February 16, 2017

米加州で80MW超の大規模蓄電池を導入、ガス火力を代替へ 太陽光由来の電気を使い、「ダックカーブ」に対応

Published at Nikkei Technology Online --- ガス火力の燃料不足に現実味

 2016年10月、米カリフォルニア州の天然ガス貯蔵施設で大規模なガス漏れの事故が発生した。天然ガスの不足が危惧され、電力の需要ピーク時における供給不足にも現実味が出てきた。こうした事態の中、同州の州知事は急きょ、出力約100MWの大規模蓄電池の入札、そして建設を電力会社に促した。

 これを受け、カリフォルニア州に数サイトで80MWを超える大規模蓄電池が緊急に導入された。その一つには、米テスラ社が供給した容量80MWh・定格出力20MWのLiイオン蓄電池が含まれる。この蓄電池の運営はすでに2016年末から始まっているが、2017年1月末に正式な完成記念式が行われた。

 「ミラ・ロマ」と呼ばれるこの蓄電池プロジェクトは、10MWの2つのモジュールからなっており、各モジュールは198のパワーパック2(Powerpack2)と、14のインバーターから構成される(計396パワーパック2)。フル充電されていれば、1万5000軒の世帯に4時間分の電気を供給できるという。

図: テスラ社の蓄電池が導入されたカリフォルニア州
「ミラ・ロマ」蓄電池プロジェクトの完成式
(出所:Ernesto Sanchez)

3カ月で80MWhの蓄電池を設置・稼働

 膨大な量の天然ガス漏れが発見されたのは、ロサンゼルス盆地付近にあるアリソキャニオンガス貯蔵施設であった。この貯蔵施設は熱用とガス火力発電所用にガスを供給していたが、安全のために閉鎖されることになった。そのため地域でのガス不足を引き起こしたのである。

 カリフォルニア州で電力小売事業を独占する米サザン・カリフォルニア・エジソン電力会社(Southern California Edison:SCE)は150万の電力顧客数を抱える。SCEは、需要ピーク時の電力供給に天然ガス火力を稼働していた。電力不足を防ぐため、SCEは蓄電池システムの設置を競争入札にかけ、テスラ社が契約者として落札した。

 この緊急の事態に、テスラ社は約3カ月で蓄電池を製造、出荷、建設、そして運営にまでこぎ着けた。蓄電池は、カリフォルニア州ロスアンジェルスから離れた東部の変電所に設置された...See More Here

February 6, 2017

トランプ新政権、「太陽光発電」で雇用創出を狙う!?

Published at Solar Journal --- 共和党のドナルド・トランプ氏が、第45代アメリカ大統領に就任した。メディア・環境保護団体が再生可能エネルギー導入拡大を含む温暖化対策において悲観的な見解を示すなか、太陽光発電産業の関係者は強気の見解を打ち出している。

国会で可決されたITC法は留まる

選挙期間中、ドナルド・トランプ氏は過激な発言で注目されたが、その中には、「地球温暖化はでっち上げ」「風力は鳥を殺す」など地球温暖化に対して懐疑的または否定的な発言も含まれた。それに反し、オバマ政権で阻止された「キーストーンXLパイプライン」建設の再申請を認可するなど、シェールガス、石油、天然ガス、そして石炭などの国内の化石燃料産業拡大には大きな支持を示した。

Credit: Donald Trump


それらの発言のため、トランプ政権の下で再生エネルギー導入拡大を含む温暖化対策は大きく後退するのは確実だと、メディアや環境保護団体などは悲観的な見解を示したが、太陽光発電産業に携わる関係者は、新トランプ政権に対し「悲観的」ではなく、逆に強気なのである。その理由は大きく分けて2つある。

トランプ氏が大統領選挙で勝利を挙げたとき、最初に懸念されたことは、2015年末に民主党オバマ政権によって延長された「InvestmentTaxCredit:ITC」と呼ばれる「再生可能エネルギー導入投資税控除」が撤回されることであった。

ITC法は連邦レベルの重要な政策であり、太陽光発電購入者が太陽光発電システム設置額の30%を課税所得金額から控除できる、というものだ。この政策は、2005年共和党のジョージ・ブッシュ政権時代に国会で可決され、同政権下、2007年と2008年に、さらに拡大・延長された。2005年のITC法可決から2015年の間に、米国の太陽光発電設置導入量は79MWから90倍以上の7.3 GWにも拡大した。

しかし、ブッシュ政権で延長されたITC法も2016年末で住宅用については終了し、非住宅用(商業、産業、そして発電事業用)は現在の30%から2017年1月1日から10%に下がることになっていた。2016年以降ITC法がなくなり米国太陽光発電市場が後退してしまうと、焦りが本格化してきた2015年末に、ITC延長法案が(共和党と民主党が党派の壁を越えて協力する)超党派政治の米議会上下両院を通ったのである。

以上のように、 ITC法などの法律は連邦議会で可決され、連邦議会だけが撤回することができる。したがって、ITC法が撤回される可能性は低いとの考えである。... See More Here

February 1, 2017

リーディング企業の「再エネ100%」で拡大する米太陽光市場: グーグル、フェイスブックの再エネ需要に電力会社はどう応えるか?

Published at Nikkei Technology Online --- 再エネで電力コストを安定化

 グーグル、マイクロソフト、ウォルマートなど米国を代表するリーディングカンパニーは、再生可能エネルギーで電力需要を賄う目標を掲げ、その達成に向け導入量を拡大している。このトレンドは他の米企業にも急速に広がっている。

 こうした企業の動きは、単に温暖化問題への対応だけではない。例えば、グーグルが再エネ導入に熱心なのは、同社のサスティナブル(Sustainability)目標を達成することに加え、再エネ電力の長期購入契約により電力コストを安定化し、化石燃料の高騰による経営への影響を回避するためでもある。
Google Data Center, Credit: Google


 米ビジネス協会Advanced Energy Economy (AEE) によると、フォーチュン100企業(米フォーチュン誌が年1回編集・発行する、総収入に基づいた全米上位100社のランキング)中71社、フォーチュン500企業中215社がサスティナブル、または再エネ導入目標を掲げている。

 さらに、500企業中、なんと22社は電力需要を「100%再エネで賄う」という挑戦的な目標を掲げている。ウォルマート、アップル、アマゾン、マイクロソフト、GM(ゼネラル・モーターズ)、ナイキ、スターバックスなど、幅広い業種で「再エネ100%」目標を公約する企業が増えている。

設置場所はオンサイトからオフサイトへ

 米企業が再エネに投資することで、再エネ電源が開発される州には、新たな雇用と税収をもたらす。それは、州の電源資源を分散化させ、化石燃料への依存を減らすことにもなる。しかし、一方でこのような再エネ大量導入を受け入れ、対応できるメカニズム(政策・規制)が整っていない州もある。

 逆に言うと、企業がどのような手法で再エネを導入するか、または、どの州で展開するかは、州の政策・規制で大きく変わることになる。

 ウォルマートのように、店舗、倉庫、流通センターなどの比較的規模の大きな施設を全国に持つ企業は、電力需要のある事業所・工場の屋根上、または敷地内(オンサイト)に自産自消用に太陽光発電を導入することが多い。企業がシステムを所有している場合もあるが、再エネプロジェクトのデベロッパーなど第3者が開発・所有し、 企業が電力購入契約のもとで発電電力を買い取るスキームもある。...Read More here