March 22, 2017

米ランカスター市、初の「ネットゼロエネルギーシティ」に 全ての新築住宅に「ネットゼロエネルギー規制」

Published at Nikkei Technology Online --- 「温暖化対策は地方自治体が決める」

 米国カリフォルニア州サンディエゴ市で開催された「コミュニティチョイスエネルギー・フォーラム」で、同州ランカスター市のレックス・パリス市長は、トランプ米大統領の顔写真を指差し、こう言い放った。

 「我々は(温暖化対策を実施するにあたり)連邦政府のサポートは必要ありません。なんと言っても建物の許可が出せるのは私ですから。(温暖化対策の)決断はローカルが出すのです」―ー

 この発言は、地方自治体が温暖化対策に大きな役割を果たすことを意味する。実際、同市は、どの地方自治体、州政府、そして連邦政府よりも、革新的、そして包括的なCO2 削減対策を促進している(図1)。

図1●「ネットゼロエネルギーシティ」に向けての
取り組みについて語る加州ランカスター市長(出所:Climate Action Campaign





ランカスター市は、ロスアンゼルスの北のアンテロープ・バレーと呼ばれるモハベ砂漠の西端に跨るバレー(低地)に位置し、年間300日以上が晴れという太陽光発電に大変恵まれた地域にある。

 そんなランカスター市は、2011年に米国初の「ネットゼロエネルギー (ZNE) シティ」と「世界の代替エネルギーの首都」になるという意欲的な目標を掲げた。「消費する電力量より、太陽光発電などの発電量が上回る。それは私たちとって、もうそこまで来ています。実際、2017年には(ネットゼロエネルギーを)達成します」と、パリス市長は語った。

中国BYD社が太陽電池と蓄電池を供給

 そして、この目標を達成するための同市による数々の環境条例、促進事業の説明を行った。

 パリス市長によると、ZNEホームは、従来から存在していたが、高価なものばかりだったという。市長のビジョンは、「一般の家庭が購入できる」ZNEホームを同市に建築することだった。

 「多くに人が、『それは無理だ』と言いましたが、私は、『どうすれば可能になりますか』と問い返しました。また、官僚的な煩雑な手続きのため、『建物の許可を取るのに時間がかかる』と言われました」。パリス市長は、こう振り返る。

 そこで、まず「その手続きのプロセスを短縮化しました。さらに、太陽光発電の導入手続きも簡素化しました。従来なら数週間以上かかってしまう申請や許可などの手続きを、申請に訪れた時に完了できるよう20分程度に短縮しました」。パリス市長は、市の受け入れ態勢を大幅に改正したことについて語った。

 パリス市長は中国に行き、蓄電池メーカー大手BYD社(比亜迪)と交渉しつつ、ホームビルダーである米KB Home社とパートナーシップを組み、「未来のホーム」を作った..Read More Here