July 18, 2017

米で主役に躍り出る蓄電池、2025年までに35GW目指す: 北米「インターソーラー・電気エネルギー貯蔵2017」報告

Published at Nikkei Technology Online --- 太陽光導入のカギは蓄電池

 太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラー)」(2017年7月10~13日)が、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。

 同展示会は、今年で10年目を迎えるが、昨年に続き今年も、蓄電池およびエネルギー貯蔵システムの展示会である「ees North America(北米電気エネルギー貯蔵)」と同時開催となった。

 両イベントは、3日間の専門セミナーと展示会・技術講演会で構成される。今後太陽光発電の導入を拡大するには、蓄電池が大きなカギを握ると共に、技術革新が相次いでいることから、蓄電池が主役のイベントとなった(図1)。
図1●サンフランシスコで同時開催された
「ees North America(北米電気エネルギー貯蔵)」
(出所:Solar Promotion International GmbH・2017年7月)

「ベーコン」と「スイスアーミーナイフ」

 今回の展示会を取材して印象的だったのは、蓄電池の代名詞として、食材の「ベーコン」と「スイスアーミーナイフ」いう言葉を頻繁に耳にしたことである。

 「ベーコン」は、卵、サンドイッチからチョコレート、アイスクリーム、そしてカクテルのマティーニまで合う食材。「スイスアーミーナイフ」は、ナイフとしてだけでなく、缶切り、ドライバーなど多くの機能を備えた道具である。

 カリフォルニア・エネルギー貯蔵協会の共同創立者でストラージェン・コンサルティング社のチーフテクノロジーオフィサーを務めるジャニス・リン氏は、「エネルギー貯蔵は、ベーコンのようで、何とでも合わせやすい」と語る。

 中でも蓄電池は、太陽光、風力、ガスタービンなど異なる発電所と併設でき、発電から配電段階まですべてのプロセスに対応できる。さらに、バックアップ電源、周波数調整、再エネ導入拡大、ピークカット、インバランス調整、送配電網の増強、送配電網の投資抑制など多様な機能や役割を期待できる。

 ees North Americaの展示会場で開かれた「エクザクティブ討論」では、蓄電池産業からの4人のエキスパートが参加して将来の蓄電池市場について討論した。中でも、蓄電池市場が今後拡大するための要因として、「高い再生エネ普及率」、「電気料金制度の変更」、「補助金制度」について活発な議論が交わされた。...Read More Here
図2●「北米電気エネルギー貯蔵」の展示場ステージでの
「エクザクティブ討論」
(出所:Junko Movellan)