June 15, 2018

トランプ関税の影響ジワリ、米で続々と太陽電池の増産計画 海外メーカーが工場新設、国内メーカーも増設を表明

Published at Nikkei Technology --

大手メーカーの増産計画は合計4GWに

 中国などからの安価な太陽電池製品の大量流入により、米国内で生産していた太陽電池メーカーは収益性が悪化し、次々と事業から撤退、または破綻に追い込まれた。日本メーカーの京セラはカリフォルニア州、シャープはテネシー州、そして旧三洋電機(現パナソニック)はオレゴン州に2010年前後に建設された米国内での生産事業から撤退している。
 太陽光発電の導入容量では、米国市場は中国に続き世界第2位の規模を誇るものの、供給面でみると世界に占める割合が微々たるものとなっている。
 国内製造業を保護するため、トランプ政権は今年1月、結晶シリコン太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して4 年間にわたり関税を課すことを決定した。トランプ政権による関税措置の発表後、複数の大手メーカーが米国内での生産拡大を表明した。これら企業の新設・増設計画を合わせると実に4GW近くに達する。
 今年5月末、韓国のハンファQセルズがジョージア州ウリットフィールド郡に太陽光パネル生産工場を建設すると発表した。今年中に着工し、来年2019年に新工場が完成する予定だ。完成時の生産能力は年間1.6GWを超えるという、大規模な計画である。
 他の海外メーカーで米国進出を表明したのは、世界トップのパネルメーカーの中国ジンコソーラーである。同社はフロリダ州ジャクソンビル市に5000万ドルを投資して工場を新設する。 新工場の稼働は今年9 月か10月前を目指している。実は、ジンコソーラーは関税措置の発表前から米国での生産開始を計画していたという(図1)。
図1●メーカー別・太陽光パネル(モジュール)の米国内での生産計画
(注:増設は現在の生産容量に足される増産容量を示す、出所:筆者)

米メーカーも国内で増産を表明

 ジンコソーラーは、200人の新規雇用を2019年末までに創出し、5000万ドルを投資することを条件に、ジャクソンビル市から340万ドル相当の税制優遇措置を数年にわたり受けることになっているという。..Read More Here