February 6, 2017

トランプ新政権、「太陽光発電」で雇用創出を狙う!?

Published at Solar Journal --- 共和党のドナルド・トランプ氏が、第45代アメリカ大統領に就任した。メディア・環境保護団体が再生可能エネルギー導入拡大を含む温暖化対策において悲観的な見解を示すなか、太陽光発電産業の関係者は強気の見解を打ち出している。

国会で可決されたITC法は留まる

選挙期間中、ドナルド・トランプ氏は過激な発言で注目されたが、その中には、「地球温暖化はでっち上げ」「風力は鳥を殺す」など地球温暖化に対して懐疑的または否定的な発言も含まれた。それに反し、オバマ政権で阻止された「キーストーンXLパイプライン」建設の再申請を認可するなど、シェールガス、石油、天然ガス、そして石炭などの国内の化石燃料産業拡大には大きな支持を示した。

Credit: Donald Trump


それらの発言のため、トランプ政権の下で再生エネルギー導入拡大を含む温暖化対策は大きく後退するのは確実だと、メディアや環境保護団体などは悲観的な見解を示したが、太陽光発電産業に携わる関係者は、新トランプ政権に対し「悲観的」ではなく、逆に強気なのである。その理由は大きく分けて2つある。

トランプ氏が大統領選挙で勝利を挙げたとき、最初に懸念されたことは、2015年末に民主党オバマ政権によって延長された「InvestmentTaxCredit:ITC」と呼ばれる「再生可能エネルギー導入投資税控除」が撤回されることであった。

ITC法は連邦レベルの重要な政策であり、太陽光発電購入者が太陽光発電システム設置額の30%を課税所得金額から控除できる、というものだ。この政策は、2005年共和党のジョージ・ブッシュ政権時代に国会で可決され、同政権下、2007年と2008年に、さらに拡大・延長された。2005年のITC法可決から2015年の間に、米国の太陽光発電設置導入量は79MWから90倍以上の7.3 GWにも拡大した。

しかし、ブッシュ政権で延長されたITC法も2016年末で住宅用については終了し、非住宅用(商業、産業、そして発電事業用)は現在の30%から2017年1月1日から10%に下がることになっていた。2016年以降ITC法がなくなり米国太陽光発電市場が後退してしまうと、焦りが本格化してきた2015年末に、ITC延長法案が(共和党と民主党が党派の壁を越えて協力する)超党派政治の米議会上下両院を通ったのである。

以上のように、 ITC法などの法律は連邦議会で可決され、連邦議会だけが撤回することができる。したがって、ITC法が撤回される可能性は低いとの考えである。... See More Here

February 1, 2017

リーディング企業の「再エネ100%」で拡大する米太陽光市場: グーグル、フェイスブックの再エネ需要に電力会社はどう応えるか?

Published at Nikkei Technology Online --- 再エネで電力コストを安定化

 グーグル、マイクロソフト、ウォルマートなど米国を代表するリーディングカンパニーは、再生可能エネルギーで電力需要を賄う目標を掲げ、その達成に向け導入量を拡大している。このトレンドは他の米企業にも急速に広がっている。

 こうした企業の動きは、単に温暖化問題への対応だけではない。例えば、グーグルが再エネ導入に熱心なのは、同社のサスティナブル(Sustainability)目標を達成することに加え、再エネ電力の長期購入契約により電力コストを安定化し、化石燃料の高騰による経営への影響を回避するためでもある。
Google Data Center, Credit: Google


 米ビジネス協会Advanced Energy Economy (AEE) によると、フォーチュン100企業(米フォーチュン誌が年1回編集・発行する、総収入に基づいた全米上位100社のランキング)中71社、フォーチュン500企業中215社がサスティナブル、または再エネ導入目標を掲げている。

 さらに、500企業中、なんと22社は電力需要を「100%再エネで賄う」という挑戦的な目標を掲げている。ウォルマート、アップル、アマゾン、マイクロソフト、GM(ゼネラル・モーターズ)、ナイキ、スターバックスなど、幅広い業種で「再エネ100%」目標を公約する企業が増えている。

設置場所はオンサイトからオフサイトへ

 米企業が再エネに投資することで、再エネ電源が開発される州には、新たな雇用と税収をもたらす。それは、州の電源資源を分散化させ、化石燃料への依存を減らすことにもなる。しかし、一方でこのような再エネ大量導入を受け入れ、対応できるメカニズム(政策・規制)が整っていない州もある。

 逆に言うと、企業がどのような手法で再エネを導入するか、または、どの州で展開するかは、州の政策・規制で大きく変わることになる。

 ウォルマートのように、店舗、倉庫、流通センターなどの比較的規模の大きな施設を全国に持つ企業は、電力需要のある事業所・工場の屋根上、または敷地内(オンサイト)に自産自消用に太陽光発電を導入することが多い。企業がシステムを所有している場合もあるが、再エネプロジェクトのデベロッパーなど第3者が開発・所有し、 企業が電力購入契約のもとで発電電力を買い取るスキームもある。...Read More here

January 15, 2017

新設発電設備の3割以上が太陽光、電力会社が「安さ」で調達 州の普及政策なくともPURPA法適用で伸びるメガソーラー

Published at Nikkei Technology Online --- ソーラー州」以外にもメガソーラーが続々

 太陽光発電市場は、基本的に政府による普及政策の動向に大きく左右される。特にシステムコストが高かった当時は、補助金なしに市場が成長することは難しかった。

 そうした状況が、今、大きく変わろうとしている。米国で「ソーラー」と言うと、地球温暖化対策に力を入れているカリフォルニア州が頭に浮かぶ。ところが、2016年からユタやジョージア州といった、本来「ソーラー」と無縁だった州に、多くのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が建設され始めた。

