EVが系統蓄電池を代替
同州は、2020年までに再生可能エネルギーによる電力の供給割合を33%、そして2030年までに50%にする目標を設定している。電力系統の信頼性を保ち、さらに多くの再エネを導入するため、同州は民間電力会社3社に、2024年末までに合計1.3GWのエネルギー貯蔵用蓄電池の設置を義務付けた。さらに、2025年までに150万台のゼロ・エミッションカー(ZEV)の導入も法律化している。
米エネルギー省(DOE)の主管する米ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)の研究者が、「クリーンな電力網の実現を可能にするクリーン車」という分析レポートを発表した。このレポートでは、「EVは、カリフォルニア州の再エネ目標をサポートする一方、定置型蓄電池の導入にかかる多額な投資を回避できる」と分析している。
EVが運輸部門の脱炭素化に貢献するだけでなく、再エネを電力系統に統合するための資本コストも下げられる、つまり、定置型蓄電池よりEVの方がより低コストで「ダックカーブ」問題を解決できることを示している。
同州はさらなる温室効果ガス削減のために、太陽光発電の導入拡大を目指すが、「ダックカーブ」問題に直面している。
「ダックカーブ」とは太陽光発電導入の拡大に伴い、日中には電力供給が過剰となる一方、夕方の需要ピーク時には電力供給が不足する、という問題である。電力需要から太陽光発電などの変動型エネルギー源の供給を差し引いたものを「実質需要」と呼ぶ。分析によると、この実質需要を時間ごとに追っていくと、4つの問題点が見える(図1)。
「過剰発電」と「ランプアップ」が厳しい課題
まず、午前中に「ランプダウン(急な実質需用量の低下)」に直面する。これは、太陽光発電の出力が急激に増加する時である(Ramp min)。
次に日中「過剰発電(日中の低い実質需要)」が発生する。これは、需要が低い日中に太陽光発電の出力が最高(MAX)に達することで、供給過剰になることで生じる。その場合、コスト的に効率的な方法ではないが、大規模なベースロード発電所の出力を絞っていくか、再エネの導入量を拡大する目標に反して、太陽光発電の出力を抑制しなくてはならない (P min)。...Read More Here