November 24, 2020

米大規模太陽光のトレンド、「追尾型」のコストが大幅低下 「薄膜系+追尾型」が「結晶系+追尾型」に迫る

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「発電事業用」太陽光は30GWに迫る

 今月、米エネルギー省(DOE)の研究所であるローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が、2019年度(1月~12月)における米国発電事業用の太陽光発電市場に関する統計データを発表した。

 同研究所によると、2019年に稼働した連系出力5MW以上の地上設置型太陽光発電設備は合計103件で、合計出力は前年比16%増の4.58GW-AC(連系出力・交流ベース)だった。ちなみに、2019年末までの累積設置数は792件で、総累積出力は29GW-ACを超えている(図1)。

図1●米国における地上設置型太陽光発電設備の年間導入容量推移
(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory )


 「発電事業用」といっても、その定義は米国内でも異なる。

 米エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の定義は、所有権、系統連系の接続が配電網か送電網に関わらず、総出力が最低1MW-ACの発電設備としている。米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)が、コンサルティング会社である英ウッドマッケンジー社と共同で出版している市場レポートで使われる「発電事業用」の定義は、発電設備のサイズではなく、発電された電力を受け取る仕組みで決めている。「発電事業用」とは、 電力会社が所有する発電設備、または、自家消費ではなく発電された電気が電力会社に直接売られる発電設備となっている。つまり、固定価格買取制度(FIT)などを利用する小規模の設備も含まれることになる。

「追尾式」が88%占める

 一般的に米国市場の動向について言及される場合、SEIAのデータを引用することが多いが、LBNLは、SEIAと違ったアプローチを使い、発電事業用の定義は、「5MW-AC以上の地上設置型」の太陽光発電設備としている。したがって、数MWを超えた発電設備でも、屋根置型の場合、LBNLによる「発電事業用」には含まれない。ここでは混乱を防ぐために、LBNLのデータは、発電事業用ではなく、「地上設置型」太陽光発電設備と呼ぶことにする...Read More Here

November 12, 2020

2020年の太陽電池市場、「単結晶」が市場を独占 成長株の「n型」を牽引するテクノロジーは?

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83%が「単結晶」

 米太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社・SPV マーケットリサーチが2020年10月に発行した太陽光発電市場レポートによると、2020年第1四半期から第3四半期(1月~9月)における世界における結晶シリコン型太陽光パネルの出荷量は、なんと83%を単結晶シリコンテクノロジーが占めたという。

 同レポートによると、2020年における単結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子)の世界での出荷量は132.8GWで、 結晶シリコン型太陽電池セル全体の全世界における出荷容量の75%を占めると予想している(図1)。

図1●2020年・太陽光発電の世界市場における結晶シリコン系太陽電池のタイプ別シェア予測
(出所:SPV Market Research)




 実は、かつて1980年代から1990年前半には、スタンダードな「単結晶」セルが出荷量を独占していた。それが1998年になると、製造コストの低い「多結晶」セルが市場でシェアを伸ばしてきた。1999年から2009年の間、ドイツを含むヨーロッパで、太陽光発電の普及政策の一つである全量固定価格買取制度(FIT)の導入で市場が加速的に拡大し、「多結晶」セルが過半数のシェアを獲得した。この時期になると、中国の太陽電池メーカーが、ヨーロッパ、日本、そして米国市場で、シェアを奪い始めた。

PERCで単結晶への移行が加速

 そんななか、2012年に中国などのモジュール(太陽光パネル)メーカーは、「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated Emitter and Rear Cell)を生産品目に加え始めた。当初、PERCには「p型単結晶」を使った製品と、「多結晶」シリコンを使った製品の両方があった。

 だが、徐々にPERCを手掛けるメーカーの多くは、主に「p型単結晶」による製品に絞っていった。PERC技術は生産において、製造コストは高かったが、潜在的なマージンの上昇と より高い変換効率という利点が市場で受け、メーカーは単結晶によるPERCに転換した。...Read More Here

November 5, 2020

人気の「ソーラー放牧」、150MWサイトで羊1050頭の計画も 機械除草から脱却で、O&MコストとCO2 削減

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「ソーラー・グレージング」で650頭

 米ソーラー・シープLLCのオーナであるジュリ・ビッショプ氏は現在650頭を超えるシープ(羊)を米国東海岸のニュージャージー州で飼っている。同氏の羊は、太陽光パネルが何十列にも渡って設置されている数十エーカーの牧草地で放牧されている。

 ソーラー・シープLLCは、ニュージャージー州中南部にある地上設置型メガソーラー(大規模太陽光発電所)に「植物管理サービス」を提供している。

 このサービスは一般的に「ソーラー・グレージング(放牧)」と呼ばれ、羊を主にした家畜を利用した地上設置型太陽光発電所の除草作業を含む植生管理方法である。太陽光発電所オーナー、またはデベロッパーに包括的な土地利用法を提供するこのサービスは、現在、米国で人気が高まっている(図1)。

図1●メガソーラーで放牧される羊
(出所:Solar Sheep LLC)


「馬」から「羊」に転身

 「ソーラー・シープ」は元々ソーラー用のビジネスではなかった。さらに、ビッショプ氏は羊ではなく、馬のブリーダーであった。同氏が羊に関わり合うようになったのは、同氏のマンディという名の牧牛犬の一種であるオーストラリアン・キャトル・ドッグを牧羊犬にトレーニングするためにまず数頭の羊を購入したことがきっかけになった。

 その後、数頭の羊がさらに増え、同氏は馬のブリーダーから羊のブリーダーに転身した。 同氏が育てる羊の種類は米国で開発されたカターディン羊と呼ばれ、羊毛ではなく食肉(ラム)や繁殖用である。

 同氏が自宅の農場で羊を飼育し始めた頃、増える羊を育てるのに十分な牧草地を持っていなかった。ある日、車を運転していた時、草やクローバーがたくさん茂る15エーカー(約6ha)に及ぶソーラーファームが目についた。 「ここは、自分の羊にもってこいの場所。きっと誰かが草刈りにお金を払っているはず。私の羊だったら(除草を)より簡単にできる」と思い、その太陽光発電所の事業者に交渉に向かった。...Read More Here