 米エネルギー省 エネルギー情報局( Energy Information Administration: EIA)が発表した2016年1月から10月までに建設されたメガソーラー(発電事業用)の州別設置容量で見てみると、ダントツはやはりカリフォルニア州だが、ユタ(UT)そしてジョージア州(GA)が2位と3位になっている(図1)。
図1●米国の州別大規模太陽光発電所設置(2016年1月から10月の設置)
(出所:Energy Information Administration)


かつては、RPS法でメガソーラーが伸びる

 米国における分散型太陽光発電の普及は、システムコストの一部を州や電力会社が助成する補助金制度、そして自産自消で電気料金削減を可能にするネットメータリング制度などがけん引役になってきた。一方、従来の電力事業用の発電所に匹敵する大規模な太陽光発電は「再生可能エネルギー・ポートフォリオ・スタンダード(RPS)法」によって導入が進んだ。

 実際、カリフォルニア州に設置された「ソーラー・スター」と呼ばれる出力576MWのメガソーラーは同州のRPS法を達成することを目的に建設された。2016年で最も規模の大きかった太陽光設備はカリフォルニア州に設置された「トランキリティー」と呼ばれる258MWのメガソーラーで、やはり発電した電力は、地元の電力事業者がRPS法を満たすために買い取る。

 このようにメガソーラーは、従来、主にRPS法対策で建設されてきた。

 だが、現在、発電事業用セグメントで2位と3位につくユタ州とジョージア州では、なんとRPS法が成立していない。そんな中でもメガソーラーの建設が進行する理由は、太陽光発電の発電コストが、従来の化石燃料の発電コストに匹敵するまで低コスト化が進んでいるからだ。

PURP連邦法が原動力

 1970年代に起こったオイルショックの際、「公益事業統制政策法(PURPA)」という連邦法が施行された。同法は、再生可能エネルギーなどの利用により、エネルギー自給率とエネルギー効率向上を目指したもので、再エネやコージェネレーション(熱電併給)システムからの電気を電力事業者に回避可能原価(Avoided Cost:限界発電コスト)で買い取ることを義務付けた。

 つまり、独立系発電事業者(Independent Power Producer:IPP)が、電力事業者の発電コストより低価格で再エネ電力を販売できる場合、電力事業者はその電力を買わなければならない。実際、PURPA法により1980年代半ば以降、カリフォルニア州などでは、風力発電を使ったIPPが低コストを武器に新規参入した。

 ユタ州で最初に設置された太陽光発電所は、104MWの設置容量で2015年末に運転を開始した。現在、420MWと265MWと、さらに大規模な太陽光発電所がユタ州で開発されている。発電した電力は地元の電力会社にPURPA法をもとに購入される。ちなみに、ユタ州での太陽光発電所の発電コストは5セント/kWh前後と言われている。

January 4, 2017

米太陽光市場、2016年は日本を抜き世界2位に 第3四半期4GW超えの建設ラッシュ、32分毎に1MWが新設

Published at Nikkei Technology Online --- 2016年第3四半期(7~9月)の米国における太陽光発電設備の導入容量は、前期比99%増、前年同期比191%増の 4143MW(4.143GW)――米太陽エネルギー産業協会 (Solar Energy Industries Association:SEIA)と米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のジーティーエム・リサーチ社(GTM Research: GTM) の最新の「米国太陽光発電市場レポート(Solar Market Insight Report)」によると、こんな米国太陽光市場の好調ぶりが明らかになった。
US Q3 2016 Solar Market Update; Source: SEIA/GTM

発電用は堅調、住宅太陽光は飽和気味、


 この導入量は過去最大で、なんと32分毎に1MWの太陽光パネルが設置されたことになる。 市場セグメント別にみると、発電事業用は3.2GWで、総導入量の77%を占めた。米国で太陽光の導入量ナンバーワンのカリフォルニア州では、1GW以上の発電用がこの四半期に設置された。2016年末までに 4.8GW以上の発電事業用の設備が新設される予定なので、2016年第4四半期には第3四半期を上回るとみられる。

 今まで順調に成長してきた住宅用は、前年同期比2%増だったものの、前期比10%減と市場は鈍化した。カリフォルニア州は前期、そして前年同期比ともに縮小した。前年比減は歴史上初めてのことで、同州の住宅太陽光市場が飽和しつつあるように見える。

 一方で、ユタ、テキサス、サウスカロライナ州などの新興州では、住宅太陽光が伸びてきた。しかし、GTM社はこれらの州は補助金の有無に大きく左右されるので、上昇は一時的なものと見ている。


「自産自消」型がオンサイトからオフサイトに移動


 従来、「自産自消」型の太陽光発電は、電力需要のある事業所・工場の屋根上、または敷地内、つまりオンサイトに設置されてきた。

 ただ、ここに来て、徐々に敷地外、または電力需要のない場所、オフサイトへの設置が増加している。2011年には商業用太陽光発電の91%はオンサイトに設置され、オフサイトの比率はわずか9%であった。しかし、2016年にはオフサイト設置は51%に拡大すると予想されている。...Read More Here