20~30度が全体の76%
米国エネルギー省・エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA)によると、2017年までに米国で導入された発電事業用太陽光発電所のうち、累積容量で約40%は固定式架台に設置したものであった。さらに、導入された固定式架台のうち76%は20~30度の間の傾斜角度で取り付けられていたという。
さらに、細かく見ていくと20度の傾斜角度が全体の35%を占め、25度が34%、30度が6%、そして25.5度が5%という構成割合だった。
太陽光発電では、米国や日本のような中緯度の温帯地域の場合、30~35度が最も効率的で発電量が多くなる。だが、米国全体で見てみると20度が最も選択されている(図1)。
傾斜角・方位角と発電量の関係
太陽光発電所から出力される電力量は、太陽光パネルの日射に対する相対的な向きで変わってくる。太陽光パネルに対し日射が垂直である時、最も効率的に太陽光を収集できる。多くの発電量を得るためには、太陽光パネルを設置する「方位」と「傾斜角」が重要になってくる。
EIAのデータを方位別に分析してみると、180度(真南 )に設置されている太陽光発電所は全体の79%で、195度(真南より西に15度)が7%、200度(真南より西に20度)が3%、190度(真南より西に10度)が2%、そして178度(真南より東に2度)が1%と、南、南西が主流となっている。
傾斜角を緯度に等しい角度で南向きにパネルを設定すると、太陽光パネルの受ける年間日射量を最大化できるため、緯度はパネルの傾斜角を決める主要因になる。米国では、低緯度(南部)に設置された太陽光発電システムの傾斜角は小さく(緩やか)、高緯度(北部)の場合、傾斜角が大きく(急に)なる。
比較的低緯度に位置するハワイ州やアリゾナ州は、太陽の南中高度が高くなるので、なるべく太陽光パネルの傾斜角を小さくし、水平に近づけると発電量が増えやすい。逆に緯度の高いオレゴン州やミネソタ州では、パネルはより傾斜を大きく、急にする必要がある。つまり、緯度が下がるにつれて、太陽の南中高度が高くなるため最適な傾斜角は小さくなっていく(図2)。...Read More Here