June 22, 2020

米アマゾン、615MWのメガソーラーを新規開発 パリ協定を10年早く達成へ、州の気候政策にも影響

Nikkei Technology Mega Solar Business:

2040年に「ネットゼロ」誓約

 先月、米インターネット通販大手のアマゾン(Amazon)は、同社の「気候変動対策に関する誓約」の取り組みの一環として、世界で新たに5基の大規模太陽光発電(メガソーラー)プロジェクトに着手すると発表した。
 中国に1基、オーストラリアに1基、そして米国に3基で、合計出力は615MW、年間約120万MWhの電力を供給することになっている。
 アマゾンは、昨年9月に「クライメート・プレッジ」と呼ばれる気候変動対策に関する誓約を立てた。それは、同社の世界における全ての事業を、パリ協定の目標期限より10年早い、2040年までに 「ネット・ゼロ・カーボン (温室効果ガスの排出量を正味ゼロ)」を達成する取り組みである。
 さらに、同社は、風力と太陽光発電に投資し、2024年までに同社の全事業で消費するエネルギーの80%を再エネで賄う、さらに2030年までに100%賄うという目標もある。
 メガソーラー以外にも、現時点で、50以上の同社のフルフィルメントセンター(物流施設)には屋根置き太陽光発電が設置されており、施設の電力消費の約80%を賄っている。 
 2019年12月時点で、総出力は110MWを超え、米国内における屋根置き太陽光発電システムの数は37、ヨーロッパでは12、インドでは8となっている。ちなみに、同社は2018年米太陽エネルギー産業協会(SEIA)によって、米企業で最も分散型太陽光発電を導入した企業ナンバー1に挙げられた(図1)。
図1●アマゾン・フルフィルメントセンターに導入された屋根置き太陽光発電
(出所:Amazon

 今回の発表によると、アマゾンは具体的に米国において、オハイオ州に200MWと80MWの2基と、バージニア州に130 MWの1基のメガソーラーを計画している。
 オハイオ州では、2基のメガソーラー が計画されている。オハイオ州南部に建設予定の「ネッスルウッド・ソーラー・ファーム」と呼ばれる80MWのサイトは、昨年同州の公営委員会から許可が出ており、「ヒルクレスト・ソーラー・ファーム」と呼ばれる200MWのサイトは既に建設が始まっているという。

第2本社は「再エネ100%」に

 一方、バージニア州で計画しているメガソーラーは、同社で12基目になるが、詳細はまだ発表されていない。ただ、同社とバージニア州は以前から親密な関係にあり、今回のプロジェクトもこうした流れが背景にある。
 アマゾンは2019年、バージニア州アーリントンを同社の第2本社「HQ2」を置く地に決めた。第1の本社は西海岸北部ワシントン州シアトルに構える。「HQ2」では2万5000人の雇用を創出する予定で、さらに事業に必要なエネルギーを100%再エネで賄うとしている。Read More Here