May 28, 2018

米ラスベガスの巨大ホテル、メガソーラーで電力需要の3割を賄う! 屋根置き太陽光を自家発電、電力会社から離脱、そして「100MW」・・・

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ネバダ州最大の電力需要家

 広大なテーマパーク、米ネバダ州のラスベガス。大きな人造湖での噴水ショーが有名な「ベラージオ」、古代エジプト・ピラミッドの形の「ルクソール」、滝のある南国リゾートのような「ミラージュ」、本当のニューヨークのような「ニューヨーク・ニューヨーク」――。これらのホテル・カジノは、社名と同名のホテル・カジノで知られているMGMリゾートが運営する。
 実際、MGMリゾートはラスベガスに計13のホテル・カジノを持っている。それゆえに同社は、ラスベガスのみならず、ネバダ州最大の電力需要家となっている。
 そこで同社は、これらのホテル・カジノの電力供給をグリーンエネルギーで賄うため、ラスベガス付近に建設される出力100MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)から電力を購入すると、今年4月に発表した(図1)。
図1●MGMリゾートがラスベガスで運営するホテル・カジノの一つ「ニューヨーク・ニューヨーク」
(出所:MGM Resorts International)

 MGMリゾートは、10年前以上に「コーポレート・サステイナビリティ事業部」を設けて、2014年には、同社運営のマンダレイベイ・ホテル&カジノのコンベンションセンター屋上にパネル容量6.4MWのメガソーラーを設置した。当時このサイズは世界で最大規模の屋根置き(ルーフトップ)システムと注目を集めた。さらに約2MWを付け加え、合計出力8.3MWとなり、マンダレイベイ・ホテル&カジノの電力需要の25%を供給している。... Read More Here

May 24, 2018

米国の新たなエネルギー貯蔵法で消費電力差を無くせ!

Published at Solar Journal: 
米国では、地域で電力を共有・所有する「コミュニティ」モデルが広がっている。その中のひとつ「コミュニティ・エネルギー貯蔵」システムは、時間帯によって差がある電力需要を平準化させ、電力会社・顧客双方にとっての利益を生み出すという。今回はこのモデルと仕組みを紹介する。

新たな広がりをみせる
電力の「コミュニティ」モデル

地産地消を促し、地域のみんなで共有・所有できる電力の「コミュニティ」モデルが米国では広がっている。
誰もが太陽光発電システムの恩恵を受けられる「コミュニティ・ソーラー(CommunitySolar)」、電力小売が全面自由化されていない規制下の州で、 再生可能エネルギーを多く含むクリーンな電力を地域独占大手電力会社以外から購入できる選択肢を持てる「コミュニティ・チョイス・エネルギー(CommunityChoiceEnergy:CCE)」、そして今広がろうとしているのが「コミュニティ・エネルギー貯蔵 (CommunityEnergyStorage)」である。

革新的電力会社が開始する
全米最大規模のシステム

コロラド州の北部で電力事業を営むユナイテッド・パワー(UnitedPower) は、今年の8月からコミュニティ・エネルギー貯蔵のプログラムを開始する。太陽光発電所などのディベロッパーである米ソーコア・エネルギー社(SoCoreEnergy)とパートナーシップを組み、同電力会社の配電網に4MW/16MWhの米テスラ社のエネルギー貯蔵を設置する。このシステムサイズは、コロラド州内だけではなく、全米の電力協同組合内で最大規模となるそうだ。
ユナイテッド・パワーは、組合員による自主的・自立した組織として所有・運営される、非営利の協同組合の電力会社である。 電力の発電、または他の事業者から調達した電気を送電網を通して供給する発送電力組合から電力を購入し、配線を担いながら現在8万3千以上の契約口数からなる組合員に電力を販売している。
ユナイテッド・パワーは革新的な電力会社で、今までも新テクノロジーを積極的に取り入れてきた。現在米国で16州とワシントン・DCでコミュニティ・ソーラーが法律化されているが、ユナイテッド・パワーはコロラド州で法律化される前の2008年に、コミュニティ・ソーラーを立ち上げた草分け的な存在でもある。

