February 19, 2020

米エネルギー貯蔵市場、2024年までに5.4GWに拡大! 電力会社による導入計画は合計78GW

Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

EV市場拡大で価格低下

 米大統領による「年頭教書」は、米政治における新春の恒例行事として知られる。年の始めに、大統領が連邦の両院議会の議員を前に、その年の主な政治課題などを演説するもので、一般教書演説とも呼ばれる。今年は、これと並行して、「米国エネルギー貯蔵産業の年頭教書:2019年の回想」と題したセミナーが2月6日に行われた。
 講演者の一人であるダン・フィンフォレイ氏は、「市場は着実に拡大している」と、米国エネルギー貯蔵設備の市場トレンドを語った。同氏は、クリーンエネルギーに関する英国調査会社・ウッドマッケンジーのエネルギー貯蔵部で アナリストを務めている。
 米国エネルギー貯蔵市場をテクノロジー別に見ると、リチウムイオン蓄電池がこれまで市場をほぼ独占しており、2019年第4四半期のシェアでは、全体の99.2%に達した。
 フィンフォレイ氏によると、エネルギー貯蔵設備の価格は継続的に低下しているという。その背景について、「エネルギー貯蔵市場が、電気自動車(EV)市場に『おんぶ』されているから」という表現で説明した。つまり、エネルギー貯蔵用だけの蓄電池市場はまだ小さいが、急速に拡大するEV市場のおかげで、コスト低下の恩恵を得ているという。
 エネルギー貯蔵市場の主体は「長周期」(長時間の需給改善)向け用途に向かっており、「真の(ビジネス)機会は長周期向けにある」と語った。米国でエネルギー貯蔵市場が立ち上がった当初は、調整力市場を通じて、短時間の充放電で生み出した調整力を系統運用事業者に提供するアンシラリーサービスがメインで、同サービス用には「短周期」(短時間の需給改善)向けシステムが活用された。
 近年では、カリフォルニア州やニューヨーク州など多くの州政府がエネルギー貯蔵設備の導入を義務化し、 昼間に太陽光発電からの電力を充電し、夕方のピーク時に放電する「シフト目的」の長周期対策での使用が拡大している。さらに、供給力の確実な確保を目指す容量市場の拡大で、長周期向けエネルギー貯蔵が大きく伸びると予想されている。

長周期向けは20%の価格低下

 エネルギー貯蔵市場は、太陽光発電市場と同じように、住宅用、 非住宅用(商業・産業)、そして、発電事業用の3つに分類される。さらに、電力会社の視点から、エネルギー貯蔵が電力需要家側に設置される場合 「ビハインド・ザ・メーター(電力量計の後側)」、そして、電力供給側に設置される場合 「フロント・オブ・ザ・メーター (電力量計の前側)」との分け方もある。後者のフロント・オブ・ザ・メーターのほとんどは電力会社による発電事業用になる。
 エネルギー貯蔵設備の価格は、容量や電力量といった技術的な特性だけでなく、設備の定格放電時間によっても異なる。主に、定格放電時間が0.5 時間未満の「短周期」、2時間までの「中周期」、そして4時間以上の「長周期」に分類される。... Read More Here

February 9, 2020

米版「地域新電力」、相次ぎメガソーラーとPPA契約、稼働済み最大は200MW 「エネルギー地産地消」を掲げ、加州で拡大する「CCA」

Published at Nikkei Technology - Mega Solar Business

電力独占下でも法的に認可

 先月末、米国コミュニティ・チョイス・アグリゲーション(CCA)の調達する太陽光としては最大規模の発電所が稼働した。CCAとは、地方自治体の関与した電力小売事業者で、大手電力の独占下でも法的に電力事業が認められている。
 出力200MWを超える「ライト・ソーラー」と呼ばれるこのメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトは、カリフォルニア州北部のセントラル・バレーに建設された。サンマテオ郡のCCAであるペニンシュラ・クリーン・エネルギーを通してサンマテオ郡の需要家に電力が供給される(図1)。
図1●地域新電力によって導入された200MWを超える「ライト・ソーラー」プロジェクト
(出所:Peninsula Clean Energy)

「CCA」 は米国版・ 地域新電力

日本では電力小売りが全国レベルで全面自由化されたが、米国では電力自由化は各州の判断で、州別に実施される。 気候変動対策と環境保護に積極的で、太陽光発電導入量で全米をリードするカリフォルニア州は、電力小売りを全面自由化しておらず、3つの大手電力会社が電力の送配電と供給を地域独占している。
 しかし、同州は2002年に地方自治体が地域の需要家に電力が供給でき、地域の電力需要家は電力供給先を選択できる新たな法律を制定した。その法律は、コミュニティ・チョイス・アグリゲーション (CCA)と呼ばれる。
 CCAは日本の地域新電力に似ていて、まず、市や郡などの地方自治体がCCAを設立し、発電設備を有する事業者と自ら電力の購入契約を結び、電力小売り事業を運営する。...Read More Here

January 21, 2020

2020年・全米新設電源の32%が太陽光発電! 合計284GWの発電事業用太陽光が計画中

太陽光と風力で76%

 今月発表された米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の分析によると、2020年に42GWもの新設発電所が稼働を始める。そのうち、太陽光発電は32%、風力は44%と、なんと太陽光発電と風力で全体の76%(32GW)も占める。これらに続くのは、天然ガス火力でシェアは22%(9.31GW)で、残りの2%は水力とエネルギー貯蔵となっている。
 2020年に稼働を開始するとEIAが予測する発電事業用の太陽光は13.48GW。これは、2016年に実際に導入された8GWを大きく超えることになる。導入容量を州別に見ると、テキサスが22%、カリフォルニア 15%、フロリダ11%、そしてサウスカロライナが10%、と4州で半分以上の発電事業用太陽光の導入が行われる。
 ちなみに、EIAによると、42GWが新設される一方で、2020年に11GWの発電所が廃炉される予定である。廃炉される発電所を電源別にみると、石炭火力が51%、天然ガス33%、原子力が14%となっている(図1)。
図1●2020年に稼働予定の電源別発電容量の構成比
(出所:U.S. Energy Information Administration)

284GWもの太陽光が計画中

 EIAのデータは2020年内に稼働予定となっている発電事業用太陽光だけの出力であるが、DOEの研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)は、2018年末時点で系統連系申請中の発電事業用太陽光の計画導入量を発表した。それは、なんと交流(AC)ベースの連系出力で284GWに達する(図2)。...Read More Here
図2●2018年末時点で開発中の発電事業用電源の導入容量
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)

January 10, 2020

米最大「690MW太陽光+360MW蓄電池」がネバダ州で計画 州所有地に建設、トランプ政権の承認で動き出す

Published at Nikkei Mega Solar ---

州政府の所有地内に建設

 現在、米ネバダ州で、国内だけでなく、世界でも最大規模と言われる「太陽光+蓄電池」プロジェクトの開発が始まろうとしている。
 プロジェクトの正式名称は「ジェミニ・ソーラー+バッテリー(ジェミニ)」と呼ばれ、連系出力690MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に、連系出力360MW(容量1520MWh)のエネルギー貯蔵設備が併設される(図1)。
図1●「ジェミニ・ソーラー+バッテリー」計画図
(出所:Quinbrook Infrastructure Partners)
クリックすると拡大した画像が開きます
 このプロジェクトは規模だけでなく、政治的な面でもニュースになっている。それは、このプロジェクトがネバダ州連邦政府の所有地に開発される予定で、この場合、州だけではなく、連邦の各種機関より許認可を取得する必要があるからだ。...Read More Here