March 31, 2019

米太陽光市場、2年連続で「10GW」越え 堅調な住宅市場、2019年から再び成長軌道に

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累計で60GWを超える

 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)とコンサルティング会社であるウッドマッケンジーによる共同で出版された最新のレポートによると、米国では2018年に10.6GWの太陽光発電が導入された。これは、1230万軒もの米国の家庭に供給される電力に匹敵する。これにより2018年末で米国に導入された太陽光発電は累計62.4GWに達した(図1)。
図1●米国太陽光発電市場の動向(青色:住宅用、黄色:非住宅用、水色:発電事業用)
(出所:SEIA, Wood Mackenzie)
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 2016年と2017年に続き3年連続で10GWレベルを維持したものの、昨年比2%減となった。セグメント別に見てみると、住宅用については昨年に比べて拡大したものの、非住宅用と発電事業用の中・大規模システム市場は縮小した。とはいえ、発電事業用の導入容量は依然として群を抜いて大きく、2017年と同様、全体の58%を占めた(図2)。
図2●米国におけるセグメント別の太陽光発電市場(2017年・2018年)
(出所:SEIAとWood Mackenzieのデータをもとに作成)
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関税措置の影響で稼働が遅延

 住宅用市場は、2017年に前年比15%減となったが、2018年にはリバウンドの兆しが現れ、2017年比7%増の2.4GWの導入となった。2018年第4四半期には過去2年間で最も高い640MWの導入となった。「緩やかな成長」ではあるが、住宅用市場が全国レベルの施工会社に加え、小中規模のローカルな施工会社の活性化により、持続的な成長軌道に乗りつつあるようだ。州別に見てみると、カリフォルニア、ネバダ、フロリダ州が大きく伸びた。
 発電事業用太陽光発電市場は、セグメントで市場シェアが最も大きいが、前年比7%減少し、2018年の導入量は6.2GWであった。 従来に比べ第4四半期の導入量が予測より低かった。その理由の一つは、昨年執行された輸入太陽光発電セル(発電素子)・パネル(モジュール)への関税である。
 昨年1月にトランプ政権は、結晶シリコン型太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して30%の関税を課すことを決定した。まず、1年目の2018年にCSPVのセル・パネルの輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率を年々5%ずつ下げることになっている。
 この関税措置のため、多くの発電事業用プロジェクトの稼働開始が2018年から2019年に遅延されたという。
 ちなみに、2019年2月にはモジュールとセルに対する関税が30%から25%に下がった。さらに2020年2月には20%、その翌年の2021年には15%まで下がる。2022年2月には関税実施の終了を迎えるが、国際貿易委員会(ITC)は2020年1月から関税の中期見直しを行い、その時点で大統領は関税を継続、修正、または終了するか判断することになっている...Read More Here

March 12, 2019

米の発電市場を支える「1~5MW」のメガソーラー 「コミュニティソーラー」による地産地消が背景に

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発電事業用が30GW以上に

 米国では2010年ごろから、発電事業用の太陽光発電設備が急速に増え始め、2018年末で累積30GW以上の発電事業用メガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働している(図1)。
図1●米国における発電事業用の太陽光発電設備・年間導入量推移
(出所:DOE EIA)
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 日本や欧州と比べ、広大な土地と日照に恵まれているカリフォルニア州を含む米国西部では、これまでに世界最大級のメガソーラーが建設されてきた。
 米国で発電事業用の太陽光市場を引っ張ってきたのは、こうした何百MWサイズもの巨大なメガソーラーというイメージがある。だが今回、この市場を支えているのは、むしろ5MW以下のメガソーラーであることがわかった。
 日本では数MWでも「大規模」というイメージがあるが、米国では比較的、小規模なプロジェクトという位置づけになる。

加州では「500MW超」3基

 米国で太陽光発電の導入量でトップのカリフォルニア州には、連系出力500MWを超える巨大なメガソーラーがすでに3基稼働している。
 現在、米国で最大規模となるのは、2015年に稼働開始した「ソーラースター」と呼ばれる連系出力579MW(太陽光パネル出力747.3 MW)のメガソーラーである。高効率で有名な米サンパワー製の単結晶シリコン型パネルが約170万枚、使用され、年間発電量は一般世帯約25万5000世帯の消費電力に相当する。
 サンパワーは、パネルの提供だけではなく、EPC(設計・調達・施工)サービス、 さらにO&M(運営・保守)も手がけている(図2)。
図2●米国で最大級のメガソーラー(連系出力579MW)
(出所:SunPower)
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 次に、 「デサートサンライトソーラー」と「トパーズソーラー」が続く。これらは共に連系出力550MWとなる。
 ちなみに、この2基は、サンパワーのライバル企業である米ファーストソーラーが開発・建設した。ファーストソーラーは、カドミウムテルル(CdTe) 型化合物系太陽電池を生産し、薄膜タイプのパネル製造・販売で世界最大手のメーカーであり、EPCサービス事業者としても世界トップに立っている。

発電事業を支える「1~5MW」

 米エネルギー省・エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA)が昨年12月までに集計したデータによると、累計2600以上の発電事業用の太陽光発電設備が米国で稼働している。連系出力で30GWを超える規模になる。ちなみに、EIAの「発電事業用設備」の定義は、総発電出力が1MW以上(連系ベース)のものとしている。
 米国では、このような数百MWの「半GW」級メガソーラーが次々と稼働し、話題になるため、発電事業では数百MW規模のメガソーラーが主流のようにも思える。...Read More Here