太陽光発電システムの価格は大きく低下してきたものの、 持ち家がない、まとまった資金がないなど、導入に苦しむ電力需要者はまだまだ多い。しかし、地産地消型のコミュニティ・ソーラーなら、誰でも太陽光の恩恵を得ることが可能だ。
太陽光の恩恵を地域で共有全員参加の地産地消システム様々なメリットが魅力に
8年弱でシェア1.6%増
太陽光発電システムを導入した住宅・非住宅用電力需要者が2010年から10倍にも増加し、その数は累積200万システムにもなる米国。しかし、米国の50%から75%の住宅・非住宅用電力需要者は、太陽光発電には大変興味があるが、システムを導入できる資金がない、アパートに住んでいる、などの理由で太陽光発電システムを導入できないそうだ。その問題を解決してくれるのが、「コミュニティ・ソーラー」。コミュニティ・ソーラーは、地域に設置された太陽光発電システムを住宅・非住宅用電力需要者で共有する、つまり、全ての電力消費者が太陽光の恩恵を受けられる、全員参加型の地産地消システムである。
コミュニティ・ソーラーの仕組みは、電力会社、地方自治体、またはプロジェクトディベロッパー等が太陽光発電所を地域の配電用変電所に近く、日照の良い、広い敷地に開発・設置し、そして運営する。地域の電力消費者は、コミュニティ・ソーラーのシステムを太陽光パネル単位(kW)で購入($/kW)、または一部の発電量を月々購買($/kWh)し、システムの一部を所有することができる。参加者はさらに電気代削減もできる。この重要なメカニズムは「バーチャル・ネットメータリング(VNM)」と呼ばれる課金システムで、コミュニティ・ソーラー参加者が、自宅から離れたコミュニティ・ソーラーで発電された電力を、あたかも自分の屋根で発電しているかのように、自宅の電力消費量を相殺できる。ちなみに、コミュニティ・ソーラーで発電された全ての電力は、地域の電力会社に送られるので、コミュニティ・ソーラーと電力消費者の間で実際には電気は動かない、「バーチャル」な取引となっている。
具体的に、月々300kWh分の発電量をコミュニティ・ソーラーから購買している家庭の電力消費量が500kWhだった場合、その家庭の電気料金の支払いは、消費量から発電量を引いた200kWh分となり、もし消費量が発電量を下回った場合、その違いは次の月に繰越される。ちなみに、コミュニティ・ソーラーは「自産自消」を促す政策なので、基本的に契約できる発電量は家庭の消費量と同等、またはそれ以下と設定されている。
参加者にとって、太陽光の恩恵が得られ、システムの修理・メンテナンスなどに煩わされないというメリットがある他に、システムサイズが大型化することにより、従来の屋根置きより導入コストが低く、ロケーションの選択を含みシステムデザインが最適化できるので、発電量も屋根置きより多いという運営的なメリットもある。さらに、電力需要のある配電網に接続されるので、大規模太陽光発電所(メガソーラー)のような送電線接続する時間・コストがかからない。
~続く~