中国などからの安価な太陽電池製品の大量流入により、米国内で生産していた太陽電池メーカーは収益性が悪化し、次々と事業から撤退、または破綻に追い込まれた。国内製造業を保護するため、トランプ政権は昨年1月、結晶シリコン太陽電池 (CSPV)の輸入製品に対して4 年間にわたり関税を課すことを決定した。
具体的には、まず、1年目にCSPVのセル(発電素子)とモジュール(太陽光パネル)の輸入価格に30%が 課され、4年間にわたり、関税率は年々5%ずつ下げる。各年で、輸入セルの最初の2.5GWには関税は課されない(図1)。関税2年目の今年2月からは関税率が25%に下がったが、米国の太陽電池輸入は昨年からどのように変わってきたのだろうか?
米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が8月中旬に発表したデータによると、2018年2月からモジュールに関税が課されたにもかかわらず、米国へのモジュール輸入量は部分的に回復したという結果になっている。
米国へのモジュール輸入は、トランプ政権による関税措置の発表、そして関税の実施開始の翌月に削減した。EIAによると、関税の発表前の2017年中期には月約1200MWあったモジュール輸入量が、関税を実施してから2カ月後には月300MW以下まで急減した。
しかし、2019年の最初の4カ月間のモジュールの月平均輸入量は、644MWに回復し、それは関税の話が持ち上がった2017年の最初の4カ月の月平均輸入量の16%増に匹敵する(図2)。
EIAは、世界的な太陽電池モジュール価格の継続的な低下が、輸入品への関税への影響を相殺したのではないか、と分析している。単結晶モジュールと多結晶モジュールの世界平均スポット価格(関税を含まない)は、2017年12月から2018年7月に、それぞれ27%と26%下がったという。...See More Here