November 6, 2019

いよいよ来年に迫る、米加州の「新築建物への太陽光設置義務」(前半) 建築関連企業と太陽光施工企業とのパートナーシップが盛んに

Published in Nikkei Business ---

 最近、米国カリフォルニア州では、今まで地域で聞き慣れた太陽光発電施工会社が社名を変えることが目立っている。例えば「ABCソーラー」(仮名)が「ABCソーラー・アンド・ルーフ」(仮名)に変わったり、屋根施工会社の「XYZルーフ」(仮名)が「XYZルーフ・アンド・ソーラー」(仮名)に社名を変更するといった具合だ
 これは、来年からカリフォルニア州で施行される「新築住宅への太陽光発電導入の義務化」開始に向けた戦略である。
 さらに、地場企業だけでなく、全米でビジネスを展開している太陽光発電事業者もこのカリフォルニア州の「設置義務付け」に向け、屋根施工会社とパートナーシップを結び始めた。
 これまでも屋根専門施工会社は、ハウスメーカーから屋根施工を請け負うことが多かった。こうした既に持っているハウスメーカーとのネットワークを生かし、屋根と太陽光発電システムをパッケージにしたワンストップソリューション(必要になる作業を一度の手続きで全て完了する)をハウスメーカーにアピールし始めた(図1)。
図1●カリフォルニア州での新築住宅への太陽光発電導入義務の開始に向けたパートナーシップ
(出所:J. Movellan)

 2018年カリフォルニア建物基準委員会(CBSC)は、2020年1月より新築住宅に太陽光発電を導入する新しい規制を承認した。この「新築住宅への太陽光発電設置義務」は、州レベルの政策において全米で初めてである。
 カリフォルニア・ソーラー・ストレージ協会 (CALSSA) によると、現在カリフォルニア州では年間およそ15万件の新築・既存住宅に太陽光発電が設置され、そのうち約10%の1万5000件が新築住宅用である。 同州では年間平均8万件の新築住宅が建てられるので、 2020年以降、全ての住宅に太陽光が設置されると、現在と比べて約5倍の市場規模に拡大することになる。
 具体的に、今回の太陽光発電設置義務の対象となる住宅は、新築戸建、3階建までの低層集合住宅(アパート等)になり、2020年1月1日より施行される。太陽光発電の設置のほかに、住宅の壁、窓などの高断熱機能を高め、高効率の省エネ設備機器を搭載させ、さらなる省エネの基準も含まれている。さらに、新築住宅が高い建物の陰になっているなど、太陽光発電設置に適切でない場合には蓄電池の併設など柔軟性のある対応手法なども含まれている...Read More Here