December 11, 2018

米加州で新築住宅への「太陽光の義務付け」、正式に決定 全米の波及した場合、累積導入量は200GW超に!

Published at Nikkei Technology ---

「義務化」で太陽光の新築市場は5倍に

 米国カリフォルニア州で「新築住宅への太陽光発電設置の義務付け」が正式に実施されることになった。
 今年5月にカリフォルニア・エネルギー委員会(CEC)は、2020年1月より新築住宅に太陽光発電の設置を義務化する規制を承認していた。だが、この「新しい規制」を実現するためには、カリフォルニア州建築基準委員会(CBSC)から最終承認を受ける必要があった。
 そして、今月5日にCBSC全委員の同意で「義務付け」を承認した。これにより、同州は晴れて、全米で初めて州政府による新築住宅への太陽光発電設置を義務化した州になる。
 カリフォルニア州の公表データによると、現在同州では年間に約15万軒の新築・既築住宅に太陽光が設置されており、そのうち新築住宅は約10%の1万5000軒に過ぎない。 同州では年間に平均8万軒の新築住宅が建てられている。「義務化」により 2020年以降、全新築住宅に太陽光が設置されると仮定すると、新築向け市場は、実に約5倍に急拡大する。
 米太陽エネルギー産業協会(SEIA)は、カリフォルニア州の「義務付け」により、2020~23年の間に年間平均200MW 、累計800MWの太陽光の設置が後押しされると推計している。
 一方で、 米国の環境保護に関する政策の分析・研究を行う非営利団体・エンバイロメント・アメリカは、この推計でさえ「控えめ」とし、実際にはこの「新しい規制」により、2045年までにカリフォルニア州で5GW以上の 太陽光が新築住宅に導入されると予測している。

全米に波及すれば「エネルギー革命」に

 同団体は、カリフォルニア州と同じような政策が、全米の町、都市、州などで採用されれば、その効果は革命的なものになり、米国のクリーンエネルギーへの転換を加速させるとしている。仮に2020~26年の間に米国内に建てられる新築住宅の全てに太陽光発電を導入すると、現在設置済みの太陽光の累積導入量を上回る規模に匹敵し、2045年までには新築住宅への太陽光設置容量は全米の累積導入量の3〜5倍の203GWに達すると予測している(図1)。
図1●「新築住宅への太陽光義務化」で増える米国累積太陽光導入量(注:青線が新築住宅の設置容量、赤点線が現在の米国累積太陽光導入量)
(出所:The Environment America)
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 米国は現在、1100万世帯の電力供給量に匹敵する太陽光発電を備えており、その設置量は、ほんの数年前と比べて劇的に増加している。住宅の屋根上太陽光は、もはや一般的になってきたものの、それでも米国では毎年数十万の住宅が太陽光なしで建設されている。
 化石燃料が燃やされる電力事業の発電部門は、米国の温室効果ガス排出量全体の約28%を占め、 2番目に大きな排出源である。エンバイロメント・アメリカは、太陽光発電はクリーンエネルギー転換への重要な役割を担っているとし、石炭・石油の火力発電からソーラーエネルギーへの転換は温室効果ガスの排出量を削減するだけではなく、人間の健康に害を与える化学物質、粒子状物質などによる大気汚染を減らして公衆衛生を改善するという。さらに、屋根上の住宅太陽光はホームーオーナーにとって家計の節約にも貢献するとしている。...Read More Here