米国では、地域で電力を共有・所有する「コミュニティ」モデルが広がっている。その中のひとつ「コミュニティ・エネルギー貯蔵」システムは、時間帯によって差がある電力需要を平準化させ、電力会社・顧客双方にとっての利益を生み出すという。今回はこのモデルと仕組みを紹介する。
新たな広がりをみせる
電力の「コミュニティ」モデル
地産地消を促し、地域のみんなで共有・所有できる電力の「コミュニティ」モデルが米国では広がっている。
誰もが太陽光発電システムの恩恵を受けられる「コミュニティ・ソーラー(CommunitySolar)」、電力小売が全面自由化されていない規制下の州で、 再生可能エネルギーを多く含むクリーンな電力を地域独占大手電力会社以外から購入できる選択肢を持てる「コミュニティ・チョイス・エネルギー(CommunityChoiceEnergy:CCE)」、そして今広がろうとしているのが「コミュニティ・エネルギー貯蔵 (CommunityEnergyStorage)」である。
革新的電力会社が開始する
全米最大規模のシステム
コロラド州の北部で電力事業を営むユナイテッド・パワー(UnitedPower) は、今年の8月からコミュニティ・エネルギー貯蔵のプログラムを開始する。太陽光発電所などのディベロッパーである米ソーコア・エネルギー社(SoCoreEnergy)とパートナーシップを組み、同電力会社の配電網に4MW/16MWhの米テスラ社のエネルギー貯蔵を設置する。このシステムサイズは、コロラド州内だけではなく、全米の電力協同組合内で最大規模となるそうだ。
ユナイテッド・パワーは、組合員による自主的・自立した組織として所有・運営される、非営利の協同組合の電力会社である。 電力の発電、または他の事業者から調達した電気を送電網を通して供給する発送電力組合から電力を購入し、配線を担いながら現在8万3千以上の契約口数からなる組合員に電力を販売している。
ユナイテッド・パワーは革新的な電力会社で、今までも新テクノロジーを積極的に取り入れてきた。現在米国で16州とワシントン・DCでコミュニティ・ソーラーが法律化されているが、ユナイテッド・パワーはコロラド州で法律化される前の2008年に、コミュニティ・ソーラーを立ち上げた草分け的な存在でもある。