電池工場の完成が間近に迫るなか、テスラはなぜパナソニックと太陽電池生産の提携を進めようとしているのか?

「トンネル接続」型技術で効率24%を目指していたが…

 ソーラーシティは、2014年6月に米太陽電池ベンチャーであるシボレ社(Silevo)を2億米ドルで買収した。

 同ベンチャーは、アプライドマテリアズ(Applied Materials)の幹部によってカリフォルニア州シリコンバレーに設立された。結晶シリコンと薄膜のハイブリッドの太陽電池セルの開発・生産を行う会社である。「トンネル接続型」という先端技術を使用して、高効率化しつつ、製造工程を減らし低コストを達成した。同社のトリックス (Triex)と呼ばれるセルテクノロジーの変換効率は22~23%で、世界トップレベルにある。

 既に、カリフォルニア州フレモントでパイロット生産と、...Read More here