October 21, 2015

再エネ電力を電力会社より安く販売できる「CCA制度」(前半) 地方自治体が太陽光や風力をまとめ買いして消費者に提供

Published at Nikkei Technology ---  米カリフォルニア州では、2000~2001年に発生した電力危機が原因で小売全面自由化が保留になってしまった。民間電力会社の地域独占が継続され、家庭用電力消費者は電力購入の「チョイス(選択)」の機会を失った。

 にもかかわらず、同州北部マリーン郡とその周辺の消費者は、電力の購入先を大手電力会社から地方自治体に乗り換え、環境に優しい再生可能エネルギーを選ぶことができる。乗り換えにより、今年は1060万ドル(約12.6億円)の電気料金と、6万t以上の温室効果ガス削減が見込まれている。

 こうした「乗り換え」を可能にしているのが、コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(Community Choice Aggregation: CCA)と呼ばれる法律だ。同法は、地方自治体などが住民、ビジネス、さらに公共施設用の電力需要をまとめて購入できることを規定したもので、2002年に成立した。この法律により、地方自治体は、自ら電力を発電、または発電事業者から電力を調達し、コミュニティーに「チョイス」を提供できるようになった。

How CCA Works; Credit: MCE



顧客は17万5000軒を超える

 カリフォルニア州北部に位置するマリーン郡は、州で最初にCCA制度を導入した地方自治体である。マリーン・クリーン・エネルギー(Marin Clean Energy:MCE)というNPO法人が2008年に設立され、2010年からコミュニティーの電力需要をまとめ、電力を調達し始めた。

 「マリーン郡では、地球温暖化防止対策として建物部門からのCO2排出削減に取り組んでいます。電力消費によるCO2 排出量の抑制策として、再生可能エネルギーの導入を拡大できるCCAに着目しました」と、MCEでCEO(最高経営責任者)を務めるDawn Weisz氏は同機関の創設までの経緯について語った。...Read More Here

October 14, 2015

SPI 2015レポート 米国太陽光発電市場成長の陰―蓄電池は救えるか

Published at Solar Journal --- 9月中旬、4日間に渡り、北米最大の太陽光発電関連展示会「Solar Power International(SPI)」が米国カリフォルニア州アナハイム市で開催された。SPIは100以上の専門セミナーと数々の展示会・技術講演会、ネットワークイベントで構成されており、今回は600社以上の出展と1万5千人の来場者数を集めた。

全米太陽光発電協会(SEIA)によると、イベント開催時点で米国における太陽光発電累計設置容量は約23GW以上。また、これまでに米国で新設された電力発電所の40%が太陽光発電であり、これは近日の米国における太陽光発電産業の大きな成功を意味している。

成功を祝うかのように、イベントの中盤にはジョー・バイデン米副大統領が約4000人を前に熱い演説を行い、大きな可能性に満ちた太陽光発電産業にエールを送った。

US VP Biden Speaking at SPI, Credit: Steven Purcell for SPI 2015

成長が著しい米国市場だが、今後の成長を脅かす数々の問題も抱えている。

まず、「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる連邦レベルの投資税控除制度。これまでは、太陽光発電システム設置にかかる投資額の30%を税額控除できたが、この制度が延長されない場合、住宅用については来年末で終了、非住宅用については現在の30%から10%に下がってしまう。市場収縮のインパクトを避けるため、会場では「ITC延長を!」との声が上がっていた。

次に「ネットメータリング」制度。この制度は分散型システムによる”自産自消”を促すものあり、発電量で電力消費量を相殺しながら、余剰発電量を次月に繰り越し、電気料金を削減できる。しかし、太陽光発電の普及が加速する中で、余剰電力の買い取りを義務付けられている電力会社は、現在の買取価格を「小売価格」から「卸売価格」に引き下げる計画をしている。...Read More Here

October 7, 2015

太陽光とタダの電気温水器をセットで提供、米電力が販促策

Published at Nikkei Technology ---  もし、電力会社がタダで新品の電気温水器と太陽光発電システムを0.41米ドル/W(約50円/W)で提供しますよ、とプロモーションをかけてきたら乗らない手はないだろう。

 ミネソタ州の農村部にある電力会社、Steele-Waseca Cooperative Electric(SWCE)社は、こんなユニークなプログラムを展開している。同社は、小さな協同組合のメンバーが経営する地域主体の電力会社だ。「このコミュニティーソーラーを始めた理由は、メンバーが長年、低価格で再生可能エネルギーに投資できるオプションを求めていたからです」と、SWCE社で分散型システムエンジニアを務めるKristi Robison氏は語った。

 「コミュニティーソーラー」は、太陽光発電システムを設置できない電力消費者でも、太陽光発電事業の恩恵が受けられるシステムである。例えば、アパート住まいの人や、持ち家があっても日照条件が良くなかったり、太陽光発電システムを設置する十分な資金がなかったりする場合である。

 「コミュニティーソーラー」では、自宅の屋根や敷地内ではなく、地域(コミュニティー)内に太陽光発電システムを設置し、そこで発電した電力の一部を長期契約で購入する。発電量は、毎月の電力消費量から差し引かれ、電力消費者は差額を支払うだけでよい。太陽光発電システムを自分の家に設置せずに、さらにシステムの修理やメインテナンスに煩わされずに、「自産自消」をバーチャルに実現できる。

Credit: Steele-Waseca Cooperative Electric

 この仕組みの利点は、コミュニティー内の広く、比較的安く、日照条件のより良い土地を利用できることである。さらにシステムサイズが大きいので、規模の経済性効果が高く、住宅用の屋根置きと比べると、コストも一段と低い...Read More Here