April 23, 2017

米加州、 太陽光と「恵みの雨」で、卸電力価格「0ドル」下回る 水力発電の増加で余剰電力が生じ「ネガティブプライス」に

Published at Nikkei Technology Online --- 電源構成の4割がメガソーラー

 米国カリフォルニア州は、長期間にわたり干ばつに悩まされてきた。だが、一転して昨年末から豪雨と降雪が続き、記録的な降水量となっている。大雨と春先の雪解け水が今まで枯渇していたダムに流れ込み始めた。ダムの貯水量は満タン状態を超え、放水する大量の水で州内の水力発電がフル稼働となっている。

 本来なら、「恵みの雨」に、もろ手を挙げて喜ぶところなのだろうが、太陽光発電事業者にとっては、ちょっと状況が違う。

 今年3月11日、カリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)内で午前11時から午後2時の間に供給された電力の40%がメガソーラー(大規模太陽光発電所)から送電された。電源構成に占める太陽光発電の比率が、ここまで高くなったは初めてという。ちなみにこの日の太陽光発電からのピーク電力供給は8784MW(8.784GW)に達した(図1)。

図1●カリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)内での
今年3月11日における再生可能エネルギーによる
時間帯別電力供給量(オレンジ色が太陽光発電
(出所:CAISO)


「お金を払って発電する」状態に

 カリフォルニア州では2014年からメガソーラーの新設が加速し、2016年には3GW以上のメガソーラーが新たに建設された。現在、同州には累積18GW以上の太陽光発電が導入されているが、この内9GW以上が高圧送電網に接続されているメガソーラーで、残りが配電網に接続される屋根置きを含む分散型太陽光発電システムである。

 同州では、空調がなくても過ごしやすい冬の終わりから春先にかけ、昼間の電力需要が年間で最も低い「昼間軽負荷期」となる。一方でこの時期、日が伸びるにつれ太陽光の発電量が伸びてくる。そこに、豊富な水力発電が加わり、電力供給が過剰となっている。こうした需給のゆるみを反映し、卸電力市場の前日市場・リアルタイム市場では、過去3カ月間の中で最も低い価格で取り引きされることになった。..Read More Here