「ポリネーター」の繁殖を促す
米国食用鶏肉生産・加工大手のパーデュー・ファームズ(Perdue Farms)の本社が隣接する土地に、年間発電量3700MWh、出力2.8MWの地上設置型のメガソーラー(大規模太陽光発電所)がある。太陽光パネルの周りには、ブラックアイドスーザン、アルシケクローバー、ノコギリヒマワリ、細い葉のトウワタ、パープルコーンフラワーなど、地域の在来植物を含む41種類の異なる花や草が植えられている。
2018年に播かれた植物の種は今年2020年の春にようやく花を咲かせ、今年6月、メリーランド州サリスベリに本社を構えるパーデュー・ファームズは、「ポリネーター(花粉媒介者)に親切な」太陽光発電設備を米国鶏肉生産産業で最初に導入した会社と発表した(図1)。
米農務省によると、米国の農家が作物の受粉を依存しているミツバチなど、 ポリネーターが大幅に減少しているという。農家は、この深刻なミツバチ不足に悩まされているのだ。
米エネルギー省のプロジェクトの一環として、アルゴンヌ国立研究所は、太陽光発電設備の周りのエリアが、ポリネーターに有益な植物を生息させる理想的な場所であることを見出した。そうしたなか、ここ数年、米国では、ポリネーターの生息地を保護するために、「ポリネーターに優しい太陽光発電」の開発が進んできている。
「周辺農家にも役立ちたい」
今年で、創立100周年を迎えたパーデュー・ファームズでサステナビリティ部の副社長を務めるスティーブ・レビッツカイ氏は、「太陽光パネルを敷き詰めた5エーカー をポリネーターに優しい生息地にすることは、考えるまでもないことでした」と語る。
さらに同氏は、こう続けた。「現在、ポリネーターの生息が、同社の鶏の育成に重要な成分の1つである大豆、そして様々は果物や野菜の収穫を増やすのに重要な役割を果たすのは多くの研究で立証されています。そのため我々は地球環境問題への貢献だけでなく、本社付近の農家にも役に立とうと考えたのです」
「従来、太陽光発電の架台の下は、砂利や草で覆われていますが、こうした地表面の管理は、ポリネーターの生息地を新たに作り、維持するコストとほぼ同じなのです。ポリネーターにとって有益なグラウンドを作ることは経済的な障害にはなりません。これらの利点から、我が社では、今後の太陽光発電導入には『ポリネーターに親切な』グラウンドを設ける計画です」――。...Read More Here