January 31, 2019

米機関が「太陽光+リチウム電池」をコスト分析、その結果は? 「ACリンク」と「DCリンク」は1ポイントの違い

Published at Nikkei Technology ---

米国が牽引する「電力用リチウム電池」

 近年、リチウムイオン電池を電力システムに関わるエネルギー貯蔵として使用するケースが増加している。短期間のエネルギー供給、電力系統の安定化、さらに周波数・電圧調整、送配電網の建設延期、または送配電網の投資抑制・削減、バックアップ電源、ピークカット、ピークシフトなど多様なサービス用途で価値を提供し始めた。
 現在、米国がこの分野でも世界をリードしているようだ。米国における電力用リチウムイオン電池のほとんどの用途は、発電事業用のエネルギー貯蔵である。2008~2017年の間、米国は世界の電力用リチウムイオン電池市場の約40%を占めた。それは出力で495MWにあたり、そのうち約92%は発電事業用のエネルギー貯蔵(出力1MW以上)として、約8%は商業用エネルギー貯蔵(出力10KWから1MW)、そして1%以下は住宅用(10kW以下)に導入された(図1)。
図1●米国リチウムイオン電池の導入量推移(2008~2017年)(棒グラフ、円グラフともに緑色が電力事業用市場、薄いピンク色が商業用、赤色が住宅用を示す)
(出所:DOE Energy Storage Database)
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「ACリンク」「DCリンク」とは?

 この拡大するリチウムイオン蓄電池のエネルギー貯蔵としてのコストの動向を分析するため、米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)は「2018年米国発電事業用太陽光発電所プラスエネルギー貯蔵システムコストベンチマーク(基準)」を昨年12月に発表した。大容量リチウムイオン蓄電池が単独で設置された場合(スタンドアロン)と、発電事業用太陽光発電所と大容量リチウムイオン電池を併設(コロケーション)した時(以下「PV+蓄電池」)のデータを基に、モデル化してコスト分析したものである。
 このNRELベンチマーク分析では、太陽光パネルの設置容量100MW-DCの追尾型の太陽光発電所と出力60MW-AC、容量240MWh-AC(放電4時間)のリチウムイオン電池を想定した。具体的には、以下4パターンで分析した。(1)それぞれを独立で設置した場合(スタンドアロン)、(2) 「交流(AC)リンク」による「PV+蓄電池」(併設・コロケーション)、(3)「直流(DC)リンク」による「PV+蓄電池」(併設・コロケーション)、さらに、(4)PVと蓄電池を異なるサイトに単独に設置―――の4ケースだ。...Read More Here