September 29, 2016

米太陽光発電市場は安泰!?、パネル価格は40セント/W! 北米「ソーラー・パワー・インターナショナル2016」レポート

Published at Nikkei Technology Online ---  北米最大の太陽光発電関連の国際展示会「ソーラー・パワー・インターナショナル(Solar Power International=SPI) 2016」(2016年9月12~14日)がネバダ州ラスベガスで開催された。

会場にマイクログリッドを設置

 スマート電力アライアンス(SEPA)と米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)で共催するイベントは今年で13年目になる。今回は国内外から1万8000人以上が参加し、「ここ5年で最高の参加動員数です」と、SEPAで最高経営責任者を務めるJulia Hamm氏は語った。これは世界における米国市場への関心の高さを意味する。

 今回の総出展社数は650を超え、うち80社は蓄電池に関わる会社であった。蓄電池の出展社とセミナーの数が充実する中、今回は初めてマイクログリッドの特別展示とセミナーコースも加わった。会場外の駐車場には「ライブ(実際に稼働している)」マイクログリッドシステムが設置され、イベントの一部の電力消費量を賄った(図1)。

「Solar Power International 2016」(出所:SeaMove Media)

ITCの延長で安堵感広がる

 昨年のSPIでは、2016年末に打ち切られることになっていた「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる「再生可能エネルギー導入投資税控除(連邦政府政策)」の延長を国会に訴える活動と、「延長されなかったら?」という不安で、どことなく緊張感が漂っていた。

 SPIから3カ月後の12月に、米連邦議会がITCの5年間延長法案を可決し、米国太陽光発電産業は2017年以降、市場が冷え込むという悲観シナリオから免れ、関係者の間に安堵感が広がった。こうして迎えた今年のSPIは、昨年のような緊張感はなく、今までの大きな達成感と今後の飛躍に向けた「セレブレーション」的ムードがあった。

September 13, 2016

米リーディングカンパニー、再エネ購入量で電力会社を上回る! 「再エネ100%」目標を掲げる一般企業が続々

Published in Nikkei Technology Online ---  米国では州政府、または地方自治体レベルで「再生可能エネルギー100%」の目標を掲げることが年々増加している。ここにきて、企業レベルにもこのトレンドが飛躍的に広がっている。

米国のトップ企業の多くが「再エネ100%」を掲げる

 Google、Microsoft、HP、AdobeなどのIT関連企業、一般消費財メーカーのP&GとJohnson & Johnson、米国最大のディスカウントストアーのWal-Mart Stores、スポーツブランドのNike、コーヒーチェーン店のStarbucksなど、業界を超えた米国のリーディングカンパニーが、全ての使用電力を再生可能エネルギー100%で賄う「RE100%」を公約している。

 「100%」という目標でなくても、フォーチュン100(米国フォーチュン誌が年1回編集・発行する、総収入に基づいた全米上位100社のランキング)のなんと約3分の2、そしてフォーチュン500(全米上位500社)のおよそ50%が、再エネ購入を積極的に含む「サステイナビリティ目標」を掲げている。

これまで再エネ導入の牽引役はRPSだったが…

 今までの米国の太陽光発電を含めた再エネ導入の主要な牽引役はRPS(再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準=Renewable Portfolio Standard)だった。RPSは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネから供給することを義務付ける制度である。RPSは州レベルで法律化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く米ローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)のレポートによると、2000年から2015年の間、RPS用に57GWの再エネ(太陽光発電、風力など)が新規導入された。

 風力は今までRPSを満たすために導入された再エネの中で64%という最も大きなシェアを占めている。2010年から徐々に太陽光発電の導入が拡大した。2015年単年においては、太陽光発電はRPS用に建設された再エネの中で69%を占め、風力を抜き、群を抜くトップとなった。...Read More Here
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory
「U.S. Renewables Portfolio Standards, 2016 Annual Status Report」)

September 8, 2016

連邦政府お墨付き287MWのメガソーラー計画を自治体が否認 オオツノヒツジを守るため、建設は暗礁に?

Published at Nikkei Technology Online ---  米国カリフォルニア州サン・バーナディノ郡政執行官議会は、出力287MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設を反対多数で否決した。

オオツノヒツジを移動を妨げる?

 このメガソーラーは「ソダ・マウンテン」プロジェクトと呼ばれ、カリフォルニア州南東部に位置するジョシュア・ツリー国立公園とデスバレー国立公園の入り口付近で、米国内務省土地管理局(Bureau of Land Management:BLM)が所有・管理する約2000エーカーに及ぶ土地に計画されている。

 今回のサン・バーナディノ郡政執行官議会では、(1)カリフォルニア州政府用の環境影響評価への認定、(2)工事中に出る砂埃を抑えるためにまく水(井戸水)へのアクセスの承認を可決するものであった。同議会は、「昔のまま変わらない砂漠地帯を劣格化させるだけでなく、地元の住民には全く利点がない」と、「ソダ・マウンテン」プロジェクト用の2つの認定を拒否した。

 否認の理由には、ビッグホーンと呼ばれるオオツノヒツジ(大角羊)の保護が含まれる。国立公園内と付近には過酷な砂漠環境に適応したオオツノヒツジを含む多くの動植物が生息している。

メガソーラー計画地に生息するオオツノヒツジ
(出所:California Department of Fish and Wildlife)

 「ソダ・マウンテン」設置サイトは、オオツノヒツジが夏から冬にかけて移動するデスバレーとナバホ砂漠の間にあり、移動の小道をふさぐことは、オオツノヒツジの生息を脅かすとの指摘もある。住民の一部、環境保護団体、国立公園愛好家、生物学者、さらに付近にある商工会などから大きな反対を受けた。

連邦政府「オーケー」、地方自治体「ノー」

 連邦政府の公用地に計画されているこのメガソーラーは、最初は2557エーカーで357MWの規模が予定されていた。しかし、オオツノヒツジを含めた環境保護、そして国立公園の景観保全のため、昨年6月に、287MWに規模を縮小され、その後BLMから連邦政府用環境影響評価の認定を受け、建設にも「GO」サインが出された。

 このメガソーラーのプロジェクトディベロッパーは、カリフォルニア州メンロー・パークに拠点を持つRegenerate Power社である。。。。Read More Here