「マリア」直撃で米史上最大の停電
カテゴリー5の大型ハリケーン「マリア」が9月20日、米自治領プエルトリコを直撃し、大規模な被害が発生した。被害から1カ月以上が経ったが、いまだに需要家の約8割が停電したままだ。そのうち、11月15日までには50%、12月15日までには95%の電力供給を復旧させる、とプエルトリコ知事のリカルド・ロッセロ氏は発表した。
今回のプエルトリコの停電は、米国の歴史において最も大規模だとみられる。
そんななか、風速180m/sの強風でビクともしなかった「バラスト式ハイブリッド架台」を使用した645kWの太陽光発電システムに注目が集まっている。同システムは9階建ての建物の屋根に設置されたものだが、まったく損害もなく100%の発電を持続しているという(図1)。
ナイロン製一体成形の架台
同太陽光発電システムは、プエルトリコのサンホアンにある。米退役軍人管理局の運営するメディカルセンターに設置され、2015年に稼働を開始した。この病院はプエルトリコとヴァージン諸島に在住する15万人を超える米退役軍人が主に利用しており、プエルトリコとカリビアン諸島における最大規模の連邦政府による医療施設である。
「バラスト式架台」を提供したのは、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を持つソレガ社(Sollega)だ。同社は商業用フラットルーフ(陸屋根)用架台に特化している。この架台は、プラスチック製で「ファーストラック510(FastRack510)」 と呼ばれる。
プラスチックの種類は、ナイロン6「ウルトラミッド (Ultramid)」(独BASF製)である。この材料は強度、剛性、熱安定性に優れ、柔軟性が高いため、太陽光アレイ(パネルの設置単位)を壊すことなく、複数の方向に曲げられる。さらに、紫外線吸収剤が添加されているので、耐光性、耐久性に優れるという。
一体成形により1つ部品からできているために現場での組み立てを必要とせず、重ねられるため、運搬や設置が容易という利点もあるという。システムの施工時間は、モジュール(パネル)1枚当たり約5分という。...Read More Here
図2●ナイロン6「ウルトラミッド (Ultramid)」の一体成形で製造された 架台「ファーストラック510 (FastRack510)」 (出所:Sollega社) |