Published at Nikkei Mega Solar Business
不気味なオレンジ色の正体
「バリバリバリ、ドッカーン」――。けたたましい雷鳴と同時に、窓から見える、夜明け前の暗い空に、いく筋もの眩しい光が横に走った。米カリフォルニア州の乾燥した天候の中でこんなに激しい稲光は、今までに見たことがない。
8月16日の朝、カリフォルニア州北部全体で異常に激しい雷に見舞われた。その際に発生した稲妻の数はなんと4000近くだったという。地上にまで及んだ落雷は、その後同州北部と中部で大規模な山火事を引き起こした。
至る所で起こった山火事で、空は不気味なオレンジ色に染まり、さらに空からは雪のように白い灰が降ってきた。
実は、この「オレンジ色」の空は、同州に導入済みの数kWの屋根置き太陽光発電システムから数百MW級のメガソーラー (大規模太陽光発電所)にまで、「ネガティブ」な結果をもたらした。
空一面がオレンジ色に染まるという現象は、山火事による煙、そして灰が太陽の光を遮って反射したために発生した(図1)。
図1●大規模山火事で空だけでなく、地上までオレンジ色に染めた |
「PM2.5」で太陽光が散乱
カリフォルニア 州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)によると、CAISOの電力系統には同州に導入された発電事業用メガソーラーの90%が接続されているが、2020年9月最初の2週間における平均的な発電量を見ると、大規模な山火事のため、2020年7月の平均から30%近くも減少したという。
山火事の煙には、「PM2.5」と呼ばれる、2.5μm(マイクロメートル)以下の小さな浮遊粒子状物質が含まれている。ちなみに、PM2.5は、大気汚染物質の1つである。
一般的にPM2.5の濃度が高まると空に霞みがかる。これはPM2.5が太陽光を散乱させて生じるといわれる。この現象が起きると、太陽光が地上まで十分に届かなくなる。つまり、山火事による煙は、太陽光パネルに到達する日射量を減らし、その結果、発電量が減ることになる(図2)...Read More Here
(出所:US Energy Information AdministrationがCAISOとCalifornia Air Resources Boardのデータを元に作成) |