June 27, 2019

米エネルギー貯蔵市場、2024年までに4.5GW超 老朽化した火力発電所の閉鎖を促し、新設を防ぐ

Published at Nikkei ---  
米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のウッズマッケンジーと米国エネルギー貯蔵協会(ESA)によると、2019年第1四半期(1~3月) における米国におけるエネルギー貯蔵設備の設置容量は、前期比6%増、前年同期比232%増(2.32倍)148.8MWと、大きく拡大し、新記録を更新したとしている(図1)。

図1●四半期別米国エネルギー貯蔵設置容量推移(MW)
(出所:Woods Mackenzie)
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 エネルギー貯蔵設備の経済性が高くなり、太陽光発電などの変動性再生可能エネルギーの導入価格の低下に伴い、より多くの電力会社が「蓄電池プラス太陽光発電」のペア(併設)を資源総合計画(Integrated Resource Plan =IRP)に含めるようになった。
 IRPは、最もコスト効率の高い方法で顧客の信頼できるサービスを提供するため、電力需要と供給の両方のエネルギーリソース(資源)を利用して、予測されたエネルギー需要を満たすロードマップ(長期計画)である。
 電力会社は、州の電力規制を行う機関である公共事業委員会(PUC)にIRPを提出する。具体的にIRPには、資源の多様化、省エネ、輸入化石燃料への依存低減、長期的な資源調達方法などが含まれる。

 これまで電力会社のIRPには従来型の資源である石油、石炭、天然ガス、水力などが含まれていたが、ここ数年は、「蓄電池プラス太陽光発電」のペア、さらには、エネルギー貯蔵が「資源」として含まれるようになった。
 カリフォルニア州の中南部で電力小売事業を独占する米サザン・カリフォルニア・エジソン電力会社(Southern California Edison=SCE)は、エネルギー貯蔵を競争入札にかけ、今年4月に以下の6つのプロジェクトを落札した。総設置容量は181MWに達する(図2)。
図2●サザン・カリフォルニア・エジソン電力会社、2019年エネルギー貯蔵入札結果
(出所:SCE)
 落札されたプロジェクトの一つであるストラス・ソーラーの100MWのエネルギー貯蔵プロジェクトは、北米で最大規模となる。同社は2018年にノースカロライナ州に設立され、住宅用太陽光発電システムの販売・施工を手始めに、商業用、発電事業用と太陽光発電設備の規模を大きくし、さらにはエネルギー貯蔵へと事業を拡大していった。現在、同社は3GWhを超えるエネルギー貯蔵プロジェクトを開発中である。