米太陽光団体が貿易措置に反対
米国太陽エネルギー産業協会 (SEIA) は2017年12月4日、 「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」をトランプ大統領に提出した。2万6000人以上の雇用を創出している米国太陽光発電産業を守るため、大統領に輸入太陽電池セル(発電素子)、太陽光パネル(モジュール)に対して貿易措置を取らないように要請した。
行動や発言が予想不可能といわれるトランプ大統領に対して、SEIAは「最後の要請」を提出した格好だ(図1)
図1●「太陽光発電のためのアメリカ・ファースト計画」 出所:SEIA |
SEIAがこうした要請をするに至った発端は、2017年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC) に輸入結晶シリコン型太陽電池セルに新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したことだ。
後に、同じく米国内で結晶シリコン型太陽電池を生産しているドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社もサニバ社の提訴に加わった。
パネルの価格が2倍に?
これに対し、SEIA を筆頭に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパー、架台メーカーなどが、輸入セルに関税が課されたら、太陽光パネルの値段が上がり、国内市場と雇用が大きく縮小してしまうと懸念し、大々的な関税反対キャンペーンを繰り広げた。
しかし、2017年9月に、米ITCは、 国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定して、米国の製造業を保護するため措置を取ることを決定した。その後ITCは関税、輸入割当、数量制限、輸入ライセンスの公売などを含む3つの救済措置提案を発表した。
保守系シンクタンクである米ヘリテージ財団は、提案されている関税は太陽光パネルの価格を約2倍にし、サニバ社、ソーラーワールド社を含む少数の太陽光パネルメーカーに短期間の保護を与えるが、市場から低価格のオプションを奪うことで、米国太陽光発電産業と顧客は大きなダメージを受けるだろう、とコメントしている。...Read More Here