May 20, 2018

パナソニックの太陽電池工場、製造設備がオークション 雇用創出を期待されるも、10年足らずでオレゴンから撤退

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新規雇用を期待されたが…

 「Yes Or No? Sold!(この金額でよろしいですか? どうですか? 落札!)」――。5月9日、パナソニックのエコソリューション・ソーラーアメリカが運営していた太陽電池のインゴットとウエハ工場の生産設備がオークションに出された。
 競売にかけられたのは、太陽電池の基板となる単結晶シリコンのインゴット(円柱状の塊)を製造するグロアと呼ばれる単結晶シリコン引上げ装置、インゴットをブロック状に切断(クロッピング、スクエアリング)する加工装置など大型の製造設備から、倉庫とオフィスで使用されていたコンピューター、椅子、ピックニックテーブルなどを含めた計923点に上った(図1)。
図1●オークションに出たパナソニックの単結晶シリコン引上げ装置
(出所:GA Global Partners)
[画像のクリックで拡大表示]
 この工場はオレゴン州セーラムにあり、もともと三洋電機の米国子会社サンヨーソーラーによって2009年に建設された。当時の総投資額は8000万ドル。同社は新規の雇用創出などを条件に、投資額の半分以上の4200万ドルの立地優遇制度による補助金と税額控除をオレゴン州から受け取った。
 2010年にインゴットとウエハの製造が始まり、日本の滋賀工場でのセル(発電素子)生産を支えることになった。2012年にパナソニックがこの工場を三洋電機から買い取ったが、米国太陽電池製造業は中国産の低価格な太陽電池で採算が合いにくくなってきた。
 製造を開始してから7年目にパナソニックはセーラムでのインゴット・ウエハ加工工場を閉鎖することを発表した。2017年10月時点で解雇されたのは100人弱とみられる。
 今年3月になり、米Reich Borthersが土地面積12万9850平方フィートからなるこの倉庫とオフィスを伴った工場を買収すると発表した。買収価格は発表されていない。
 Reich Borthersは、破産、工場閉鎖、再編からなる商業と工業用の資産の買収、管理、処分などターンキーサービスを提供している。今回、同社はパナソニックから買い取った工場のスペースを他の製造業、またはディストリビューションセンター(物流施設)として再利用するため、生産設備などをオークションで売却することになった。つまり、もはや太陽電池のウエア・インゴット工場として存続することはなくなった。...Read More Here

May 10, 2018

太陽電池20年史に見る“栄枯盛衰” 20年前のトップ10企業、今は何処?

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産業を作った日米独の推進策

 今から約20年前の1997年、世界の太陽電池市場が初めて年間出荷量100MWを超えた。その当時、日本では新エネルギー財団(NEF)が住宅用太陽光発電システムへ補助金を出す「住宅用太陽光発電モニターシステム事業」、米国では電力会社に再生可能エネルギーの供給を義務付ける「再生可能エネルギーポートフォリオ基準法(RPS)」、そしてドイツでは「10万の屋根計画」など、政府による融資や補助金などによる推移策が進められていた。
 太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社の米SPV Market Research の創立者でチーフ・マーケットリサーチ・アナリストであるPaula Mints氏によると、日本の住宅用補助金、米国のRPS、そしてドイツの低利融資が、現在の太陽電池産業を築き、草創期の「パイオニア」を育てたと述べている。
 太陽電池産業は、1997年の「100MW到達」を機に、さらなるスケールメリットの追求が課題となり、「10年後の2007年には1GW産業を目指そう」との動きも出てきたという。そして、2017年には、世界の太陽電池モジュール(太陽光パネル)出荷量は、そのさらに10倍の約10GWにまで飛躍した。
 SPV Market Research社のデータによると、この20年間における太陽光市場の年平均成長率 (CAGR )はなんと40%に達する(図1)。...Read More Here
図1●世界の太陽電池モジュールの出荷量推移
(出所:米SPV Market Research)